玉兎の憂鬱   作:残解

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最近、閑話が多くあんまり話が進んでないのに少々危機感を感じています。気長に待ってくれるとありがたいです。





序章・第十二話

 

 

 

「月詠様、この玉兎が例の…?」

 

 

「うん、そうそう。私が鍛えている玉兎だよ。」

 

 

さて、どうすればこの場から脱することができるだろう。追いかけて来ないのでは?なんて考えが浮かんできたが、呼び止めたと言うことは俺に用があると言うことであり、逃げても追いかけて来る筈だ。

 

 

さで、状況を整理しよう。月詠様が目の前におり、ムキムキの人が二人。この方たちがだだの人間であれば、なんとも簡単に逃げることはできる筈だろう。しかし、残念ながら一人は月の神、後ろの二人は多分だけど月の民の兵士だろう。

 

 

月詠様はもちろんのこと、月の民の兵士がかなり強いのも知っている。が、面識があったり、実際に見たわけではなく、月の兵士の構成からわかること。

 

 

月の軍事部隊は大きく分けて三つある。

 

 

一つ目はイーグルラビィと呼ばれる玉兎のみで構成される部隊で、玉兎のなかで上位の者から選ばれる。行う任務としては不足の事態が起きたとき月の民の兵士の下に付き、それに従うだけ。因みに一番数が多く、一番弱いらしい。

 

 

二つ目は月の使者。これは月の民の兵士と、イーグルラビィの中から選ばれる部隊だ。選ばれる基準は各部隊の中でかなりの上位にいる者たちで構成される。任務は至って簡単。月以外の場所から干渉、または攻め立てられた場合において、先陣をきる部隊だ。簡単といったのは、ただただ月の周りに認識を阻害する結界が張ってあり、来れないというよりは気付かないらしい。

 

 

最後の三つ目は月の民の兵士だ。この部隊は月の使者に上位の者たちは引き抜かれているが、総合的な戦力は各部隊の中で最も高いと言えるだろう。戦力が高いのは単純な力、それだけだ。この部隊を構成する方々は、全て人妖大戦以前からいる者たちで、生業の軍人たち。それ故、数が少ない分とんでもない強さを誇るのだ。因みに、月詠様と同じく億歳は余裕で越えている。

 

任務は月の民の守護。だから、基本は月の都の中に居るらしい。

 

 

さて、そんな億歳越えが目の前に月詠様を合わせて二人。ここから逃げることは多分、というか絶対無理だろこれ……

 

 

単純な攻撃力だけならまだしも、スピードでも絶対に勝てるわけがない。これは月詠様で経験済み。以前、道場を100周を1時間以内で走りきったおかげで、走ることに関してはかなり自信がついたことがあった。

 

 

それに歓喜しているところに月詠様がきて喜びの余り、その事を話してしまった。すると、『じゃあ、私と勝負をしよう。』なんて言われて、頭に花が百花繚乱していた俺はそれを受けていまい、さっきできたばかりの自信を木っ端微塵にされたから、嫌でも頭に残ってしまう。

 

 

ちなみに道場一周は大体フルマラソン(42.195km)位の距離で、それを100周、一時間以内に走りきったのだから自信がついてしまうのは仕方がないだろう。前世では足は余り早くなかったからなおさらだ。

 

 

さあ、そんな考察から目の前の三人から逃げられる方法は………

 

思い付くと思う?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答えは当然ながら、否。

 

こんなの無理である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣に月詠様がいて、後ろには先ほどの二人。結局道場内に連れていかれて、端の方で鍛練の様子を見ながら座っている。さっきから四方八方から視線を感じている。目隠しをしていて視界は無くとも、何となく解るのは、俺が出している『波長』のおかげだ。

 

 

その波長で最近は感情、つまり精神状態の波長がわかるようになってきた。具体的にはわからないけれど、ある程度は相手の感情が読み取れるようになった。今俺に対して向けられている感情も全部ではないけど、大体わかる。

 

 

感情の読み取りかたとしては、波長が短ければ短いほど怒っているとか、短気。逆に波長が長ければ長いほど温厚で落ち着いている。という基準を作って判断し、読み取っている。

 

たまに道場にいく道中で、何人かとすれ違うことがあり、そんな時にコッソリ波長を読み取らせてもらって、精神状態の波長を感じ取る。これを何回も繰り返して試したおかげで、大体の感情を読み取れるようになった。判断する基準が出来たのはこれのおかげだ。

 

 

それで精神の波長を読み取る以外にわかったのは、月の民は基本的に精神が温厚ということ。長い間生きていると温厚になるのだろうか?たまに少し短い人がいるけど、気にするほどじゃない。

 

 

「どう?打ち合っているの、見えるかい?」

 

 

月読様が話しかけてくる。が、いつもより波長が短く、話し声的にも心配してくれているのがわかる。

 

 

実は心配しているわけを俺は知っている。何でかというと、この目隠しを付けるとき、かなり心配していたからだ。それに、自分で言ってたし。『ほんとに大丈夫かい?心配だよ……』って。

 

 

元は人間だと知っているからこそだと思う。もし、俺の前世でいきなり視界がなくなったら、大学に行ったり、友達と遊んだりできないのは勿論、生きることだってままならないだろう。元々やっていたことが出来なくなる。だれっだってきついだろう。そんなこと人の手によって行うのだ。その苦しさをやらせてしまうからこそ、やる人がたとえ神でも心配してくれているのだと思う。

 

 

因みに俺が目隠しを付けたときあんまり不便にはならなかった。元からいつも波長は出し続けていたので、あまり変化がなかった。変わったことといえば色がなくなったことだろう。

 

 

「はい、とてもよく見えますよ。」

 

 

「それなら、彼らと打ち合いをしても大丈夫だね」

 

 

よく見えることを伝えると、あの嵐の中の人たちと打ち合うことが決定した。まあ、予想通りだ。なんで予想通りかというと、ここまで来て戦わないということがあるわけないのだ。ここまできて打ち合いを見るだけで終わる訳がないのだ。雰囲気だけを漂わせて終わるなんてあるわけがない。月読様の性格的にも。

 

こうなったらとことんやるしかないだろう。ぼこぼこにされてもだ。それに、日々の鍛錬の成果を生かす時だ。むしろ都合がよい。どれだけ俺の月読様に鍛えられた剣術がどこまで通用するか試すいい機会だ。最終目標にもこれで近づくことが出来たらいいのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





次はいよいよ戦闘シーンです。
レイの実力がわかるかな?

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