雄二side
「明久くんどこに行ったんでしょうね…」
「……どこにもいない」
「戻ってたら何があったのか聞くつもりだったんだが…」
「なにやら様子がおかしかったしのう…」
Bクラスとの交渉を終わらせて戻ってきてみたら明久の奴が教室に居ねぇ…。
ったく、どこに行きやがったんだ…。
ガラガラッ
「何やってたんだあきひ…」
「失礼するよ。馬鹿どもはいるかい」
「…学園長?」
…ちっ…明久じゃなかったか。
「何の用だ。ババァ」
「口の利き方のなってないガキだね。まぁいいよ。さっさと病院に行きな」
「はぁ?」
「……理解不能」
このババァは何が言いたいんだ…。いや、まさか…。
「なんだい。察しが悪いねぇ。…吉井が倒れた。霧島病院にいるから見舞いに行ってやんな」
「「「「………!!」」」」
「あ、明久君が…!?」
「倒れた…じゃと…?」
「………」
なっ…明久が倒れただと…!?
そんな素振りは…いや…考えてみれば今まで明久には無理をさせ過ぎたか…。
「…感謝しとくぜ。ババァ ありがとよ」
「…はん、無駄口叩いてる暇があったらさっさと行くんだよ」
「…わーってるよ」
…もう明久に無理をさせるわけにはいかねぇな…。
「…よし。姫路、秀吉、ムッツリーニ 明久の見舞いに行くぞ」
「はい!」
「うむ」
「……俺は少しやることがある。先に行っててほしい」
「ん? そうか。早く終わらせて来いよ」
「……承知」
そして場所は移り病院内受付案内所
「…はい 吉井明久様の病室ですね。…少々お待ちください。…はい。302号室になります」
「ありがとうございます」
…まだムッツリーニが来る気配はない…か。用事だとか言ってたがなんなんだ一体。
…まぁいい。ムッツリーニを待つ時間が勿体ない。そう思った俺達は先に明久のいる病室に向かうことにした。
ガチャッ
「明久。調子はどう… …翔子?」
「姉上!?」
「Aクラスの方々が何故…?」
302号室のドアを開けてみると何故か翔子と木下姉と…誰だ? おそらくAクラスであろう女子がいた。
「…雄二?」
「ひで…ッ! んん、秀吉 ここは病室よ。静かにしなさい」
「あれー? 明久くんのお友達かな?」
何故居るかは分からないが…都合がいいな。ムッツリーニが来たら話を進めるとするか。
「…そんで、明久の様子はどうなんだ」
「…今は寝ている」
「お医者様が言うには過労だそうよ」
「命には別状ないってさ」
命に別状はなし…。はぁー…心配掛けさせやがって。
「…そうか。それはよかったぜ」
「一安心じゃのう…」
「よかったですー…」
明久の容態を聞いて一安心した俺はチラリと翔子達の方を見る。
…気になってはいたし一応聞いておくか。
「…で、なんで翔子達がいるんだ」
「そうじゃ。何故姉上がここに?」
そう聞くと、翔子達の表情が若干陰った気がする。
「…吉井君は自習のプリントの回収にAクラスに来てアタシ達と話してる途中で倒れたのよ」
「…思い返してみると顔色が悪かった。私達は明久の様子に気付けなかった」
「姉上…あまり気に病まぬ方がいいのじゃ」
「…翔子。あまり思いつめるな」
「秀吉…」
「…わかった」
…ちっ…少し空気が重くなっちまったな…。何かないか…。
ガラッ
「……待たせた」
ナイスタイミングだムッツリーニ!
「…メンバーも揃ったところだし知り合いもいるみたいだがお互い自己紹介と行かないか?」
「それもそうだねー。じゃあボクからでいいかな? Aクラスの工藤愛子だよ。趣味は水泳と音楽鑑賞で、スリー…」
「んん、こんな時に…流石にそこら辺は自重しなさいよ。愛子」
「あはは、それもそうだね。」
何かを言い掛けていたが…止められたということは碌なことではないのだろう。
「……お前が工藤愛子だったのか」
「あれーボクのこと知ってたの?」
なんだ。ムッツリーニは知ってたのか?
