バカとテストと男の娘?   作:清水樹

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問8.5 姫路瑞希のポイズンクッキー

文月学園2年Fクラス。事件はそこで起きた。

 

Dクラス戦翌日、お昼休み Fクラス教室

お昼休みに入ると瑞希ちゃんが僕達に話しかけてきた。

 

「あ、あのっ! 昨日はお疲れ様でした…!」

「ん、おお。そうだな」

「勝ててよかったのじゃ」

「……ほとんど明久の手柄」

「いや、僕なんて大したことは――」

「そうよ! 10人相手に勝ったとか聞いたけどアキなんてどうせ誰かが戦ってるところに後から来ていいとこ取りしただけでしょ! アキにそんな実力あるはずがないわ!」

「――してない…って美波ちゃんもそこまで言わなくてもいいじゃないかぁ!」

 

ボロクソに言われて流石に僕も声を荒げちゃったんだけど…。

 

「うるさい…!」

 

そのせいで怒ったのか美波ちゃんは腕を振り上げてる。…やば…殴られ…ッ!

思わず僕は目を閉じてしまう。

 

ガシッ!

 

…あれ…? 痛みが来ない…?

不思議に思ってそーっと目を開けてみると、

 

「島田さん! どれだけアキちゃんを苛めれば気が済むんだ!?」

「須川君!」

 

その手は須川君に掴まえられていた。

 

「須川! 離しなさい! これはしょうもない嘘を吐いたアキへのお仕置きなんだから!」

「何が嘘だって言うんだ!」

「うるさいわね! アキなんかが活躍できるわけがないのよ!」

 

プチーン

 

…あ、なにかが切れる音がそこらじゅうからする…。

 

「のう島田よ。すまぬが黙ってはくれぬか?」

「なっ…!」

「というかどっかに行ってくれ。目障りだ」

「これはウチとアキの問題よ! あんた達には…!」

「……これ以上は言わない。ここから去れ」

「くぅぅぅぅ…!(アキのせいでアキのせいでアキのせいでアキのせいで!」

 

皆に睨まれた美波ちゃんは悔しそうな声を上げて僕を睨みながらお弁当を持って教室を出ようとした、が

 

「あ、あの。少し待ってください」

 

瑞希ちゃんに呼び止められる。

 

「なによっ!」

「あ、あの…いえ…昨日のお祝いとして皆さんにクッキーを焼いてきたんです。ですから受け取ってから行ってもらえると…」

「ふんっ」

 

そう声を掛けられると美波ちゃんは瑞希ちゃんの手から乱暴にクッキーを受け取って今度こそ教室を出て行ったのだった。

 

「それで…その…他の皆さんもどうぞ」

 

……………………

教室がシーンとなる…が、それも一瞬のことだった。

 

『『『『う…うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!』』』』

「きゃっ…!?」

 

急に湧きあがった歓声に瑞希ちゃんは首をすくめる。

 

「ま、マジかよ!」

「女の子からのプレゼントだ!」

「母親以外の異性から物貰うなんて初めてだぜ!」

「いぃぃやっほぉぉぉう!」

「俺これ一生宝物にするわ!」

「俺も俺も!」

 

この時、僕達の心は一つになっていた。

うわぁ…これはひどい…と。

 

「え…と…とりあえず あ、明久君達もどうぞ…!」

「あ、うん」

 

その言葉を皮切りに僕達もクッキーの包みを受け取っていく。

そしてとりあえず包みを開けて1つ取り出してみた。

 

「へぇ~、美味しそうだね」

 

そのクッキーは甘酸っぱい香りがして本当に美味しそ…ん? でもこの匂いってなんの匂いだろう…。

 

「ねぇ、瑞希ちゃん このクッキーに何か入れた?」

「えっ…と…甘酸っぱい香りがして美味しくなるかと思って隠し味にシアン化カリウムを入れてみました」

 

この香りはなんだろうと思い瑞希ちゃんに問いかけてみると、瑞希ちゃんはニッコリと笑顔でそう答えた。

…この娘はなんていうことを笑顔で言ってるんだろうか…。

 

『『『『『??????』』』』』

 

クッキーに浮かれていた大半はシアン化カリウムと言われてもパッとしないようだ。まぁ、別の呼び方のが有名だからね…。

でもムッツリーニや雄二、秀吉なんかはわかったみたいだね。若干青ざめちゃってるよ。

 

「それって確か…」

「……青酸カリ」

「…じゃのう…」

『『『『『!!!!!?』』』』』

 

…大正解。でも普通こんなのは味見の時にでも気付いて人に渡そうとは思わないと思うんだけど…まさか…ねぇ…。

 

「…ねぇ、瑞希ちゃん? 味見はしたのかな?」

「してませんよ? 味見なんてしてたら太っちゃいます」

 

ブチーン

 

「へぇ~…そっかー。太るから味見してないんだー」

「えっと…は、はい…」

「じゃあ、ちょっとこっチニ来ヨウカ…?」

 

そう言って僕は瑞希ちゃんを廊下の方に連れていく。

 

「ネェ…瑞希チャン… 君ハ人ノ命ト自分ノ体重ドッチノ方ガ大切ナノカナァ!?」

 

料理に劇薬を入れるのも問題だけど…味見をしないなんて問題外だ。これでも僕は料理には誇りを持っている。太るなんてそんな理由で味見をしないなんて言語道断なのだ。

 

「お、美味しくなるかと思って…!」

「有名ナ劇薬デショ…? ソレニ料理デ味見シナイナンテ、ソレ以前ノ問題ダヨ…! 瑞希チャンハコレカラ料理禁止ッ!」

「そ、そんなぁ…!」

「ミィ~ズゥ~キィ~チャァ~ン…!?」

「ひぃーん…ごめんなさ~い…!」

 

瑞希ちゃんが涙目になってる。流石に言い過ぎたかな。

 

「はぁ…瑞希ちゃん? 本当に気を付けなきゃダメだよ?」

「はぁい…(ショボン」

 

そんなこんながあってこの2-Fで起きたポイズンクッキー事件は被害者を出すことなく幕を閉じたんだ。

 

…あれ? 何か忘れてるような…。まぁ、いっか。

 

 

 

 

 

 




文月学園のどこか
サクッ…
ビクンッ…ピクッピクッ…

「こ…これもアキのせい…よ…(ガクッ」


というわけで忘れられた島田美波でした。と
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