ソードアート・オンライン~剣聖に至る道~   作:ほにゃー

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プログレ編、始まりました


儚き剣のロンド
プロローグ


第1層をクリア後、転移門の有効化(アクティベート)に向かったキリトとアスナを追い、カイとミトは第2層主街区《ウルバス》へと向かっていた。

 

既に有効化(アクティベート)は済んでるらしく、《ウルバス》は多くのプレイヤーで賑わっていた。

 

「おお、賑わってるな」

 

「βの時も、新しい階層が解放される度に賑わってたわ。その時は、大抵はボス攻略のパーティーが下から来たプレイヤーたちを出迎えて、惜しみなく拍手や賞賛の嵐よ」

 

「で、その割には褒め称えられるべき人物がいないな」

 

そう言って、カイは悲し気に賑わう街を見る。

 

カイの予想通り、キリトは転移門の有効化(アクティベート)を終えると、逃げるように消えたらしく何処にも姿が見当たらなかった。

 

「何処行ったんだ?」

 

辺りを見渡していると、教会らしき建物の近くでアスナを見つける。

 

「アスナ」

 

「ミト、もういいの?」

 

「ええ、それよりキリトは?」

 

「なんか急に走り出してどっか行っちゃったよ」

 

「急に?どっちに行ったか分かるか?」

 

「あっちの方だよ」

 

そう言って、アスナが指さしたのは圏外だった。

 

「ちょっと俺、キリトの後追って来る。また後でな」

 

カイはミトとアスナにそう言い、キリトが走って行って方向へと向かう。

 

「えっと、こういう時は《索敵》からの《追跡》だよな」

 

圏外を移動しながら、カイはスキル「タブから《索敵》を選択し、サブメニューから《追跡》を選択する。

 

《追跡》とは《索敵》スキルからの派生スキルで、モンスターの狩りを効率よく行う為に使われる。

 

だが、フレンド登録してあるプレイヤーにも使うことが出来、そのプレイヤーの辿った後を追うことが出来る。

 

キリトから、便利だから取っておくといいと言われ、カイは取得していた。

 

今のカイのスキル熟練度ではほんの1分前の足跡しか追えないため、カイは全速力で足跡を追う。

 

着いたのは、小型の岩山に挟まれた谷だった。

 

「こんな所に、何の様なんだ?」

 

キリトがここに来た理由を考えるも思い浮かばず、取り敢えず先に進もうとしたその時だった。

 

「「ご…………ござるぅぅぅぅぅぅぅうううううううう!!!」」

 

突如、全身を灰色の布防具で包み、上半身の中に軽めのチェーンメイル、背中に小型のシミターを装備し、頭を灰色のバンダナキャップとパイレーツキャップを装備した、忍風の格好をした2人の男が谷から飛び出してくる。

 

そして、その男達の後を追う様に、巨大なウシ型モンスター《トレンブリング・オックス》が猛スピードで追う。

 

「な、なにがあったんだ?」

 

カイは何が起きたのかの真相を掴むため、谷へと向かう。

 

「おい、キリト。何があった……んだ………」

 

谷を覗くと、アルゴがキリトの後ろから抱き付いているのをカイは見た。

 

キリトと目が合う。

 

「間違えました。ごゆっくり」

 

「ま、待て!話を聞いてくれ!」

 

キリトの話によると、灰色の忍たちは、β時代に恐れれられたギルド《風魔忍軍》のメンバー。

 

恐れられたと言っても、物凄く強いと言う訳でなく、アルゴ同様AGI特化のビルドをしていて、AGI壁の戦闘していて、危険になるとダッシュ力に物を言わせて逃走、そして、他のパーティーにモンスターのダケを擦り付けるって意味で恐れられていた。

 

「それってMPKって奴だろ?」

 

「まぁ、やってたのはβ時代だし、今でもやってるかは分からないけど、そこまで悪い連中ではないからこの状況ならやってないだろう」

 

そう言って、キリトは「念のために調べるけど」っと付け加える。

 

「そうか。それで、どうしてアルゴはその《風魔忍軍》に追われてたんだ?」

 

カイの言う通り、アルゴは《風魔忍軍》に追われていた。

 

だからこそ、キリトはその後を追って、アルゴを助けたと言う訳だ。

 

「ああ、なんでもこの層でしか手に入らないエクストラスキルがあるらしいんだ」

 

「エクストラスキル?」

 

