この素晴らしい世界にねこですよろしくおねがいします 作:アカツメヒビキ
あけましておめでねこございます。
ろぼとみーもねこはすきです。SCPだけじゃなくて、ろぼとみーでもいいので……どうかねこに、このすば小説をお恵みくださいよろしくおねがいします。
キリのいい所まで、と思ってたらいつもより長めになりましたです。
今年もねこですよろしくおねがいします。
『デストロイヤー警報! デストロイヤー警報! 機動要塞デストロイヤーが、現在この街へと接近中です! 冒険者の皆様は、装備を整えて冒険者ギルドへ! そして、街の住人の皆様は、直ちに避難してくださーいっ!!』
いつも通りにせっかく稼いだ金を水の泡にしてきたウィズさんを縛り上げ、お仕置きと称して目の前でジャイアントトードの唐揚げをもちゃりもちゃりと食べていれば、そんな警報が街の中心部から離れているこの店にまで聴こえてきた。
デストロイヤー? 随分大層な名前である。冒険者が緊急で集められているということは、名前に負けないほどの強い敵なのだろうか。……まあ、自分は冒険者登録をしていない(するタイミングを逃した)この街の住人なので大人しく避難でもするかな。
そう、のんびりと考えていれば、縛られ床に涎を垂らしていたウィズさんが暴れ出した。
「大変です大変です! ねこさん大変ですよ! デストロイヤーです! 機動要塞デストロイヤーが接近中なんですって!!」
【警報で聞いた通りですねこ。…そこまで焦るものなんですか? よろしくおねがいします】
「すっっごく大変なんですよ! デストロイヤーが通った後にはアクシズ教徒以外、草すら残らないとまで言われている最悪の大物賞金首ですっ! こ、このままじゃ私の店が物理的に潰されちゃいますぅぅ!!!」
な、なんだってえええ?! せ、せっかく今月分の家賃を死守したのに、意味の分からん物体に店を物理的に潰されるのか?!
ショックのあまり、食べていたジャイアントトードの唐揚げを落としてしまう。そして膝から崩れ落ちる自分に、目敏く落ちた唐揚げを拾い食いしたウィズさんが口を開いて話しかける。
「だ、伊達に氷の魔女と呼ばれていた訳じゃありません! ちょっと昔の話ですが、私の力がこの店……いえ、この街を守る手伝いくらいはできます!!
……と、いうことなのでねこさん! 縄を解いてください!!」
やけにきりっとした顔で言ったウィズさんだが、縄で縛られて床に転がり、唐揚げを食べながらじゃなきゃ大変格好いい台詞だった。だがしかし、そんな事を言っている事態ではないのは分かっていたので急いで縄を解く作業に入る。
縄を解いている間に、ウィズさんは機動要塞デストロイヤーを知らない自分のために簡潔にデストロイヤーについて説明をしてくれた。
元々は対魔王軍用の兵器として『魔導技術大国ノイズ』で造られた、蜘蛛のような形の超大型ゴーレム。特筆すべきは、小さな城ほどある巨体と馬を越える進行速度。凄まじい速度で動く八本の脚で踏まれれば大型モンスターでさえ挽肉にされるほどであり、常時、強力な魔力結界が張られているお陰で魔法攻撃は効かない。……つまり、物理しかない。
それも、接近すれば挽肉かミンチにされるため弓や投擲に頼るしかないのだが、弓は魔法金属で弾かれ投擲もデストロイヤーの速度からして運用が難しい。