「……実際に見るのは初めてだが、俺と同じく保健体育の成績優秀者として知っていた」
なるほどな。ライバルと言ったところか。Aクラス戦ではムッツリーニに当たってもらうことになりそうだ。
「なるほどね っていうことは君が噂のムッツリーニくんかな?」
「……違う(ブンブン)」
「え?」
「そう呼ばれるのは…あまり好きじゃない」
「そっかー。ごめんね?」
「…気にするな」
「うん。じゃあ土屋くんって呼ばせてもらうね!…っととりあえずボクの自己紹介はこれでいいかな。次は誰がする?」
俺が頭の中でAクラス戦の作戦を練っていると工藤とムッツリーニの会話は終わったようだ。
そこからは淡々と自己紹介が進んでいく。
「……Fクラス 土屋康太。趣味は写真撮影」
ムッツリーニが自己紹介し。
「Aクラス 木下優子 そこにいる秀吉の姉よ」
「Fクラス 木下秀吉じゃ 今、自己紹介した姉上の弟じゃ」
木下姉妹(違)が自己紹介し。
「Fクラス 姫路瑞希です。明久くんとは昔からのお友達です。よろしくお願いします」
姫路が自己紹介して残りは俺と翔子だけとなった。
「次は翔子からやるか?」
「…わかった。Aクラス代表 霧島翔子。明久と雄二とは幼馴染」
「え? 明久くんと幼馴染だったんですか? 知らなかったです」
「…明久とはこの病院で出会った。お父さんにこの病院に連れてこられて明久の友達になってあげて欲しい…って言われた」
「…なるほどのう。この病院は霧島病院…じゃったの」
この説明で皆一様に納得したようだ。
「それじゃ最後は俺だな。Fクラス代表 坂本雄二だ 明久との関係に関しては翔子の言った通りで、翔子との出会いに関しては明久の見舞いに来てた時に知り合った…ってことになる」
これで自己紹介は終わった――
「んんっ…」
――か…ってやばっ…!
「う…ん…あれ…?みんなどうしたの…?」
…やっぱ起こしちまったか。
「…明久!」
「しょ、翔子ちゃん!?」
明久が起きた途端、翔子は明久に抱きついていた。
「だ、代表。吉井君は目を醒ましたばかりだから落ち着いて下さい…!」
「…ん。(コクリ)…明久、ごめんなさい」
「え? あ、うん。大丈夫…だよ…?」
何故疑問系なんだ…。
「それで…皆どうしたの?」
こいつは…はぁ…自分の状態を把握出来てねぇのか。
「あー…明久。その前にここがどこだか分かるか」
「え? どこって僕が寝てるんだからここは僕の家…じゃない!?」
「そうだ。ここは明久の家じゃねぇ。病院だ」
今いる場所が家じゃないと分かった途端、明久は悩み始めた。
「なんで僕は病院なんかに…。あれぇ…? うーんと…あ、そっか」
「思い出したか?」
「あ、うん。皆、心配掛けてごめんね?」
思い出したみたいだが…。…ったく…。
「いっつも勝手に無理しやがって、こっちの身にもなりやがれ」
俺達に心配させた仕返しも兼ねて俺は明久の頭を乱暴にワシャワシャと撫でてやった。
「わ、わぷっ…ゆ、雄二。なにするのさっ!?」
「勝手に倒れて俺達に心配掛けさせたんだ。これくらい甘んじて受けろ」
「坂本君?その言い方はないんじゃないかしら?」
「いや、姉上。明久達はこれで良いのじゃ」
「へー これが男同士の友情…っていうものなのかなー」
「…これが私の知ってる昔からの明久と雄二」
「でもこれってアタシ達は吉井君のことを知ってるから大丈夫だけど…」
「明久くんのことを知らない人が見れば勘違いしそうな光景ですねー…」
「……(カシャカシャッ)」
ったく…皆好き勝手言いやがって…。
…だがここに翔子達が揃っているのは都合がいい。
最大限この状況を利用させてもらうぜ。
「…翔子。少しいいか」
「…何?」
「ここにはAクラス代表の翔子とFクラス代表の俺がいる。だから丁度いいと思ってな」
