少しシリアス展開です。
隊長達はセルリアンの群れと戦っている。隊長が着ているメタルマンの機能を駆使して戦っているがセルリアンの数が多いため苦戦している。そろそろドール達・ジャガー達・キンシコウ達が疲弊の色が現れ始めている。劣勢に陥ろうとしているのだ。
「く、まだ数がいる……」
「はぁ、はぁ…… キリがないです」
「きゅう、疲れてきました……」
「ふぅ、だらんとする暇が全然ありませんね。疲れてきました……」
ドール達フレンズは息を切らしながらセルリアンを見つめている。セルリアンの数は大分減ったがそれでもまだ残っている。
「減ったけどまだ残ってる。ギリギリいけるかどうか……」
『う~ん、なんとか行けると思うけど厳しいわよ』
「そうか…… ってギンアイ!?」
自身の発言にあっさりと返答したのは、何とギンアイだ。画面の電源を切っているので返答のしようが無いはず。
「何時の間に!? 電源を入れてないはず……」
『電源を切っても一定時間経てば自動的に復帰するのよ』
「…………何でその機能が付いてるの?」
『勝手に切られたら困るから』
どうやら自動的に電源が入る仕様になっているようだ。これにより電源を切っても再び入ってしまうという事。これによりギンアイは再び復活したのだ。
「やっぱり電源を消されたくない?」
『勿論! と言ってる間に、大物が来たみたい』
「あ! あれは……!」
メタルマンの視線の先には、普通のセルリアンより全高が10倍はあろう巨大なセルリアンが歩いている。
直感で分かった。この大型セルリアンがこの群れのボスだと。
「どうやらこいつが……!」
『セルリアンのボスね』
「うわぁ、大きいです……!」
ドシンドシンと足音を立てながら此方に向かっている。体からは多数の触手が蠢いていて、今にもこちらに襲い掛かろうとするような動きを見せている。
「あれを防げるかな……」
『だったらシールドを使うと良いわ』
「え? 何それ?」
『シールド、と唱えれば展開出来るわ』
隊長とギンアイが話している最中に、大型セルリアンは触手を隊長に向けて伸ばしてきた。その触手は勢い良く発射されたため当たれば体が頑丈なフレンズと言えども一たまりも無いだろう。
「隊長! 危ないわ!」
「っ! シールド!」
隊長がシールド、と叫ぶとメタルマンの周りに青いバリアのような物が展開された。水の波紋のような青いバリアが触手と激突した。すると、触手は大きく弾かれた。
「わぁ!? たいちょーの周りにおみずが出てきた!?」
『これがシールドよ! ある程度の攻撃なら防げるわ!』
「す、凄い……!」
『一応確認するけど、このメタルマンは燃費があまり良くないわよ。頼りすぎるのは駄目よ』
「ですよねー……」
シールドの強靭さに驚くものの、このメタルマンはプロトタイプ故に燃費が悪い。シールドを使い過ぎるとエネルギーが切れてしまう恐れがある。そのため、使用は最小限に抑えなければならない。
『メタルマンのエネルギー源である食料はどれくらい残ってる?』
「えぇと、あと1本……」
『うぅむ、厳しいかも……』
「僕もそう思う…… ん?」
「隊長! 巨大セルリアンが攻撃して来るよ!」
ライオンの声を聞いて前を向くと、巨大セルリアンが多数の触手を隊長やドール達に向けて伸ばしてきた。触手の先端には蛇の口のような形に変形していて、確実に捕えようとする狙いがあるのだろう。
「くぅ、不味いわね…… 数が多いわ!」
「私達でも全部防ぎきれそうにないわ……!」
アフリカニシキヘビとヤクの言う通り触手の数がかなり多い。その数は50程あるであろう。とてもじゃないが20人程度の人数で防げるものではない。この状況で大型セルリアンに攻撃するのは非常に難しいだろう。
「あぁ、小型セルリアンも向かって来ます!」
「ダイピンチなの!」
大型セルリアンの触手だけでも苦戦しているのに、更にまだ倒し切れていない小型のセルリアンが隊長達に向かって来た。間違い無く攻撃しようとしている。小型セルリアンの攻撃まで加われば、やられてしまうだろう。
「く! 今戦えるのは僕だけか!」
『しかも、エネルギーもあまりない…… 絶体絶命ね……』
このままではこの場にいる皆が全滅してしまう。それだけは絶対に避けなければいけない。逃げようとしても戦いによって疲弊しているので移動速度は速くはない。隊長が乗って来たバスに辿り着くまでの間にセルリアンに追いついてしまうだろう。
この状況で、隊長は一つの打開策を考えた。どうにか皆が助かるための策を。
「ドール、皆を連れて此処から離脱するんだ!」
「!? 隊長さんは……?」
「此処でセルリアンを食い止める!」
「「「「!?」」」」
隊長の発言にドールを始めとするフレンズ達は驚く。それもそうだろう。この場で隊長を置いていくという、冷酷な作戦なのだから。
