玉兎の憂鬱   作:残解

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年末年始は恐ろしいもので……グダグダしてたおかげでかなり投稿遅れました……もう4月()
また、平常時に戻りますのでどうかよろしくお願いします。(元々遅いのは……言わないで貰うと)



壱章・神の近衛
壱章・第一話


 

レイが気絶した後の道場の端、イヤホンによるショックキャノンを食らったはずの月詠は、元気そうにレイを担いだ依姫と、ポケーっとしている豊姫を呼んで、労いの言葉をかける。その言葉に豊姫は元気そうに返事をするが、依姫はなにやら不服そうな顔をしている。

 

 

 

「お疲れ様、上手くいったね。」

 

「上手くいきましたね」

 

「………」

 

再度話しかけてみるが、やはり反応しない。

 

「依姫?」

 

「大丈夫かい?あ、ひょっとしてあの波長にやられたのかな。結構強かったしね」

 

と、からかうように尋ねたが

 

「………いえ、そういうわけでは」

 

こういう風に答えるのを渋るのは、依姫のいつものいつもの癖だ。玉兎とやろうが、月の民たちとやろうが、私とやろうが、打ち合った後には必ずこのように反省をする。良いことだとは思う。

 

何かしらの物事をした後に見直すのは、個人的には良いことだと感じる。自分よりも実力が上だと思う者にたいしては当然だが、下の者に対しても行っているのは依姫のすごいところだ。

 

「………」

 

顎に手を当てて、全く動く気配がない。この状態では、しばらくは考えているだろう。邪魔するのも悪い、終わるまで待とうかね。

 

「それにしてもあんなにも強くなるなんて、玉兎なのか信じられないわねぇ」

 

豊姫が話し出す。確かに私もレイがあそこまで強くなるなんて、思わなかった。精々普通の玉兎程度よりもちょっと上、位だと思っていたのだが、見当違いだったようで。

 

「まさか依姫の竹刀を受けれるようになるとは思わなかったよ」

 

依姫とぶつけたのは少しだけ早いんじゃあないかと心配していたが、どうやら杞憂だったようで、見事に受け流した。ビックリだよ。

 

「月詠様の指導のおかげじゃ無いですか?」

 

「いやーそんなことはないよ。私自身はほとんど何もしていないからね」

 

豊姫はそう言うが、大半はレイの努力によるもので、私はあまり指導などはしていない。打ち合う位だったからね。レイとやるのは。

確かに打ち合うことも技術の向上になるけれど、結局は基礎がないとあまり意味がないから。私が身を持って知っている。しかし、なんであんなにも努力出来るのか?私なら、力の差に絶望して、諦めていただろうな。

 

「それにしても、これはやり過ぎたんじゃないですか?」  

 

豊姫が大きな穴の空いた()()見える道場の床に指をさして言う。

 

「そうかな?私的には面白かったけれど」

 

そんな私の答えに少し不満そうにムッとする豊姫。スゴい楽しかったのは良いのだが、これをするには結構大変だったし、八意にも手伝って貰ったし。まあ、彼女は『良い研究になりました』なんて言ってたけど、仕事の合間に手伝って貰っていたから、かなり大変だったと思うし。そういえば、元に戻すことも考えてなかった。うーん、流石にやり過ぎたかな?

 

「まあ、あっても無くても、あまり訓練には支障は出ないし、大丈夫じゃないかな?」

 

「まあ、そうでしょうけどね」

 

「ま、良いや。つけっぱなのもなんだし、消そうかね」

 

月詠はそう言うと、懐から端末のようなものを出し、画面を操作する。すると、穴だらけでボロボロになっていた床や壁が、何事もなかったように、元の綺麗な道場に戻ったのだ。

 

 

この装置は、わざわざ月詠がレイ一人を騙すために、八意××に手伝ってもらい、設置した立体映像投影機。いわゆるプロジェクタを作成した。月の科学において、これを作るのは簡単ではあるが、レイとの訓練はほぼ毎日行っているので、月詠はレイにバレないよう、たった1日で設置したものである。

