この素晴らしい世界にねこですよろしくおねがいします 作:アカツメヒビキ
SCP×このすばを絶対に諦めないですよろしくおねがいします。ろぼとみーも可です。
番外編を書きたいんじゃ。構想は決まってるのに……。ちな、内容は紅魔族一のぼっち娘とアイタタな勇者様(笑)からエリスをむしり取る話です。
機動要塞デストロイヤー。なんやかんやありつつ、自分の出番は一切ないまま倒された大物賞金首である。……まあ、ウィズさんはデストロイヤーの脚を爆砕したし、自分もゴーレムは複数体スクラップにしたので賞金を貰うのは当たり前なのだ。
そんな訳で、賞金を受け取るためギルドまでやって来たのだが…
「冒険者、サトウカズマ! 貴様には現在、国家転覆罪の容疑が掛けられている! 自分と共に来てもらおうか!」
……なんか、凄い面倒くさい事になってる。
国家転覆って、クーデターとかだよな? カズマにそんな事をするメリットも度胸もないと自分は思っているのだが…。嗚呼、ほら、仲間達が言っている。「小さい犯罪はしても大それた罪をする度胸はない」やら「薄着の私を獣の様な目で見ておきながら夜這いの一つもできない」やら。
この発言からカズマがヘタレだと言うことがよく分かった。そもそも自分が未来のお客様候補として見込んでいるのだ、こんな犯罪を犯して捕まっては赤字回避計画が思うように進まなくなってしまう。
何もやましい事はやってないのだから、堂々と胸を張っていればいい。そう、
「ね、ねこさん…。カズマさん、大丈夫でしょうか…? 何がなんだか分かりませんが、私に何か出来る事はないのですか?」
【ぶっちゃけ言って他ねこ事です。ねこたちは何も関わってないのですから、何もする事はないですよろしくおねがいします】
隣にいるウィズさんが「そんなぁ…」と落ち込む中。自分は早く賞金を貰おうと、カズマたちに目を奪われている職員に話しかけようとした。
__その次の瞬間、セナと名乗る王国検察官が言い放った言葉にピクリと自分の耳が反応した。
「その男の指示で転送された、機動要塞デストロイヤーの核であるコロナタイト。それが、この地を治める領主殿の屋敷に転送されました」
急にどばっと、冷や汗が吹き出してきた。
恐る恐る、油の切れた人形のようなぎこちない動作でウィズさんの顔を見てみる。
自分以上にだらだらと冷や汗をかき、がたがたと震えている。顔色は、青く白い。つまりは青白い。この前にポーションの発注数をケタ二つ間違えたお仕置き__必要最低限の水分と塩分…つまりは塩水だけしか与えなかった時よりも顔色が優れない。
テレポートの指示を出したのは確かにカズマだと聞いた。そして、テレポートを使った本人はウィズさんという事も。
ひ、ひと、人殺しにウィズさんは間接的に関わってしまった…? 思わず、ぶるりと体が震えた。ウィズさんに、そんな罪を背負わせてはいけない。そうなるなら、いっそ検察官共を狂わせてどうにか記憶を改竄して……
そう、思考がダークサイドに落ちかけた自分だが、カズマが「領主が爆死したのか?!」と言う叫びにセナの「勝手に殺すな!」返しによって、誰も死傷者が居ない事にほっとウィズさんと共に胸を撫で下ろした。
「使用人は出払っていた上に、領主殿は地下室におられたとの事で、怪我人も出てはいない。屋敷は吹っ飛んでしまったがな」
