遅れても失踪する気はありませんので、大丈夫です。
最近はpixivで絵とかも描いてるのでそちらの方も、見ていただければ幸いです。
pixiv↓
https://www.pixiv.net/users/82982488
「っう」
レイに何かが当たった瞬間、何百の月の民の兵士たちと打ち合ってもびくともしなかった竹刀が、大きな音を立てて粉々に弾け飛ぶ。破片が幾つか体に刺さったが、今はそれどころではないだろう。竹刀を破壊するほどの衝撃に為す術はなく足は宙に浮き、慣性に従って飛ばされた。
とんでもない衝撃により脳みそが揺れ、一瞬だけ視界が真っ暗になった。同時に頭と耳に激痛が走り、少し意識が持ってかれそうになったが、深呼吸を何とか持ちこた。そのせいで、とんでもない速度で床にぶつかりかけたが、何とか体をひねり、足を進行方向に向けて着地する。地面の接地感を感じ、そのまま全力で逃げる。
逃げる場所がない。
頭の中にはただそれだけだ。あれだけの衝撃を受け止められる場所など、自分には思い浮かばなかった。道場の空いた穴は中がどうなってるかわからないし、端の方にある武器庫は耐久性が心配である上、ここからかなり遠いので付く前にやられそう。そもそも、なにやっても砲弾のように飛んでくるため、破壊されそうだし止められそうにない。
だから、このまま走って逃げるしかないのだが、そんなことではまた打ち込まれて今度こそ失神する。下手したら、竹刀みたいに頭の骨が粉々にされる可能性だってある。どうにかして逃げ切らなくては……!
そんなことを考えているうちに、また波長レーダーに1つの影が移る。また来る攻撃を防ぐためその場に立ち止まり、竹刀を構えた。が
「あ、やっべ」
あることに気付き、とっさに横に避ける。
ドゴォ
大きな音と共に頑丈な道場の床に大きな穴が出来上がる。
「危なっ」
竹刀が先ほど破壊されたのを忘れていた。自分が構えた竹刀は、残念ながら柄飾りから先は吹き飛ばされて、無い。これでは受け流すどころか、自分の頭目掛けて竹刀が飛んでくる。替えの竹刀など、あるわけもない。そもそも、竹刀が弾けて粉々になるなど普通はあり得ない。あれはあれでかなり固いのだ。月詠様との打ち合いでも、竹刀が割れたり、傷が付いたり何て事は一切無かったのに。
月詠様は力を抜いて、自分と打ち合っているのは理解していたが、竹刀が打ち合いで粉々になるほど強く振ることが出来ると言うことは、かなり、とってもかなり力を抜いていたと言うこと。めちゃくちゃ手加減されていたのだなぁと言うのには、少し落ち込む。
……って、そんなこと言っている場合じゃない!早くどうにかしないと!
自分の足と飛行速度では、竹刀の置いてある武器庫には付く前に打ち込まれてジ・エンド。今ここで出せる武器はあるにはあるが、元となる妖力が少々心許ない。ほとんどカラ。不安である。しかし、今は受けることを考えないと。先の無い竹刀に妖力を込め、刃のない棒状のものを意識する。するとバシューという効果音を立てそうな感じで、ニュイーンと青色の棒状のものが、竹刀の柄飾りから生えてきた。
急いでまた、さっきのように構え、飛んでくるのを待つ。
「今っ」
パァン
先程受けたので、比較的楽に流すことができた。そのおかげで向こうは体勢を崩し、転け、あの馬鹿みたいに早い移動が止まった。受け流せたのは、この妖力でできた棒のおかげでもあるのだろう。これ結構固くてスベスベしているから、表面が竹刀とぶつかって滑ったのかもしれない。
これは月詠様との鍛練の時に習得したもの。本来であれば刃を造ったり、鋭くして斬りやすくしたり、様々な武器を簡易的に作成するもので、根本は結界術にある。結界を形を変えて作れるのだが、これがまた難しい。元々、工作は得意な方だったのだが、どうにもこの結界術は苦手だ。
向こうがすくっと起き上がってきて、竹刀をこちらに向ける。
その時、顔がやっと見えたのだが、少しゾッとした。何故かしらないが、口角を上げ、笑っているのだ。波長も見てみるが、なんとも波は高く、早い。つまりは興奮してしているのだ。それは怒りによる興奮ではなく、まるで楽しんでいるかのようなもの。自分にとっては恐怖でしかないのだが、あちらはとっても楽しそうである。