 

 

「便利ですねぇ、タップ一回で制御出来るなんて」

 

「だろう?」

 

調子に乗って、ボタンを連打する。穴が消えたり、出てきたり。ちょっと目がチカチカしてきた。

 

「あ、これ、毎回変わるんですね」

 

「まあ、そうだね。ずっと同じなのも味気ないから、ランダムに生成してるから。因みに、穴以外も映せるんだけど、まだデータとかもいれてないから、訓練用に使うなら、もう少し時間がかかるかな。」

 

「じゃあ、桃の木とかも映せますねぇ」

 

「いや、本物があるだろう…」

 

「フフフ、良いじゃないですか、室内に桃の木があってもね」

 

「そう言う問題じゃなくないかい?」

 

どれだけ桃が好きなのか?少し笑えてきた。

 

「まあ、冗談は置いといて。これ、戦闘データとかも入れることも可能ですよね?訓練用に使うのだから」

 

「ああ、勿論だ。私の剣術のデータに加えて、槍術、柔術、砲術その他諸々入れることは可能だよ。データ作るのは少し手間が掛かるけど、これで最近の近接訓練離れを改善出来たら良いんだけど」

 

ほん

 

「まあ、その点については大丈夫だと思いますよ。流石に月詠様が直々に作った訓練施設を彼らも無駄にはしないと思いますし、一匹の玉兎に全員やられる始末でしたから、そろそろ、自分たちの実力が低下していることに気付いて、訓練しだすんじゃないんでしょうか」

 

「そうだと良いんだけどねぇ…」

 

道場改造したからって来るかなぁ?まあでも、たった一匹の玉兎にやられて、黙っているとは思えないし、良くも悪くも、真っ直ぐだから、訓練位はしに来るか。これで改善すれば良いんだけど。

 

「ところで、どんな訓練を施したんですか?あの玉兎に」

 

豊姫が興味津々に聞いてきた。

 

「んーいや、打ち合った位だよ。後は振り方とか、型の組み合わせ方とかね」

 

「ホントに他のことは教えていないのですか?」

 

「うん、教えていないよって…もう良いのかい?依姫?」

 

「はい、大方わかりました」

 

急に依姫が会話に戻ってきてびっくりした。にしても、早いな、終わるの。いつの間にか豊姫は桃を食べているし、依姫はめっちゃ近くまできて問い詰めてくるし。やっぱ自由だなこの姉妹。

 

「それで、本当に教えてはいないのですか?」

 

「そうだよ。ちょっと打ち合ったら、後はレイが自分でやるから、それを見てたり、他のことをしたり。基本放置してるよ。たまにアドバイス位はするかな」

 

「成る程……見ているなかで、サボっている素振りを見せたりは?」

 

「んーいや、なかったよ。基本的にはサボったりなんてことは無いけれど、何故そんなことを?」

 

「いえ、私が見ている玉兎たちは、よくサボるものたちばかりで……月詠様のご指導を受けているにも関わらずサボる等といったことはないと思いますが、実際どうなのか気になりましたので」

 

「確かに、玉兎たちは職務を放棄して、サボっている話はよく聞くけれど、そこまでひどいのかい?」

 

「はい…私が指導している手前、言いづらいのですが、実際かなりひどいです。私が見ている間は、()()()は真面目にやっているのですが、私がいなくなったと同時にサボりだしてしまう始末です」

 

目に見えてわかるほど、落ち込んでいる依姫。依姫は玉兎が真面目にやれば、普通以上の事が出来ると思っている節があるから、落ち込むのはわかる。とはいえ、玉兎の基本的な性格上、真面目にやることは不可能だろう。

 

最初は私も、どうにかしてやれるように手を尽くしてみたこともあるけれど、どうにもならなかったからなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





玉兎の驚異のサボり性能(笑)

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