ソードアート・オンライン~剣聖に至る道~   作:ほにゃー

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第1話 鍛冶師ネズハ

第2層が解放されて、数日。

 

ディアベルによって命名された攻略組は、フィールド攻略を行っている。

 

近いうちに、フィールドボス攻略戦を行い、迷宮区へと攻略を進めるらしい。

 

そんな中、ミトとアスナの2人はフィールド攻略を行っていなかった。

 

アスナの武器《ウインドフルーレ》+4を+5にするために必要な素材を取りに来てるだけで、決して攻略をサボってる訳じゃない。

 

「中々ドロップしないなぁ」

 

「まぁ、《ウインドワスプの針》は、ドロップ率8%だからね。根気よく、数を狩って行くしかないわ」

 

街で買った黒パンと、第1層で受けられる《逆襲の雌牛》と言うクエスト報酬のクリームで簡単な昼食を摂りつつ、休憩をする。

 

「そう言えば、最近、キリト君とカイ君見ないね」

 

「メッセージ送っても、返事ないし。どこで何してるのやら」

 

「メッセージ?」

 

「フレンド登録してるプレイヤーなら、メッセージが送れるのよ」

 

「そうなの?知らなかった………あれ?そう言えば、私、キリト君とカイ君とフレンド登録してないな……」

 

「今度会ったらしておいたら?この先、何度も会うだろうし」

 

パンの食べながら話していると、近くから戦闘音が聞こえ、ミトとアスナはその音が聞こえる方へと向かう。

 

そこでは、1人のプレイヤーが《ウインドワスプ》と戦闘していた。

 

「キリト君?」

 

アスナは、そのプレイヤーの持ってる剣がキリトのと同じ《アニールブレード》だと言うことに気づき、キリトかと思い、名前を呟く。

 

「違うわね。キリトにしては、間合いの取り方が下手過ぎるわ」

 

パンを咥えたままミトが呟き、アスナも「そう言えば」と言い、口に咥えていたパンを飲み込む。

 

「くっ、くそ!」

 

すると、そのプレイヤーは腰に手を伸ばし、手にした何かを投げつける。

 

その何かは、《ウインドワスプ》に当たり、ダメージを与え、動きを怯ませた。

 

「こ、この僕に奥の手を使わせるとは………中々わっ!」

 

なり切ってるらしく、プレイヤーは格好つけた台詞を言おうとするが、そこを別の《ウインドワスプ》に襲われ、尻餅を付く。

 

その瞬間、ミトとアスナは飛び出した。

 

アスナはプレイヤーを襲ってる《ウインドワスプ》を攻撃し、ミトは怯んでいる《ウインドワスプ》を攻撃する。

 

「悪いわね、獲物横取りするようなことして」

 

「あなた、大丈夫?」

 

「あ、ありがとうございます……凄いソードスキルですね。全然見えなかった………」

 

そのプレイヤーはミトとアスナにお礼を言うも、手を差し伸べてくれるアスナの手を取ろうとする。

 

が、アスナの手を取ろうとした手は空振り、アスナの手を掴まなかった。

 

「あー!」

 

すると、アスナが声を上げる。

 

「あなた、そんな眼帯してたら、間合いなんて取り辛いじゃない!」

 

プレイヤーは、フルフェイスメットの防具に、眼帯を付けていて、視界の悪さはかなりのものとされる。

 

「なんのスキル上げてるか知らないけど、前線の事甘く見てるの!?死ぬわよ!」

 

「あ、いや、その《隻眼の魔剣士》……みたいな?………すみません」

 

アスナに怒られ、剣士はシュンとする。

 

「その剣、かなり強化されてるわね」

 

すると、ミトがその剣士の《アニールブレード》を見て言う。

 

「そこまで強化するのに、かなりのコルが掛かったはずよ。それに、手入れもよくされてる。いい剣なんだから、大事にしなさいよ。剣だって、持ち主のアンタが死んだら悲しむわ」

 

「………そうですね、でも……僕には不釣り合いな剣です。残念ですけど、僕に剣士は無理みたいです」

 

そう言い、剣士は立ち上がる。

 

「お2人は、攻略組のアスナさんとミトさんですよね?」

 

「私たちの事、知ってるの?」

 

「ええ。お2人は有名ですから………それに、楽しそうに剣を振ってる。貴女達みたい剣を振って、それで誰かの役に立てたら、きっと気持ちいいんでしょうね………本当に羨ましい」

 

剣士は表情こそ見えないも、悲しそうに落ち込んで背を向ける。

 

「本当にありがとうございました。失礼します」

 

そう言い残して、剣士は去って行く。

 

その時、アスナは近くの木に何かが刺さっているのに気づく。

 

それが、あの剣士が《ウインドワスプ》に投げた際に、外して刺さったものだと気付く。

 

「あ、忘れ物が!」

 

