玉兎の憂鬱   作:残解

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なんか最近会話シーンが少ない気がします。



序章・第十一話

 

 

 

「んー」

 

 

 

起きたばかりで硬くなっている体をほぐす。ところどころ伸ばしたところからバキバキという音が聞こえる。体をほぐすとなるこの音、実は鳴らすと神経を傷つけて、神経麻痺や下半身不随等になってしまうかもしれないのであまりやらないほうがいいのだが、普通に気持ちが良いので悪いとわかっていてもやってしまう。まあ、やっても体は人間より頑丈な妖怪なので、そうはならないけれど。

 

 

今はいつも通りに道場に向かっているところ。俺の部屋から道場までの時間は、大体2、30分で着くぐらいだ。距離は測ったことはない。

 

 

その道中には何もないというかなんというか、見ることができない。俺が今、周りの状況を確認するためには、俺の能力である『波長を操る程度の能力』を使うしかない。まあ、要は生命にとって大切な五感の一つ、視覚が使うことが出来ないのだ。

 

 

これは決して俺が失明したとかそういうわけではなく、月読様によるもの。訓練の一環として『波長』を使ったレーダーの訓練の延長で、日常生活の中でも能力を使って能力に慣れるという訓練だとか。元の魂が人間だから、俺の今使っている能力は本来であれば使えない。らしい。まあ、俺は無意識に使っていたらしいが。

 

 

俺の中にある能力というのは、『波長を操る程度の能力』で、その能力は元々月の兎、玉兎の能力であり、人間であった俺にはなかった能力。ゆえに、体に慣らすしかないということだ。無意識に使うことが出来ていたとしても、故意に扱うことはむずかしいからだそうだ。

 

 

そもそも波長というのはレーダーだけに使うようなものではないと理解している。光の波長、音の波長、精神の波長など様々な波長が操れるらしいこの能力。だから、まだまだたくさんの波長を操ることが出来るようになると思う。基本は通信の波長しか操れないと月読様は言っていたけれど。

 

 

ん?光の波長?あ、これ使えば回りが見えるようになるかも。今度やってみよう。

 

 

ちなみに、今俺が使うことができる能力は、通信機器との通信、波長によるレーダー、と言ったところだ。スマホとかとの通信は周波数を合わすことによって通信は可能だったが、実用性はあまりないと思う。

 

 

理由としては、単純に周波数を合わすのが難しく、合わすことには合わせられるが、結構時間がかかってしまう。面倒くさいと言うのもあるし、頭に直接かかって来るというのもなんだか気分が悪い。どうせ使うなら、自分の周波数を決めて使うのが良いと思う。まああまり、使いたくないけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そろそろ道場に近付いてきたと思うのだが、普段は聞こえないような音が聞こえてきた。

 

 

パ…ッ…ンッ

 

 

ど……ゃあ…!!せ……ぁ!!

 

 

いつもならば道場には誰もおらず、月詠様とのマンツーマン指導まで一人だ。しかし、今日は誰かいるのだろうか、中から何かがぶつかり合う音や、誰かが叫んでいるような音が聞こえる。まあ、聞こえると言っても俺が波長で感じるしかないほど小さい音ではあるが。音が小さいのは、まあ単純に道場が防音だからだろう。

 

 

それよりも何で今日は道場に人がいるのだろうか。昨日、月読様からは何も言われていないので少し警戒して、中の状況を確認するため道場の入り口の隙間からレーダー用の波長を飛ばす。

 

 

『1,2,3…………498,499,500……いや多!』

 

 

途中から数えるのがめんどくなってしまうほどの人数だ。よく500まで数えたな俺。なんで今日はこんなに人がいるのだろうか?いつもならば俺と月読様の訓練にしか使わないのに、今では道場の中はかなりの人があふれかえっている。普通ならば熱気に包まれてもおかしくないのだが、普段と同じような空気なのは流石月の科学といったところか。

 

 

そういえば、こんなに大勢の人を見るのは久しぶりだ。月の『都』というぐらいだから人が多いと思うだろう。まあ実質多い。月の人口は億は悠々と超えている。が、その中から月の神である月読様の屋敷に入ることが出来る者は少ない。

 

 

俺は家が月読様の屋敷の中で、訓練場も屋敷内。それに、あまり屋敷から出ないように月読様から言われているのもあり、未だに屋敷の中から都に出たことがない。まあ、仕方がないのだけれど。そんな理由で『都』に出ることはなく、大勢の人々を見ることがなかっただけだと思う。

 

 

扉の隙間から中の様子を詳しく確認する。中にいる人たちは手に竹刀を持ち、相手のいない人に対して挑みあっている。そんな激しい鍛錬の中でも、剣道でけがをしないために使う防具類を、一切つけていない。そのせいか、道場の端には何人もの人が横たわり山を作っている。道場の真ん中ではガタイの良い男たちが竹刀を打ち合っていて、その勢いがすさまじく、一撃で周りにいた数人を吹き飛ばしてしまっている。

 

 

この状況から察するに、月の兵士たちが日々の鍛錬の成果を見せ合っているのだろう。こんな状況では俺は訓練をすることはできない。それに、鍛錬の邪魔をするのも悪い。仕方がない、仕方がない。これは今日は無理だなぁ。

 

 

 

 

………本音を言うと吹っ飛ばされて、道場の端の山の一部になるのはごめんである。

 

 

 

 

月読様に気づかれる前に、さっさとその場を去ろうとしたのだが、いつの間にか肩に何かが触れた感触があった。がその時、波長を感じることはなかった。俺はこの波長レーダーに引っかからない人…いや神か、を残念ながら一神しか知らない。

 

 

まあ、もちろんのことながら月読様である。

 

 

が、しかし、あのたくさんの月の民の中からすごい強い人がいて、その人が俺の肩を掴んだのかもしれないという一つの希望があった。とりあえずは振り向いてみればわかること、すぐさま波長を出し振り向く。

 

 

 

 

 

「おはよう、レイ。どこに行くのかな?」

 

 

 

 

 

振り向くとそこには満面の笑みでほほ笑む月読様と、後ろにいる先ほどまで中でうち合っていたのだろう。汗だくの人が二人、こちらを睨んできている。その事から俺は理解した。

 

 

俺はこれから吹っ飛ばされるのだなぁと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





い、いつの間にかUA4500、お気に入り数80越えで正直かなり驚いています。

これからも玉兎の憂鬱をよろしくお願い致します。

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