遊戯王GX-お前と共に頂点へ-   作:聖@ひじりん

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入学試験 vsクロノス!!(前編)

 

 今日まで、できる事は全てやった。

 

「まだいける……」

 

 例え、地元で負けなしのデュエリストになっても。

 

 将来、決闘王に輝ける実力があろうとも。

 

「絶対に、間に合ってみせる!!」

 

 そう、いくらデュエルができても、パフォーマンスを見せる場がないと意味が無い。試験を受けなければ、デュエル・アカデミアに入る事すら叶わない。

 

《それはいいですけど、前方注意ですよ》

 

「え? うわぁぁぁっ!?」

 

 リアの言葉を聞き、全速力で走っていた俺は顔を上げた。

 

 目の前には一人の男性。このままでは衝突すると判断した俺は、足が絡まる事を気にせずに足を止める。

 

「ぐはっ」

 

 当然、コケてしまう。思ったより衝撃はないものの、ちょっと痛い。

 

「またか……大丈夫かい?」

 

「ああ、すみません」

 

 直ぐに立ち上がって頭を下げた後、カードケースやデュエルディスクの無事を確かめる。

 

「良かった……って、あれ?」

 

 ぶつかりそうになった男性の顔に、どこか見覚えがある……けど、なんだか思い出せない。

 

 しかし、その真横にふよふよと浮かんでいるのは、間違いなくクリボーだ。

 

「おや、君は見えるのか?」

 

「てことは、貴方も見えるんですね」

 

 初めて、俺以外に精霊が見える人と出会った。

 

「なるほど、面白い相を持っているね……それに、強い意思を感じる」

 

 そしてその男性は何かを呟き、ふふっと微笑する。

 

「どうかしたんですか?」

 

 俺は不思議に思い、素直に訪ねてみた。

 

「いや、何でもないよ。それよりも、君に渡しておくカードがある」

 

「俺に……ですか?」

 

「ラッキーカードだ。今の君じゃ見えないだろうけど、デッキに入れておけば、いつか役に立つ時が来るよ」

 

 そう言って男性は、腰にあるデッキケースから一枚のカードを取り出し、俺に差し出してくる。

 

 俺はそのカードを手に取ってみるけど、男性の言った通り、真っ黒で何も見えない。

 

 一体、どういう原理だろう。普通、ただのいたずらじゃないかと考えるけど、どうにもそうは思えないし。

 

 何か、このカードからは強い意思を感じるんだ。

 

 デッキのカードや、デュエルディスクでさえそれを感じているのか、カタカタと震えている。

 

「どういう原理か考えるのもいいけど、急いだほうがいいんじゃないか?」

 

「あ……すみません、助かりました!! それに、カード、ありがとうございます!!」

 

「気にしないでいいよ。いつか返してくれれば、ね」

 

「わかりました!! では、また!!」

 

 不思議な人だ。でも、温かい。

 

 また会える保証もないのに、彼は返してくれと言った。なら、いつか会えるのだろう。

 

 俺は振り向くことはせず、試験会場へと足を進めた。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「ふふっ、彼にあのカードはまだまだ荷が重い。だけど、彼なら使いこなし、いずれ不要になる。その時が来るまで、君に預けておくよ」

 

 男は、もう届かない華雄の背中に向けて、そう呟いた。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「ちょっと待ってくれ!!」

 

 何とか、間に合ったか?

 

 男性と別れた後、自身の限界すら超えた走りで受付に辿り着いた。

 

「ん? なんだね君は」

 

「受験番号二番。綾小路華雄……だ!!」

 

 危ない危ない。素のままに口調になる所だ。

 

 折角、威圧感を出す為の演技練習をしたのに、意味がなくなってしまう。

 

「ふむ、君も電車遅れかね?」

 

「そうだ」

 

 本当に、なんでこういう日に限って遅れるかな。ちょっとでも急ごうと、改札口に近い場所を予測して選んだら、裏目に出たし。

 

「それに受験番号二番か……よかろう、連絡を通しておく」

 

「助かる。このまま会場に向かえばいいんだな?」

 

「あ、ああそうだ。直ぐにデュエルが始まると思うから、デッキの準備をしながら向かいなさい」

 

 どうやら、しっかりと威圧感は出ているらしい。

 

 俺よりも体格が大きく、サングラスを掛けて整った髪型。屈強なボディガードに見える男の言葉を詰まらせる。

 

 リアの作戦は成功していると見ていいはずだ。

 

「分かった。感謝する」

 

 そういえば、リアはどうしたんだろう?

