【書籍化作品】りゅうごろしようじょ~見た目が幼女で誰も信じてくれないので【冒険者】のふりしていますが本当は【黒竜騎士】です。竜を食べると強くなるユニークスキルで最強に至り、悪しき竜を滅します。包丁で。   作:くま猫

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第13話 勝利の報酬

 直接渡せば断られるだろうからと、帰り際に御礼の書き置きとともにこっそり銀貨袋を置いていった。冒険者をやめて酒場を開くとなるとそれなりにお金も必要になるだろう、少しでもその足しになればと思ってのことだ。

 

『小娘。おめぇも、つくづくお人よしだなァ』

「料理代よ。タダ飯食らいなんて、黒竜騎士の恥でしょ?」

 

 依頼人夫妻からの帰り際にお礼の書き置きと一緒に、こっそり銀貨袋を置いていったのだ。

 自分でもちょっとキザな行為だとは思っている。

 きっと、恥ずかしくて寝る前で枕に顔を埋めてジタバタしそうなほどだ。

 

『まあ、あんだけうめぇモン食わせて貰ったんだから、タダ飯って訳にはいかねぇ。それは分かるが金額が大盤振る舞いし過ぎだっつー話だ』

 

「あい。それは正直、反省してますっ……」

 

 リューも何だかんだ、私がお代を置くことを黙認した。なんだかんだお人よし、……とまではいかないにしても、わりと情に絆されるところはある。

 

 つまり、黙認したということは、リューも消極的に私の行動に賛同していたということだ。

 

(まぁ、リューは本気で文句がある時は、ちゃんと言葉にするタイプだからね)

 

『ガキが産まれてくるとか、冒険者やめて酒場開くからとか、そういう話に情が湧いちまったんだろ?』

「はい。少しでもその足しになればと思って、無理しました」

『まっ、今回はいいけどなァ。……別口で報酬をたんまり貰えてるからナァ。ヒヒヒッ』

 

 込み入った話なので、手短に説明しよう。

 冒険者組合に行ったらとてつもない報酬が貰えた。

 ラッキーでハッピーだった。

 

「以上」

『……いやいや、小娘。もっと何かあるだろ? 我の活躍とか話せよッ』

 

 ……とのクレームが入ったので、もう少しだけ詳しく説明しよう。チッ。

 

 冒険者としての報告義務もあるので、依頼達成後にジャバウォック討伐の件を組合に報告に行ったのだ。そしたら、組合長の部屋に通された。

 

 組合長に会う前にリューから『大物感出しながら不敵な笑みを浮かべつつ椅子にドシッと座ってろ』とのアドバイスがあったので、その通りにした。

 

 交渉ベタがヘタに喋ると、損することの方が多いらしい。こういった判断は概ね外さないので、途中で眠りそうになったが、耐えて組合長の話を頑張って聞いた。

 

(うわぁ。ソファーめっちゃフカフカだぁっ)

 

 私が、そんなことを考えていたら組合長から直々に交渉を切り出された。とある条件を飲めば報酬を倍にしてくれるという。条件は『今回の手柄を組合に譲ること』だそうだ。むしろ、素性を伏せてくれるなら報酬を下げて貰っても構わないと思っていた。それが、黙っていたら二倍になるというのである。もちろん、二つ返事で了承した。

 

「何もしなくても報酬二倍。ラッキーだったよね」

 

『だな。悪目立ちすると変なヤカラに背中をブスリ……なんてのもあるからなァ……』

 

「私が黒竜騎士だと知られれば、面倒事に巻き込まれる確率が跳ね上がるからねー」

 

『三女神教徒の狂信者どものことか……。積極的に関わりたい相手ではねぇナァ……』

 

 リューは『カルト。こえー』そう続ける。

 

 別に私が目をつけられているとかいう話ではない。三女神教を盲信するもののなかには、黒竜騎士を異常に敵視する者も居るのだ。もちろん一般の信徒は善良な一般人だ。だが、なかには盲目的に信仰し異教徒を秘密裏に暗殺するような者も居る。

 

「報酬もガッポリ。おまけに素性も伏せて貰えるんだから今回はついてたね」

 

『だなッ。我も久々に旨いもの食えたし。ガッツリ魔石でエネルギーも補充できて、元気百倍って感じだッ。ヒヒッ、新しいスキルも早く使ってみてーゼッ』

 

 竜を食べることで特殊なスキルを獲得できる。今ジャバウォックから獲得したスキルは【引力操作】。なかなか使い勝手の良さそうなスキルだ。

 

『んで、これからどうする? この金で遊んで暮らすかァ?』

 

「はぁ。豪遊なんてしてたら一年ももたいわよっ」

 

『違いねぇ。アブクみてぇーに消えるのが金ってモンだからナァ』

 

「そゆこと」

 

『そういや、組合長のハゲがエルフの里から救援要請が来てるとかなんとか言ってなかったか? しばらくこの街ですることもねぇし、行くってのもアリかもなッ』

 

「ああ、そんな話もあったわね」

 

 依頼内容はエルフの里の樹が枯れかけてるから何とかして欲しいという物だった。

 私は植物に詳しいわけではないから、無駄足になるかもしれないが……。

 

『まあ、現地に行きゃなんか仕事あんだろ。小娘にでもできる仕事あるかもしれねぇゼッ?』

「それもそうね。次の目的地はそこにしましょうか」

 

 私はエルフの里に向かって歩みを進めるのであった。

 

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