遊戯王GX-お前と共に頂点へ-   作:聖@ひじりん

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入学試験 vsクロノス!!(後編)

《オラオラオラオラオラオラオラオラ──》

 

「あてっ、あてっ、あてっ、あてっ──」

 

 さて、今のうちにお礼を言っておかないと。

 

「デスガイド、ちょっと来てくれ」

 

 俺は墓地にいるデスガイドに声を掛けた。

 

《はいはーい。どうしたの?》

 

 すると、光の粒子が墓地から出てきて俺の目の前で集合し、デスガイドが現れる。

 

「いや、さっきのお礼だよ。ありがとう」

 

《ううん、マスターの為だからね。呼ばれたら、私はいつでもどこでも、バスを走らせて参上す──いたっ!!》

 

 お礼を伝えて言葉を待っていると、五色に輝く光の球がデスガイドに直撃した。

 

《ちょっと、なんで攻撃してくるのよ!?》

 

《いえ、何となく》

 

 犯人はもちろんリアだ。

 

《お返しっ!!》

 

 すると今度は、デスガイドがリアに向かってバスを出発させる。

 

《ふふん。貴方の攻撃力は1000なので、私の1200には敵いません。頭が悪くなりましたか?》

 

 リアはドヤ顔と指差しで、デスガイドを馬鹿にし始めた。

 

《それはどうかしら……この私の攻撃は、精霊力での攻撃よ!!》

 

《そ、そんなっ!? きゃぁぁ!!》

 

 しかし、リアはデスガイドの攻撃によって吹き飛ばされる。

 

《や、やりましたね……もう、許しません!!》

 

《それはこっちのセリフ!!》

 

 そして、二人の取っ組み合いが始まってしまった。

 

「……俺、お礼言いたかっただけなんだけど。なんで、いつもこうなるかな」

 

 リアとデスガイドは仲が悪い。その理由に精霊力が挙げられる。

 

《あんたなんて、精霊力が私より低いゴミカードじゃない!!》

 

《むか。貴方こそ精霊力が高くとも、色んなデュエリストの元で働いて、華雄だけの女ではないでしょうに!!》

 

 そう、デスガイドは、リアよりも圧倒的に精霊力が高い。

 

 デスガイドは他のデュエリストにも使われるほど効果が良く、リアよりも世界に出回っている為に、必然と認知度は高くそれだけ精霊力が高いのだ。

 

《なっ!? そう言うあんたこそ、マスターが初めての男じゃないでしょ!! それに、私をしっかりと感じれるのはマスターだけだし、身体じゃなく、心を捧げているのよ!!》

 

《そ、それを言いますかっ!?》

 

 カードには一枚一枚精霊が宿っている。ただし、カードは何枚あろうと、精霊は一種類に一体。

 

 例えばクリボーは、世界にそこそこ出回っているけど、精霊としてのクリボーは遊戯さんの横にしかいない。

 

 そして、デスガイドは確かに数多のデュエリストの元で活躍している。しかし、その精霊を見れるのは俺だけ。

 

 つまり、俺の物だという主張なのだろう。

 

《ですが、貴方一人では出て来る事もできないでしょう!! 私は確かに華雄が初めてでないにしろ、デュエル以外でも一緒にいて触ることができます。貴方とは親密度が桁違いで違うのですよ!!》

 

《むっかぁぁぁ!! いいわよ、いずれ私の精霊力が上がって実体化できるようになるんだから!! その時があんたの終わりね。活躍の場も私が多いわけだし、あっと言う間にマスターの横は頂くわ!!》

 

 ……本当に、仲良くなってくれないかなぁ。

 

 何で争っているか本当に理解できないけど、争うのは本当に良くない。

 

「俺も、リアの口癖が移ったな」

 

 リアとデスガイドが男の様に殴り合っている最中、俺はしみじみと呟いた。

 

「全然痛くないのに、長いノーネ!!」

 

 そして、やっと終わったらしく教師が叫び、俺は視線をそちらに向ける。

 

 教師のライフが2600になっていた。

 

 マンジュは一万回も殴るので、ちょっと攻撃モーションが長い。割愛するように頼んではいるけど、どうにもマンジュのこだわりらしく、聞き入れてくれないのだ。 

 

