玉兎の憂鬱   作:残解

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序章・第十三話

 

 

 

『うーん』

 

 

近くで繰り広げられる竹と竹のぶつかり合う音を聴きながら頭のなかで、唸る。なんで唸っているかというと、戦うのはいいのだが、いったい誰とやるのだろう?という疑問。

 

さっき言われたばっかで全くルールとか、人数とかが全く分からない。何にも説明とかをされないまま連れられているから、不安しかない。

 

いくらえげつない訓練をやってくる月詠様でも全員とやれというのは可能性としては低く………ないな、多分全員とやる羽目になるだろう。

 

月詠様の波長を見てみたが、いつもより少し波長が短い。しかも、小さい声だが「ふふふふふふふふふ」なーんて言う風な不穏な音が聴こえる。きっとその顔はアニメとか漫画で言う悪役の顔をしているだろう。

 

 

波長が短くなるのは月詠様の癖で感情が出ている時は少し、本当に少しだけ波長が短くなる。マジでほぼ変わらないので正直怖い。

 

ちなみに月詠様からは波長は全くと言って良いほどでてきていない。しかし、人の波長を見ている時に、自らが出した波長が跳ね返ってきた波長を見ると、その対象から出ている波長とほとんど同じだったので月詠様にもやってみたら普通に読むことができた。

 

 

それ使っても月詠様の波長は見辛いのは変わらないけど。

 

 

「月詠様、一応聞きますけど、誰と打ち合うんですか?」

 

 

取り敢えずは聞いた方が早い。十中八九、ほとんど全員とやることになるだろうが、一応確認で聞いてみた方が良いと思う。なんでかっていうと、始まる前に聞いたり、相手から聞くよりはまだ諦めが付くし、心の準備に要する時間が少し増える。どうせ逃げられないし………

 

 

「ん?ああ、全員だよ。」

 

 

予想通りの答えが返ってきた。しかし、流石にあの人たちをたった一人で挑むというのは無謀だと思う。大の大人をぶっ飛ばす位の力を持ってる時点で、俺もそのぶっ飛ばされた側になりかねない。だから、何かしらのルールがあると思ったので聞いてみた。少しの配慮位はあるはず!

 

「ルールとかはありますか?」

 

 

「うん、あるよ。」

 

 

「月の民の兵士たちにいくら私が鍛えた剣術だとしても、玉兎が戦うのは、流石に無理があるからね」

 

 

いくら月詠様でもそこは考慮してくれていたみたいだ。ルールが無かったら無かったで結局やる羽目になるだろうが。

 

 

「でも、レイがぶっ飛ばされてるのを見るのは面白そうだけどね~」

 

「………やめてくださいよ?」

 

 

「大丈夫大丈夫、冗談だから」

 

 

こっちは冗談に聴こえなかったのだが?いつも月詠様は面白い!って思ったことは絶対と言って良いほどやるので、付き合うこっちは気が気でない。

 

 

例えば前世の話をした時、特にアニメの話をした時。その時に俺が話したアニメキャラの技をやりだす。本来ならばそのアニメキャラの技に憧れて真似をしようと思っても、そこは現実のなかにいるただの一人の人間。出来るわけがない。

 

しかし、こっちはどうだ?月のトップであり神でもある。しかも最高神の部類にはいる神格を持つのだ。それがアニメの技を真似をしようとすると大体は出来てしまうのだ。

 

 

それで相手をするのは誰だと思う?もちろん俺がやることになる。『訓練の一貫だよ!』といって『かめ◯め波!』とか『水の◯吸 壱◯型 水◯斬り!』と技名を叫び俺にアタックを決めてくるので大分きつい。そして、大体ぶっ飛ぶ。

 

それを考えれば目の前でやっている打ち合いでぶっ飛ぶより、月詠様にぶっ飛ばされる方がきついとおもってしまう。まあ、そんなことが良くあるので月詠様との会話の中に『面白い』がある時には、少々過剰に反応してしまうのだ。

 

 

「あ、もうちょっとで始めるから手短に説明するね」

 