アスナは慌てて呼び止めようとするも、既に剣士は居なくなってしまっていた。

 

「アスナ、どうしたの?」

 

「これ、さっきの人の忘れ物みたいなの」

 

そう言い、アスナはそれをミトに見せる。

 

「これ、投擲用の投げナイフ?」

 

ミトはソレを手に取り、マジマジと見る。

 

「投擲?」

 

「私も偶に使ってるでしょ?投擲用のアイテムや、フィールドに落ちてる石とかを投げつけてダメージを与えるスキルよ。まぁ、残弾制限があるし、フィールドに落ちてる石じゃダメージもあまり出ないし、β時代でもとってる人はあまりいなかったわ」

 

「へー、ならミトは何でとってるの?」

 

「咄嗟の牽制とか、タゲ集めに使えるからよ」

 

アスナにそう言い、ミトは再度投げナイフを見る。

 

「でも、この投げナイフ………店売りでは見たことないわね…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の眼帯剣士と出会った翌日、ミトとアスナはフィールドボスの《ブルバス・バウ》攻略戦に参加していた。

 

《ブルバス・バウ》が出現してる間、その周りに《ウインドワスプ》が出現するため、素材集めにはピッタリと言う事から、2人は参加した。

 

「大きな牛ね……」

 

遠くから、アスナが《ブルバス・バウ》を眺め言う。

 

「ステーキ何枚分かしら」

 

ミトはそう呟き、今日の晩御飯は肉が良いなっと思ったりする。

 

「おい」

 

そんなことを思っていると、ミトとアスナに声が掛けられた。

 

声を掛けたのはキバオウだった。

 

「あの2人はどうしたんや?2層に来てから、前線でもよう見とらんけど」

 

「知らないわよ」

 

「私たちだって、この数日見て無いんだから」

 

「ほんなら、人数少ないパーティーんとこに、話通しとこか?丁度、欠員が出て4人パーティーのとこあるさかい」

 

「遠慮しとく」

 

「こっちはこっちで、取り巻き倒しに来ただけだから」

 

「………さよか」

 

ミトとアスナが、誰とも組む気がないと分かると、キバオウはあっさりと身を引いた。

 

「あんな奴らに、義理立てする必要なんてないだろ」

 

すると、今度はリンドが現れた。

 

リンドは、第1層攻略以降、髪を髪染めアイテムでディアベルみたいに青くし、装備もシミターから盾持ちの片手剣へと変更した。

 

「ボス本体の攻略に参加するならちゃんとしたパーティーに参加するべきだ。分かってくれ、攻略リーダーをディアベルさんから引き継いだ者として、全体の指揮を乱すようなイレギュラー、認めるわけにはいかないんだ」

 

コイツは何を言ってるんだ?ッと言いた気にキバオウは呆れた表情をする。

 

ミトとアスナは、カイとキリトの気持ちも知らずに勝手なことを言うリンドに、苛立ちを覚えるも、ここで騒ぎを起こしても意味がない為、大人しくその苛立ちを抑え込む。

 

「だから、私たちはボス本体に攻撃する気はないわよ」

 

「あのモンスターが出てる間、《ウインドワスプ》が出現し続けるから素材集めしてる私たちには丁度いいのよ」

 

「………っと思ったけど」

 

ミトが何かに気づき、近くの茂みに移動する。

 

アスナも気づいたらしく、一緒に移動する。

 

そして、2人同時に茂みの中に手を突っ込む。

 

「うおっ!?」「なんで!?」

 

聞き覚えのある声が聞こえ、そのまま茂みの外へと引っ張り出される。

 

ミトの手にはカイが、アスナの手にはキリトが、2人はカイとキリトの首根っこを捕まえ、引き摺り出していた。

 

「覗きの現行犯」

 

「罰として、素材集め手伝ってよね」

 

「っ!………ビーター……!それに、寄生者(パラサイト)…………!」

 

カイとキリトの姿を見たリンドがそう呟く。

 

そして、リンドの仲間たちも、2人を忌々しそうに睨む。

 

「と言う訳で、蜂担当2人追加ね」

 

「安心しなさい。そっちには手出しさせないから。そっちがへマしない限りわね」

 

「まあ好きにすればええんちゃうか?」

 

「ちっ、余計なことはするなよ」

 

キバオウはあっさりとし、リンドは2人を睨みつけながらもボス攻略参加を許した。

 

それでも、カイとキリトに対し、友好的な目を向けている者はおらず、この場での味方はミトとアスナしかいない。

 

「あの、悪いんだけど小心者の俺としてはこの針のムシロはちと厳しいかと」

 

「それに、俺達と居れば2人への風当たりも強くなるし無理して付き合わなくても」

 

「見くびらないで…2人と仲間だと思われることが嫌なら、最初から声をかけないわ」

 

