「コウタ、援護お願い! アリサはもう片方の気を僕から逸らし続けて!」
僕らは、新種、それも第二接触禁忌種に相当しそうな化け物達と戦っていた。
外見的にはヴァジュラタイプなのだが、機動性、火力ともに通常種を上回り、なおかつ集団戦法を心得ているようだ。
全くもって質が悪い。
僕の記憶が正しければ、荒神って確か連携とかそう言う概念が無かったはずなんだけど・・・・・・
今はそんなことを嘆いてもどうしようもないか。
リンドウさんが帰還してからもう1ヶ月近く経過していた。
その間に、荒神の数も種類も増えアナグラのゴッドイーター達は専属任務とかそう言うのをかなぐり捨てて戦闘に赴く羽目になっていた。
それは僕ら第1部隊にも言えることで。
「ちぃっ! イリス! コイツ遠距離攻撃の効果が薄い! このままじゃジリ貧だ!」
「それでも撃ち続けて! コイツの弱点は僕が見つけるから!」
「っ、頼むぜ!」
アリサもかなり消耗しているみたいで、積極的に攻め込むのを避けている。
それでも誘導を続けられるあたり改めて力強い仲間だと改めて認識する。
さて、僕本人はと言うと凄まじく状況がよろしくない。
神機がなかなか言うことを聞いてくれないのだ。
それも今始まった話ではないのだが。
だけど、今はそんなことを愚痴ってもいられないわけで、何としてもこの化け物2匹を片さないといけないのだ。
「このぉ!」
いつもよりもやや重く感じる僕の神機を腕力だけで無理矢理振り回す。
当たるには当たるのだが、どれも手応えが薄い。
少し欲張って、更にもう一撃を食らわせようとしたときだった。
「リーダー、避けて下さい!!」
アリサだ。
僕はその声の意味を理解する前に、脊髄反射だけで追撃を中断し、盾を展開した・・・・・・はずだった。
神機に直接衝撃が走り、僕は弾き飛ばされた。
「「リーダー!!」」
吹き飛ばされている間、僕の視界から色彩の概念がなくなった。
白黒の世界、いつもよりも良く聞こえる音、音、 音・・・・・・・・・・・・
やや近付いた空がまた遠のいていく。
まるで僕をやんわりと拒絶するかのように。
「うぐっ」
地面に叩きつけられ、僕は咳き込んだ。
まるで鳩尾を殴られたかのように呼吸が出来なくなる。
一時的に全身の空気が抜けきったらしい。
色はもう戻っていた。
「大丈夫ですか!?」
「う、うん・・・・・・何とか、ね。それより、アイツの弱点なんだけど」
「はい」
「胸のあたりが結構柔らかいみたい。そこを集中的に狙って」
アリサは黙って頷くと、再び立ち上がり敵のもとへと駆けていった。
僕も寝ころんでいられないなぁ、アリサの後ろ姿を見ながらそう思い、立ち上がって神機を構えた。
「人間を・・・・・・・・・・・・ナメるなぁ!!」
振りかざした神機が敵を捕らえた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
戦闘が終了した。
僕らの目の前には2つの新種の死体が無惨な姿で転がっていた。
片方は縦に真っ二つ、もう一方はバラバラの肉塊。
「ッはぁ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・・・・・・・ ハァァ・・・・・・・・・・・・。皆大丈夫? 怪我とかしてない?」
「私は問題ありません」
「俺は肋何本かいっちゃったみたい。・・・痛ててテテ・・・・・・・・・・・・」
すすだらけのアリサや、脇腹をさするコウタがそれぞれそう返した。
「ひとまず無事で何より何より」
皆が無事なことに安堵のため息をついていると、 アリサが険しい目で僕を睨んでいることに気付いた。
・・・・・・何だろ、イヤな予感しかしない。
「それより、リーダーの方こそ 大丈夫なんですか!?」
いなりの剣幕に僕はたじろいだ。
「 直撃を喰らってたじゃないですか!」
ああ、結構心配させちゃったな。
もう、何やってんだか・・・・・・
「あはは、僕も大丈夫だよ。ウッカリしてただけだから」
アリサの剣幕に圧されながら、僕は乾いた笑いを返すことしかできなかった。
「じゃ、ちょっと待っててね。」
僕はそう言って、上着の胸ポケットからフェンリル職員に支給される携帯端末を取り出した。
航空回線にチャンネルを合わせる。
「回収ヘリ、アーク11、アーク11。 こちら極東1部、応答願います。オーバー」
『こちらアーク11。オーバー』
「任務完了しました。 LZ2にて回収お願いします。オーバー」
『了解。 LZ2へ向かいます。アウト』
「ふぅ~。 じゃ、アナグラへ帰ろっか」
そう言って、僕らは 指定した回収ポイントへ移動を始めた。
さて、口でこそああ言ったのだが、 実際のところそんなに大丈夫ではない。
ウッカリであんな事には、普通はならない。
あの時、僕はアリサの声に反応して とっさに盾を展開したはずだった。
なのに、盾は開かず、 結果敵の攻撃を直で受けてしまったのだ。
それに、まだバレていないみたいだけど、剣形態から銃形態へのスイッチもかなり遅くなっている。
違和感を感じる、とかそんなレベルは既に通り越している。
帰ったらリッカちゃんに見て貰おっかな、そう考えながら僕は歩いた。