「それじゃあ、今回のデストロイヤー戦での死者はゼロって事か、良かった良かった」
「何が良い! 貴様、状況が分かっているのか? 領主殿の屋敷に爆発物を送り、屋敷を吹き飛ばしたのだ。先程も言ったが、今の貴様にはテロリストか魔王軍の手の者ではないかとの嫌疑が掛かっている」
魔王軍という単語にまたもピクリと反応してしまう。ウィズさんまでも捕まらなくて本当に良かった。
ウィズさんは今すぐにでも飛び出して行きそうだけど、服の裾を全力で掴んでいるため何とか止めれている状態だ。ウィズさんが捕まったら自分は警察署を破壊するつもりなので大人しくしてほしい。夜逃げの準備は借金取りが来た時のためにしてあるけれども。
詳しい話は署で…と、どの世界でもお決まりの台詞を言ったセナだが、それまで静まり返っていたギルド内がざわ……ざわざわ…と煩くなり始めた。
カズマのパーティーメンバーであるロリ魔女めぐみんがテレポートの理由を説明し「褒められはしても、批難させるいわれはありません」と一喝した事で、ギルド内のあちこちからその通りだと声が上がる。
巷ではカスマやらクズマやら言われているが、なんだかんだで実績がある功労者である。そりゃあ、パーティー内の信頼は勿論、ギルド内の信頼も厚いに決まっているだろう。
抗議の声が大きくなる中。眉一つ動かさずに冷徹に、心がブリザード…いや、エターナルフォースブリザード並みに冷たいのか、淡々とセナは「ちなみに」と口を開く。
「国家転覆罪は、反抗を行った主犯以外にも適応される場合がある。裁判が終わるまでは、言動に注意した方がいいぞ。この男と共に牢獄に入りたいというのなら止めはしないが」
__ギルドは静寂に包まれた。耳の良い自分でも、先程までわーわーぎゃーぎゃー叫んでいた抗議の声はおろか、布の擦れる音すら聞こえない。判断が早すぎて少し引いた。
「……確か、あの時カズマはこう言ったはずよね。『大丈夫だ! 世の中ってのは広いんだ! 人のいる場所に転送されるよりも、無人の場所に送られる可能性の方が、ずっと確率は高いはずだ! 大丈夫、全責任は俺が取る! こう見えて、俺は運が良いらしいぞ!』……って」
ギルド内の静寂を破ったのは、アクアだった。流石は駄女神。先陣を切って誰よりも早くパーティーメンバーを売りやがった…!! そこに痺れはするが憧れない…!
けどまあ、その発言自体はナイスだ。全責任はカズマが取る……。嗚呼、良かった。ウィズさんはお咎め無しだ。未来のお客様候補が減るのは痛いが、これもまた
そう、自分と同じ事を考えたのか、先程カズマを庇っためぐみんまでもが、
「私は、そもそもデストロイヤーの中に乗り込みませんでしたからね。もし私がその場にいれば、きっとカズマを止められたはずなのに。しかし、その場にいなかったものは仕方ありません。ええ、仕方ありませんね」
と、とてもとても大きな独り言をギルド内に響かせる。それに乗じて、他の冒険者達も「俺もいなかったから仕方ないな」「いれば殴ってでも止めたのにな」「ちくわ大明神」「嗚呼、あの時いればなぁ!」「仕方ない、仕方ないな。全責任はカズマだしな!!」と、大きく独り言合戦をし始めた。てか、誰だ今の。日本人か?
