この素晴らしい世界にねこですよろしくおねがいします   作:アカツメヒビキ

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どうしてもセイバーのライダー(メドゥーサ)が引けなくて血涙を流すねこです。紙の月は結構簡単でしたね。わし様が引けなくて残念ですが、アーチャーは引けたので満足…な訳ない。セイバーが欲しい。


SCP×このすばさえ見れれば諦めがつく気がする。




ねこです。穏やかな旅路だったはずです。

 

 

 

 

誰が荷台に行くかで色々揉めた結果、ジャンケンに負けた駄女神と「ふむ、尻を刺激する長時間の放置プレイは悪くないな!」と意味の分からない理由で荷台に嬉々として行ったダクネスの二人が荷台に行く事に決まった。

 

 

所謂『マゾヒスト』という奴だろうか。カズマに聞いてみたが、返ってきたのは「あまり刺激しないでやってくれ」との事。

すぐには意味が分からなかったが、ダクネスが頬を赤らめ、

 

 

「んんっ、ストレートな怪訝な視線…!! はぁ、私よりも年下の少女にこんな風に見られるなんて…、なんのご褒美だ?!」

 

 

と、くねくねし始めたので、自分はダメだコイツと察し、ふと考える。

カズマのパーティーってヤバい奴しかいなくないか? 一人は不運を呼ぶ駄女神。一人は厨二病のネタ魔法使い。一人は途方もないドM……

 

 

ぽんっ、とカズマの肩に手を置き、憐れみの目を向ける。

 

 

「……そんな目で見んな。俺だって、俺だってなぁ…!!」

 

 

涙が出てきたカズマ。面倒くさい雰囲気を感じたので【ドンマイ】と一文書いてさっさと馬車に乗り込んだ。

そうして、ふと思う。自分もカズマに引けを取らず中々やばいのでは? と。

 

 

一人(?)は働けば働くほどに赤字を生み出す貧乏リッチー。一人(?)は美少女に化けて男性冒険者を虜にした後『残念、じつは我輩でした!』と血涙を流させる大悪魔。そして人を狂わせるねこの自分…

 

 

──よし、もう考えるのはよそう。

 

 

自分は考えるのを止め、荷台は嫌だと泣き喚くアクアの悲鳴を聞きながら馬車が動き出すのを待つ事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタゴトと、意外と電車に近い揺れを体感してどのくらい経っただろうか。

 

ご近所と魔道具店くらいしか行動範囲のない自分からしたら、外の世界は珍しいものだ。街は見えなくなり、時々映る見たこともないモンスターや、遠くに見える森などの移り変わる景色を堪能する。

 

 

めぐみんは違う馬車に乗っている人が置いたケージに入った小さいドラゴンを眺め、ウィズさんはめぐみんが飼っているらしい黒猫──ちょむすけと言うらしい──を膝に乗せて微笑みながら頭を撫でている。

 

 

時折、「お尻痛くて最悪なんですけど」とアクア。「痛くて最高だな。もう少し強ければ尚よし」とダクネスが真反対の事を言っているが、穏やかな旅路である。

 

 

「ねぇー、そろそろ私のお尻が我慢の限界なんですけどー! そろそろ替わってくれないと可哀想なんですけどー!」

 

「しょうがねぇなあ…。じゃあ休憩になったら場所変わってやるから、それまで我慢しろよ」

 

「私はどうぞお構い無く」

 

「おう、お前の事は気にしてないからずっとそこにいろ」

 

「はぅ! なんて冷たい返し…!」

 

 

……穏やかな旅路が台無しである。

 

 

そんな中、ウィズさんが「何なら、私が替わりましょうか?」と手を挙げる。そしてフフ、と笑った。

 

 

「このところ、バニルさんとねこさんにはとても気遣われていましたからね。『ウィズ。汝はカウンターでただニコニコして座ってればそれでいい。頼むから働いてくれるな』とか『いいですか、もう今月はこれ以上働かないでくださいおねがいしますねこは泣きます』とか…。今回の旅行も私を休ませるためですかね? 私は大丈夫なのに二人は心配症ですね」

 

 

ニコニコしながらそんな事を言うウィズさん。

自分は空気が読めるから言わない。心配しているのは店であって、ウィズさんの体調や身体ではない。そして、今回ウィズさんを旅行に行かせたのは、金を無駄に使わせないためである。

 

 

「……ねこ、金の面で苦労してるんだな」

 

【同情するなら金をくれです】

 

 

此方に憐れみの目を向けてくるカズマに言い(書き)返す。カズマも少し前までは借金塗れだったのに、今じゃ金持ちだ。どうせなら全額うちの店に使ってくれたらいいのに……。まァ、そんな事ある訳ないか。

 

 

そんな事を考えながらまた窓の外の景色を眺めるが、ガタゴトと体を揺らす心地よい振動に自分はくぁ、と欠伸が出たので休憩までは寝ることにした。

自分はねこだが猫である。少しくらい寝ていても、問題は起きないだろう。

 

