ネズハの登場によって、戦況は一気に《攻略組》側へと傾いた。
アステリオス
これにより、《攻略組》パーティーの回復の時間を稼いでいた。
「ブレス来るぞ!頼む、アンタが頼りだ!」
レイドリーダーのリンドが、ネズハに向かてそう言う。
「は、はい!」
ネズハは、ようやくなりたかった伝説の勇者になれた喜びから、涙を流して力強く返事をする。
「それにしても、あのクエストを2日でクリアとかどんな方法使ったんだよ?」
安全圏にまで避難したキリトが、HP回復ポーションと対麻痺ポーションを飲みながら、ネズハと一緒に来たアルゴに尋ねる。
「ああ、これまた凄いんダ」
アルゴの説明によると、事の発端はアルゴが《隠しログアウトスポット》の噂を聞いた事だった。
その噂は第1層の時も聞き、真偽の程を確かめるために、アルゴはキリトとカイの手を借り調査した。
結果は、《隠しログアウトスポット》など存在しなかった。
誰かが現実に帰りたい余り流したデマ。
そう言う結論だった。
だが、第2層でも《隠しログアウトスポット》の噂が出て、それを聞いたアルゴは第1層に続いて同じ噂が出る事に疑問を感じ、再び調査した。
そして、第1層と第2層で、《隠しログアウトスポット》の噂が流れたのは、とあるNPCのおつかいクエストで得た情報だったことが判明。
内容は異なるが、その情報の最後には《真実の世界への扉が開かれる》とあった。
何かあるとアルゴは考え、再び第1層へと戻り、《隠しログアウトスポット》と噂された場所を訪れた。
そこで、アルゴが見つけたのは隠し洞窟だった。
第1層の頃は、アルゴ自身の《
そこを調べ、アルゴが見つけたのは驚きの情報だった。
洞窟の中には壁画があり、その壁画は曲刀を持ったコボルトロードを倒す、刀を持ったコボルトロードが描かれていた。
それを見たアルゴは、《真実の世界》とはボス攻略に必要な情報の開示だと気付き、すぐさま第2層の調査を開始。
そして向かったのは、あの《体術》習得クエストの場所だった。
《禿山の頂に仙人の住まう《迷子石の森》あり。仙人の座するを打ち砕けば、《真実の世界》への扉が開かれん》
つまり、第2層のボス攻略に必要な情報は、《体術》習得クエストのNPCの仙人が座る石を壊すことで得られる。
アルゴはこの情報を、アスナとミトに伝えるべく向かったが、その途中で《トレンブリング・オックス》と言う牛型モンスターをトレインしてしまい、どうすることも出来ず、そのままアスナたちの所へと向かう。
武器もなく、為す術のないアスナたちではどうしようもなかったが、アスナが咄嗟の機転を利かせ、自身のフーデッドローブをマント代わりに、闘牛を披露。
《トレンブリング・オックス》を見事誘導し、仙人の座る石を破壊し、クエストクリアとボス攻略情報を入手した。
「あのクエストを開始するト、やたら《トレンブリング・オックス》が湧くのモ、そう言う方法で石を割れって意図もあったんだろうナ」
「そう言えば、頭を使っても良いとか言ってたな………」
「そう言う事かよ………」
真面目に岩を殴り続けて壊したカイとキリトは、楽に壊せる方法があったことに驚愕し、それに気づかなかったことに落ち込む。
「ま、ココの差があったみたいだナ」
アルゴは自身の頭を指差して言う。
「と言う訳デ。ボスに関する情報を得たオイラ達は、この情報を伝えるべく急いでここに来たって訳サ。で、事は一刻を争うから先に、ミーちゃんとアーちゃんの2人に先行して貰っタ。だけど………」
そう言い、アルゴは《攻略組》を見渡す。
「もうボロボロじゃないカ。戦況がこちらに有利になったとは言え、戦局を支えてるのは彼ら……カ」
バラン将軍を倒し、アステリオス
「現時点で望み得る最高級の武器のお陰もあるガ、その腕も《攻略組》では一線級カ………惜しいナ」
アルゴは悲しそうにそう呟く。
「とにかく、今はボスを倒すのが先決だ」
ようやくHPの回復と麻痺が治り、キリトが立ち上がる。
「行けるか、アスナ?」
キリトは、相棒のカイでもなく、同じβ出身のミトでもなく、アスナにそう声を掛ける。
「ええ、行けるわ」
アスナも立ち上がり、武器に手を掛ける。
「ところで、キリト君。あの時の言葉憶えてる?」
「え?あの時の?」
「ボス戦で
「………あー、そうだっけ?」
キリトは、その場の勢いで言ったことを思い出し、そう言う。
「宣言通り、私たちは2日でクエストを終わらせた。それなら、キリト君も有言実行しないと………できるものならね!」
そう言って、アスナは我先にと走り出す。
「あ!ずるいぞ!」
その後を、キリトも急いで追い掛ける。
そう言って、競い合う2人は、何処か笑顔だった。
「あ~あ、あんな良い笑顔しちゃって………」
「全くだな。完全に俺たちの事、眼中になしだな」
カイとミトも復活し、立ち上がる。
「……ねぇ、カイ。あの2人、ちょっとイラっとしない?」
「……言われてみると、そうだな」
「こっちがどんな苦労してたかも知らないで、勝手に仲直り」
「挙句、俺たちが自分たちの相棒だって事も忘れて、2人っきりの世界に没頭」
「「許せないよな(わよね)!」」
カイとミトは口を揃えて言い、にやりと笑う。
「誰が自分たちの相棒なのか!」
「思い知って貰うわよ!」
そう叫び、2人も走り出す。
前線は、丁度《
「今だ!《ブラッキー》殿に《スカーレット》殿、そして、《姫君》達よ!」
オルランドが、4人に向かって叫ぶ。
「行っけえええええええ!!」
エギルは、4人に最後のトリを任せるつもりで叫ぶ。
「また持って往かせる気か!?」
「させるか!」
キバオウとリンドは、
4人は同時に跳躍し、武器を構える。
突進系のソードスキルを同時に発動し、4人の攻撃は弱点の王冠に当たる。
アステリオス
その隙を逃さず、4人はまたしても同時に左脚を振り上げ、体術スキル《弦月》を発動。
4人の蹴りは、アステリオス
「「これで!」」「「終わりよ!」」
カイとキリト、ミトとアスナの声が重なり、4人は最後のソードスキルを放つ。
片手剣スキル《ソニックリープ》
両手鎌スキル《カラミティロード》
曲刀スキル《トレブル・サイズ》
4つの突進技が、アステリオス
カイ達が地面に居り立ち、それと同時に、アステリオス
そして、《CONGRATULATIONS》の文字がフロア中央の上空に浮かび、全員の目の前に獲得経験値と分配されたコルが表示される。
「悪いな、2人とも
「
「「俺達(私達)が、頂いた(わ)」」
《攻略組》全員の歓声が響く中、カイとミトは、キリトとアスナに意地の悪い笑みを浮かべ、笑い掛けた。