カリカリカリカリカリ…
ワアァァアアアァァァァ!!
辺りが騒がしくなる。どうやらFクラスとDクラスの試召戦争が始まったようだ。
「…始まりましたね」
そんな中、僕と瑞希ちゃんは――
「うん、そうだね… 早く回復試験終わらせて加勢しに行かないとね」
回復試験を受けていた。
その理由は単純、退院が遅れて振り分け試験に間に合わなかった僕と振り分け試験中に熱で倒れて途中退席した瑞希ちゃんはテストの点数が0点なのだ。
だから僕たちは回復試験を受けている。
「そうですね。 私たちが間に合わなかったら頑張ってる皆さんに申し訳がつきません!」
「そうだね…っと、こんなもんでいいかな」
そういうと僕は採点してもらうために立ち上がった。
「え?もう終わったんですか?」
その問いに対して僕は頭を横に振り否定する。
「ううん。今回の作戦の要は瑞希ちゃんだからさ。僕は途中で切り上げて加勢に行くことにしたんだ」
「そうだったんですか。明久くん 頑張ってきてください…!」
「うん! 行ってくるよ!」
その応援に対して力強く頷くと、僕は行動を開始した。
「秀吉、大丈夫? 助けに来たよ!」
「おお、明久。ちょうどよいところに! もう残り点数が少ないのじゃ」
「わかった。ここは僕が引き受けるから秀吉は回復試験受けてきなよ」
「うむ、そうさせてもらうのじゃ」
どうやらギリギリのところだったらしい。Dクラスの生徒らしき4人が秀吉を追いかけてきていた。…間に合ってよかったぁ…。
「Fクラス 吉井明久! そこにいるDクラスの4人に勝負を挑みます!」
「は? ふざけんな!(可愛い」
「4対1でやるつもりか!?(可愛いなおい」
「Fクラス風情が!(こんな娘がこの学園にはいたのか」
「Dクラスに勝てるわけないだろ!(くそ、Fクラスが羨ましく思えちまったぜ」
Fクラスが1人でDクラスの4人に挑む…確かに馬鹿げてるように見えるかもしれない。 ……でもね――
「試験召喚獣、召喚〈サモン〉ッ!」
「「「「試獣召喚ッ!」」」」
科学 Fクラス 吉井明久 231点
VS
Dクラス 4人 平均125点
――Fクラスだからって甘く見てもらっちゃ困るな。
「「「「な、なにぃぃぃぃぃぃ!?」」」」
「なんだあの点数は!」
「Aクラス並じゃないか!」
「くそっ、Fクラスめ! こんな隠し玉を持ってやがったのか!」
「ひっ、怯むな! 相手はたった1人、数ではこっちが勝っているんだ! 掛かれぇっ!」
うん。確かに4対1。数ではこっちが負けている…けど。
ひらり…ゆらり…
一斉に掛かってきた4人の攻撃を僕は踊るような動きで紙一重で回避する。
「くそっ、当たったと思ったのに!」
あはは、そんなんじゃ当たってあげれないね。
「次は当ててやる!」
次? …次はないよ。だって――
Dクラス4人 0点 DEAD
――君たちはもう終わりだから。
「「「「なっ、俺たちの召喚獣がいつの間にっ!?」」」」
Dクラスの4人の召喚獣は既に消え去っていた。
やったことは単純。急所…つまりは首や鳩尾などを回避に合わせて突いた。ただそれだけだ。
「まぁ…その攻撃を悟らせないための動きなわけだけど…」
とりあえずは――
「戦死者は補習ぅぅぅぅ!!」
「――補習頑張ってね」
0点になった4人が西村先生に運ばれていく。
「へっ? うわっ、嫌だ! 地獄の補習は嫌だあぁぁぁっ!!」
「あんな拷問耐えられるわけがない!」
「安心しろ あれは教育だ。補習が終わるころには、趣味は勉強、尊敬する人は二宮金次郎、といった理想的な生徒にしてやる」
「それは教育じゃなくて洗脳だっ!」
