この素晴らしい世界にねこですよろしくおねがいします   作:アカツメヒビキ

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お気に入り290人以上、評価17人ありがとうございますねこでした! たくさんの人に見てもらえてとてもねこは嬉しいです!

……もう、このすば×SCP小説増えていてもおかしくないですよね???


ねこです。恩人と就職です。

 

 

 

緩やかな午後のティータイム。お姉さんはポットから紅茶?(ハーブのような匂いがする)を綺麗な動作でカップへと注ぎ渡してくれる。そして少し混乱した面持ちでおずおずと尋ねてきた。

 

 

「えっと……その、つまり貴方が話す言葉は生き物を狂わせてしまう力がある……ということですか?」

 

 

お姉さんの言葉に、肯定の返事の代わりに縦に頷く。そしてほんのりと温かいティーカップを手に取り口へと持っていき、中の紅茶をごくごくと喉を鳴らし、飲む。若干ぬるいが、猫舌の自分としては丁度いい温度だ。そして美味しい。

 

 

さて、説明が遅れたな。ここはお姉さんが経営している魔道具店らしい(お客さんがさっきから全く来ないのはスルーしておく)。その名も『ウィズ魔道具店』。お姉さん改めウィズさんは凄腕のアークウィザード__つまりは魔法使いだそうだ。あのカエル共を一瞬で氷の彫刻にした時点で只者ではないと思っていましたよ、ええはい。

 

 

さて、何故ウィズさんの店に来たのかという疑問に答えさせてもらおう。勿論、あのまま草原にいればカエルが邪魔になるということもあるが、一番の理由は喋れないことを理解したウィズさんが自分に"良いものがある"と誘ってきたからだ。

 

 

まあ、自分は命の恩人だからと言って見知らぬ人にホイホイ着いて行く警戒心皆無な人間(ねこ)ではない。だがしかし、先程も言った通り命の恩人でもあるし、耳を指差し目立つのが嫌だと示したらフードを貸してくれるし、どうにも人を騙すというよりも騙されるような印象を受ける。

 

 

それに、このまま意思疎通の手段がジェスチャーだけになるのは死活問題だ。何も会話だけがコミュニケーションの全てではないが、人間関係やらその他諸々は会話で成り立っていると言っても過言ではない。そんな訳で"良いもの"を譲ってくれるなら行くしかないのである。

 

 

「えーっと、確かここら辺に……あ、ありましたよ! これです、これ!」

 

 

紅茶を飲んでいると、店の奥でゴソゴソガサガサなにやら一匹いたら百匹はいると言われている黒光りする虫のような音を立てていたウィズさんは、手に指輪のような物を持ってきた。そしてその指輪を渡たされる。はめてみろという事だろうか?

 

 

取り敢えず、利き手の人差し指に指輪をはめてみる。少し大きいと思った指輪は指にはまると少し光り、次の瞬間には自分の指にぴったりな大きさに変化した。

 

 

「ふふ、驚きましたか? 次は、指輪をはめた指に魔力を少し集中させて空中に何か書いてみてください」

 

 

ウィズさんはこの後のこちらの反応を予想してか、少し楽しそうに笑った。魔力を集中という行為の仕方が全くもって分からない。が、取り敢えず指先に力を入れて意識を集中させると、何やら変な感じがするものが指先に集まっていく感覚がする。きっと、これがウィズさんの言う"魔力"というものなのだろう。

 

 

指先に魔力を集中させた後は、すぅーっと空中を優しくなぞるように線を引いてみる。すると、それをなぞるように光が自分の指の後をついてくる。

 

 

__空中に文字が書けている! 驚きと感動から目をキラキラと輝かせた自分は、記号や文字や某ネコ型ロボットを書いては、ほぉ…と感嘆の息を漏らす。流石異世界(ファンタジー)だ。VRかなんかで似たようなのが現代ではあったが、それの完全上位互換である。

 

 

「それは『声封じ』の呪いや怪我や病気で声が出なくなってしまった人に向けて作られた指輪です。少量の魔力を使って空中に文字が書け、紙やペンがなくても筆談できる優れ物なんです!」

 

【ねこです凄いですねこれ!】

 

「ふふふ、そうでしょう? そうでしょう? 凄い商品なのに、何故か売れないんですよね…」

 

