この素晴らしい世界にねこですよろしくおねがいします 作:アカツメヒビキ
遅くなりましてスミマセン。
漸くこのすば一巻が帰還したので、進めていきます。
このすば×SCP増えてくださいよ。280や682、49とか個人的に好きです。
あれから数ヶ月が経った。
__なんてあっさり十数文字で終わらせられるほど時が経つのが早かった訳じゃない。なる訳ないじゃないか。時は金なりとは昔の人はよく言ったものだ、なんせ時間が経てば経つほどウィズさんは無駄遣いをしてお金を湯水のように浪費するのだから。少し目を離した隙にやっとのこと稼いだお金があんな
種も仕掛けも悪意もない。ひたすらにウィズさんはあの
……だが、きちんとメリット・デメリットを聞いた上でこんな
「……あら? なんだか褒められたような気が……」
なんでその一部分だけ受信してんだよ。99%勘違いだからな。棚の掃除をしていたウィズさんに心の中でそう呟き、ウィズさんの発言自体は無視をしてご近所のママさんとの約束があるのでカウンターから席を立つ。
【ねこです少しだけ留守にします】
「そうですか。なら、私が代わりに…」
【ということで、店は一時的に閉めてください井戸小屋です。何か仕入れてこれ以上借金を増やされたくないので】
「ひどいですっ! と、というか私のお店なのになんでねこさんが仕切ってるんですか!」
【無駄に育った自分の胸に手を当てて聞いてみやがれです。ねこでした】
と、軽くウィズさんと言葉を交わせ店を出る。これから近所のママさんから野菜とカエル肉のお裾分けがあるのだ。まさか本当にカエルを食べるとは思わなかったがもう慣れたもので、それに久しぶりの肉である。喜んで食べようじゃないか! ……未だに野菜が飛び回るのは慣れないし、あまり気が進まないが。
今日は雲がひとつもない晴天だ。フードをしていないお陰で髪がそよ風に流され、少し視界に入る。元気に客寄せをするおじさんがいる八百屋や、よくパンの耳をくれる焼きたての良い匂いがするパン屋。なんだかよく分からない物が置いてある骨董品店に、お酒を飲み過ぎた人たちの吐瀉物がたまにある路地裏。
初めの数週間は全く出歩かなかった町も、今ではフード無しでもちょくちょく散歩をするほどに慣れてしまった。子供たちからはこの魅惑のふわふわもふもふ猫耳と尻尾のお陰で大人気である。そんな子供たちと遊んでやっていると自然に近所の人たちとも交流が増え、偶にだがこうしてお裾分けが貰えることがあるのだ。
すれ違う子供たちが手を振ってくるので振り返しながら歩いていると、お裾分けをしてくれるママさんがわざわざ家から出て待っていてくれている。手には紙袋と中のものが暴れまくっている布袋を持っていた。
小走りでそこに向かい、待たせてしまった謝罪とお裾分けの感謝を込めて深くお辞儀をする。するとママさんは「家の子供が世話になってるお礼よ〜!」とニコニコしながら紙袋と布袋を渡してくれた。紙袋は少し温かく、揚げ物の良い匂いが鼻腔をくすぐる。布袋は相変わらず暴れているけれども。
「これ、ジャイアントトードの唐揚げね。あとそっちはミニトマト。小さいから攻撃力は弱いけど、動きが素早いから注意するんだよ。ヘタを持つと大人しくなるから」
首根っこを掴まれると大人しくなる猫かよ、と心の中でツッコミつつ、もう一度ペコリと頭を下げて【ありがとうございます】と書いて伝える。さて、ウィズさんがやらかす前に早く帰らなければ…
__そう考えた瞬間に、今まで感じたことのない魔力に思わず体がビクッと跳ね、尻尾の毛が逆立った。
体がぶるりと震え、思わずミニトマトが入っている布袋を落としてしまったが、ミニトマトも先程の魔力に怯えているのか大人しかった。布袋を拾い上げ、魔力を感じた方向を見る。
なんだ、なんだ今のは。ウィズさんの魔法を間近で見た時よりも凄いこの魔力は。立ち止まり、辺り一帯に耳を澄ましてみる。と、同時に響く爆発音。距離的には町から少し離れているだろうか、振動まで伝わってきたので、火山でも爆発したのかと少し不安になる。
超魔力の次は謎の爆発、これらが関係しているのかは分からない。……気になるが、今はこの唐揚げが冷めない内に、そしてウィズさんが稼いだお金をゴミに変えてしまう前に早く店に帰らなければ。そうして立ち止まっていた足を動かし、歩を進める。
そんな世界だ。きっと、こういうことも日常茶飯時なのだろう。そうではなくとも、大事件なら王都が対処するだろうし、自分には関係ないことだろう。……とにかく今は、ウィズさんが待っている魔道具店に帰ろう。
足早に魔道具店へと向かう自分の耳に、少し離れたところで少し聞き覚えのある叫び声というか、発狂音が聞こえた気がしたが、空耳だろうと片付け先を急いだ。
店に帰ってくると、ウィズさんの姿はなく、よく見ると店の奥から此方をそーっと覗いていた。だが、見知った顔だと分かった途端に笑顔で「おかえりなさい!」と駆け寄ってくる。いつの間にか犬属性を身に付けたらしい。犬(属性)のお姉さんと猫の少女がいる店と売りに出せば客は増えるだろうか?
【ただいまです。ねこですよ。どうしたんですか?】
「……ねこさんも感じたでしょう? あの魔力を。私、なんだか寒気が止まらなくて、少し怖かったんです
__ですけど、ねこさんの顔を見て安心しました。もうなんでもありません!」
少し青白い顔のウィズさんが目を細めて笑う。体調が悪そうだがそれが一周回って儚げで、思わず心臓が高鳴ってしまった。これで浪費癖というか、まともな商売をしてくれるなら文句無しの美人なのだが……天は二物を与えずというからな。
よし、ウィズさん分の唐揚げを多くしてあげよう。店長がそんなのだと見栄えが悪いからな。そう思った自分はミニトマトを奥に置き、お皿を出して唐揚げを盛るが……おや、冷えてしまっている。まあ、残念だが仕方がない。もう少し速く走って帰るべきだったな。
そう、少し残念そうにした自分を見て、久しぶりの肉に目を輝かせていたウィズさんはポケットから箱を取り出した。
おい、なんだそれは。そんな物は見たことないぞ。まさか、まさかウィズさん、貴方……!!
「そういう時はこれですよ! 先程買ったこの箱はですね、物を入れればすぐに温めてくれるんです! これで冷めてしまった唐揚げもほっかほかですよ!! ただ、箱自体も熱くなるため氷系の魔法を使わないと中の物を取り出せないのが難点なんですが……って、ああああ!!」
自分は箱を取り上げると、思いっきりセール品という名のゴミ箱へと投げ入れる。そして、自信満々に紹介した魔道具を投げられショックを受けるウィズさんに一言。
【ねこは唐揚げを没収します】
「そ、そんなああああああああああああぁぁぁ!!!!」
ウィズさんの悲痛の叫びが店中に響き渡った。嗚呼、井戸に……いや、日本に帰りたい。
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