 精神的苦痛を与えるのには最適だけど、俺にもダメージが行くのでやめて欲しい。

 

「そうであろう。では、次にドリアードの攻撃だ。頼んだ、エレメンタル・バースト!!」

 

 高らかに宣言すると、デスガイドと遊んでいたリアは、てくてくと教師の前に向かい腰を引いた。 

 

《えい》

 

「あべしっ!?」

 

『ただのビンタじゃねぇか!!』

 

 会場の観客から、総ツッコミを受ける。

 

「いや、これがドリアードのエレメンタル・バーストだ!!」

 

 一応、言い切っておく。

 

 何を隠そう、これがリアのダイレクトアタック。通称、ただのビンタだ。

 

 それっぽい技はちゃんと出せるけど、リアの作戦により、精神的苦痛を与える為に物理攻撃になった。

 

「意外と効いたノーネ」

 

 教師のライフが1400になり、後一回マンジュの攻撃が通れば俺の勝ちになる。

 

「さて、これで俺の勝ちは目前だな。俺はカードを一枚セットし、ターンエンド」

 

 ……あー、あの教師って本当はかなり強いデュエリストなんだろうな。

 

 変則的なデュエルルールといっても、あの目はまだ勝ちを諦めていない目だ。

 

 考えられるのは、攻撃力1500以下でバーン効果を持っているモンスターがデッキにある。純粋にバーン効果の通常魔法がある。"魔法の筒(マジック・シリンダー)"が入っている等。

 

 考えられる可能性は凄く多いけど、今はそれを気にしても無駄だ。

 

 引かれたらそれまで。引かれなかったらそれまで。どちらに転んでも、勝つか負けるかの二択だから。

 

「私のターン、ドロー!! ふふふ、ドロップライフボーイの悪運もここまでのようデスーノ!!」

 

 ああ、逆転のカードを引かれてしまったか。

 

「本当にそうだと良いな。俺は死のデッキ破壊ウイルスの効果により、手札を確認させて貰う」

 

 一応、弱気な発言はキャラ的にできないので、あくまでも余裕綽々の態度で返す。

 

「見て驚くノーネ」

 

 俺の目の前にカードが現れる。

 

「ふむ、良いカードだ」

 

《うわー、本当ですね。え、というか私ピンチじゃないですか》

 

「だな」

 

 教師が引いたのは、制限カードに指定されている緑のカード。"ブラック・ホール"だった。

 

 いや、本当にこの教師は実力者だな。

 

 初期手札の良さ。実用的なコンボ。ピンチになっても諦めない意思。そして引いてくる運命力。リアが運命力を上回りました、と言ってもこの強さなら……本来は、もっと凄いはずだ。

 

 確かに、ブラック・ホール一枚で逆転されるわけじゃないけど、それでもかなり痛手なのは間違いない。

 

 俺の伏せカードでは、ブラック・ホールを止める事はできないし。

 

「これでモンスターをリセットするノーネ。私はブラック・ホールを発動デスーノ」

 

 フィールドに、全てを飲み込む黒い渦が現れる。

 

 ブラック・ホールなら魔法と罠も飲み込みそう……なんて、デュエル初心者の時に思ったっけ。

 

「俺はこの時、リバースカードをオープン!! "風林火山"!!」

 

「ノノノッ!?」

 

 ブラック・ホールの中に真紅の甲冑を着た男が現れ、その背中には風林火山の旗印が立っている。

 

「このカードは、互いのフィールドを合わせて、風・水・炎・地属性モンスターが表側表示で存在する時に発動する事ができるトラップカード。そしてその効果は、四種類の中から一つ選んで適用。まず一つ目、相手フィールド上モンスターを全て破壊する。二つ目、相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。三つ目、相手の手札を二枚ランダムに捨てる。四つ目、カードを二枚ドローする」

 

 発動条件が厳しいものの、リア一枚で使えるこのカードは中々強力なカードだ。

 

 "サンダー・ボルト"、"ハーピィの羽根帚"、"いたずら好きな双子悪魔"、"強欲な壺"。この中で前半三枚は禁止カードに指定されているし、強欲な壺は制限なので、実質このカードの効果だけを考えると禁止カードにも匹敵する。

