ギース・ハワードになった君はMr.ビッグを指差しながら言った。

「お前をチームから追放する!!」

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ギース・ハワード参戦

  

 

 おめでとう。君は念願の、格闘ゲーム「餓狼伝説」に出てくるラスボスを勤めてた「ギース・ハワード」になった。その威圧感から悪役の代表の一人と言っても過言ではない、あの日本大好き「ギース・ハワード」だ。やったね。

 

 君がギース・ハワードになったのはひとえに常日頃から徳を積んできたお陰と努力の賜物と言えよう。

 

 そして君がギース・ハワードになって数十年、君がギース・ハワードになることを望む切っ掛けとなった()()大会への参加資格となる招待状が君の下に届いた。これには君は諸手を上げて大喜びだ。ばんざーい。ばんざーい。

 

 

Mr.ビッグ!!

 お前をこのボス・チームから追放する!!

 

 

 招待状を手にした君は真っ先にチームメイトの一人であるMr.ビッグの追放を宣言した。

 

 当然だ。やつはボスであってボスではない。おまけにビッグを自称しているが、本名ジェームスのグラサンハゲはこの世界において言うほどビッグではないのだ。せいぜいミドルだ。君は「んんんんんー、許るさーん!」と口にこそ出さないがそう思っていた。

 

(──ちなみに「許るさーん」は誤字ではない。怒ると「る」が1個増える仕様なのだ。これは仕方ない)

 

 君の隣にいるチームメイトの一人で「餓狼伝説2」でラスボスをやっていたダンディーなお髭を持った金ぴか鎧おじさまのクラウザーも「うんうん」と頷いている。どうやら君の言うMr.ビッグ追放に賛同しているようだ。これは心強い。

 

 

ふざけるな!!

 

 

 だが君の態度と意見に賛同しかねるのか、君が追放の理由──いわゆる格闘ゲームのラスボス。彼がそれの未経験者であること──を述べたにも関わらずMr.ビッグは憤慨する。

 

 

ボス・チームの『ボス』はそういう意味じゃねえ!!

 

 

 顔どころか頭を真っ赤にして喚くMr.ビッグ。……とはいえ彼の怒りは至極同然かもしれないと君は考えた。しかし、そうなることを見越していた君はわざわざ彼のためにチームメイトを用意していた。

 

 1台の黒塗りのベンツが君たちの横に止まると、見るからに身体を鍛えているのがわかる屈強な男たちが三人、ベンツから降りてきた。君とクラウザーが呼び寄せた格闘家たちであり「餓狼伝説2」で終盤でプレイヤーと戦うことになる三闘士と言われている男たちだ。

 

 

「俺が選び抜いた精鋭たちだ。好きなやつと組め。安心しろ、大会にはすでに許可を得ている」

 

 

 だが君のこの心遣いにMr.ビッグは「余計なお世話だ!」と一喝。「あとで後悔させてやる!」ぷりぷり怒りながら君たちの下から立ち去った。遠ざかっていくMr.ビッグの背中を遠目で見ながらクラウザーは君に尋ねた。

 

 

「これで問題の一つは片付いたが、肝心のあの男はどうするつもりだ? 了承どころか話し合いすらまだなのだろう?」

 

 

 そう君がチームメイトとして迎えるつもりの人間とはまだ話がついてなかったのだ。

 

 

「これからだ。これでダメなら大会に参加する必要はない。あの御仁以外をチームメイトに迎えるつもりなど毛頭ない」

 

「ふん。貴様と同じ意見なのは気に入らんが、確かにあの男以外に我々のチームメイトを勤まる者はいない」

 

 

 そして君たちはチームメイト候補がいる日本家屋と到着。候補の男とその家族が現れるや否、君は彼らのいる目の前で土下座してみせた。

 

 

「頼む! 恥を忍んでお願いしたい!!

 チームメイトになってくれ!!」

 

 

 額を床につけたまま乞う君に回りにいた人間たちは驚いた。「あのギースが頭を下げただと!?」と。

 

 

「大会につけていく天狗の面はこれでいいかね?」

 

 

 君がサカズキ家の人間たちに頭を下げていると、唐突にサカズキ家の家主であるタクマのそんな声が聞こえてきた。

 

 君が面を上げて見てみれば、そこにはタンスから取り出したところなのだろう、片膝ついた状態で天狗の面を手にしているタクマの姿があった。

 

 

「大の男が頭を下げているのだ。

 これに応えなければ男ではない」

 

 

 不敵な笑みでそんなことを宣う。

 

 

Mr.タクマ!

 

 

 思わず歓喜の声を上げる君にタクマは「否っ!」と遮る。

 

 そしておもむろに立ち上がって慣れた手つきで天狗の面を装着するとタクマは厳かに言った。

 

 

「──今の私は……

 

 Mr.KARATEだ」

 

 

 タクマの……いや、腕を組んだMr.KARATEの、その堂々とした立ち振舞いに君は土下座の姿勢から立ち上がりガッツポーズ、クラウザーも両目を閉じ、涙を流しながら「うんうん」と頷く。他のサカズキ家の人間も「あのハゲはボスの器じゃない」だの「ハゲは生理的に受け付けない」などと口々に出す始末。

 

 その光景を遠くにある大木の陰からこっそりと覗き見していたMr.ビッグは大木の幹に拳が痛めるのを構わず「ごすっ、ごすっ」打ち付け続ける。真っ赤になった拳が痛々しい。

 

 そんなMr.ビッグにそっと肩に手を乗せる人間が現れる。Mr.ビッグが後ろを振り向くとそこには先ほどの三闘士が並んでいた。彼らはその後、Mr.ビッグを伴って何処へとその場を去る。

 

 

 

 

 そして伝説が始まる。

 

 

 

 

 大会当日、クラウザーとMr.KARATEという君が理想としたチームで君はその大会に挑む。

 

 

 

THE KING OF FIGHTERS'96

 

 

 顔見せを兼ねた街の一角に建てられたドームでの集合。そこにつわものどもが集結していく。

 

 

 君たちはグラウンドへと続く薄暗い長い通路を堂々と歩いていく。

 

 

 やがて出入口を知らせる光が視界に入り、まもなくして君たちはグラウンドに足を踏み入れる。

 

 

 大観衆の歓声が君たちを出迎えた。

 

 

 眼下を見れば君たち以外の面子はすでに揃っているようだ。さまざまな感情が入り交じった視線が君たちに不躾に突き刺さる。

 

 

 だが君たちはそんな視線に物怖じせず彼らがいる方へとゆったりとした歩調で歩み寄っていく。

 

 

 さあ、彼らに君たちの力を思い知らせる時が来た。

 

 

「……ギース・ハワード、いや──」

 

 

 他の出場者に向けて君は言う。

 

 

 

 

 真!! ボス・チーム!!

 

 推して参る!!!!

 

 

 

 




ざわ…(´ ・ω・)にゃもし。ざわ…

▪️初めましての方は初めまして
 お久しぶりの方は恥ずかしながら生きていました

▪️どっかで見た「4コマ」と「なろう追放」を見て
 悪魔合体させたら、こんな作品が出来た

▪️KOF、飢狼、正直わからんが、とりあえず書いてみたのが今回の作品よ

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