聖剣創りの魔術師   作:ケツアゴ

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五話

 中級を含む堕天使四人とはぐれエクソシストの集団、白髪頭……シグルト計画(機関だっけ? よく覚えていない)の被験者らしい奴は一人だけさっさと街を脱出したから僕達一族、ヴィヴィアン家について知っていたんだろうね。

 まあ、そんな常人を凌駕する武装集団が夜中に回復能力持ちの後衛を連れて襲撃を掛けて来ると知った僕はバーヴァンシーと準備を整えていた。

 

 

「オレンジジュースとポテチと……お兄様、ピザも買って良いかしら?」

 

「うーん、許可する! あっ、冷凍たこ焼きを揚げタコにしない?」

 

 具体的に言うなら罠で勝手に自滅させるのも勿体ない、この場合は実戦経験としてはショボい相手だから役に立たないけれど、それを口実に夜更かしして夜食を食べるっていう普段は母様が許可してくれないイベントを開催する為だ。

 母さんなら母様が居ない時は海外ドラマでも見ながら付き合ってくれるんだけれど、母様の方はそういった事に厳しい人だからさ。

 

 

「今日は睡眠時間確保の為に早く寝て備えるから見たいテレビは録画しておきなよ?」

 

「ねぇ、だったら帰りにハンバーガー食べて帰りましょう! 新作に興味があるの」

 

「そうだね。偶には良いかな」

 

 ウッドワスが少し五月蝿くしそうなのが困るけれど、この時の僕達はすっかりジャンクフードを受け入れる舌になっていた。

 母様、甘いことは甘いんだけれど、厳しく定めた事には抜け穴を探す……今回みたいに何か理由を付けないと凄く厳しい人だから。

 

 

 それはそうとして、買い物を楽しむバーヴァンシーは可愛い、凄く可愛い。

 高身長でスタイルが良いけれど、この子の魅力は可愛さだと思う。

 

「じゃあ、次はデザートでも……あれ?」

 

 急に手にした買い物かごに重さが加わり、見てみればメロンとメロンケーキとメロンジュースが入れられ、簡単な似顔絵付きのメモが貼られている。

 ”明日遊びに行くから買っておいてbyお祖父ちゃん”、か。

 

 

 

「バーヴァンシー、明日お祖父ちゃん来るって」

 

「げぇっ! お母様が留守なの見計らって来やがったよ、あの爺、私、彼奴苦手なんだけれど」

 

「僕もちょっと苦手なんだよね。母様は実の父親なのに嫌ってるし、母さんが一番仲が良いよね。弟子だったらしいし……」

 

「え? 私は昔一緒に旅をした仲間だって聞いたわよ? 叔母様とか立香側の祖父(村正お祖父ちゃん)と喋る馬と騎士見習いとかと一緒に旅をして、実は一度裏切ったって言うか最初から敵だったとか」

 

「息吐くように嘘言う人だからね、あの人」

 

 実の孫娘には苦手視されて、娘に至っては”クソ虫”って呼んでるからな、あの人を。

 何をすれば其処までの扱いをされるんだって同情……出来ない気もするな、うん。

 

 思い出すのは五年前の春、庭の桜を眺めながらお花見していた僕達の前に現れた巨大な芋虫の群れを見た瞬間、普段は冷静な母様が悲鳴を上げて母さんに抱き付いたんだよな。

 尚、それは姿を現して爆笑するお祖父ちゃんの仕業だと直ぐに発覚したから母様が完全にキレて、屋根の上で笑い転げていたのを屋敷を半壊させる威力の魔法でぶっ飛ばしてたっけ。

 

 後は僕やバーヴァンシーからお金を借りて踏み倒したり、母さんが仲良くやれて居るのが不思議な位で、思い出せば出す程に同情が出来ないぞ。

 い、一応母様が忙しい時に魔法を教えてくれたんだけれどね、割と力業系のを。

 

 

 

「え? お兄様、それ買ってやるの?」

 

「この位なら別に良いさ」

 

「甘いわね、相変わらず」

 

 こんな風に言ってるバーヴァンシーだけれど、買ったのを自分が食べてお祖父ちゃんには残さないって発想には至らない良い子だ。

 多分苦手だけれど嫌いでは無いからだと思う。

 

 

「じゃあハンバーガーでも食べに行こうか」

 