 

「俺はこの中から、二枚ドローを選択!!」

 

 旗印の山の文字が光り輝き、俺のデッキも光り輝く。

 

「ははっ」

 

 それに従って俺はデッキから二枚ドローすると、緑と茶色のカード。その内容に満足して、思わず笑ってしまう。

 

 今日は、俺も良いドローをできてるな。これが常に決闘でできるようになれば、もっと強い決闘者になれるはず。

 

「中々やりマスーノ。しかし、ブラック・ホールはモンスターを破壊するノーネ」

 

 ブラック・ホールが徐々に大きくなっていき、俺のフィールドのモンスターが飲み込まれてしまった。

 

「ありがとう。マンジュとドリアード」

 

 戦ってくれたお礼はしっかりと伝える。

 

 ソリッドビジョンシステムにより生み出されているとはいえ、あくまでも本物の精霊たちだ。感謝の気持ちは、ちゃんと届く。

 

 それに、こういう所がデッキの周りが良くなる、引きが強くなるに関係していて、カードを愛する者の引きが強いのはこれが理由だ。

 

 理論派の人間からすれば"あり得ない"事らしいけど、俺は知っているからカードを信じるし、お礼もする。

 

《はあ、私の美貌に傷が付く所でした》

 

「……そうだな」

 

 もっとも、リアに至っては自由に出て来れるから、お礼を言う意味はそこまでない。

 

「私はこれでターンエンド、デスーノ」

 

「俺のターン、ドロー!! さあ、これで終焉だ。くっくっく……」

 

 で、このキャラ。かなり疲れた。

 

 いつもはここまでの人に見られてないから、ある程度はましだったけど……さすがにこの人数だと、精神がごりごリ削られてしまう。

 

 羞恥心とかは捨てたつもりだったけど、まだまだ捨てきれてないらしい。

 

「俺は、デスガイドを守備表示で召喚。効果により、デッキから"クリッター"を守備表示で特殊召喚する」

 

 フィールドにデスガイドが現れ、バスから三つ目で丸っこい毛玉の悪魔が降りてくる。

 

 そして、先ほどと同じようにデスガイドは俺に投げキッスをしてきて、また隣のリアが叩き落とした。

 

「んん? プレイングミスナノーネ、ドロップライフボーイ!!。二体を攻撃表示で出していれば、私のライフは──」

 

「死者蘇生を発動」

 

「ノォォォ!!」

 

 笑いながら指摘してくる教師を無視して、俺は死者蘇生をデュエルディスクにセットして発動する。

 

「俺は、自分の墓地に眠るドリアードを攻撃表示で特殊召喚!!」

 

 すると、フィールドにリアが移り、またしてもデスガイドと喧嘩が始まった。

 

「ん? 今度は本当にプレイングミ──」 

 

「更に、ドリアードに"リチュアル・ウェポン"を装備!!」

 

「ノォォォ!!」

 

 そして、教師の発言と二人の喧嘩を無視して、このターンに引いた装備魔法をリアに指定。リアの左手に弓の付いた盾が現れ、そのままデスガイドに発射していた。

 

 まさか、ネタで入れたこのカードを使う事になるなんて……今日で抜くんだけど。

 

「このカードは、レベル6以下の儀式モンスターに装備する事により、攻撃力と守備力を1500アップさせる。そしてこのまま、ドリアードでダイレクトアタック!! エレメンタル・バースト2!!」

 

《ふっ、命拾いしましたね。今度は容赦しませんよ!!》

 

《こっちのセリフよ!!》

 

 本当に、仲良くならないな。どうすれば、仲良くなるんだろうか。

 

 周りの観客には何も起こってない様に見えるんだろうけど……見える人がいたら、かなり愉快だしな。早急に仲良くなって貰わないと……。

 

《えい、えい!!》

 

「あば、あばっ!?」 

 

 リアが教師に往復ビンタをしている中で、俺はそんな事を考える。

 

「間違いなく、鬱憤晴らしだな……」

 

 そして、教師のライフが0と表示されるまで数十分を要した。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

《初日に呼び出しなんて……いつの間に過ちを犯したんですか、華雄?》

 

