この素晴らしい世界にねこですよろしくおねがいします 作:アカツメヒビキ
番外編の構想やらも大分決まってきました〜。SCPこのすば小説が難しいのはわかっていますが……増えてくれっっ!!
目の前には、目玉が潰され脳漿と鮮血を撒き散らすカエル。直接ではないとしても、このカエルは自分が殺した。狂わせて、狂わせて、狂わせながら死の淵へと誘導したのだ。
そよ風が吹き、鉄の匂いが鼻口を刺激する。正直、目の前の光景は気持ち悪くて仕方がなかった。R18Gのタグをつけてもいいくらいだ。だが、罪悪感は一切感じない。『撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ』ならぬ、殺していいのは、殺される覚悟のある奴だけだ的な思考をしているからだろうか。
まあ、人を殺したなら兎も角、カエル一匹殺したところで罪悪感など生まれる筈もないか。この異世界は弱肉強食の世界なのだろう。流石に言葉通りこんなカエルを食べるほど、異世界はゲテモノ好きじゃないと思うが、強い者だけが生き残る世界なのは間違いない。
カエルは弱いから死んだ。自分は強いから生き残った。ハイ、単純明快!! よって脳内会議は終了っ!!
パンパンッと手を叩き、弱者のレッテルをお供え物とされたカエルに背を向ける。次の議題はこれからどうするか、だが……この見た目じゃあ町には入りづらい。尻尾は腰に巻くとして、何か頭を隠す物が欲しいところだ。
そんなことを考えていれば、またも生臭い匂いが鼻にツンとくる。舌打ちしながら匂いの方向を見れば、今度は桃色のカエル。その後ろには黄色。そのまた後ろには水色のカエルがドスンドスンと地響きを立てながら此方へと向かってくる。
なんだお前ら繁殖期か。飛んで火に入る夏の虫__いや両生類め。此方に来れば脳漿破裂パーティー真っ逆さまだぞ。地獄絵図だ。目に毒どころか鼻にも毒である。むせ返るほどの鉄の匂いが充満する光景を想像してしまい、自分は気分が悪くなった。
そうこうしてる間にもカエルは近付いてくる。自分の攻撃手段は狂わせることしかない。それは自分が一番良く分かってる。今の自分にある選択肢は▽逃げる か▽狂わせる の二択。首の付け根に星がある血統に伝わる戦法に則って、逃げてしまおうか? いや、隠れる場所もないこの草原で、鬼ごっこをするのは勘弁してもらいたいものだ。逃げた先にカエルがいる可能性もある。かと言って複数同時に相手を狂わせられるか確証がないまま戦うのも危険だ。数の暴力でパクリと頂かれてしまう。
タイムリミット付きの二者択一を迫られる。セーブがしたいがこれは現実。こんな非現実的な現実があってたまるかと怒鳴りたいが、それは今はどうでもいい事だ。こんな時でも空は青いな、これこそどうでもいい事だが。いけないいけない、目の前の現実から目を逸らしたくなっても今逸らしたら捕食エンドが確定してしまう。
迫ってくるカエルを見据え、ゆっくりと深呼吸をする。やらない後悔よりやる後悔だ。一匹残らず狂わせて、地獄への片道切符を買わせてやる。大丈夫。戦う覚悟は今、出来た。
迫るカエル。額に伝う汗。緊張を誤魔化すための、不格好な作り笑い。大丈夫。ここは異世界。ファンタジー。異世界転生した自分は俺TUEEEE展開になること間違いなし!! こんなカエル数匹くらいはお茶の子さいさい朝飯前!!……の筈。
唾を飲み込み、息を吸う。そして意を決して大きく声を張り上げ__!!
