ソードアート・オンライン~剣聖に至る道~   作:ほにゃー

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第3話 《(ダーク)エルフ》

とある修練所

 

そこで、2人の《(ダーク)エルフ》が対峙していた。

 

女の方はキズメル、男の方はヴォルフ。

 

キズメルは騎士で、ヴォルフは狼使いだ。

 

最初に動いたのは、ヴォルフだった。

 

身体を低くし、下からの斬り上げを放つ。

 

が、キズメルはこれを容易く受け止める。

 

「これから3層に降りると言うのに、今ではなければならんのか?」

 

「今だからこそ……です!」

 

狼使いのヴォルフの本来の戦い方は、相棒とも言うべき狼と共に敵を翻弄しつつ戦う。

 

だが、今のヴォルフは狼を使役していない。

 

対してキズメルは騎士。

 

剣同士の戦いなら、彼女に軍配が上がるし、何より、キズメルとヴォルフでは戦いの際の役割も、戦場に出た場数も、経験も違う。

 

それでも、ヴォルフは狼を使役せず、剣のみでキズメルと戦う。

 

(ふむ、最初のころと比べて随分と太刀筋が良くなったな)

 

ヴォルフの剣の腕の上達ぶりに感心しながらも、キズメルは涼しい顔で剣を受け流す。

 

「(だが)まだ甘い」

 

そう言い、ヴォルフの剣を弾き、渾身の居合斬りを放つ。

 

「!?」

 

ヴォルフはキズメルの気迫に圧倒されながらも、受けて立とうと、弾かれた剣を引き戻し、防御の態勢を取る。

 

そして、キズメルの剣と、ヴォルフの剣がぶつかる。

 

甲高い金属音が修練所に響き渡る。

 

「くっ……!ち…ッくしょ……!」

 

ヴォルフの身体と剣は地面に転がった。

 

勝敗は決した。

 

と、思われたが、ヴォルフはすぐに身体を起こす。

 

「まだ、一撃食らってませんよ……!」

 

2人の試合の勝敗は、先に一撃与えた方が勝ち。

 

まだ、攻撃が当たってないヴォルフは立ち上がる。

 

「まだまだここからです!」

 

落ちた剣に手を伸ばそうとしたその時だった。

 

「もうやめて!」

 

1人の《(ダーク)エルフ》の女性が修練所に現れた。

 

「ティ、ティルネルさん!?」

 

ティルネルと言う女性が現れた瞬間、ヴォルフは驚く。

 

「それに、ロボ!?お前か!ティルネルさんを連れて来たのは!」

 

ティルネルの傍らには、彼の相棒である狼のロボが居た。

 

「ああーもう!こんなに無茶して!怪我はない?見せて!」

 

「だ、大丈夫!大丈夫ですから!」

 

ティルネルはヴォルフの側に座り込み、ヴォルフの手や顔を触って怪我の有無を確かめる。

 

「そのあたりでいいかな?ティルネル」

 

キズメルがそう声を掛けると、ティルネルは怒った表情でキズメルを見る。

 

「良いわけないでしょ!いくら私たちの事が反対だからって、弱い者いじめは良くない!」

 

「よ、よわっ………」

 

弱い者いじめと言う言葉に、ヴォルフが落ち込む。

 

そんなヴォルフの流す悔し涙を、ロボは舐めて拭う。

 

「安心しろ、もう勝負はついた」

 

「なっ!?」

 

キズメルの言葉に、ヴォルフは声を上げる。

 

「ま、待ってください!俺はまだ!」

 

「勘違いするな」

 

まだ戦おうとする、ヴォルフをキズメルは制する。

 

「お前の勝ちだ。腕を上げたな」

 

そう言い、キズメルは髪をかき上げ、頬に付いた一筋の傷跡を見せる。

 

ヴォルフは防御と同時に、カウンター技を使い、キズメルに反撃をしていた。

 

これには、流石のキズメルも驚いた。

 

あの瞬間、まさしくヴォルフは、騎士キズメルの上を行った。

 

「じゃ、じゃあ!」

 

ヴォルフと、ティルネルの顔が期待に満ちた表情になる。

 

「私も騎士だ。剣に誓って、約束したことは違えんよ。祝福しよう、心から……………心から…」

 

キズメルは数秒葛藤し、溜息を吐く。

 

「結婚おめでとう」

 

「「や、やったあああああああああああああああああ!!」」

 

キズメルからのその言葉に、2人は喜んだ。

 

手を取り合い、その場で抱きしめ合った。

 

ロボも嬉しそうに、2人の周りをぐるぐると回る。

 

「それで、子はいつもうけるのだ?」

 

「ちょっ!?子!?」

 

「ね、姉さん!?そんなの気が早すぎるよ!」

 

「早すぎるものか。いいか、男でも女でもいい。元気な子を生むのだぞ。そして、生まれた子は騎士にするんだ。《狼使い》などは許さんからな」

 

「ワウッ!バウッ!」

 

言葉が分かるのか、《狼使い》を馬鹿にされたロボがキズメルに吠える。

 

「こ、こやつ!誇り高きリュースラの騎士に楯突くか!お前は大人しく主人に従っておれば……あーもう!これだから《狼使い》は!」

 

怒りながらも、どこか楽しそうなキズメル。

 

そんな姿に、ヴォルフとティルネルは幸せそうに笑う。

 

この姉(義姉)に、自分たちの子供を見せて上げたい。

 

そんな気持ちだった。

 

そして、3層に降りてからしばらくたったある日。

 

(ダーク)エルフ》の後方部隊が《(フォレスト)エルフ》に奇襲を受けた。

ティルネルは薬師と言う身分で、部隊に同行していた。

 

仲間が傷つく中、戦場を走り、傷の手当などをしていた。

 

だが、部隊が壊滅になる瀬戸際で、ティルネルは指揮官より《秘鍵》を預けられ、本隊と合流し、《秘鍵》の安全を確保するように言われた。

 

ティルネルは、まだ戦う仲間たちを置き去りにし、《秘鍵》の安全の為に走った。

 

それと同時刻、ヴォルフもティルネルの元に向かっていた。

 

後方部隊の奇襲の知らせは早急に本隊に届き、機動力に優れたヴォルフ達、《狼使い(ウルフハンドラー)》が救援に向かった。

 

走り続けた数刻、ヴォルフの視界に走って来るティルネルが見えた。

 

ティルネルも、ヴォルフの姿を見つけた。

 

互いに安堵の表情になった。

 

その瞬間、ティルネルの身体を一本の剣が貫いた。

 

ティルネルはその場で崩れ落ち、手にしていた《秘鍵》も零れ落ちる。

 

それを一匹の鷹が回収し、ティルネルの身体を貫いた《(フォレスト)エルフ》に渡す。

 

糸目の《(フォレスト)エルフ》は、にやにやと笑い、《秘鍵》を手に去って行った。

 

ヴォルフは、ティルネルの身体を抱きしめる。

 

ティルネルの身体は崩れてゆき、そして、指輪だけを残して消えた。

 

それから間もなく、キズメルたちも追い付き、キズメルはその光景で全てを悟った。

 

「………ヴォルフ、仇を見たか?」

 

「はい……奴は……《鷹使い》です……!」

 

それから一ヶ月、2人は《鷹使い》を探した。

 

キズメルにとっては最愛の妹、ヴォルフにとっては最愛の妻。

 

その仇を取る為、2人は《鷹使い》を探していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一ヶ月後

 

キズメルとヴォルフは、仇を見つけ出した。

 

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