何故、楽しそうなのか?一瞬よくわからなかった。あんな速度で突っ込んだり、竹刀が粉々になるまでやる意味が良くわからない。何より自分が追われているのは、自分がイヤホンショックキャノンを使い、向こうを怒らせてしまったと思っていたからだ。しかし、良く考えてみると向こうの反応はおかしいものではないことがわかった。
思うに、単純に楽しんでいるのだろう。まるで、新しいオモチャを買って貰った子供のように。何か一つの物事を極めるためには、それを好きになり、楽しむことによってその物事を極めることができる、と思う。一概に物事を極めるための方法として、楽しむことだけをすればよいとは言えないが。
……そうであれば、自分も楽しんだ方が良いのであろうか。あちらの感情、パッと見ただけだとヤバいものだと思うかもしれないが、剣術を楽しんでいるからこその感情だと思う。だったら、いまの自分のように逃げたりすることを考えていたら、これ以上の剣術は望めないような気がする。キツそうな鍛練から逃げようとしたり、諦めかけたり。そんなことでは全く伸びる訳がない。
そんなことでは困る。
剣術は自分の目標としていることをするためには、必ず必要になってくるし、自分自身、剣術がうまくなりたいという気持ちはある。何より、このまま逃げるだけでは攻撃を逃がして、逃がして、逃がしてとらちが開かない。
つまり、この状況をどうにかするためには、打ち合うしかないのだ。ビビっている暇はない。向こうはもう竹刀を構え、いつでもこちらに打って来れる。直ぐ様竹刀を……ラ◯トセー◯ーもどきを構える。
さあ、どこから来るか。
剣術において大事なのは、相手の剣筋を見ること。それを予想して、動作をとる。自分から振りに行くのはタブーで、相手が動いている隙を狙い、打ち込むスタイルが月詠様の剣術の基本。ゆえに、相手が来るのを待つしかない。恐らく、向こうも月詠様に指導されており、自分と同じように待つのが基本。
だから、この打ち合いにおいて、先に痺れを切らした方が不利になる。自分はその攻撃に耐えて、隙を見て打ち込むことができたら良いのだ。しかし、先程ようなのスピードで来られたら、反応出来る自信がない。だが、やらなくてはどうにもならない。出来るだけやってみよう。
双方が剣を構えてから、しばらく時間がたった。しかし、どちらも微動だにしない。構える竹刀は揺れもせず、相手側に向けて止まったまま。道場の端の方で、話ながら打ち合いの様子を見ていた一神と一人は一言も喋らず、二人の剣と剣とのにらみ合いを見ている。
誰も動いていない道場内は非常に静かで、ちょっとでも動こうものなら音が響き、注目はそちらに行くだろう。
ダァン
静寂を打ち消すように、依姫が動く。先に痺れを切らしたのは依姫であった。依姫も相手の隙を狙うように、待っていたのだが、レイは全く動かず、逆にらちが開かないと思ったのか、先に動いた。
ドンッ
と道場の床を強く蹴り、一瞬でレイの近くに移動する。それに対して、待ってましたと言わんばかりに、受けの体勢をとるレイ。依姫の竹刀とレイの竹刀……ラ◯トセー◯ーもどきがぶつかり合い、甲高い音が鳴り響く。
「っう……」
余りの竹刀の重さに怯みながらも、レイは上手く依姫の攻撃を流し、依姫は体勢を崩した。
今だっ!!
レイは全力で竹刀もといラ◯トセー◯ーもどきを依姫の首元へ振りにゆく。渾身の一撃であった。がしかし、それが当たることはなく、次の瞬間には、自分に目掛けて依姫の竹刀が飛んできた。全力で竹刀を振ったあとなので、今のレイには隙が多い。その上、依姫の竹刀は超高速。平常時であれば、何とか流せたかもしれない。だが、動こうにもレイの身体は月の兵士たちや先程の依姫の攻撃を受け流していて、もう体は限界。
もちろん避けられる筈もなく、その光景を最後にレイの意識は途切れた。
ラ◯トセー◯ー(笑)
各話のタイトルについてのアンケート
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いままで通り。
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◯章・◯◯話の後にその話の簡単な内容
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その話の簡単な内容だけ