 それにしてもバーヴァンシーがあんなに直ぐに仲良くなるだなんて思い出すだけで驚きだよ。

 お祖父ちゃんなら”博愛って奴? 気持ち悪い”とか言いそうな気がするけれど。

 

 

 

 

「すいません。ちょっとお時間宜しいですか? 私、モデル事務所の者ですけれども」

 

 ハンバーガーを買いに行く途中、背広姿の男性に呼び止められる。

 嘘……ではないか。

 僕の妖精眼は母様やバーヴァンシーには劣るから内心は探れないけれど、渡された名刺に書かれたのが嘘じゃないのは何となく分かる。

 力が強すぎると善意からの嘘でも見るに耐えない濁った色に見えるから、バーヴァンシーの方も其処までじゃないのはちょっと安心かな。

 

 

「モデル~? モデルとか興味無ぇよ。失せろ、雑魚」

 

「こらこら、知らない相手に悪態付かない。僕も興味が無いから」

 

 もう結構手慣れた物で、僕達はスカウトを軽くあしらう。

 普段から声を掛けられるし、東京の方に行くともう少し頻度が高くなるのが困りものだ。

 本当にモデルなら良いけれど、中にはいかがわしい魂胆を隠しての物さえあるからね。

 ……今は制服だけれど、私服姿の時に女と間違われた事がある。

 その時は暇だったから話だけ聞こうと思ったらチンピラみたいなのに囲まれて契約書にサインさせようとして来たから叩きのめしたけれども、詳しく聞けば水着撮影とかじゃ済まない内容だったとか。

 

 尚、それを知った母様がキレて裏の組織を徹底的に壊滅させた上に僕もお説教を延々とされたよ。

 僕、そんなに女顔なのか?

 メリュジーヌ曰わく僕って身長と髪の色以外はモードレッドに似ているらしいけれど、モードレッドってアーサー王の息子だし、同じ苦労をしたなら同情するよ。

 

 

 さて、ハンバーガー屋が見えてきたぞ。

 何だかレジでつかえているけれど何かあったのか?

 

 

 

「いや、何やってるんだよ、彼奴」

 

 そんなこんなでバーガーチェーンにやって来た僕達だけれども、堕天使に命を奪われそうなアーシアが買いに来たのは良いが言葉が通じずにレジ前で困っている。

 困っているのは店員も同じで、他の客も外国人相手には文句を言い辛いみたいで声を出さないし、こりゃ面倒だと思っていたらバーヴァンシーが舌打ちの後で前に進み出た。

 

 

「おい、何が食べたいんだよ?」

 

「あっ、バーヴァンシーちゃん。こんな所で奇遇……」

 

「テメェが買い終わらないとレジが進まねぇからさっさと食いたいもん選べっての。特に好みが無いならチーズバーガーのセットで良いな?」

 

「は、はい!」

 

「おい、チーズバーガーセット、ドリンクはコーラだ」

 

 親切に注文してあげたバーヴァンシーはそのまま僕の元まで戻って並び直す。

 ついでに自分の分も注文しないのが順番を守る律儀な子だって分かるよ。

 

 

 少しすれば僕達の番がやって来て、食べずに待っていた彼女とバーヴァンシーがお喋りをする中、僕はちょっと席を立って死角になるテーブルの椅子に座り込んだ。

 

 

 

 

「バーヴァンシーが心配? 彼女……アーシアの評価はどんな感じ?」

 

「うん、良い子みたいだしバーヴァンシーの友達になってくれたら安心かな?」

 

「本音は?」

 

「教会の敷地内に来た悪魔を癒す考え無しの馬鹿。博愛って奴? 心底気持ちが悪いね。付き合いは程々にさせておきなよ」

 

 影から僕達をこっそりと眺めていたお祖父ちゃん……オベロンは最初は笑顔で、本音を問われたら不快そうにそう告げた。

 

 

 

 

「それはそうと貸したお金の返済は何時?」

 

「お盆のお小遣いに利子を付けて返すよ」

 

 お年玉もお盆玉もオベロンお祖父ちゃんからは一度も貰った事が無いから信用出来ないんだけれど……。




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バーゲストは出るか不明  グレイは出す予定  マーリンは出さないでしょう
叔母は……オベロンの弟子だった彼女
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