「いや、心当たりないんだけど」

 

 試験が終わり、9月。無事にデュエル・アカデミアに合格した俺は、講堂での説明を聞いた後、そのまま校長室に呼び出されていた。 

 

《自覚なしに犯罪ですか。成長しましたね》

 

「どこがだよっ!?」

 

 この通り、俺には全く心当りがない。

 

 そもそも、今日は係員の指示に従ってずっと行動していたので、何かをする余裕も無かった。

 

《え、私の美貌を特等席で見てるじゃないですか。お金払って下さい。犯罪ですよ》

 

「お前はどうしても俺を犯罪者にしたいのか」

 

《いえ、入学試験でのプレイングミスのお詫びがまだですから》

 

 ……そういえば、そんなのあったな。

 

 あの試験で俺は、大きなミスをしていた。

 

 クロノス先生がブラック・ホールを引いた時、その手札の枚数は二枚。この時点で、俺が風林火山を発動し、手札を二枚捨てていれば勝ちが確定していたんだ。

 

 そうすれば、リアが破壊されることはなく、冷汗をかく事もなかった。

 

 このミスをデュエルが終わって直ぐに気がついたけど、恐らく先生も気がついて無かったと思う。

 

 目先のピンチをどう乗り越えるか必死だったし。

 

 そして、リアを破壊してしまったのは俺なので、リアはお詫びをご所望している訳だ。

 

「分かった。何がいい?」

 

《華雄の愛を下さい》

 

 リアの、満面の笑み。

 

「かはっ!?」

 

 当然、悶え苦しむ。

 

 この歳になって地面を転がるのはどうかと思うけど、これは無理。軽く死んだ。

 

《ぷっ、くすくす》

 

 好きな……一応女性。ド、ストレートで好みの容姿で、可愛らしい声を持つ俺の相棒。それらが織りなすドリアードという、俺にとって神に等しい理想像からの、爆弾発言と笑顔。

 

 例えるなら……硬い物に足の小指をぶつけ、痛みが引かない内にもう一度ぶつけて、とどめに反対の小指もぶつける以上の痛みだ。

 

《相変わらず、私の美貌にベタ惚れですね》

 

 あー、畜生。今だけ、この笑い声と性格すら可愛いと思える俺を、末代まで祟りたい。

 

「悪いかよ」

 

 こうなったら、少しだけ反撃してやる。

 

《いいえ、素直に嬉しいです》

 

「ぐっ」

 

 なんて考えたら、見事なカウンターを貰った。

 

 間違いなく、俺の思考を読まれてるな。

 

《で、でもな。俺はお前の容姿だけじゃなくて……性格も好きだからにゃ。な》

 

 そして、反撃に失敗した。

 

《……にゃ。だからにゃ……くすっ》

 

「ああ、もうそれでいいよ!!」

 

 本当に、なんでこんなリアが好きなんだ……俺。アンケートとかしたら、デスガイドの方が満場一致で可愛いの札が出るだろ。

 

「とりあえず、校長室に着いたから静かにしてくれよ」

 

《了解ですにゃ》

 

 くそう、可愛いな。

 

「ラー・イエロー、一年の綾小路華雄です」

 

 ドアの前で名乗り、サングラスを胸ポケット入れてから校長室にお邪魔する。

 

「ようこそ。校長の鮫島です」

 

「久々デスーノ」

 

 先ほど講堂で説明をしてくれた鮫島校長が椅子に座っており、隣には入学試験デュエルで戦ったクロノス先生がいた。

 

「はい、入学試験ではお世話になりました」

 

「ん? そんな性格だったノーネ?」

 

 ……あ。

 

《華雄……馬鹿ですね》

 

 リアの小言に返事をしようか考えて、俺は言葉を飲む。

 

 やってしまった事はしょうがない。このまま突き進もう。

 

「いえ、どうにもデュエル中は性格が変わってしまいまして。お恥ずかしい限りです」

 

 色々な意味で恥ずかしいし、嘘は言っていない。これで場を切り抜けられるといいけど。

 

「すると、そのマントとサングラスは元々好きデスーノ?」

 

「ええ、まあ。そうなります」

 

 結局、普通に痛い奴じゃないか。  

 