その上、自立型ゴーレムやらが配備されていて、要塞の中枢部にはデストロイヤーの開発責任者がいて指示を出しているというのだから……まあ……こりゃあ、無理ゲーというやつではないだろうか。金目になるものだけでも持って逃げた方がいい気がする。
自分のそんな顔から考えを察したのだろうか。縄から解放されたウィズさんは立ち上がると拳を握り、呟くように、しかし力強く声を出す。
「……やれることはあるはずです。私は、約束を守るためにこの店を失う訳にはいかないんです」
真剣なウィズさんの言葉に、話を聞いただけで諦めていた自分を恥じる。そうだ、自分のこの『
【行きましょう、ウィズさん!】
「はい! ねこさん!」
店から出て走り出した自分とウィズさん。冒険者の資格を自分は持っていないことを途中で思い出したが、雰囲気が台無しになるので、黙ってギルドへと走った。
「すいません、遅くなりました……! ウィズ魔道具店の店主です。一応冒険者の資格を持っているので、私もお手伝いに……」
【ウィズ魔道具店の実質店主であるねこです。店主(仮)と共にお手伝いですよろしくおねがいします】
「わ、私は仮の店主じゃありませんよ!」
二人揃ってローブにエプロン姿でギルドに飛び込めば、途端に熱烈な歓声がギルド内に湧き上がる。
「店主さんとねこさんだ!」
「貧乏店主さんと敏腕バイトねこちゃんが来た!」
「店主さん、いつもあの店の夢でお世話になってます!」
「いつもあの店の夢で踏んでもらってありがとうございますねこ様!」
「店主さんが来た! 勝てる! ねこちゃんが来たからオーバーキル気味にこれで勝てる! 勝ったな、風呂入ってくるっ!!」
流石ウィズさんだ。この盛り上がりは、元が高名で素晴らしい魔法使いだと知れ渡っている証拠だろう。……それはさておき、あの店やら夢やらの発言は聞き逃さないからな。何か嫌な予感がしたので、後できっちり締め上げて聞き出そう。特に「踏んでもらって〜」うんぬん言ってた奴な。
歓声を上げる冒険者たちに「お店をよろしくお願いします」と選挙のようにぺこぺこ頭を下げている。頭を下げても、ウィズさんを覗き見しかしない奴らがほとんどなので意味がないのだけれども。その覗き見の奴らを店内へ連行して
そのままギルドの職員に促されるまま中央テーブルの席に座らせられると、自分たちが来るまでに考えていたらしい作戦を説明し始めた。
「……まず、アークプリーストのアクアさんが、デストロイヤーの結界を解除。そして、おかし……、めぐみんさんが、結界の消えたデストロイヤーに爆裂魔法を撃ち込む、という話になっておりました」
「……爆裂魔法で、脚を破壊した方が良さそうですね。デストロイヤーの脚は本体の左右に四本ずつ。これを、めぐみんさんと私で、左右に爆裂魔法を撃ち込むのは如何でしょう。機動要塞の脚さえ何とかしてしまえば、後は何とでもなると思うのですが……」
ウィズさんの提案に職員はコクコクと頷く。周りの冒険者も名案だと納得した顔でいる。確信した。……この状況を理解しきれていないのは、自分だけだと。
爆裂魔法って何? めぐみんって誰? なんで自分だけこんなに話題についていけないの? ご近所の奥さん方かその子供たちくらいしかまともに会話しなかったから? 旬の野菜とか献立とか節約術とか綺麗な泥団子の作り方しか話題がなかったから? 魔道具店の赤字回避のことに集中してたから冒険者ギルドとかに行かなかった自分が悪いのか?