 

 

 

 

そう考え、目を瞑ったその時だった。

 

 

「すみません、なんかこっちに土煙が向かって来てるんですが。それも結構な速度で。……アレ、何だか分かりません?」

 

 

千里眼とやらの遠くが見えるスキルを持っているカズマは何かを見たのだろう。そう手綱を引くおじさんに聞くと、おじさんは「走り鷹鳶ですかねぇ」と冗談みたいな名前を口にする。

 

 

直接聞いたカズマと同じく、なんだそれ。という気持ちが顔に出てたのか、おじさんが少し困ったように「そんな目で見ないでください」と言う。

 

 

「タカとトンビの異種間交配の末に生まれた鳥類界の王者ですよ。鳥のクセに飛べないモンスターでして、代わりにとんでもない脚力を持って高速で走り回り、獲物を見付けるとそのままジャンプしてかっ飛んで来る、大変危険なモンスターなんですよ。

この時期はメスにアピールするため、激突すると大惨事になりそうな硬い獲物にかっ飛んで行き、ギリギリで回避する変わった求愛行動をします。まぁ、その辺の木や石に突っ込むでしょうから安心してくださいな」

 

 

それはまァ……変わった鳥だな。下手をすれば死にかねない求愛行動など、見せ付けられても自分からすればドン引き一択である。

 

 

心配はないなら眠りに戻ろうと目を瞑るが、そこでまたもカズマが「なんか凄い勢いで突っ込んで来てるんですけど」と言うので、なんだか嫌な予感がして目を開ける。

 

 

「お客さん、もしかするとこの商隊の中に、アダマンタイトみたいな凄まじい硬度を誇る鉱石を積んでいるのかもしれません。他の商隊の者も気付いたみたいですね。安心して……。……? なんか、こっちに来ますね。というか、この馬車に。というか……!」

 

【……というねこか、荷台に突っ込もうとしてませんですか?】

 

 

荷台には、鉱石なんか積んではいない。アクアとダクネスがいるが、それがアダマンタイトみたいに硬い訳が……

 

 

ふと、そこで自分はバニルが『あの小娘、最強とされる爆裂魔法に耐えるとは一体何者なのだ?』と呟いていた事を思い出す。

あの爆裂魔法だ。機動要塞デストロイヤーを爆砕した、あの魔法に耐えたクルセイダーは、きっとアダマンタイトよりも硬いだろう。

 

 

……その、クルセイダーの名前は、

 

 

「カズマ! 物凄く速い生き物が、真っ直ぐこちらへ向かって来ている! というか……。連中が、私を凝視している気がするぞ! なっ、なんという熱視線! はぁ…はぁ…! た、大変だ、カズマ、大変だ! このままでは私は、あの高速で突っ込んでくる集団に激しく激突され、蹂躙されてしまうのでは……っ!!」

 

 

お前かダクネスー!!!!

 

 

このままでは危ないため、おじさんが馬車を止めようとする。こうすれば他の馬車に乗っている護衛の冒険者達がこの馬車と自分達を守ってくれるらしい。

 

 

「いやぁーー!! ダクネスのせいで私まで巻き添えになるんですけど! ダクネスが筋肉ムキムキのカチカチなせいで私まで蹂躙されるハメになるんですけどぉ!!」

 

「わ、私の筋肉は硬くない! この鎧がアダマンタイトを少量含んでいる特注品だからで…! 私は硬くないからな!?」

 

 

馬車が止まり、カズマとダクネスが馬車から飛び降りる体勢に。自分達の尻拭いは自分達でやるようだ。

 

 

ウィズさんも手伝おうとしたが、カズマが止めたため、御者のおじさんを守る事になる。

そして誰かの声を合図として、冒険者達が武器を構えて飛び出した。

 

 

──嗚呼、穏やかな旅路は何処へやら!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは焦らしプレイの一環なのだろうか?! このギリギリでのお預け感がまた……! なんて事だ、私の体の上を次々と発情したオス達が通り過ぎていく…!」

 

「よし、人目もあるんだお前はもう黙ってろ!」

 

 

自分からバインドに突っ込み、手と足を拘束されたまま地面を転がるダクネスの上を、鷹鳶がスレスレで飛び越えていく。

 

 

自分達から見ればただの行き過ぎたマゾ行為が、他の冒険者から見たら自ら囮になっている素晴らしいクルセイダーとして格好良く映っているらしい。何故だ、コイツはただのど変態だぞ。

 

 

「魔法だ! 動きが速いから、魔法を使え!」

 

 

誰かのその言葉に、魔法使い達が一斉に魔法を唱え始める。それよりも先に、自分が大きく息を吸い込み声を出した。

 

 

「『ねこですねこはみています』!!」

 

 

瞬間、鷹鳶達は足をもつれさせたり失速したり、方向が狂ったりしたところで魔法使い達の魔法が当たる。仕留めても慣性に従い馬車や冒険者に突撃するため、狂わせてそれを出来る限り被害を少なくさせる。