「『ね』」
「『カースド・クリスタルプリズン』っ!!!!」
後方からの声に自分の言葉が遮られたと思った刹那。吹き抜ける冷気と共に目の前のカエル達が分厚い氷に覆われる。まるで樹脂の中に閉じ込められた虫入りの琥珀__と言うより、まるで奇抜な現代アートの彫刻のようだ。
驚いた自分が後ろを振り返ると、そこには美人なお姉さんが栗色の長髪を風に
「お怪我はありませんか? ……どうやら、大丈夫そうですね。よかったです」
そしておっとり美人のお姉さんが近づいて来たかと思えば、怪我がないことにほっとため息をついた。良い匂いがしてドキリとしました。そして、すごく……大きいです(視線を少し下にして)。
と、変態思考はそこまでにしておいて……自分は命の恩人に感謝の意を示すためにペコリと斜め45度に頭を下げた。するとお姉さんは「いえいえ。そんな……」と謙遜したと思うと、じっと頭頂部を見つめられる。
「その耳と尾……獣人さんですかね? 獣人は大体複数人で行動する習性があるはずですが、迷子ですか?」
流石
__が、声を出そうとした
「……どうしたんですか? 大丈夫です。私は悪い人ではないので、安心して喋ってください!」
違います。そうじゃないんです。喋らないんじゃなくて、喋ったら駄目なんです。命の恩人に、恩を仇で返したくないんです。
ずっと黙っている自分を見て、心配そうにオロオロとしているお姉さん。どうにか喋れないことを伝えなければと、精一杯身振り手振りで伝えようとする。
「えぇと……口がバッテン? あ、あのうさぎさんですか!」
違う、そうじゃない。というか、この世界にも口がホッチキス説のうさぎが存在するのか。首をぶんぶんと横に振り違うアピールをし、身振り手振りを続ける。
「え、えーっと……口を開くと相手が……踊る? あ、歌が上手いんですか? 思わず、その歌声を聞くだけで踊らずにはいられなくなるとか」
違う、そうじゃない。実際に歌えば、踊り狂いながら観客全員らりって最終的に死ぬぞ。また首を横に振り、精一杯伝えようと体全体を使う。
「え、えぇ……口を閉じてると丸で、開けると聞いた相手が奇妙な踊りをして、倒れてしまう……? はっ、ま、まさか……?!
__貴方、マンドラゴラのハーフなのですねっ?! 口を開くと聞いた相手は死に至ってしまう……安心してください! 私は大丈夫ですよ!!」
ちっっっがう!! そうじゃないっっ!!! 惜しい所まで行ったが、伝わらなすぎて思わず地団駄を踏んでしまう。ていうか、マンドラゴラのハーフってなんだよ?!
地団駄を踏むケモ耳。オロオロするおっとり美人。側から見れば、一体どんな光景なのだろうか。そう思っていれば、二度あることは三度ある__ツンと鼻を刺激する匂いに、またカエルかとため息をついた。
ドスンドスンと此方に向かってくるカエル。それに気付き、お姉さんは「任せてください!」とカエルに手のひらを向ける。カースドなんとかかんたらを撃つつもりだろうか、手のひらに冷気が集まり、背筋が震えてくる。
自分はそんな戦闘体制のお姉さんの前に立ち、首を振る。そしてカエルに向けていた手のひらを降ろしてやる。
「え? えぇと、貴方が倒す……ということですか?」
お姉さんは戸惑いながらも、今度こそ正解を言い当ててくれた。自分は首を縦に振ると、カエルに向かって歩き出す。近付くにつれ、巨体と小さな自分との差がよく分かる。カエルがはっきりと見える位置に来たところで、ちらりとお姉さんを横目で見てみれば心配そうにハラハラしていた。
まあ、見た目はまだピッチピチの16歳の猫耳生やしたか弱い少女だしな。心配になるのも無理はない。
カエルが大きく口を開くので、自分も真似して大きく口を開く。ゲコッと真似して声に出してみるが、やはり出てくるのは意味不明な言葉。
これを見たら、お姉さんは理解するだろう。目の前にいる少女が、どれだけ異質であるのかを。
「…………え??????」
混乱するお姉さんに、口元にバッテンを作りながらにっこり微笑んだ。
そんな微笑む自分の側には、目玉が潰れ、内臓をぶち撒けたカエルの死体が無惨に転がっていた。
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