そんな感じで脳内は荒ぶりまくっている自分だったが、それは全く表に出さずに、代わりに『あー、そーゆーことね完全に理解した』みたいな雰囲気を出した。本当はわかってない。
……後で、ウィズさんに聞こう。その後ウィズさんの提案の元に組まれた作戦を、今度こそ完全に理解した自分はそう思った。
街の正門前に広がる草原が、機動要塞デストロイヤーを迎え撃つ場所だ。無駄とは知りつつも、《クリエイター》と呼ばれる人たちが地面に
そんな中、自分はデストロイヤーの迎撃地点の脇でウィズさんと待機していた。アクアがおまけのようについているが、取り敢えず離れてくれと思う。長時間太陽に晒され頭から煙が出ているウィズさんを日陰に連れ込み、文字を書く。
【ねこですウィズさんウィズさん。今更聞けないのですが、爆裂魔法ってなんですか? それと、めぐねこみんとは、向こうの赤目のロリっ子のことですか?】
自分の質問にウィズさんは一瞬驚き目を見開く。そして、「えっと、爆裂魔法とは……」と説明し出したところで、アクアが割り込んできた。
「あらあらねこちゃん。うちのめぐみんと爆裂魔法を知らないの? なら、このお優しい女神様が分かりやすーく教えてあげるわね!」
お前じゃなくていい。そう文字を書く前に、アクアのよく回る口はペラペラと説明し始めてしまった。
「爆裂魔法は長い射程と最強とも言える威力が特徴なんだけど……爆風に巻き込まれるため近距離では使えないし、当然ダンジョンといった密閉空間でも使えないし、それに消費魔力がとても大きいから、1日一回撃つのが限界なの。それ故にネタ魔法と言われているわ。
そのネタ魔法しか使えないし使わないのが、巷で『頭のおかしい爆裂娘』と呼ばれている私のパーティーメンバーであるめぐみんよ。ほら、あそこにいるとんがり帽子とマントを羽織った小さい子よ。カズマといる……。因みに、一日一回起きる爆発音はめぐみんの一日一爆裂のせいよ」
アクアが指を差した先にいるのは、自分がロリっ子と称した赤目の子。あんな子が、未だに自分の中で謎だった謎の爆発音の元凶だったとは……。嗚呼、説明を聞けば聞くほど、あの子の頭はおかしいと理解していく。というか、カズマのパーティーメンバーって今のところ頭が逝ってる奴しかいなくないか? なんか後一人女騎士っぽい人が居たが、あの人もおかしいのだろうか。
そう考えていると、魔法で拡大されたギルド職員の声が、広い平原に響き渡った。
『冒険者の皆さん、そろそろ機動要塞デストロイヤーが見えてきます! 街の住人の皆さんは、直ちに街の外に遠く離れていて下さい! それでは、冒険者の各員は、戦闘準備をお願いします!』
__機動要塞デストロイヤー。
その名前を聞いて、一番最初に思い浮かんだイメージはジブリ映画のあの動く城だった。
「何あれでけぇ……」
誰かがぽつりと呟いたその言葉に、激しく同意した。小さな城サイズと聞いていたが、その城すら見たことないのだから……咄嗟に出てくる言葉は『でかい』の一言だけだろう。自分はその一言すら言えないが。
近くの冒険者から悲鳴やら檄が飛びまくる。パニックを起こしかけている人も多数いる。そんな中で戦闘準備の声が聞こえた。仕掛けられた罠を無いもののように地面を抉り、踏みしだきながら機動要塞デストロイヤーがこちらに真っ直ぐ、アクセルの街を破壊しようと迫って来る。
『アクア! 今だ、やれっ!』
拡声器のような魔道具から発せられたカズマの合図で、アクアが魔法を放つ。
「『セイクリッド・ブレイクスペル』ッ!」
複雑な魔法陣がアクアの周囲に浮かび上がり、アクアの手に白い光の玉が現れる。アクアがそれをデストロイヤーに撃ち出せば、デストロイヤーに触れた瞬間に魔法結界がガラスのように粉々に弾け飛ぶ。
次はいよいよ爆裂魔法だ。カズマからウィズさんに指示が飛ぶと、ウィズさんは詠唱を始めた。
声をかけられない。それがどんなにむず痒いか、改めて痛感した。応援なんてする柄じゃ無いが、それでも街の運命を背負っていると言っても過言では無いウィズさんに一言だけでも声をかけたかった。応援すらできない、何もすることができない自分は手のひらを力の限り握る。
そんな自分の心情を知ってか知らずか、ウィズさんはこちらに一瞬だけ視線を向けて__いつも通り綺麗に微笑んだ。そしてデストロイヤーに向き直ると、口を開く。
「「『エクスプロージョン』ッッ!!」」
かつて氷の魔女と呼ばれた凄腕のアークウィザードは、氷を一瞬で蒸発させるほどの魔法を頭のおかしい爆裂娘と全く同じタイミングで放ち、デストロイヤーの脚を一つ残らず粉砕した。
……何も心配することなんてなかったかぁ。自分は、そっと苦笑した。
デストロイヤー編を一度にまとめようとしたのは無茶でしたね。ねこですねこです。今年もねこはすばらしい世界とともにいます。
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