この素晴らしい世界にねこですよろしくおねがいします 作:アカツメヒビキ
そろそろ、このすば×SCP小説が増えてもいい頃なんじゃないかって思うの。思うのよ。思うんだなぁ。
………思うんだよなぁ。チラッ
「で、ではいきます………………。ふぅ、終わりです。これで習得できるはずですが……ね、ねこさん大丈夫ですか? 気分は悪くないですか? お腹空いたりしてませんか?」
自分が差し出した手をウィズさんは壊れ物を扱うかのように手に取った。すると、手先から魔力が吸い取られて行く感覚がした。ホースから水が出て行くようなイメージだろうか。それが終わると、ウィズさんは自分に何かなかったかと聞いてくる。確かに少し疲れたが、そこまで心配されるものではない。
大丈夫だ、問題ない。の意味を込めてサムズアップをしてやると、ウィズさんは安心からかほっと息を吐きながら胸を撫で下ろした。
「ありがとうウィズ。ちゃんと習得できたよ」
「いえいえ、何度も言いますが、これは前に見逃してくれた恩返しですので……」
「リッチーのくせに良い子ぶって気に食わないわ。……ふう!」
アクアが割と強めに耳元に息を吹きかければ、ウィズさんは「きゃあああああああああああ!!!!」と、どんがらがっしゃんと勢いよく床に置いてある
どんだけちょっかい出せば気が済むんだお前!! 学習能力ゼロか!! そう心の中で悪態をつきながら倒れたウィズさんの元へと駆け寄ると、しきりにり「耳が…耳が……」と耳を抑えてぷるぷる震えている。
「アクアお前! そろそろガチで怒るからな!!」
「な、なによ?! ちょっとした悪戯心じゃない! 私の
「なぁにが
「うわああぁぁ!! カズマが、カズマが言っちゃいけないこと言ったああああぁぁぁ!!!」
外野の声が煩いが、それに構わずにウィズさんの耳を見てみると……薄い。いや、透けているか透明になっているというのが正しい表現だろうか。
取り敢えず、ウィズさんをこれ以上虐められないために奥に避難させることにした。避難完了後も「だからちょっとした悪戯心だったのよおお!!」やら「近付くな汚神!!」やらギャーギャー騒いでいる二人を横目に、先程のウィズさんが吹き飛んだ衝撃で巻き添えを喰らった
「ごめんください、ウィズさんはいらっしゃいますか?」
【井戸悪霊ですか……】
「あ、いえ。井戸じゃありません。屋敷です」
【……ねこの口癖のようなねこです気にしないでくださいおねがいします】
ウィズさんを訪ねてきたこの男性は、不動産業を営んでいるそうだ。最近この街の空き家に何故か様々な悪霊が住み着き困っているそう。冒険者ギルドも初めての事態で対処不可能。祓っても祓っても悪霊はわんさかゴキブリのように湧いてくるらしい。
「ウィズさんは、店を持つ前は高名な魔法使いでしてね。商店街の者は、困った事があるとウィズさんに頼むのですよ。特に、アンデッド絡みの問題に関してはウィズさんはエキスパートみたいなものでして。
……ああ、そうそう。そこのねこさんは、ジャイアントトードキラーと街の方々からには呼ばれていまして。なんでも、最近では姿を見ただけで逃げ出すほど恐れられているとか。そこに売っている猫のぬいぐるみを牧場に飾っておくと、家畜が食われないとこれまた効果覿面だそうで…」
【ねこの事は、今は関係ないのですきいてますか?】
「あ、そうですね。すみません、話が逸れてしまいました。……と、先程説明した通り、アンデッド絡みなので、ここはエキスパートであるウィズさんに相談に来たのですが……おや、ウィズさんはお留守ですか?」
キョロキョロと店内を見回し、困ったような表情を浮かべる男性。カズマがアクアを見ると、ふいっと視線を逸らす。自分は無言でアクアを見ると、視線を合わすまいと物凄い勢いで首ごとぐりんと回す。
…………。自分は眉を八の字に下げ、悲しげな表情を浮かべながら指を動かした。
【ねこですね実は……ウィズさん、体調が優れないんですます】
「ええ! いつも心配になるほど青白い顔をしてましたが…今日は余程具合が悪いんですね」
【そうねこです。……青白く、小刻みに震えていて、立ち上がることさえ辛いようでした、です】
「そ、そこまで?! ……何か、悪いものでも憑いているのでしょうか」
【……とびっきり悪い者に、何かされたのかもですねねこはいます】
横目で今の会話をチラ見していたアクアに向けて、最後の文を見せてやれば、冷や汗をダラダラとかきながら震え出した。そして、カズマと自分の無言の圧力をかけてやると、アクアは控えめに手を挙げ小さな声で呟いた。
「…………わ、私が、やります……」
自分はその言葉を待ってましたと言わんばかりに褒めてやった。頭をよしよしと撫でてやると、アクアは涙目になりながら携帯のマナーモードのようにより一層震え出したので面白かった。
【アクア、頑張ってくださいねこです】
「…………はい、がんばるます……」
【あ、アクアの保護者であるみてますよ貴方にこの請求書は渡しておきますねねこでした】
にっこり笑顔でカズマに
店から出て行くのを見届けると、自分はまずはティーカップの片付けから始めることにした。
「ねこさん、ただいま帰りました!」
一夜明け、すっかり調子が戻ったウィズさんが散歩から帰ってきた。何やら嬉しそうだ。鼻歌まで歌っているので、こんなご機嫌なウィズさんが不思議な自分は、はて、何があったのだろうか? と、思わず首を傾げれば、ウィズさんは疑問を汲み取ってくれたのか、口を開いた。
「例の悪霊騒ぎのお屋敷、カズマさんたちが報酬で住むことになったんですよ。きっと、これであの子も寂しくないはずです!」
エプロンを付けながら笑顔で答えるウィズさんに、此方も釣られて口角が上がる。あの子、とは一体誰だか自分は知らない。ただ、たまに悪霊騒ぎのあった屋敷でウィズさんが誰かのお墓を掃除していることは知っていたので、何となく察することはできた。
まあ、なんにせよ良い結果になったみたいで満足だ。自分としても、例の
このまま、魔道具店の黒字を目指して平和に過ごせたらいいなぁ…。と、自分は
悲しいかな。これは世間一般でいうフラグであると、この時の自分は微塵も気付かなかったのである。
祓っても祓っても湧き出る悪霊。ごーすと。
分け入っても分入っても白い猫。ねこ。
ねこはジャイアントトードを惹きつけやすい体質らしく、散歩に出ると八割の確率でエンカウントするためそのたびに脳漿破裂パーティーをしていたらカエル共から「あいつヤベェ」判定を受けました。
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