「ふええ……ここどこぉ?」
水色の髪をしたゆるふわ系な女子、
「やっと見つけたわよ、花音」
「……あ、ルナ君! ありがとう……また迷っちゃって」
「美咲から聞いたわ。なんで北のカフェなのに南行くのよ。真逆じゃない」
「ご、ごめんなさい……」
「……別に怒ってないわよ。ほら、美咲が待ってるわ。早くいきましょ?」
「う、うん!」
こうして2人はまた、カフェに歩き出した。
♪♪♪
ルナが花音と会ったのは一つの着信からだった。電話の相手は奥沢美咲。こころの件で、連絡先を交換した2人は、羊毛フェルトなどの手芸をする友であった。
[やっはろー美咲。貴方から電話なんて珍しいわね、どうしたのかしら?]
[あ、ルナさん。少し頼みたい事がありまして]
[頼み? 何かしら? ]
[……バンドメンバーの人を見つけて欲しくてですね]
申し訳無さそうに美咲は言う。
[別に良いわよ、丁度つぐみのカフェに行こうと出かける予定だったの]
[本当ですか? あたし達も羽沢さんのお店に行こうと思ってたんですけど、花音さん……バンドメンバーが迷子で]
[
そう言って電話を切った。切る前に美咲が謝ろうとしていたがそれを聞かずにルナは電話を切った。
『……
♪♪♪
『ふええ……ここどこぉ?』
松原花音、水色の髪をしており、迷子でおどおどしている少女である。だが、こう見えても美咲やこころのバンド、ハロー、ハッピーワールドのドラマーで、その一員として手腕を奮っており、その姿は多くの人を魅了する。
そんな花音が迷っていると当然声をかけられる。
『ねぇ、君あの花音ちゃんだよねぇ?』
『うわ、本物だ! どうしたのこんなとこで? 暇なら俺達と遊ぼうぜ』
そう、世に言うナンパである。
『い、いえ……と、友達とはぐれちゃって……』
『はぐれたんなら俺達が探してあげるよ! ほら、おいで! 大丈夫、すぐ見つかるからさ!』
『え……い、いえ、私は……』
そう言いながら戸惑う花音に手を伸ばす男、だがその手は空を切る。
『なにいけ好かない事やってんのよアンタ達』
そこには花音の手を男達より早く引っ張り男達の手を触れさせない漢がいたからである。
『なんだよお前、邪魔すんなよ』
『冗談じゃないわよぉ、こんなテンプレートなんかに遭遇したくなかったわ。……初めましてよね松原さん』
『え、えーと……貴方は?』
『美咲の友よ。今井ルナが迎えにくるって美咲から聞いてない?』
『え? あ、もしかして美咲ちゃんが言ってた男の子って……』
『私よ。諸事情で口調に違和感あると思うけど、立派な男よ。リサとはガールズバンド仲間で知り合いとは聞いたけど、結構可愛いわね。まぁ、取って食ったりはしないけど』
『おい、話聞けよ! 急に出てきてお前なんなんだよ!?』
『……さっきも言ったでしょ? 松原花音の友よ』
『お前みたいなオカマが花音ちゃんと知り合いなんて『……やるかい?』……っ!?』
ナンパ男達は見た、数々(笑)の修羅場をくぐり抜けた眼を(黒服さん複数人と殴り合いました。それだけです)。憐れみの中にしつこい奴らだと怒りを込めて睨みつけた漢の眼を(1回だけ拳銃向けられましたそれだけです)彼らは見た。
『……ナンパ如きで何必死になってんだよ。ツレがいるんだから諦めろや。……それともアレか? ここで大事起こすか? 私は良いぞ? ただ、ここにいるのはあの弦巻こころのバンドメンバーだ……コイツに何かあったら……』
そういってナンパ男に近づいて囁く。
『テメェらが死ぬぞ?』
実のところルナはイケボである。オネエ口調に違和感を持って気が付かない人がいるが、ルナはあのRoseliaベーシストの今井リサの弟である。
リサがベース担当と言っても並大抵の声質や歌唱力ではRoseliaでやっていけない。そんなバンドで活躍しているリサは地声がそもそも綺麗で可愛いボイスなのだ。
その弟がブサイクな声であるか? 【デュフフ】とか言うデブ声なのか? 答えは、
『『す、すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!』
ナンパ男、逃走である。その後は美咲が待っているとルナが話し、花音を落ち着かせながらカフェまで案内した。
『ありがとうございましたルナさん」
『勝手にこころの名前使うのは気が引けたけど、友の為ならなんのそのよ。あ、つぐみ、ココア甘いやつ頂戴。後チーズケーキとチョコレートケーキとイチゴパフェ。食べ終わった瞬間に順番にお願いするわ』
『ルナさん食べすぎですよ。リサ先輩に言いつけますからね』
『勘弁して頂戴、この前もアンタらAfterglowのボーカルと友希那の口喧嘩止めたんだからこれくらい許しなさいよ』
『それとこれとは別です。太りますよ?』
『お生憎様、乙女は太らないのよ』
『ひまりちゃんに殺されますよ』
『さり気なくあのベーシストdisるのやめなさい。アンタも中々黒いわね』
『……なんか、凄い人だね、美咲ちゃんの友達』
『ええ、ルナさんは男なのに私達女子と交流するのが得意なんですよね』
『ちょっと美咲、私はそんなタラシじゃないわよ?』
『紗夜先輩誑かしといて何言ってるんですか』
『え? ルナ君と紗夜ちゃんって付き合ってるの?』
『はぁ? 冗談じゃないわよぉ! 誰があの堅物と……『堅物で悪かったですねオカマさん』』
その瞬間、女性らしい悲鳴が
♪♪♪
「そんな事もあったわね、懐かしいわ」
「まさか美咲ちゃんが男の子と仲良くなってるなんて知らなかったよ」
「まぁ、友だからね。それよりそろそろ迷子治しなさいよ、これで何回目?」
「……100以上?」
「逮捕よ」
そんな会話をしながらまた彼らはカフェに向かう。ふと、花音が言った。
「……ねぇ、ルナ君」
「何よ?」
「あの時、助けてくれてありがとう。えーと、男の子の友達とかルナ君しかいないから、上手く言えないけど……あの時ルナ君カッコよかったよ?」
「なんで疑問系なのよ……まぁ、私も男の端くれだしね、アンタみたいな危なっかしい女は守ってやりたい……なんてね」
そう言って苦笑したルナに花音は……
「ルナ君がなんであれ、結局
「……そうね、ええ、花音の言う通りだわ。私がどれだけ頑張っても所詮は男よね……ありがとう花音」
「ふえ?」
「それ素の声なのね。いえ、貴方のおかげで改めて実感したのよ。私は男だってね……やっぱり友希那にもう一度話をした方が……良いのかしらね」
「何か言った? ルナ君」
「いいえ、早く治ると良いわね、貴方の迷子」
「それは言わないでよ……」
そんな会話をしながら2人はふたたびカフェにむかうのであった。