 

 

そうしていれば、何か思い付いたカズマがダクネスに繋いだロープを荷台の柱に結び、そのまま馬車を走らせる。

仲間を引きずるその行為に、流石に皆ドン引きしているらしい。馬車に乗っているアクア達がカズマを非難している。

 

流石の自分もあれはないと思う。流石鬼畜のクズマと名高い冒険者だ。ご近所の奥様方からも「年端も行かない少女にヌルヌルプレイをした」と、噂されるだけはある。

 

 

「お客さん、どうします!? 連中がこっちに向かってきてますよ! 追いつかれます! どこへ向かえばいいんです?!」

 

「洞窟へ! さっき言ってた洞窟へと向かってくれ!」

 

 

カズマには何やら考えがあるようだが、速度は向こうの方が上のため、追い付かれそうだ。

その時、ウィズさんが小さく詠唱を唱えているのを聞き、それに合わせて自分は、すぅ、と息を吸い、窓から顔を出して鷹鳶達を睨む。

 

 

「『ねこはここにいます』!!」

 

「『ボトムレス・スワンプ』!」

 

 

馬車の外に自分の声。そして馬車の中にウィズさんの澄んだ声が響き渡り、それと同時に馬車と鷹鳶の間に巨大な沼が現れる。

自分の声が届いた先頭から中程までは、思考が狂い沼にそのまま突っ込んで沈んでいく。

 

 

ダクネスは無事かと思い視線をそちらに向けるが…!

 

 

「んあああ、こっ、こんなのはっ! 鎧がガリガリ鳴っている! ああっ、マントがこんなに破け、貴族にあるまじきボロボロの格好にっ……! や、止めろぉ! カズマ、ねこ、見るな、こんなボロボロにされていくみすぼらしい私を見るなああぁっ!」

 

 

どうやら頭が重傷なようだ。チラチラと此方を伺う余裕まである。

必死に回復魔法をかけているアクアの方がまだ今回はマトモだ。

 

 

「カズマ! 洞窟が見えてきました! 私の方はいつでも魔法が撃てますよ!」

 

「よし、俺が合図を出したら頼む! おっちゃん、洞窟が見えたらそのわきに馬車を止めてくれ! アクア、俺にも筋力増強の支援魔法を! ねこは鷹鳶を狂わせて少しでも速度を落としてくれ!

 

──ッ! 狙撃狙撃狙撃狙撃ーっ!」

 

 

激走してガタガタと車酔い必須の馬車中。片方の窓から自分が頭を出して鷹鳶を狂わせ、もう片方の窓から身を乗り出しカズマが矢を飛ばす。

 

 

ピィーヒョロロロと威嚇するように甲高く泣き叫ぶ鷹鳶。攻撃されて怒っているのか、勢いを落とすどころか更に集団のスピードは一層速くなり、風のように駆ける。

 

 

「お客さん、洞窟前です! あの洞窟は雨でも降らない限りは人なんて近付きもしません、遠慮なくやっちゃってください! ……急に止まりますから、何かにしっかり掴まっていてくださいよっ!」

 

 

その言葉に全員が手近な物に掴まる中、馬車は勢いよく洞窟の入口脇へと急停車した。バスや電車の急停止よりも強い揺れと衝撃に身体をぶつけて痛い。

 

 

──アクアからの支援魔法で筋力が強化されたカズマは、馬車から飛び降り、ダクネスと馬車を繋いでいたロープを引っ張ると、ダクネスをハンマー投げでもするかのように振り回し、洞窟前に放り投げる!

 

 

いや、やっぱりいくらダクネスがドMでもこれはないんじゃないか?! と思い見るが「悪くない、悪くないぞこの仕打ち!」と喜んでいるのを見たのでもう心配はしない事にする。

 

 

そんなダクネスの上を勢いそのままに正面跳び、背面跳び。ベリーロールに挟み跳びと、多種多様な跳びで洞窟の中へと突っ込んで行く。あっという間に最後の一匹が洞窟へと消えると、カズマは「やれっ!」とめぐみんに合図を出し、ダクネスを洞窟から少しでも離す。

 

 

 

「『エクスプロージョン』ッッッ!」

 

 

 

放たれた閃光と爆発が、小さい小山のような洞窟を吹き飛ばす。轟音と共に瓦礫が吹き飛び、それに少し当たってしまったダクネスは心底幸せそうだ。

 

 

それを見ながら、とっくのとうに眠気が吹き飛んだ自分は爆発音が響く中で静かにため息を吐いた。

 

 

嗚呼、穏やかな旅路の筈が……、もう、これ以上は何も起きないでくれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──その夜、

深夜にアンデッド騒ぎが起きた時は、ウィズさんまでターンアンデッドに巻き込まれたのもあって流石にブチギレた。

 

 

アクアはすっかり静かになったのでよく眠れた。

 

 

 

 

 

 






┏┛墓┗┓

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