 

「あ、わかりました」

 

 

早速始めるみたいだ。回りを波長で確認すると、いつの間にか先ほどまでやっていた打ち合いが終わっていて、もう用意ができてしまっている。もう少し時間を掛けてくれても良いのに。

 

 

「それで、今回の打ち合いのルールだけれど………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイ頑張れー!」

 

 

月詠様は道場の端の方にある席に座っている。俺の目の前には月の民の兵士の人たちが全員ずらりと正座して並んでいて、俺に対して身体に穴が空きそうな位にらんでいるだろう。そして、俺の横には、先ほど月詠様から渡された少し長目の竹刀が置かれている。

 

正座しているのは、さっき月詠様から教えられたルールの内で、月詠様が始めの号令をした瞬間に竹刀をもち、試合を始めるというものだ。だから、俺だけじゃなくて向こうも利き腕の方に竹刀が置かれている。このルールは正式な試合に使われるらしい。

 

一応こんなものでも、ちゃんとした試合らしいのだ。たとえ一人対大勢でも、試合は試合らしい。とにかく、こうなった以上やるしか無いだろう。

 

ルールを説明してもらうときに教えて貰った月の民の兵士たちの()()。これを有効活用することが出来れば、勝つことはできなくとも、ぶっ飛ぶことはないはずだ。でも『レイ………勝たないとわかってるよね?』なんて言われたら勝つしかない。なにされるかなんて、想像するだけでも恐ろしい。

 

「それじゃあ………」

 

 

おっと、もう始まるみたいだ。正直不安しかないが、頑張るしか無いだろう。やる前に出来ないと決めつけるのは良くないしね!

 

 

「始めッ!!」

 

 

「「「うおぉぉぉ!!」」」

 

 

ズドンズドン

 

 

座っていた兵士たちが一斉に立ち上がり、俺に向かって飛びついて来る!かと思いきや、全く来ない。先ほど一度に立ち上がったため、前の人たちはそれを回避したが、後ろの兵士のほとんどは大きな音を立て、ずっこけてしまっている。

 

 

これは月の民の兵士たちの弱点の一つ。一人一人の闘争心が強すぎるため、全くと言って良いほど連携がほとんどとることが出来ないのだ。聞いた時は冗談だと思ったが、いざ始まって見ると確かに全く連携が取れていない。邪魔な仲間を殴ってぶっ飛ばしてるぐらいだ。月詠様に聞いていなかったら、俺は綺麗にずっこけていただろう。

 

 

がしかし、先ほどの珍事を回避した兵士たちが俺に迫る。

 

 

連携は取れてなくとも、個々の実力はとんでもない位高いのだ。そんなことを考えている内に、一人が俺に対して突っ込んできた。すぐさま、足に力を入れて後ろに飛ぶ。

 

 

ビュンッ

 

 

 

 

「んなッ!?」

 

 

 

 

相手の竹刀が甲高い音を立てて俺の鼻にかする。少々、危なかったが降る速度は月詠様より遅かったので、まだ全然避けられるな。それを考えると、月詠様の剣速はどれだけ早かったのかがわかる。

 

今さっき俺に突っ込んできた兵士が、どうやら避けられることを予想していなかったみたいで、大きな声で驚きの声を上げている。その上、動きが少し固まってしまっているので、

 

 

バシッ

 

 

直ぐ様避けた時に少し崩れた体勢を立て直し、相手の首の横をを竹刀で打つ。

 

 

「う………」

 

 

どうやら、綺麗に首に入ったようで波長を見てみると、気絶してしまっている。うーん、まさか一発で気絶するとは思っても見なかったな。

 

そこまでするつもりはなかったので、申し訳ない。ルールでは、気絶させても良いが、当てるだけでも良いという物だったから尚更だ。

 

 

 

 

 

でも………

 

 

 

 

 

「「「貴様ぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

全員、気絶させないと終わらなさそうだ。

 

 

「ふーぅ」

 

 

さて、どうすれば勝てるかな。

 

 

 

 





さあ、レイは勝てるのか?

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