「そんな! 隊長を置いていけません!」
「そうですわ! セルリアンにやられてしまいます!」
「たいちょー! 止めて!」
「無茶よ!」
「隊長!」
ドール達が隊長の作戦を止めようとする。自分達のチームの隊長を、パークやフレンズのためとはいえ此処で置いていく。そんな事出来る訳が無い。
「でも、誰かが此処で食い止めないとセントラルにまで来てしまう! そうなったらパークは終わりだ…… 隊長として、君達を傷つける訳にはいかない!」
「で、でも……!」
「いいから行くんだ!」
メタルマンの大きな、決意を決めたような声にドール達は冷や汗をかく。これ程本気の隊長はギンギツネを助けようとした時、いや、それ以上だ。自分達を助けようとする隊長の覚悟をが直で感じているのだ。
「ミンナ、ハヤクバスニノッテ!」
「ボス!? どうして此処に!?」
「イソイデキタンダ。バスハボクガウンテンスルカラ、ハヤクノッテ!」
「「「「………………!」」」」
「ハヤク!」
ボスの急かす声、そして隊長の決意の前にフレンズ達はある決意をする。
「……隊長さん! 必ず無事でいて下さい! 必ずまた助けに来ます!」
隊長を置いて退却する。それがドール達が下した決断だった。
全員退却したいのだが、それではセルリアンを食い止める術が無くなる。ドール達は疲弊しているためこれ以上残って戦えばドール達の中から犠牲者が出かねない。それらを吟味して下した決断なのだ。
「あぁ! 早く行って!」
「…………! うぅ…………!」
隊長はメタルマンのマスク越しでドール達の表情を見る。ドール達の眼から涙を流している。自分を此処に置いていくのを悔やんでいるのだろう。ドール達に悪い事をしたな…… と心の中でそう思った。
ドール達がバスに乗り込み、この場から離れていった。ドール達はバスに乗ってからは自分を振り向く事は無かった。振り向いたら、辛さが増してしまうからだろう。バスは地平線の彼方へと消えていった。
「……付き合わせてごめんね。ギンアイ」
『仕方ないじゃない。パークの危機だし…… それに、セルリアンを放っておけないしね!』
「あぁ、精一杯やるよ!」
ギンアイも隊長と共にセルリアンと戦う決意をしている。隊長は巨大セルリアンと小型のセルリアンに目を向けて、構えた。
セルリアン達は無機質な目を隊長に向けて、触手を伸ばしてきた。
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「はぁ、はぁ……」
「隊長さん……」
「く…………」
ドール達はバスに乗って安全な場所まで移動している。隊長がセルリアンと戦っている場所から大分離れているため此処からは見れない。だが、今でも必死になって戦っている事は分かる。今離脱するしかない事が非常に悲しい。その思いが胸にこみあげているのだ。
「これが正解だなんて……」
「私達、撤退するしか出来ないのか……」
バスに乗るドール達の表情は暗い。隊長とギンアイを置いてきたのだから当然であろう。助けたくても今の自分達では助けられない。その現実が辛かった。
しばらく走っていると前の方から三人のフレンズが飛んできた。その内の二人は鳥のフレンズ故に頭に羽を生やしており、残りの一人は腰から蝙蝠のような羽を生やしている。前者二人はカワラバトとリョコウバト、後者はナミチスイコウモリのフレンズだ。
「皆さん、無事でしたか!」
「でもボロボロですわ! 少しでも休憩しないと!」
「こりゃまずいね…… 早くけもの病院の方に行った方が良さそうだ。今コアラがセントラルの方に来てるよ」
三人はボロボロのドール達を見て心配している。無理も無いだろう。少し前までセルリアンと激しく戦っていたのだから。だが、今のドール達は治療しようとする気は起きない。
「でも、今隊長さんが一人で戦っているんです……!」
「えぇ!? 一人で!? 確かメタルマンっていう毛皮を着てるって聞いてたけど……」
「まずいですわ。まだ他の皆さんは着いていないのです……」
「先に着いたのは私達なんだよ。でも私達は戦いが得意じゃないし…… 怪我人が出ていたら助けるために来たんだ」
やはり戦闘が出来るフレンズはまだ到着していない。このままではセルリアンと戦っている隊長がますます心配となる。
「うぅ、このままじゃあたいちょーさんが……」
「助けに行きたいですけど、今の私達が行っても足手纏いにしかならないです……」
「そのメタルマンって言うの、私達も被れたらねぇ……」
「確かに…… ん?」
暗い雰囲気であったが、ナミチスイコウモリの発言にドールはある閃きが頭の中で生まれた
メタルマン…… 確か……。
「……っ! もしかしたら!」
「「「「?」」」」
ドールの大声に、フレンズ達は「?」マークを浮かべた。
次回の更新は2022年7月29日19時00分に投稿予定です。