二つ名鬼神   作:ザタキシード

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拘束

 

・・・・・・あれ、ソーマ?

 

どうしたの? そんな変な顔で僕を睨んでさ・・・

 

あぁ、頭がクラクラするぅ・・・・・・何か目もやられた感じがする、白黒しか見えないって。

 

うぅん、コウタ・・・もいる。

 

あれ、コウタダウンしちゃった?

 

リンクエイドしなきゃ・・・・・・

 

てか、あれ? 何がどうなったんだっけ・・・・・・?

 

あ、そうだ、僕はあの荒神の攻撃をモロに受けたんだ。

 

それにしては、どこも痛くないぞ? って言うか、ん? 体の感覚そのものがない、のかな?

 

視覚と聴覚以外何も感じないや・・・・・・

 

まぁ、それは後で良っか。

 

早くあの荒神を片付けないと・・・・・・・・・

 

・・・・・・ん? 何だ、あのでっかい肉塊・・・?

 

え、は? あれ? 何が起きたんだ?

 

!! ちょ、何で!? 何で体が勝手に動くの!?

 

何やってる、ちょっと、何するつもり!?

 

・・・・・・まさか、おい、ソーマを見るな!

 

あ、このぉ! ・・・・・・駄目だ、ソーマ逃げろ!!!

 

動くな、このぉ!!

 

ちょ、待て、待てっておい!

 

止めろ、やめろ、やめろやめろヤメろヤメろヤメろヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロォ!!!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ぅわあっ!!」

 

僕は途端に意識を覚醒させた。

 

最悪な夢を見ていた気がするけど、何か内容はちゃんと思い出せない。

 

・・・・・・まぁ、不吉極まりなかった、と言うのは覚えている。

 

・・・・・・それにしても、ここはどこだろう?

 

上を見れば、視界いっぱいに広がるのは真っ白な天井。

 

嗅ぎ慣れない、不自然なほどに澄んだ空気。

 

どこだろう、と思って状態を起こそうとした時だった。

 

「っ!?」

 

体が、動かない。

 

僕の思考回路は、途端に慌て始めた。

 

両腕、両足はおろか、腰も首すらもろくに動かせない。

 

ガチャガチャと耳障りな金属音をたてながら僕が暴れている時だった。

 

スライドドアの開く音がした。

 

「やあ、起きたかい? イリス君」

 

「その声は・・・・・・榊支部長?」

 

僕はおそるおそる、足下の方にいる榊支部長と思われるその人物に訊いた。

 

「うん、記憶の方に問題はないみたいだね」

 

辛うじて動かせる首を何とかよじって声のする方を見ると、やはり榊支部長がそこにいた。

 

僕は次第に落ち着きを取り戻していった。

 

「あの」

 

ある程度落ち着いたところで、僕は目を覚ました時からずっと疑問に思っていることを訊くことにした。

 

「何だい?」

 

「ここ・・・・・・この部屋は何ですか?」

 

「あぁ、この部屋は私の研究室の・・・・・・いや、ちょっと前までシオちゃんがいた部屋、と言った方が分かるかな?」

 

「え? ・・・・・・ラボラトリ? アナグラの?」

 

「そうだよ」

 

自分が良く知っている場所である、と言うことが分かった瞬間に僕の緊張は一瞬にして瓦解した。

 

確かに、言われてみればそんな感じがする。

 

うっすらと残ったかつての落書きの跡や、不自然に張り替えられて逆に目立つ真新しい一部の壁など、シオがいた部屋の名残が各所で見受けられる。

 

そして、少しして気が付いた。

 

「任務は!?」

 

つい勢いで飛び起きようとして、やはり拘束具にそれを阻まれた。

 

「あっと、そうだったね。君が目を覚ましたら伝えておこうと思って待ってたんだった。君達が行った捜索任務だけど、無事完遂されたよ。損害は0。負傷者は3。混成部隊のメンバーも1名を除いて全員の帰還を確認したよ・・・・・・小川君のことは残念だったね」

 

最後にそう言って、榊支部長は下を向いた。

 

握られた両の拳が震えていたように見えたのは、きっと気のせいじゃない。

 

「・・・・・・あの、負傷者って言うのは?」

 

「君の部隊のソーマ君とコウタ君だよ。2人とも重傷だけど命に別状はないみたいだ」

 

「重傷って・・・・・・あの荒神の仕業ですか?」

 

「違うよ」

 

「じゃあ何が・・・・・・?」

 

「まぁ、その話なんだけどね。君に言っておかなければならないことがあってね」

 

そう言うと、榊支部長は部屋の外から色んな薬品の入った瓶や包帯、その他医療器具が乗せられたカートを引っ張り込んできた。

 

そして、何かがのせられたトレーを出してきた。

 

「コレが何か分かるかい?」

 

榊支部長が訊いてきた。

 

そのトレーにのっているソレは・・・・・・

 

「・・・・・・腕輪・・・?」

 

そこには、分かりやすく言えば適合試験前の2つに分離した状態の腕輪があった。

 

そう、バラバラの状態の腕輪があるのだ。

 

・・・・・・! まさか・・・

 

「それって・・・・・・!」

 

「その通り、この腕輪は君の腕輪だよ」

 

至って平静な声で、榊支部長は僕にそう告げた。

 

そして、全身が何とも言えない不安感と脱力感に呑まれるのを僕は感じた。

 

腕輪が、僕の腕輪が僕から取れた。

 

って言うことはつまり、僕は荒神化している!?

 

「何となく察しが付いたみたいだね。そう、君は今非常に危険な状態にある。だから、特別にこの部屋に隔離拘束させてもらったんだよ」

 

榊支部長は続けた。

 

「君は今、“アラガミ”と“ヒト”の中間点をさまよっている、非常に不安定な状態なんだ」

 

唐突すぎる告白に僕はただ黙って次の言葉を待つことしかできなかった。

 

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