「特殊な条件を満たさないと出現しない、所謂《隠しスキル》だよ。β時代じゃ、《瞑想》って言う地味スキルがあったけど、どうやらそれじゃないらしくてな」

 

そう言って、キリトはアルゴを見る。

 

「アルゴ、知りたい情報を何でも1つ教えてくれるんだよな?なら、そのエクストラスキルについて教えてくれ」

 

「………はぁ~、ま、約束は約束だしナ。いいぞ、教えてやる。カー坊はキー坊と組んでるし、どうせキー坊も後でカー坊には教えるんダ。特別に、カー坊にも教えてやるヨ」

 

そう言って、アルゴは「付いて来ナ」と言う。

 

アルゴに従い、岩壁を上り、洞窟に入って、ウォータースライダーみたいな地下水流を滑り、2層の東の端の、岩山の頂上に着いた。

 

周囲を岩壁が囲み、泉と一本の樹、そして、人間より少し大きいくらいのサイズの岩が沢山並んでいた。

 

そのうちの一つの岩に、仙人風の格好をした老人が居た。

 

「あれがエクストラスキル《体術》を教えてくれるNPCだ」

 

「た、体術?」

 

「おそらく、武器を使わないで、素手で攻撃するスキルだと推測できル。だが、いいのか?ここまで案内しといて言うのはなんだが、ココのクエストを受ける事のオススメは絶対にできないヨ。あと、2人に一生恨まれてもヤダからネ」

 

アルゴが心配そうにそう言ってくる。

 

「安心しろ。例えどんな結果になっても、俺はアルゴを恨んだりはしないさ」

 

「むしろ、それでアルゴを恨むなんて筋違いだろ?どうなろうと、結局は自分の所為なんだしさ」

 

カイとキリトはそう告げ、NPCの前に行く。

 

『フォフォフォ、なんじゃ小童ども入門希望か?』

 

どうやら喋り方も見た目通りのようで、そのままクエストの説明を始めた。

 

『我が試練を見事果たせば、お主らに我が武の真髄《体術》を伝授してやろう。フォフォフォ』

 

「「望むところだ!」」

 

目の前に現れたメニューウィンドウから《YES》を押す。

 

『フォーフォフォフォ、よかろう小童共。ならばこの大岩を一つ砕くのじゃ。ただし、武器を使うことはまかりならんぞい?』

 

「は?岩を砕く?」

 

「武器を使わずに?」

 

変な子を言う仙人にキリトとカイは思わず聞き返す。

 

その瞬間、仙人は2人の背後に移動し、2人の武器を掠め取った。

 

「あ!?」

 

「俺たちの武器!?」

 

『お主らが見事この試練を果たすまで無用の長物は預かっておくぞい。この試練はあくまで徒手空拳にて挑むのじゃ、拳を使おうと蹴りで砕こうと自由じゃ。なんなら頭を使ってもよいがの。あとのう、大岩を割るまでこの山を降りることはならんぞい。じゃからお主らにはその証をたててもらうぞい』

 

仙人が懐から筆を取り出し、そのままカイとキリトに一振り。

 

『その証はお主らが見事大岩を割り修行を終えるまで決して消えることはない。信じておるぞ我が弟子よ。フォーフォフォフォ』

 

そう言い残し、仙人は再び先程の岩の上に戻る。

 

「キリト、お前、顔に髭が描かれてるぞ!?」

 

「なんだって!?って、カイも!?」

 

2人して騒いでいると、キリトはあることに気づく。

 

「そうか、アルゴ。お前はテストの時、このクエストを自力で見つけたんだ。そして、クエストを受け、クリアできずに髭を描かれたまま、最終日までプレイした。その結果、《鼠》のキャラが立ったから正式サービスでも商売の為に髭のペイントをしてるわけだな」

 

「エクセレント!見事だぞ、キー坊!結果として《髭の理由》と《エクストラスキル》両方の情報を知ることが出来たわけダ!お祝いにもう一ついい事教えてやるヨ。その岩、《鬼》ダヨ」

 

「だろうな」

 

アルゴからの新しい情報に2人はは更にショックを受ける。

 

「……なぁ、俺のペイントもお前とおなじような髭か?」

 

「ん~、いや、違うな」

 

「ど、どんな感じだ?」

 

「一言で言えば…………《キリえもん》《カイえもん》だナ」

 

そこまで言うと、アルゴは耐え切れず大笑いしだした。

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