 

早速この指輪のコツを掴んだ自分は、ウィズさんの前に文字を書いていく。変な言葉は筆談でさえも口癖のように付き纏っているが、まあ支障はないようだし無視しよう。

 

 

【便利な井戸です商品なのに、何故売れないのか心当たりとかありませんか?】

 

「うぅん……強いて言うなら、もう『声封じ』の呪いを持つモンスターは絶滅してることと、プリーストの職業の人に頼めば呪いや怪我は治してもらえることぐらいでしょうか…?」

 

 

思わず言葉を失った。いや、実質文字通り失ってるようなものだが、ウィズさんにかける言葉ならぬ、書ける言葉が見つからない。

 

 

……何故だ。何故それを知っていながらこの指輪を仕入れたんだウィズさん。

 

 

「因みにですが、お値段は130万エリスとなっています」

 

 

書ける言葉はブラックホールへと吸い込まれた。そして自分は項垂れた。駄目だ、この人絶対に商売の才能が絶望する程ない。ここの店に来る前に見た看板に書いてあったのだが、ここはアクセルと言う、始まりの街と呼ばれる場所だ。RPGでは攻撃力が1のスライムでまずはレベル上げをするような街で、どうしてそんな高額な買い物が出来ると勘違いしているのであろう? (1エリスが何円なのかは知らないが)

 

 

【あの、自分は一文無しなんですが……とてもそんな大金なんて払えませんです】

 

「あ、いえいえお代はいただきませんよ。そのような体質では困ることばかりでしょうし……これは、私が勝手にプレゼントした物ですので。どうぞ受け取ってください」

 

 

ウィズさん、貴方って人は……!! 項垂れ、落としていた視線を今度は上に上げて天を仰ぐ。駄目だこの人は、絶対いつか……というか、近いうちにでも店を潰しかねない。お人好しすぎるし、人に騙されそうだ。

 

 

よく見るとウィズさんの顔は青白く、頬が少し痩けている。もしかすると、経営難で十分に食事が取れていないのだろうか? 自分は、恐る恐るウィズさんに向かって指を動かす。

 

 

【あの、顔色が悪いですけどきちんと食事を取っていますか? どこにでもいます】

 

「ええと、固形物を最後に食べたのは、今から2ヶ月前で……」

 

【ねこはここで働きます】

 

「……ふぇ?」

 

 

高らかと天を仰いでいた手でバンッとテーブルを叩き、ウィズさんにそう伝えた。ウィズさんは混乱しているが、そんなことはお構いなしにウィズさんに頭を下げながらお願いする。

 

 

【ここで働かせてください!! ねこはいますここで働かせてください!!】

 

「え、えぇ!! いや、あの、自分で言うのもあれなんですけど、この店は赤字続きでお給料を払うことができなくて…」

 

【お給料はいらないです。この指輪代だけでも、働かせてください。お願いです。あと食事を取ってくださいお願いします死んでしまいますねこはいました】

 

「ああ!! そ、そんなに頭を下げないでください! 分かりました! 雇います、雇いますから!!」

 

 

ヘッドバンギング並みに頭を上げ下げしたお陰で、晴れて自分はウィズ魔道具店の店員へとジョブチェンジした。自分の今の目標はただ一つ、命の恩人の命を食い止めることだ。必ず朝昼晩の三食をきっちり食べて健康的にさせてやると誓いながら、取り敢えずはウィズさんが持ってきた帳簿を開いた。

 

 

帳簿に目を通した。目を擦った。もう一度目を通した。パラパラとめくった。目を擦った。もう一度最初のページから見直した。目頭を抑えた。帳簿を閉じた。深い、深いため息を吐きながらウィズさんと向き合う。

 

 

【ウィズさん、ねこでした貴方クビにしていいですか?】

 

「ひ、ひどいっ!!! 雇って一日未満の人にクビを宣告されました!!」

 

 

__暫くの目標は、ウィズさんを働かせないことにする。

 

 

 

 





友達に貸したこのすばが帰ってこないので、遅くなってます。すみません

好きな猫系SCPは?

  • 無害な子猫
  • 半身猫のジョーシー
  • お使いのテレビ(以下略)
  • 『ふくろねこ』
  • ねこですよろしくおねがいします
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