「むむむ。ならば、あの時の暴言は私の優しさに免じで、許してあげマスーノ。私は、デュエルや勉強ができる、優秀な生徒には優しいノーネ」

 

「あ、ありがとうございます!! あの時は大変失礼しました。またデュエルして下さい」

 

 滅茶苦茶良い先生だ。リアが小者とか言ってたし、実際そうぽかったから駄目な人かと思ったけど……デュエルも強いし、先生として立派だな。

 

 一応、差別的な意見も聞こえたけど、デュエル・アカデミアの先生としては当然か。

 

「良い生徒ではないですか。クロノス教諭の報告と百八十度違いますね」

 

「ぐぐっ」

 

 俺、どんな報告されてたんだろう。

 

「こうなると、優先的に部屋を振った意味がありませんね……ですが、決まった事はどうしようもありません。華雄くん」

 

「はいっ」

 

 何を言っているか分からなかったけど、一旦思考は置いといて、名前を呼ばれたので返事をする。

 

「君の、部屋がありません」

 

「……はい?」

 

 俺の、部屋がない?

 

 デュエル・アカデミアは、クラスによって寮があったはずだ。

 

 それに、卒業生と新入生を計算して、部屋の空きが足りなければ増築する事ができたはず。

 

「正確には、華雄くんの人格に問題があると聞いて、入学試験とは別に試練を用意していました。なので、君の部屋を用意していません」

 

 ああ、なるほど。だから他の生徒に部屋を優先的に振ったのと、部屋の増築が無かったのか。

 

「試練ということは、それをクリアしなければ俺は野宿になっていたと」

 

「理解が早くて助かります」

 

 完全にリアの作戦ミスだ。お詫びは無しだな。むしろ、逆にお詫びを頂いても良いレベルだろ。

 

「現状、部屋は空いていないんですよね?」

 

「はい。一つを除いてですが……そこはあまりオススメできません」

 

 鮫島校長は声を落としてそう言った。

 

 少しばかり、空気が重苦しく感じる。 

 

「ですが、そこしか空いてないんですよね?」

 

「そうなります」

 

「なら、そこで構いません。野宿をするより、設備が整っていますよね?」

 

 これで野宿以下なら、間違いなく野宿を選ぶ。

 

「設備はお風呂以外完備していますし、お風呂場は近くにあります」

 

「でしたら問題ありません。どうせ荷物もまだでしょうし、そこに運んで下さい。地図と場合によっての改装許可を頂ければ、何とかなりますので」

 

 リアが内装を見て、文句を言った場合の対処だ。

 

「分かりました。そういえば、綾小路モーターズの御曹司でもありましたね」

 

「はい。ですが、それと俺は関係ありません。もちろん恩はありますし、一般よりもかなり贅沢していますが……デュエリストとして、肩書なんて不要です。俺は、一個人としてデュエル・アカデミアの生徒になりましたから」

 

 とはいえ、両親は何だかんだ優しいし、頼めば改装費を出してくれる。だけど、俺は俺で大会優勝の賞金とかもあるし、どうにかなるだろう。

 

「立派な精神です。試練なんて用意してこの状況にした、クロノス教諭に見習って欲しいですね」

 

「ぐぐぐっ」

   

 鮫島校長が、隣にいたクロノス先生を呆れ顔で見ていた。

 

「いえ、クロノス先生の対応は当然です。それにデュエルの腕はまだまだ及びませんし、しっかりと勉強させて貰います」

 

 頭を下げて、自分の意思を伝える。

 

「セニョール綾小路……悪かったノーネ。何かあったら、私を頼るといいデスーノ」

 

「その時は、お願いします」

 

 クロノス先生と握手を交わし、また軽くだけ頭を下げた。

 

「ほっほっほ……では、地図のデータは生徒手帳の方に送信しました。現地に鮎川恵美先生がいると思いますので、詳しい話は鮎川先生に聞いて下さい」

 

「分かりました。それでは、失礼します!!」

 

 俺は校長室を出て、直ぐに生徒手帳を開く。

 

「リア」

 

《はいにゃ》

 

「やめい」

 

 そして、時折地図を見て学内を進みながら、俺はリアと会話し目的地に向かった。

 

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