 

 さっきから妙に静かだなあ──

 

《ぷはっ……息苦しかったです》

 

 と、思っていたけど、ちゃんと出てきた。

 

「何かあったのか?」

 

《ええ、ありましたよ。まさかあの様な場所で、武藤遊戯に出会うと思ってませんでした》

 

「……は?」

 

 武藤遊戯? 誰が?

 

「あのおっさん?」

 

《カードを貸してくれた人ですよ》

 

 ああ、不思議な人か。

 

 でも、それにしたって武藤遊戯な……。

 

「あぁぁぁ、本当だ!? 本物のクリボーいたじゃん!!」

 

 思い出してみると、さっきは出てこなかった顔が直ぐに思い浮かんだ。

 

 そして、その顔と男性の顔が一致した。

 

《なるほど、ジャミングですね》

 

「ジャミング?」

 

 会場に入ってから周りに人がいるので、小声で訊き返す。

 

《武藤遊戯なんて大物が、その辺にいたらどうなりますか?》

 

「ああ、なるほど」

 

 答えは、かなり簡潔だった。

 

 そりゃそうだよな……一歩間違えなくても、街中がパニックだ。

 

「……え、ならさ」

 

《はい》

 

「俺は、何のカードを借りたんだ? 使えないって言ってたから、余程のカードだよな」

 

 デッキケースも、デュエルディスクも震えていた。

 

 俺の強いモンスターたちに、それを受け止める母のデュエルディスク。

 

 これが震えるという事は、最低でもデーモンの召喚や暗黒騎士ガイア。もしかすれば、ブラック・マジシャンの可能性もある。

 

《それがですね……アレについては話せません。私程度じゃ、精霊力が圧倒的に負けてますから》

 

 精霊力とは、カードに宿る精霊の強さ、ランクの事だ。

 

 これは俺がデュエルする目的の一つ、"リアがこの世界に自由自在に実体化できる様になる"、に関係している。

 

 精霊力は主に、世界の認知度により上がるらしく、武藤遊戯の持つカード。デュエル・アカデミアの創設者、海馬瀬人の持つカードの精霊力は、どれもトップランクの物だそうだ。

 

 特にブラック・マジシャンやブルーアイズは、精霊力だけでデュエルを終わらせる事ができるとかなんとか。リアが言っていた。

 

 今のリアの精霊力は、ぶっちゃけ雑魚カード並で、一部にしか知られていない。なので、実体化は夢のまた夢だ。

 

 それなのに俺が触れて、リアからも触れる理由は不明。リアの考えによると──「一般人より圧倒的に、感性が豊かで敏感だから」らしい。

 

 絵を描いているのも、間違いなく関係しているとも言っていた。

 

「ああ、そっか」

 

 残念だけど、それなら仕方がない。今はすっぱり諦めて、いずれ分かる時に驚こう。

 

「で、到着したけど……呼ばれるまで待てばいいんだよな?」

 

《そうですね。丁度、デュエルフィールドで決闘が終わったみたいですし、呼ばれると思いますよ》

 

 同じ年の青年が、観客席にいる人達に、歓喜の様子を一切隠す事なく手を振っていた。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

『受験番号二番、綾小路華雄くん』

 

 会場は青年のどんでん返しにより、盛り上がっていた。

 

 その最中、まさかの呼び出し。会場にいるほぼ全員が、階段を降りる華雄を確認し、一つの事を思った。

 

『なんだ、あの痛々しい奴は』

 

 身長がそこそこあり、黒髪で美形と分かる顔立ち。ジーパンに白いTシャツ。サングラスを掛けている。そこまでは、ギリギリ普通の範疇だ。

 

 しかし、それを許しても……。

 

『黒い肩当てマントに金の装飾!?』

 

 マントはおかしいと、全員が突っ込んだ。

 

 そんな中、華雄はかつかつと階段を降りて、黒いデュエルを左手に装着する。

 