次にダクネスが牢獄プレイをしたいがために主犯を名乗り出るが、デストロイヤーの前で突っ立ってただけなのを指摘されて撃沈。何を馬鹿な事を……。そう呆れていれば、隣にいるウィズさんが、あわあわと慌てながら手を挙げてしまう。
「じ、実行犯は私ですから、カズマさんを連れて行くなら私も……!! テレポートを使ったのは、私! 私なんです…!」
自分はウィズさんの手を掴んで降ろさせ、勢いよく指を走らせ、
【せっかく無事に帰ってこれたんですから余計なことはしないでくださいよろしくおねがいします!!!】
と、文字をウィズさんの目の前に突きつける。「で、でも…」とまだ納得できないウィズさんに、アクアがウィズさんの肩をポンっと叩き、慈愛の女神が如く優しい微笑みで言った。
「ダメよウィズ。犠牲が一人で済むのならそれに越した事はないの。辛いでしょうね、だけど、そこは我慢するのよ。カズマとお別れする訳じゃあないもの……。私に出来る事は、カズマがお勤めを終えるまで待っていてあげる事よ。『仲間の罪を共に背負ってはなりません。貴方は仲間の分まで酒を飲み、昼まで寝て、気楽に待つのです。帰ってきたら笑顔で迎えてあげなさい』これは、アクシズ教教義よ。たった今考えたわ」
忌み嫌われているアクシズ教だが、この時ばかりはこの教義に乗っ取った形でギルド内は「お勤め完了まで待ってるぜ!」「お前の分まで酒を飲んでやるからな!」と全員がカズマを見送る言葉を投げかける。
「お、お前らあっさり手のひら返しやがって! お勤め確定みたいに言うんじゃねぇー!! 今言った連中の顔は覚えたからな! 無実を証明した暁にはどうなるか……!
どいつもこいつも覚えてろよおおおおおお!!」
捨て台詞を吐いたカズマは、両腕を騎士に掴まれ連行されて行った。
「で、なんと悲しいことにカズマさんが連れ去られちゃった訳なんだけど……どうしましょう」
【どうするもなにも、ねこたちには関係ありませんね。でした。それでは賞金を受け取りたいのであっち行け】
「いやあああ!! カズマが出てきたら怖いのお! 幸運値やばいし、引きニートの癖に妙に頭が回るから執行猶予くらいは付けてきそうで怖いのおお!! お願いだから一緒に考えてよおおぉ!!」
カズマが連行された後。少し気まずくなったものの、賞金は配られる事になった。先に賞金を受け取った冒険者達は、憂さ晴らしか昼間から酒を飲んでちょっとした宴会のようになっている。
腰に抱きついてくるアクアの頬をぶっ叩き、受け取り場へと足を進める。後ろでは泣いているアクアをウィズさんが「私でよければ考えますから…! ねこさんも、賞金を受け取った後は考えてくれますから…!」と慰めている。勝手に話を進めないでほしい。
まあ、今はそんな事より賞金だ。私は受付の金髪お姉さんの所まで行くと、指を動かす。
【ねこです。デストロイヤーの賞金を貰います。ウィズさんの分も一緒におねがいします。しました】
「はい、わかりました。それでは冒険者カードを……って、そう言えば、冒険者カードを発行されてませんでしたよね? 受け取りのため、発行していただく必要がありますが…」
そこで漸く自分が冒険者カードを持っていないことを思い出す。カエルを狩った後も、素材を売る時も、店を留守にする事ができないからウィズさんに全部やってもらっていたのだ。そろそろ、冒険者カードを作らなければと考えていた所だ。
自分は受付のお姉さんに冒険者カードを作ることを伝えると、お姉さんは書類を差し出す。自分は身長、体重、年齢、その他特徴をもろもろを書いていく。
ねこ語になってしまうので、悪戦苦闘しながら項目を埋めていれば後ろからいつの間にか泣き止んだのか、普段通りのアクアの声が聞こえた。
「ねぇウィズ。そう言えばっていうか、本当に今までなんで放って置いたのか不思議なんだけど……ねこって、名前なんて言うの?」
「え? それは……あら? あらあら? い、いつの間にかねこさんはねこさんだと、自然に当然になってたというか…わ、私! まだねこさんの名前知らない?!」