「……?」
言っていることが理解出来ないのか翔子はこてんと首を傾げてる。
…なら単刀直入に言ってやろうじゃねぇか。
「すぅー…俺達FクラスはAクラスに5対5の代表同士の一騎打ちを申し込みたいと思う!」
「「「「…………」」」」
Aクラスの奴らは…いや、姫路もか。流石にポカーンとしていた。
「さ、坂本くん? こんな時になに言ってるんですか…!」
「こんな時だからだ」
「ど、どういうことよ。坂本君」
「明久くん倒れたんだよ!? しばらく試召戦争なんてしないで休ませてあげなよ!」
…まぁ、こいつらの言ってることも至極真っ当だ。…だから。
「だから言っただろう? 代表同士の一騎打ちだと」
「だからどういうことよ」
「まだ分からないのか。明久はこの代表の中に入れない…ってことだ」
…信じられない。…って表情だな。まぁ当然か。
ついでに明久も驚いてやがる。
「…信じられないわね」
「明久の為だ。納得してくれ」
「明久くんの為って言うのはわかるけど…それでもボク達Aクラスのリスクがおっきいんじゃないかなー。どうするー? 代表」
「…明久の為だから受けてあげたい、けどAクラス代表としてそのまま受けるわけにはいかない。…だから教科の選択権はそっちは3。こっちが2。…あともう1つ条件を加えるならその勝負、受けてもいい」
…条件か…。まぁ、どんな条件かは知らないがなんとかなるだろう。
「…まぁいいだろう。それでどんな条件だ」
「…負けた方は勝った方の命令を1つ聞く」
「…わかった それでいい」
そのくらいなら問題ない…な。
ふぅ、なんとか、条件を呑ませられたか…。
…悪かったな。明久 こんな時に利用しちまって。
「…それで、いつやるんですか?」
「ああ、流石に点数が残ってないからな。明日はテストを受けるとして…試召戦争は明後日でいいか?」
「…それで構わない」
「…つーわけで明後日だ。明久も戦わないにしてもゆっくり休んで体調は万全にしておけ」
「あ、うん」
話が決まりチラッと時計を見る。
…いい時間だ、少し長居し過ぎたみたいだな。
「よし。いい時間だしそろそろ帰るぞ」
「あっ、もうこんな時間…!?」
「明久くん。まったねー」
「うん。愛子さん。ばいばい」
そしてそれぞれが同じように挨拶すると、このまま今日は解散となったのだった。
雄二sideout
ムッツリーニside
…明久が倒れた。学園長にそう言われすぐに見舞いに行きたかった。
だが俺は教室に残って雄二達には先に行ってもらうことにした。
…このままでは明久の身体がもたない。そう感じたからだ。
「……学園長」
「…ん? なんだい。まだ残ってたのかい」
「…このままでは明久の身体がもたない。だから観察処分者から外してほしい」
「………! ああ、ワタシもその件で悩んでいてねぇ…。だが代わりの適任者がいないんだよ」
……なるほど。そういうことか。ならば都合がいい。
「……適任者がいる」
「本当かい! 誰なんだいそいつは」
「……島田美波。理由なき理由でいつも明久に手をあげている。証拠はこれだ」
そう言って俺はテープレコーダーを再生する。
「!! なんてことだい…聞いてる限り吉井にはなんの非もないじゃないか。わかったよ。職員会議に掛けるからこれは証拠として貸してもらえるかい?」
「……構わない」
「ありがとう。助かるよ」
「……礼には及ばない」
……これも明久の為なのだ。学園長に感謝される筋合いはない。
……こうして用事を終わらせた俺は先に行った雄二達を追いかけたのだった。
ムッツリーニsideout
やっと投稿出来ました…難産でした…。
どこか納得出来なかったりおかしいかもしれませんが自分のない頭ではこれが限界です。