 華雄がデュエルディスクを装着した瞬間、会場の空気にピリッと電気の様な物が走った。

 

「っ!?」

 

 そして、HERO使いのデュエルを見て、会場を去ろうとしていた丸藤亮は足を止め、息を呑んだ。

 

 姿が異様だからではなかった。

 

 強者だけが感じる強者の気配を、確かに感じたのだ。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「俺の対戦相手は誰だ」

 

 デュエルフィールドについた時、中にいたのは青年にやられていた金髪の……男らしき人のみ。

 

 さっきの青年とはすれ違ったけど、声を掛ける意味はないのでスルーした。

 

 そもそも青年は興奮していたからか、俺に見向きもしなかったし。

 

「むむむ、私が出るナノーネ」

 

 倒れていた男性はすくっと立ち上がり、独特なデュエルディスクを構える。

 

《敵意を感じます。恐らく、青年に負けた憂さ晴らしを、華雄にぶつけようとしているみたいです》

 

「なるほど、なら返り討ちにすればいいんだな?」

 

《そうなりますね》

 

 右隣にいるリアが微笑んだ。

 

「なーにをブツブツ言っているノネ?」

 

「貴様には未来永劫理解できない言語さ。全ての精霊を従え、王に君臨する俺だけのな」

 

 と、言う設定にしないと、決闘中にリアと話したりすると変に思われる。 

 

 それならいっそ、変人になりきって独特の威圧感を出すほうが、相手の油断や恐怖を引き出しやすくなる……らしい。

 

 これは全てリアの作戦であって、俺は決して乗り気じゃないんだ。

 

 だけど、確かにそれ以外に作戦が思いつかず、諦めて変人になると誓った。

 

 ああ、そうさ。俺はリアの為になら、なんでもやると決めているからな。

 

「ドロップアウトボーイの次は、ドロップライフボーイ、デスーノ?」 

 

「落ちた人生? ふん、貴様のデュエル力じゃ、所詮その程度の罵詈雑言しか思い浮かばんのか。これだから、受験生にしてやられる訳だ」

 

「ムキィィィ。教師に暴言とは、断固許すまじナノーネ。デュエルの権利を剥奪されたいのですか?」

 

 男は怒った態度から一変し、卑しい笑みを浮かべた。

 

 というか、この人は教師だったのか。

 

「暴言? はて、一体何の事だろう。ただの事実ではないか。それでデュエル権利を剥奪? それは貴様の独断で決めれる事ではないだろうし、教師とあろう者がそれで逃げるというのは……まさか、自分のデュエルに自信がないのか?」

 

 確かに、身なりは良く見えるし、独特なデュエルディスクは金が掛かっているように見える。

 

「いいデスーノ。挑戦と受け取りマスーノ。しかし、そうは言っても暴言ナノーデ、ペナルティとして、貴方のライフが一でも減れば、その時点で負けとするノーネ!!」

 

 あれ、これって大丈夫なのかな。俺、かなり不利じゃない?

 

《上の立場でいて、更に不利な状況を押し付ける。これは、暗に自信の無さの現れ。行けますよ。華雄の運命力は、この時を持って彼を上回りました》

 

 なるほど、これもリアの筋書き通りだったのか。相変わらず、リアの人心掌握には天晴だ。

 

 状況と相手が教師だから良いものの、デュエルショップで暴力沙汰になった時は焦ったなぁ……。

 

 まあその時は、リアの誘導に従って拳を向けたら、何故か相手が倒れてたんだけど。

 

「了解。では、その条件を飲むとしよう……そして、貴様を完膚なきまで叩きのめす」

 

 マントをバサッと右手で払い、拳銃の形にした右手を横にした状態で教師に突きつける。

 

「できるものならやればいいノーネ」

 

「ああ、見せてやる。いざ──」

 

「「決闘!!(デュエル)」」

 

 俺の受験決闘が始まった。

 

 ソリッドビジョンシステムが起動し、互いの横に4000の数字が表示される。

 

「先行は譲って上げるノーネ」

 

 そして、教師のはからいにより、俺が先行になった。

 

「お優しいな。だが、それが命取りになる……俺のターンドロー!!」

 

 俺の初期手札は茶色が二枚、緑が一枚、紫が二枚。引いたのは紫のカード。

 