周りの冒険者も「確かに…」と、釣られて後ろが騒がしくなってきた。というか、アクアは女神なんだから名前くらい知ってると思ったが……まあ、頭が悪いから忘れてるのかもな。
「ねぇー!! 今更だけど、名前なんていうのよ! 気になってしょうがないじゃない!」
【うるさいですね、ねこはねこですよ。しっしっです】
「ねこさん! わ、私も気になります!」
【だから、ねこですねこなのです】
無視してペンを走らせていたのだが、あまりにも二人がしつこいので、自分は受付のお姉さんから一枚メモ用紙を貰い、そこに名前を書いて後ろに飛ばした。
ばっ、っと、素早い動きで取りに行ったアクアは書いてある名前を読み上げると「本当にぃ!?」と声を上げる。
なんだなんだと騒ぐ後ろがもっと騒がしくなってくる。漸く書類を書き終えたので、今度は差し出されたカードに触れれば、何やら文字が浮かび上がってきた。
「……はい、ありがとうございま…ひぃっ?!」
カードを見た途端、悲鳴を上げて固まってしまった受付のお姉さん。お姉さんの手から落ちたカードを見ると、まあ、そうなるのも納得した。
そこには、欄をはみ出してまでねこ語で埋め尽くされていたのだから。唯一無事なのは自分の名前と、職業の欄、そして討伐モンスターの表示欄ぐらいだ。
「こ、これでは数値を読み取れないので……基本職業である《冒険者》しか選べませんね。ですが、選んだとしてもスキル欄まで…その、アレなので、スキルを習得できるかすら分かりませんが…」
あまりこのカードを見たくないのか、目を逸らしながら言うお姉さん。冒険者カードとして機能さえすれば、自分は別にスキルなど覚えなくても特典があるからいいので、それでいいと頷いた。
引き気味に渡された冒険者カードを受け取り、無事(?)発行し終えたので帰ろうかと後ろを向けば、ガシッと腕を掴まれる。
「ちょっと待ちなさい。カズマを助ける方法を考えなさいよ!」
名前の件で忘れていたと思ったのに、こういう時だけ覚えてやがるなコイツ。
自分は面倒臭いので、咄嗟に思いついた案を文字にする。それは、街の近くで爆裂魔法を放ち、署員の気を引いている隙に逃すという作戦。
この街で爆裂魔法を使えるのはめぐみんかウィズさんだけなのですぐ犯人は特定されるし、そもそもどうやって逃すかは牢屋の構造を知らないとできない。ガバガバな作戦だが、アクアは満面の笑みで「頭良いわね! それで行くわ!! 早速伝えて来る!」と去って行ってしまった。
馬鹿か? いや、馬鹿だ。いや、猪突猛進だから猪だ。いや、猪の方が賢いな。
そんな事を考えながらも、メモ用紙を手に首を傾げているウィズさんを連れて自分はギルドを出た。
【さて、井戸の中にいます。店に帰りますよ。……どうしたんですか】
「いえ……その、アクア様は読めたみたいなんですが、このメモ用紙に書いてある言語がどうしても読めなくて……ねこさんの名前が分からないんです…」
しょぼんと、肩を落とすウィズさん。自分が書いたメモ用紙を覗いてみるが、確かに名字は難読かもしれないが、名前まで難しい漢字を使った覚えは……。と、そこまで考えた所で、この世界の人間は日本語を読めないのでは? と思い付く。
咄嗟に名前を書けと言われると、漢字を使ってしまう。メモ用紙に群がった冒険者の中で、自分の名前を読めたのはアクアだけらしい。まあ、読めなくてもいつも通りに『ねこ』と呼んでくれればいいのだが。
とぼとぼと歩くウィズさんをツンツンと突き、ふりがなを振ったメモ用紙をもう一度差し出す。
【ねこです。これからもねこと呼んでください、よろしくおねがいします】
ペコリと頭を下げると、ウィズさんも釣られて頭を下げ「よろしくお願いします」と言った。
店に着くまでに何度もメモ用紙を大事そうに持ち、眺めては笑顔になっているのを見ると、名前を教えてよかったなぁと心がポカポカした。まあ、呼び方はねこで変わらないんですがね。
ウィズさん、アクア様って呼び方だっけ…?
ねこの名字は、ねこですよろしくおねがいしますの番号からです。
変わらずねことお呼びください。よろしくおねがいします。
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