第3層のデザインテーマは《森》
1層や2層にあった森とは比較にならないほどの、巨大な森だ。
「わぁ……!」
「すげー……!」
目の前に広がる大森林を前に、アスナとカイは小さく歓声を上げる。
そんな二人を見ながら、キリトはアルゴにメッセージを送る。
内容は、下層に第2層攻略と1時間以内の第3層転移門の開通を周知するようとの頼みの文面だ。
それを送り終えると、キリトはミトを見る。
キリトの視線に気づいたミトは、頷き、カイとアスナに声を掛ける。
「二人とも、感動するのはいいけど、そろそろ行くわよ」
「あ、ごめん!」
「転移門の
「いや、それは後から来るリンドかキバオウに任せよう」
キリトはそう言って、北を指差す。
「この道を行って、分かれ道の右に行くと主街区。左は森になってる。俺とミトは、主街区に行くより先に、森の方に行きたいんだ」
「どうして?」
「直接攻略には関係無いんだけど、やっとくと何かと便利なクエストがあるのよ」
「どんなクエストだ?」
「聞いて驚くぞ?」
カイの質問に、キリトはにやりと笑う。
「SAO初の層を跨ぐ大型キャンペーンクエストだ!」
「終わるのはなんと第9層!」
「第!?」「9層!?」
9層まで続くキャンペーンクエストと言うことに、カイとアスナは驚く。
「章ごとのクリアで経験値が多めに貰える」
「おまけに、報酬アイテムもハイスペック」
「主街区に行くより、優先度高いだろ?」
キリトの言葉に、カイとアスナは頷いた。
4人は森へと進み、《トレント・サブリング》を倒しつつ、奥へと進む。
「それで、どうやったらそのキャンペーンクエストが受けれるんだ?」
「この辺りなんだけど………3人は耳に自信あるか?」
「キリト君って、耳フェチ?」
「キリト、人の趣味嗜好についてはとやかく言わないけど、今はそんなことしてる場合じゃないだろ」
「違わい!」
アスナとカイからの反応に、キリトは叫ぶ。
なお、ミトはと言うとアスナの「耳フェチ」発言で吹き出し、カイのセリフで爆笑していた。
「そうじゃなくて、聴力に自信あるかってこと!」
「わかってるわよ」
「落ち着けって」
アスナとカイに揶揄われ、顔を真っ赤にするキリトだった。
「で、そう聞くってことは何か音が聞こえるのか?」
「そうよ。剣と剣がぶつかり合う金属音が聞こえるはずだから、注意してね」
ミトの言葉に頷き、4人は耳を澄ませる。
風鳴り、葉擦れ、
暫くそうすると、遠くてキンッ!と言う剣戟音が聞こえた。
4人同時に、音がした方を向く。
「行こう」
全員が頷き合い、音の方向へと向かう。
近づくにつれて、音は大きくなり、4人の視界中央にNPC色のカーソルが2つ浮かび、木々に反射するライトエフェクトが届いた。
キリトを先頭に近付くと、巨木の所で立ち止まり、右手でジェスチャーしてきた。
3人が頷き、太い幹からソッと顔を出すと、開けた空き地で剣を交える2つのシルエットが見えた。
煌びやかな金髪、緑色の軽装鎧を装備し、右手にロングソード、左手に円形の盾を装備した長身の男と、黒と紫の鎧、湾曲した形のサーベル、目を見開く程の美貌を併せ持った、ショートヘアーの女性騎士だった。
「嘘……あれが本当にNPC!?」
「普通の人に見えるぞ」
「良くできてるだろ?けど、良く見てみろ」
キリトに言われ、よく観察すると、2人の騎士の耳は尖がっていた。
「あれって、エルフか?」
「ああ。男の方は《
「で、ここからなんだけど、このクエストは1度受けたら途中でミスしても受け直し不可、対立ルートへの変更不可。一度選んだルートを最後まで走り抜けないと行けないわ」
「「対立?」」
「そう。《
「それでどちら側に加勢する?」
キリトの言葉に、アスナは戦ってるエルフを見る。
「《
「俺も賛成だ」
「よし、じゃあ早速………あれ?俺、βの時にどっち側に着いたって話したっけ?」
「私も言ってないけど………」
「分からないとでも?」
アスナはふっと笑い、キリトを見る。
「いや、確かにあっちを選んだけど!別に女性だから選んだわけじゃなくて、黒色だからで!」
キリトがしどろもどろに言い訳するのを他所に、アスナはミトを見る。
「ミトは……あの《
「それだけで決めつけたの!?確かにあっち選んだけど!」
「とにかく行くぞ」
「あ、ちょっと待ってくれ」
カイが立ち上がろうとすると、キリトが止める。
「行くのはいいけど、最後に最も大事なことがある」
「大事な事?」
「このまま、《
「「勝てない?」」
「あのエルフは、《
「3層に上がったばっかの私たちじゃ、勝てっこないのよ」
「じゃあ、どうするんだ?」
「こちらのHPが半分以下になると、加勢した側のエルフが奥の手を使って相手を倒してくれるんだ・だから、こちらはガードに専念して」
「キリト、奥の手ってことは………出来れば使いたくない理由があるのか?」
カイの言葉に、キリトは少し口を閉ざす。
「………ああ、奥の手ってのは自爆攻撃。つまり、相打ちに持ち込むんだ」
その言葉に、アスナは息を吞む。
「イヤかもしれないけど、これから先、NPCの死は何度も目にすることになる。割り切った方が良い」
キリトはそう言い、飛び出す。
ミトもそれに続いて飛び出す。
カイは溜息をつき、飛び出そうとした。
「ねぇ、カイ君」
すると、そんなカイをアスナが呼び止めた。
「どうした?」
「奥の手を使うで思ったんだけど………それって、私たちが強ければ、片方は助けれるってことじゃない?」