玉兎の憂鬱   作:残解

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道場の結界どこいったんだろうか?(笑)



序章・第十九話

 

 

 

今さらだが、なんであの二人は全くと言って良いほど周りが見えていないのだろうか?もはやここまで来ると相手が誰であろうが、それが失礼に当たろうが何であろうが言わせてもらおう。一切周りが見えていないのは何故だろうか。

 

普通、これだけの穴が空いていたら気付いて、打ち合いを止めたりするのではないだろうか?そう自分は思うが、あの二人は見ていて一向に止まる気配がない。あれだけ速く動いているから、集中して気付かないとでも言うのだろうか?

 

……これでは待っていても意味がないだろう。あわよくば道場の状態に気付いて、止まってくれれば良かったのだが、甘かった。待てば待つほど道場が壊れていく。さっさと止めないとまた……

 

 

ドゴォ

 

 

あぁ……また穴が空いた……はぁ……

 

 

「どう?何かいい案は出たかしら?」

 

 

「あ、はい」

 

 

無論決まってはいるので、説明する。

 

正直、豊姫様の能力に頼りすぎてしまったと思う。作戦の大半が豊姫様便り。まだまだ自分の能力には使えるところがあるのに、使いきれていないところに自分の未熟さを感じてしまう。まあ最近やっと、能力の感覚が体に染み付いてきたことを考えれば、仕方がないとは思うけれど、悔しいなぁ。波長なんてヤバいもの操るなんて自分なんかにはとても身に余るものだし。

 

とはいえ、今からやるのは『波長を操る程度の能力』を使うし、道場内全体という結構な範囲だ。操れる前提で考えてしまった。普段、こんなバカみたいに広い範囲を、能力で操ったことはないので、不安である。まあ、とりあえず操れるかどうかは分からないがやってみなくては、自分の成長にもならないし、目標にも届かない。何よりこれ以上道場に穴を開けさせてなるものか!絶対に止めてみせる!

 

 

ドゴォ

 

 

……また穴が空いたよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玉兎用携帯型多目的通信機、要は前世で言うところのスマホに、自身の妖力を込める。90%、91%、92%とスマホが充電されていく。98%、99%、100%……充電が満タンになったと同時にスマホの発信機部分を能力でいじり、発信する電波の波長を最大にする。これであの二人がどれだけ早く動いていても、スマホから出る電波で道場内はイヤホンを使う事が出来る。

 

 

「それじゃあ、いくわよ~」

 

 

「お願いします」

 

 

さあここからが本番だ。あらかじめ豊姫様に渡しておいた自分の黒のワイヤレスイヤホンを『山と海を繋ぐ程度の能力』を使って、片方ずつワープさせる。そして、どれだけ離れていようと自分が操れるようにイヤホンには妖力を纏わせている。こうすれば、自分の妖力を纏わせたイヤホンのスピーカーから出る音の波長を操れるようになる。

 

 

「3,2,1」

 

 

ヒュン

 

 

豊姫様の合図と同時に手のひらの上にあったイヤホンが消えた。次にスマホの音量を最大にする。それに加えて、イヤホンから出る波長を操り、音の大きさを更に上乗せする。

 

 

ドゴォドゴォドゴォ……………ドサッ……

 

 

するとどうだろうか、道場内に響きわたっていた壁や床の壊れる音が、ピタリと止まった。それと同時に、何かが落ちた音が道場の中心辺りから聞こえてきた。

 

 

「「つっ……あぁ……」」

 

 

道場の中心では、苦しそうな声を上げて、片耳を押さえて、上をむいて倒れている二人がいた。そんな二人のそばには、最早竹刀だったとは思えないほどに木っ端微塵になった二つの橙色の粉の山と、大音量を出しすぎたせいだろうか、黒色のイヤホンが粉々になって、部品が辺りに散らばっている。

 

 

「……つっし」

 

 

よっし!成功だ。と心のなかで歓喜し、聞き手を振り上げてガッツポーズをする。

 

まさか、こんなにもうまく行くとは思いもしなかった。どちらか一人が止まってくれれば、自分にとっては万々歳だったのだが、おありがたく二人とも止まってくれた。二兎追うものは一兎をも得ずと言うが、今回は二兎追うものが()()も得ると言うぐらいになってしまっている。つまりは大成功。

 

自分が考えた作戦としては、まずイヤホンを二人の片方の耳にワープさせる。そこから大音量で黒板を引っ掻くような音を流して、それをさらに波長で上乗せする。そうすると、とんでもない威力の超近距離ショックキャノンの完成である。

 

とはいえやり過ぎた。そもそも、本来の目的としては、あの二人が止まれば良かったのだが加減がわからず、止まれば良いやとおもいっきり波長を上げすぎたせいで、イヤホンを付けていた方の耳は、鼓膜が破裂するまではいってはいないが、かなり痛そう。喜んでいる場合ではない。

 

 

とりあえず謝りにいこう。

 

 

そう思って二人がいる方向を見た。が、そこには二人の姿はなく、竹刀とイヤホンの残骸だけが残されていた。

 

 

「あれ?」

 

 

いると思ったのに消えていたので、起き上がったのかと、辺りを波長と、己の目で見渡す。

 

 

「いた!」

 

 

道場の端っこの方に二人いた。片方はおそらく豊姫様。もう一人は多分だけど月詠様だろう。何かを話しているみたいだ。よし、謝りにい……いやまて、もう一人はどこに行った?月詠様が端にいるとなると、もう一人はどこに?波長で道場の全体を調べたはずなのだが、豊姫様と月詠様しか居なかった。

 

波長が抜けたのだろうか?もう一度波長を出し、調べてみる。しかし、一向に見つからない。隅々まで波長を飛ばしても、人影すらない。一体どこにいったと言うのだ。

 

道場から出たと言う訳でもあるまい、今度は波長を出し続けてみる。と言うのも、ショックキャノンを使う為に妖力をかなりの量を消費したので、節約をするために出す波長を減らしていた。まあ、そもそもこんな広い範囲の波長を出し続けていたら、すぐに自分の妖力なんて尽きてしまうから使わない。

 

そんなだから、途切れ途切れ波長を出していたのだが、これは妖力の節約としては有効ではあるが、動いていていたりしている対象であった場合、反応が薄くなってしまうと言う欠点がある。このことから恐らく、先ほどの打ち合いのように、動きまわっていると思われる。

 

 

………は?

 

 

打ち合いは終わったと言うのに、何故?竹刀も粉々なのに。一体なにを?位置を特定するために、妖力がすっからかんになるのを覚悟で波長を全開にする。

 

 

「こっちに来てる」

 

 

道場の南の位から、とんでもないスピードでこちらに近づいてきている。……これ、自分が狙われてないか?でも、狙われても仕方がないか。ショックキャノンで一般人であれば気絶するほどの波長を当てたから、やり返しとかそう言うので来るのは当然。やられても仕方がない。

 

とはいえ、あんな速度の攻撃。当たったら、俺は即座に道場の壁や床みたいに木っ端微塵にされるだろう。逃げるか?いや、今から逃げても、あのバカみたいに早い攻撃に追い付かれて、結局に肉片に加工される。ヤバい、もう来る!何か策は……!

 

そうだ!初撃だけ自分の持っている竹刀で流して、あとは出口まで全力疾走!これしかない!

 

そうと決まれば………!

 

 

 

 

 

パァン

 

 

 

 

 

 

 




ショックキャノン最強☆

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