 完璧だ……勝利が確定した。

 

「俺は"魔界発現世行デスガイド"を守備表示で召喚!! さらに、デスガイドの特殊効果を発動。デスガイドは召喚に成功すると、手札またはデッキから、悪魔族のレベル3モンスターを1体特殊召喚する事ができる。俺は、"儀式魔人リリーサー"を守備表示で特殊召喚する!!」

 

 赤毛の可愛い悪魔と、ぶよぶよで気持ち悪いけど、物凄い頼れる悪魔がフィールドに現れる。

 

《おはよう、マスター!!》

 

 そしてデスガイドは、俺の右横にいるリアに威嚇してから俺に投げキッス。ふよふよとハートが飛んでくるけど、リアがそれを叩き落とし、二人の間に火花が散った。

 

「まあ、落ち着け二人共。今はデュエルに集中だ」

 

《はーい》

 

《む、了解です》

 

 ほんと、なんでこんなに仲が悪いんだろう。

 

「誰と話しているかわかりませんが、一ターンで、モンスターを二体。方や守備力2000と中々高いデスーノ。しかぁし!! 私の手札には打開策があるノーネ」

 

「ふっ、そうだといいな。俺はカードを二枚伏せて、ターンエンド」

 

 さて、これで負けたら笑うしかないけど、これでほぼ負けない……あ、ダメージ系のカード入ってないよな?

 

「私のターン、ドロー!! 私は手札から──」

 

 仕方がない、あったら素直に負けだ。

 

「待った、ここでリバースカードを発動する」

 

 俺は伏せた中で一枚目の紫のカードをオープンした。  

 

「"死のデッキ破壊ウイルス"だ!!」

 

「ふぁっ!?」

 

「このカードは、闇属性で攻撃力1000以下のモンスター、一体を生贄に発動できる。俺は、デスガイドをリリース」

 

《それじゃ、行ってくるね、マスター》

 

 手を振りながら、自身を死と書かれたウイルスに変化して、デスガイドは教師の手札に向かった。

 

「ありがとう、デスガイド。そして、相手のフィールド、手札を確認し、攻撃力1500以上のモンスターがいればそのまま破壊!! さらに、相手ターンで数えて3ターン。ドローしたカードを確認し、破壊可能なら破壊する……さあ、見せろ」

 

 デスガイドにお礼を言って、教師の手札六枚が俺の目の前に現れる。

 

「なるほど、打開策はあったな。しかし、もう手遅れだ」

 

 古代の機械巨人、古代の機械騎士。大嵐、強欲な壺。黄金の邪神像二枚。

 

「邪神像二枚セットし、大嵐を発動。二体のトークンを呼び出して、ギアゴーレムを召喚。そして強欲な壺を使い手伝を補充し、戦闘でどちらかを倒す……本来ならば、これで並みのデュエリストは負けが確定していただろう。しかし俺は、精霊王の称号を得ている。残念ながら、通用しないさ」

 

 危ない危ない。バーン系カードが無かったのはいいけど、死のデッキが無かったら完全に積んでた。

 

 超レアカードのギアゴーレムは召喚条件が重いとはいえ、攻撃中に魔法と罠カードを封じて、攻撃されたモンスターの守備力を貫通する効果を持つ。

 

 さきほど言ったコンボの通り、俺のセットカードがガラ空きになって、デスガイドかリリーサーでギアゴーレムの攻撃を受けて貫通ダメージ。この時点でライフが減るので、俺の負けになる。

 

「まだ、チャンスはあるノーネ!!」

 

「まあ、そうだろう。しかし──」

 

《そこの御託はよろしいので、さっさと倒して下さい》

 

「……了解」

 

 リアからの要望が来たので、さくっと進める事を決めた。

 

「いや、更なる絶望を見せようか。俺は死のデッキの効果により、古代の機械巨人と古代の機械騎士を破壊!!」

 

「痛手ですが、私には強欲な壺が残っているノーネ。強欲な壺を発動デスーノ!!」

 

「待った、このタイミングでリバースカードオープン」

 

「またナノーネ!?」

 

 オープンしたのは、二枚目の罠。

 

