「人族がこの森で何をしている!」
「邪魔立て無用!今すぐ立ち去れ!」
《森エルフの聖騎士》と《黒エルフの近衛騎士》がそう言う。
「ここで敵対する相手に向けて敵対行動、つまり剣を向ければいい」
キリトの言葉をに従い、カイとアスナは剣を《森エルフの聖騎士》へと向ける。
「…愚かな…《黒エルフ》如きに加勢など……」
「悪いけど、多対一で、それも女性相手に剣を振るなんてできないんでな」
カイはそう言って、《森エルフの聖騎士》向かって走り出す。
「ちょっ!何してるんだよカイ!?」
「ガードに徹するって言ったじゃない!」
キリトとミトの言葉に返事をせず、カイは《森エルフの聖騎士》に剣を振る。
「我が剣の露と消えろ!」
そんなカイを迎え撃とうと、《森エルフの聖騎士》は剣を握りしめ、頭上からカイを斬ろうとする。
が、その背後をアスナが取る。
《森エルフの聖騎士》の横腹目掛け、《リニアー》が放たれる。
「なっ!?」
「どこ見てるんだよ?」
アスナの登場に驚いてる間に、カイは《森エルフの聖騎士》の懐にまで迫り、《リーパー》叩き込む。
カイとアスナのソードスキルが同時に、無防備な位置に向かった放たれる。
「がっ!?」
「よし!」「やった!」
攻撃が入ったことに、2人は喜びの声を上げる。
が、《森エルフの聖騎士》のHPは僅かにしか減らなかった。
「なっ!?」「硬っ!?」
防御力の高さに、2人は驚く。
「やっぱり2人の武器じゃ、7層のエリートmobには軽過ぎる!」
「二人とも!逃げて!」
ミトがそう言うも、カイもアスナもソードスキルの発動後で動けなかった。
そして、《森エルフの聖騎士》の剣がカイを狙う。
「ハアッ!!」
だが、《黒エルフの近衛騎士》が目にも止まらぬ速さで動き、カイの前に立ち、《森エルフの聖騎士》に二連撃を打ち込む。
「ぐおっ!?」
同じ7層のエリートmobの為か、《森エルフの聖騎士》のHPは目に見えて減少した。
「す、すまない」
「いや、こちらこそ助太刀感謝する。人族にも、道理の分かる者が居るようだな」
《黒エルフの近衛騎士》はそう言って、《森エルフの聖騎士》に剣を向ける。
「我が方より奪い去りし《秘鍵》返してもらおう!」
「………よかろう、ならば5匹まとめて、消し去ってくれよう!」
《森エルフの聖騎士》が地を蹴り、向かってくる。
「キリト、ミト!来るぞ!」
「あーもう!勝手なことしやがって!」
「一歩間違えたら死ぬ所よ!」
「ごめんね、2人とも。でも、私もカイ君も、ゲームの仕様上助けれないから仕方ないって、諦めたくないの!」
「俺たち4人に、《黒エルフ》の人が協力すれば勝てるかもしれないんだ。頼む、協力してくれ!」
アスナとカイの言葉に、キリトとミトは、「「はぁ~」」っと同時に溜息を吐く。
そして、カイとアスナの2人が《森エルフの聖騎士》の武器を弾いた瞬間、キリトが斬りかかり、その直後、キリトの背後から跳躍して、《森エルフの聖騎士》を飛び越え、背後から
ミトが攻撃する。
「こうなったらとことんやってやるよ!」
「のけ者はごめんだからね!」
《黒エルフの近衛騎士》と協力して、20分。
「くっ………不覚……!」
《黒エルフの近衛騎士》の剣が深々と、《森エルフの聖騎士》の腹部を貫き、HPは0となった。
カイたちのHPは半分になる手前で止まり、《黒エルフの近衛騎士》の方も同じぐらいで止まってる。
「まさか本当に倒せるなんてな………」
「でも、気を付けて。こっから先は、私もキリトも知らない展開、完全初見よ」
ミトの言葉に、全員が武器をしっかりと握りしめる。
「実に………無念だ……!」
身体が崩れるように消えていく《森エルフの聖騎士》は、懐からある物を取り出す。
それは木の葉を縫い合わせて作った小さな袋だった。
「それは!?」
《黒エルフの近衛騎士》は取り出されたものに驚き、奪おうと手を伸ばし、駆け出す。
「貴様如きに、功を譲ることになるとはな………《鷹使い》!」
《森エルフの聖騎士》がそう叫び、《黒エルフの近衛騎士》の手が届きそうな瞬間、頭上から巨大な一羽の鷹が現れる。
そして、鷹は《森エルフの聖騎士》の手から小袋を奪い取り、それを主と思しき、《森エルフ》へと渡す。
「全く、騎士と言うのはどうしてああも気位が高いのでしょうね。ともあれ。《黒エルフ》の、大事な《秘鍵》とやらは、ワタシがお預かりしました♪」
現れた糸目の《森エルフ》はにやにやと笑い、そう言った。
「あれは!?」
「《森エルフの鷹使い》!?」
《森エルフの鷹使い》の登場に、キリトとミトは驚きに、声を上げる。
「貴様が……《鷹使い》!!」
すると、《黒エルフの近衛騎士》が殺気を放った。
NPCからの殺気に、4人は驚き、冷や汗が流れた。
「はて、どこかでお会いしましたかね?いくら敵方とはいえ、貴女の様な美人を、忘れるはずがないのですか」
そう言い、《森エルフの鷹使い》が指を鳴らす。
すると、数人の《森エルフ》が現れ、武器を向ける。
「そう言えば、《秘鍵》を奪った時、殺した薬師が貴女と同じような顔をしてましたね」
その瞬間、《黒エルフの近衛騎士》は走り出し、《森エルフの鷹使い》に斬り掛かる。
「おっと♪」
だが、《森エルフの鷹使い》はひょいっと軽く躱す。
「すみませんね、あの時もそうでしたけど……まずは一番弱いのとから決めてるんです♪」
《森エルフの鷹使い》は、アスナに向かって剣を向ける。
さらに、アスナの背後から鷹を使い、挟み撃ちにする。
「しまった!?」
「アスナ!?」
「くそっ!?」
他の《森エルフ》相手に戦っていたカイとミト、キリトはアスナの援護に行けなかった。
このままではアスナが殺される。
その時だった。
「まったく、お前はいつも、私の大事な物を奪っていく………よかろう、譲る」
「ありがとう……義姉さん」
突如現れた何者かが、アスナと《森エルフの鷹使い》の間に割って入る。
そして、鷹にも何かが襲い掛かる。
「そうか!《森エルフ》に《森エルフの鷹使い》がいるなら!」
「《黒エルフ》側には、アイツがいる!」
「「《狼使い》!!」」
キリトとミトが興奮気味に声を上げた。
現れたのは、《黒エルフの狼使い》。
《森エルフの鷹使い》と対をなす、存在だ。
「我が妻の仇《鷹使い》!殺す!」
《黒エルフの狼使い》はそう叫び、左手の薬指の指輪が悲しげに輝いた。