「誰か! 誰かぁぁぁぁぁ!!」
…本当に頑張れ…。
「次は…と…」
それを見送り、辺りを見回していると女子の声が聞こえてくる。
「お姉さま、またお会いできるなんて感激です! これはもはや運命ですね!」
そちらの方を見てみると、美波ちゃんがクルクルしたツインテールの女の子に詰め寄られているみたいだ。
「うっ…美春…!」
「さぁお姉さま 今なら保健室のベッドが空いてますよ。そちらで保健体育のお勉強をしましょう!」
クルクルツインテール…美波ちゃんが美春って言ってた女の子は手をワキワキさせている。
これ助けた方がいいのかな…。
「あっ、アキぃぃぃぃ! そこで見てないでウチを助けなさい!」
…助けた方がいいみたいだね。
「なんですかあなたは! 美春とお姉さまの邪魔をするつもりですか!?」
なんなのだろう…この人は。
「美春とお姉さまの仲を邪魔はさせません! 試獣召喚!」
「はぁ…試獣召喚」
科学 Fクラス 吉井明久 231点
VS
Dクラス 清水美春 94点
さっきの人たちよりも点数が低くてしかも1人…。
結果は火を見るよりも明らかだった。
Dクラス 清水美春 0点 DEAD
「戦死者は補習!」
「お姉さま! 美春は諦めませんから!」
最後にそう言い残すと清水さんは連れてかれた。
「美波ちゃん。大丈夫だっあだだだだぁぁぁ! 関節が曲がらない方向にぃ!?」
ギリギリギリ…
「見てたならもっと早く助けなさいよ!」
「痛い痛い! 離してよ美波ちゃんッ!」
「うるさいわね! すぐに助けないで見てたお仕置きよ!」
ギリギリギリギリ…
ああ…もう腕が限界かも知れない――
「…そこまでだ」
――そんなとき助けてくれたのは、ムッツリーニだった。
「……島田。そこまでにしておけ。それ以上は作戦に影響が出る」
「関係ないわ! ウチはアキにお仕置きを…ッ!」
「…これ以上は言わない。そこまでにしておけ」
「くっ…覚えておきなさいよ! アキィッ!」
美波ちゃんは怒りながら教室に戻って行ったみたいだ。うぅ…腕が痛いよ…
「…明久、大丈夫か?」
「うん、なんとか…。助かったよムッツリーニ」
「……礼には及ばない」
ピーンポーンパーンポーン
《船越先生、船越先生》
うん? なんだろうこの放送。この声は須川君…だよね。
これ以上戦域が広がるとFクラスの学力ではきついから先生を連れ出して戦域を広げない作戦かな。
《吉井明久君が体育館裏で待っています》
「……え?」
船越先生って言えば…。
数学担任の45歳独身で、仕事にのめり込み過ぎて婚期を逃してしまって、遂には男子生徒達に単位を盾に交際を迫る様になったという噂のある…?
うわぁっ! これやばいんじゃないの…!?
《生徒と教師の垣根を越えた、男と女の大事な話が――》
バァァァァァン!
「須川ぁぁぁ!今の放送はなんじゃあぁぁぁ!!」
「……………!」
「なっ! 秀吉! ムッツリーニ!?」
…隣にいたはずのムッツリーニがいない。
どうやらいつの間にか放送室に行っていたらしい。
「い、いや…! これは島田さんに、これなら船越先生も勘違いしないって言われてだな…!」
「そうか島田か…」
「そ、そうだ。だから俺は…」
「…もう喋るな(バチィッ!」
ガタンッ
なにかが倒れた音がした。
「あーあー…船越先生。今のは間違いました。男と女の大事な話があるので放送室に来てください。ここで待っています(秀吉声真似(須川)」
どうやら2人がなんとかしてくれたみたいだ。
「…ありがとう2人とも」
いつまでも呆けているわけにもいかない。2人に感謝しつつ、気を取り戻した僕はDクラスの教室に向かったのだった。