「"マインドクラッシュ"!! このカードはカード名を一つ宣言して発動する。そのカードが相手の手札にあれば、全て墓地に捨てて貰おう……俺が宣言するのは、"黄金の邪神像"だ!!」

 

「ぬぅぅぅ」

 

 教師はハンカチを噛んで悔しがっている。一体、いつの間に用意したんだろう。

 

「これで貴様の手札から二枚が落ち、残るは大嵐と強欲な壺のドローのみ。さあ、引くといい」

 

「このドローに掛けるノーネ……私はカードを二枚ドロー!!」

 

「しかしこの時、死のデッキ破壊ウイルスの効果により、俺も確認する」

 

 今度は二枚のカードが目の前に現れる。

 

「運がいいな」

 

 教師が引いたのは、二枚の聖なるバリア・ミラーフォスだった。

 

「私の引きを舐めるなデスーノ。カードを二枚伏せて、ターンエンドナノーネ」

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

 引いたのは緑のカード。

 

「くっくっく……どうやら、俺の勝利は揺るがないらしい。お返しだ……俺は今引いたカード、"大嵐"を発動!! その伏せカードを破壊だ」

 

 ここまで引きがいいと、後々の引きが怖い。

 

「オゥノー!! ナノーネ!!」

 

「そして俺は、"マンジュ・ゴッド"を攻撃表示で召喚」

 

 これまた気持ち悪いけど、本当に頼れる天使がフィールドに現れる。

 

「い、一体、何が来るノーネ?」

 

「さあ、我が手に来たれ……俺はマイフェイバリットカード、"精霊術士ドリアード"を手札に加える!!」

 

 騒然としていた会場が、一気に静かになった。

 

《もう慣れましたけど、ここでも同じ反応なんですね》

 

「だな」

 

 儀式モンスターとは、そもそも認知度が低い。その理由は使い勝手の悪さと、値段の高さだ。

 

 まず、召喚するのに儀式魔法と儀式モンスター。それに加えて、その素材となるモンスターが必要になる。

 

 これはつまり、最低でも三枚のカードが手札に必要で、儀式モンスター次第ではもっと多くの素材が必要になってしまう。 

 

 その効果やステータスは確かに強力だが、それなら集めやすい融合モンスターを使うのが定石。だから、儀式の評価としては融合より集めにくい、融合と同じ強さのロマンカード。知っているけど、ぶっちゃけ要らないレベルらしい。

 

 世界で一番有名なのは、もちろんカオス・ソルジャー。ただあれは武藤遊戯のカードで、武藤遊戯だからこそ高レベルな儀式モンスターを使いこなせた……という評価なので、儀式モンスターの括りより、武藤遊戯のカードの括りだ。

 

 残念ながら、それもロマンカードの評価を上げる原因になっているだろう。 

 

「何を呼び出すかといえば、そんな雑魚カードナノーネ」

 

「おや、知っていたか」

 

 デュエル・アカデミアの教師は伊達じゃないのか。

 

 俺は素直に凄いと思った。

 

《さてさて、地獄を見せて下さい》

 

 ただ、リアを雑魚カード扱いするのは許さない。

 

「もちろんだ。俺は手札から"ドリアードの祈り"を発動。フィールドのリリーサーを生贄に、手札のドリアードを儀式召喚!!」

 

 ぶよぶよの頼れる悪魔が消えて、そこに五色の光が生まれる。

 

 赤、青、緑、茶、白。リアの持つ属性を表した光だ。

 

 そして、光が集結して人の形になり、光体は実体になった。

 

『か、可愛いぃぃぃ』

 

「黙れ貴様ら!!」

 

 俺は拡声器も何も使わず、大声で観客を黙らせる。

 

「全く、容姿以外見向きもしないクズが……」

 

 これは演技をしなくても出た、俺の本心だった。

 

《ですが、華雄も私に一目惚れですよね?》

 

 フィールドのリアはクルッと回り、俺に微笑む。 

 

「……さあて、ドリアードが出たなら貴様の勝ちはない。それにドリアードを笑った罪、死で償って貰おうか。俺はまず、マンジュ・ゴットで貴様にダイレクトアタック!! 一万回、愛と怒りのグーパンチ!!」

 

 俺はリアの発言をスルーして、マンジュで教師を攻撃した。

 

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