「それに、無理してるつもりも無いわ。私たちは、2人と組みたいからこうしてるのよ」

 

笑顔でそう言うミトとアスナに、カイとキリトも観念したのか、パーティー申請を送る。

 

「平均レベルはこっちが上なんや!四の五の言わんとアタックはわいらに任せい!」

 

突如、キバオウの声が響き、そちらを見るとリンドと言い合いをしていた。

 

「いいや!ディアベルさんの想いを受け継ぐ俺達《ドラゴンナイツ》が最前線に立つ!」

 

「なぁにがドラゴンじゃ寒イボ立つわ! 男やったら虎やろ虎!格好だけディアベルはんと同じにしたからいうて、後継者気取るんはやめてもらおか。ディアベルはんの意志を正しく引き継いどるんは、ワイらの《アインクラッド解放隊》や!」

 

「ふん、大層な名前に見合った実力があるとは思えないがな!」

 

《ドラゴンナイツ》に《アインクラッド解放隊》。

 

聞き覚えのない言葉に、カイはミトに尋ねる。

 

「なぁ、ドラゴンなんたらとか、解放隊とかなんだ?」

 

「ギルド名よ。3層に上がったら、あの名前でギルドを立ち上げるそうよ」

 

「へー。てか、ディアベルの意思を継ぐとかなんだよ?まだ死んでないだろ?ディアベルは何処行ったんだ?」

 

「第1層よ。暫くの間、第1層で攻略組加入希望者の育成をするらしいわ。もっとも、あの二人の中じゃ、ディアベルは後進育成のために攻略組を止めたとか思ってるみたいだけど」

 

「ディアベルもそうだが、あの斧使いの(タンク)の彼もいないな」

 

すると、辺りを見渡していたキリトがそう言う。

 

「ああ、エギルさん?」

 

「エギルも今回は不参加よ。なんでも、ちょっとしたトラブルに巻き込まれたそうよ」

 

「で、代わりに来たのが彼らか」

 

カイは、攻略組の一団に居る見ない顔だらけのパーティーを見る。

 

「あの人達、昨日の偵察前の打ち合わせに乗り込んできて、一緒にやりたいって言ったの」

 

「ステータスはレベルもスキル熟練度も攻略組の平均より少し低いんだけど、武装がしっかり強化されてて、実質レベル+3ぐらいの見込みがあるし、硬いから(タンク)役にってことで許可されたのよ」

 

「なるほどな。名前は?」

 

「確か、小柄な両手剣士がベオウルフさんで、痩せた槍使いはクフーリンさんね。それで、リーダーがあの人。名前は、オルランドさんね。私が知ってる人はこの3人かな」

 

ベオウルフはデンマークで、ドラゴンや巨人を倒し、クフーリンはクー・フーリンが正式で、ケルト神話に出て来る半神半人。

 

そして、オルランドはフランク王国のシャルルマーニュに仕えた聖剣デュランダルを持った無敵の騎士の名前。

 

どれも伝説上の英雄の名前だ。

 

「どれも大層な名前だな。もしかして、ギルド名もあったりする?」

 

「《伝説の勇者たち(レジェンド・ブレイブス)》よ」

 

「見事である!」

 

アスナが、彼らのギルド名を言った瞬間、そのオルランドから声が響く。

 

オルランドは手にした自身の剣、《スタウトブランド》を掲げる。

 

「これで《強化》5回連続成功ではないか!流石はSAO初のプレイヤー鍛冶師!3回に1回は失敗するNPC鍛冶師とはモノが違うわ!貴卿よ、名を何と申す!」

 

「あ、ありがとうございます……ネズハと言います……今後とも、ご贔屓に………」

 

「うむ!次もよろしく頼むぞ!」

 

おどおどと名を言い、握手に応じるネズハと言う鍛冶師。

 

オルランドは、そのネズハの手をがっしりと掴み、ぶんぶんと握手をする。

 

それを見ていた、周りの攻略組プレイヤーも自身の武器を強化してもらおうと、頼みに行く。

 

「あのオルランドって人、中々に出来上がってるな」

 

「見てるこっちが少し恥ずかしくなるわね」

 

「そう言うミトだって、最初の頃はいかつい感じの男の人の真似してたじゃん」

 

「ちょ、アスナ!?それは言わないでよ!」

 

さり気なくミトの秘密をばらすアスナに、ミトが顔を赤くして言う。

 

そんな2人に、カイとキリトは思わず笑う。

 

「おーい、野郎どもー始めるでー」

 

そこで、キバオウから攻略戦開始の声が上がる。

 

「それじゃあ、3人とも今日もよろしくな」

 

「ああ」「ええ」「うん」

 

カイの言葉に、キリト、アスナ、ミトが応え、4人は《ブルバス・バウ》のいるフィールドへ向かう、攻略組の後ろを走る。

 

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