紗夜と日菜からギターを教えてもらって2日目の朝。
何故こんな事になってるのかルナにはトンに検討も付かなかった。
「左手がかなり痛いわね……って」
「……すぅ……すぅ」
「なんで紗夜が床で寝てるのよ」
夜、寝床は紗夜の部屋だと告げられ、流石に男女でベッドに寝るのはどうかと唱えた自称オネエ系男子は紗夜の説得の末に床に寝る事にしたルナ。だが起きてみると隣には少し寝巻きが着崩れて、見てはいけないブラとか鎖骨とか丸見えだった紗夜。そう、この女、愛する人の前で添い寝をしやがったのである。
そんな時にするルナの行動は……
「全く、着崩れしてるわよ」
服を整えて布団を被せた。女性の着崩れ如きで発情するのはオネエではないし、リサがよく布団に潜り込んでくるのであまり何も感じない……感じ……
「……綺麗な顔や肌ね」
ここでルナに違和感が出る。何故だろうか、紗代夜を見ていると、リサや友希那とはまた違う感情になる。いや、これは……まさか。
「……紗夜のくせに、少しドキッとしたわ」
「にしても昨日はキャラ崩壊どころの騒ぎじゃ無かったわね」
そう言いながらルナは昨日の発言を思い出す。
「らしくない。過去なんてもう知らないなんて口で言ってても、心では後悔の塊。やっぱりリサや友希那が羨ましかったのよね。Roseliaのみんなも私にとっては憧れなのよね」
「口調もらしくない口調だったし……そういえば」
口調で思い出した。紗夜の事だ。彼女は最近ルナにはタメで話す。前はそんなそぶりは無かった、たまに喧嘩紛いの時に口調が乱れる時はあったけども、基本的に紗夜は丁寧な言葉で話す。怒っていても、普通の時も、せいぜい身内の日菜くらいにしかタメを使わない。
ルナは少し考えて、
「……少し、暑いわね」
そう言ってルナは何かを考えながら居間に向かって行ったのだった。
♪♪♪
「いやだちょっと何よこのコード! 私の指もぐき満々じゃないのよ!」
「ちょっと紗夜! なんか弦が切れたんだけどぉ! 大丈夫? 壊れてないわよね?」
「日菜ぁ! 擬音ばっか使われてもわかんないわよぉ! もう少し分かりやすく説明してちょうだい!」
「「うるさいオカマね(だね)」」
「仕方ないじゃない! この子触った事無いからよ!」
「ギターの事この子って言う人ルー君だけだよ」
「しかも人のギターですけどね」
「そう言えばおねーちゃんのギター使ってるんでしょ? 学校行っておねーちゃんのバンド終わって帰ってくるまでギター触れないよね」
「ええ、そうよ」
「よくここまで弾けるようになってるよね」
「確かにそうね。ルナがギターを始めたのは昨日からなのに。まるでコードを分かっているみたいに指が動いているわ。押せてるかは別だけど」
「分かってるわよ」
「……え?」
「これ暗記すれば後は指だけだからね」
そう言ってルナが自分のカバンから取り出したのは、コード表であった。
「買ったのは昨日の夕方だけど、簡単なものくらいはどこのフレットとかどこの弦とか覚えたわ。後は身体がついてくようにすればいいのよ」
「流石ルー君!」
「そう言えば今井さんから30個のテスト全問満点叩いたって聞いたわね」
「ちょっと!? なんでリサがあのベースの話しってるのよ!? しかも小学校とかの話でしょ!」
「今井さんの両親が言ったみたいですよ」
「あの人達……冗談じゃないわよぉ! 墓場まで黙っておこうと思ったのに!」
「貴方は優しすぎるんですよ。もっと自分も大事にしなさい。じゃないとここから出さないわよ」
「拷問すぎよ! ……でも、ありがとうね」
「後悔は取り返す。前に貴方が日菜に言った言葉。それの手伝いを私達がしているだけよ。やるかやらないかはルナ自身」
「……やるわよ」
その言葉にルナは一息ついて笑顔で返す。
「例え、過去に後悔しても、悔しくても、辛くても、逃げてしまっても、関係ない。今をどう生きるか。もし、過去を捨てきれないなら今を変えて過去の失敗を取り返す。巻き返す。人生は逆転也……私は進む、前を向く。そして過去を取り返す。それが私の……」
「あ、長いなら良いわよ」
「オネエ……最後まで言わせて!?」
「
「日菜、私の言いたかった事よそれ!」
「やられたらやり返す。オネエ道ですか。倍プッシュに変えてみては?」
「それパクリじゃないのよ!」
「まぁ、いいわ。ルナの道が間違えてない限り、私達から言う事は何も無いもの」
「ルー君が去勢しなければあたし的には良いよ」
「怖い事言うのやめなさいよ」
「湊さんに要らないって言われて去勢しようとした人がよく言いますね」
「リサ! あいつマジ……口軽すぎんだろ!!」
「ルー君って普通に話したら口悪いよね」
「多分それをオネエ口調で隠してるんじゃない?」
「……アンタら容赦ないわね」
「そりゃあ……」
「そうよね」
「「ルー君(ルナ)だから」」
「……この、おしどり姉妹が!」
そう言いながら、ルナと紗夜、日菜は三人で笑い合ったのだった。
「あ、そうだわ。ルナ」
「……何よ?」
「私の前だけでは、ありのままのルナでいいのよ。私も貴方にかなり心開いてるし、お互い普通でいいんじゃない?」
「……考えといてやるよ」
「おねーちゃんサラッとルー君にタメだもんね」
「フフッ、やっぱりルナはその口調の方がカッコいいわ」
「……そう言う紗夜こそ、タメの方がお淑やかな女性らしくて良いんじゃねぇの」
「おねーちゃん……ルー君?」
「いいえ、ルナの方が男らしくて良いじゃない。今井さんに似てルックスとか世に言うイケメンってレベルじゃないの?」
「知らないよ、そう言う紗夜も世に言う美人なんじゃねぇの?」
「……紗夜さん、あの、あたしは…・
「いや、貴方の方が」
「いや、お前の方が」
「……あのすみません、紗夜お姉様。あたしお邪魔ですか?」
「「日菜が壊れた!?」」
「2人が気づくの遅いんだよ」
氷川日菜。はじめての空気である。