【書籍化作品】りゅうごろしようじょ~見た目が幼女で誰も信じてくれないので【冒険者】のふりしていますが本当は【黒竜騎士】です。竜を食べると強くなるユニークスキルで最強に至り、悪しき竜を滅します。包丁で。   作:くま猫

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第23話 海と水着

「やっぱ、海って冷たくて気持ちいいー! すっごい水が透き通ってるし、海の底まで見えるよーっ! ほらほらぁー。あっちのサンゴに、赤いお魚さんとかも見つけたよー」

 

 ここは海岸都市サン・リヴィア。そして今私は海で泳いでいる。ここはリヴァイアサンと呼ばれる海神を信仰している海沿いの街。新鮮な海産物を使ったバーベキュー、美しい街並み、そして透き通った広い海。冒険者にも人気の自由都市の観光地だ。

 

『やれやれ、海ごときではしゃぐとは、小娘はやっぱりガキだな』

「なによぉ。せっかく海に来たんだから、ちょっとくらい良いじゃない」

 

 海岸都市のシーフードバーベキューの評判は非常に高く。美しい景観は、訪れた者達の心を掴んで離さない。それほど魅力的な観光地である。

 

 夜はカジノに酒場に……詳しくは知らないのだが、男の秘密の花園だか、社交場……とやらがあるらしく、男性冒険者が鼻の下を伸ばしている姿がこの街の風物詩ともなっている。

 

 また、異なる信仰の者にも友好的な街ということもあり、国を跨いでの定期便まであるほどの観光の名所となっている。……つまり聖王国からの往復便も来ているということだ。

 

(そして観光客としてならば、聖王国への入国も楽勝ってことね)

 

 観光客として船に乗り込めば。聖王国に難なく入国することができる。一般ルートでは、身分について細かく問われるので、面倒事もあるのだが観光客としてであれば、容易に入国が可能である。

 

「聖王国行きの定期便が来るまで、どーせ何もすることないんだから。しばらく、ゆっくりしたってバチは当たらないでしょ。休むのも仕事の内ってリューも言ってたじゃない」

『まあな。この辺りだと魔物討伐のクエストもない。することネェもんなァ』

 

 ちなみにリューと私は今、テレパシーで会話をしている。リューは海沿いの岩場に突き刺して置いている。さすがに、大剣背負って泳ぐのは無理がある。

 

(……さすがに大剣背負って泳いでいるような人見たらギョッとされちゃうよねっ)

 

 ちなみに、過去にどれくらいまでテレパシーが届くのか試してみたことがあるのだが、だいたいテレパシーが届く限界は五十メートルくらいのようだ。

 

 あくまでも綺麗な海を楽しむためであって、私も遠泳をするつもりはない。あくまで海の浅瀬を泳ぐだけなので、五十メートルでも十分すぎるほどだ。

 

『おい、小娘。我って値打ち物なんだけど。盗まれたらどうすんの?』

「心配しすぎよ。岩に刺さった剣を抜けるような人間、そうは居ないでしょ?」

『いやいやそのセリフ、小娘が言っても説得力ねぇけどなッ?』

 

 リューはそう悪態をついていたが、私だって何も考えていないわけではない。そもそも岩から引き抜ける相手が居るとは思えないし、仮に岩から剣を抜けるような怪力を持った人間が居たとしてもテレパシーで助けを求めることができる。

 

 そんなわけで盗難の心配はないので、私は美しい海を楽しむことにした。

 

「あっ……、あの赤いお魚さんイソギンチャクのなかに入っちゃったけど、大丈夫かな? あのイソギンチャクのウネウネした部分って毒あるんじゃなかったっけ?」

『ああ、心配する必要ネェぜ。そいつはカクレクマノミって言ってな、イソギンチャクを自分の住処にしてる魚で、イソギンチャクの持つ毒に対する耐性がある。まあ、お互い助け合ってる友達みたいな関係だから心配する必要はネェ』

 

 と、リューが得意げに語った。分からないことがあればとりあえず聞けば答えてくれるので、こういう時に頼りになる。

 

「あっ、あっこの海面ぼんやり光ってない? なんだろ……めっちゃ幻想的」

『……なんかイヤな予感がするが。とりあえず小娘、特徴を説明してみろ』

「なんかふわふわ浮いてて、ピカピカ光ってる。夜空のお月さまみたい。綺麗……」

 

『ああ、それ殺人クラゲ。ヤバい奴だ。即死こそしないが触れると、全身に激痛が走る』

「えーっ……あれ、クラゲなんだ……。というかそれにしても殺人クラゲって随分物騒な名前ね……。アレだけ綺麗なのに毒があるのが残念だわ」

 

「そのクラゲが光っているのは警戒色だ。好んで近づくのはイカとか、人間とかくらいだな。刺されると死にたくなるほど痛いらしいゾ? 屈強な冒険者でも泣き出すほどの痛さだから、ヒヒッ。ま、気をつけろよ、小娘」

 

 いや、普通に危ないし、刺されるのはイヤだ。……どうりでこのあたりの浜辺に人が少ない訳だ。こんなに綺麗な海なのに、貸し切りのプライベートビーチかと思うくらいに人がいなかったのは、このクラゲが原因だったのかと納得した。

 

「わっ、こっちの方に近づいてる……ぽいっ? えーっとぉ……気のせいじゃないね……」

『気のせいじゃないし、おめぇその殺人クラゲに狙われてるぜ?』

 

 私は殺人クラゲから逃げるように一目散に浜辺まで泳いだ。

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