【書籍化!】『君は勇者になれる』才能ない子にノリで言ったら、本当に勇者になり始めたので後方師匠面して全部分かっていた感出した   作:流石ユユシタ

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23話 二回戦進出!!

 一回戦ウィルが勝利をした。いや、まさか勝つとは思ってもみなかった、相手もまぁまぁの強者だったらしいからね。

 

「勝ったわね、あの子」

「えぇ、そうでしたね」

 

 

 隣のリンがポテトを食べながら暢気に話しかけてくる。俺が買って来たポテト大分気に入ったのかな? 凄い遠慮なく手を伸ばして食べまくっている。

 

 

 

 ウィルは後で褒めたり、俺は最初から勝つのは分かっていたみたいなことを言うとして……次の試合はユージンだ。

 

 

「あ、次の子が出て来たわね」

「そのようですね」

 

 

 ユージンなら一回戦は突破することだろう。実力的には申し分ないし、相手もEランクだからな。

 

 さーて、ユージンの試合を観察するかぁ……

 

 そう言えばユージンは俺様系をしている俺によく似ている。ウィルもどことなく俺に似ているような気がしていた。それが彼等に勇者の後継にならないかと言った一つの理由なのだが……

 

 リンから見たらあの二人はどういう風に見えるのだろうか?

 

 

「あの……リンさん」

「ん? なに?」

今試合している子(ユージン)さっきの試合の子(ウィル)、勇者ダンにちょっと似てません?」

「え? あのユージンって目つき悪い子よね? あと、さっきの気弱そうな子」

「そうです」

「似てないと思うけど」

「そうですかね?」

「うん。全然似てない」

 

 

 あれ? 俺は似てると思ったんだけど、リンはあんまり似てるとは思わなかったようだ。てっきり俺と同じで似てるって言うかと思った。ずっと旅してたから感性一緒かと思ったんだけどね

 

「確かにあの、ユージン? って子はダンを真似しようってしてるのは感じる。でも、それはそれで似てはいないわね」

「はぁ、な、なるほど? 僕は似てると思うんですけどね」

「あ、そう。アンタが言うと何か複雑……まぁ、いいわ。それでウィルだっけ?」

「似てません? そこはとなく、戦い方とか」

「似てない、寧ろあの子は真逆じゃない?」

「へ、へぇ。真逆ですか」

 

 

  やっぱり人によって感性って変わるモノなのだろうか。それともリンは王族だから庶民的な感覚とか分からないのかもね。昔、食事の相場が分からなくて、大金出しすぎてお店の人戦慄させたこともあるし。

 

 ちょっと鈍いのも無理はないのかもしれない。

 

 

「……そうね。強いて言うなら、バンが一番似てるかも」

「僕ですか?」

「そう……似てる似てる」

 

 

 最高に鋭いな……流石はリンと言った所か。

 

 

「いや、どうですかね? ()()()()と思います」

 

 似てはいない、だって本人だし。本人だから似てはいない。つまり俺は嘘は言っていない。遠回しに本人だと言っているようなそうでないような絶妙な濁すような言い回し。ふっ、これでリンは誤魔化されるだろう。

 

「確かに言われてみればそうね。()()()()()()()()」(まぁ、似てるも何もアンタが本人だしね)

 

 

 あ、話してたらユージン勝ってた。おめでとう、これは本当に予想通りだ。そして、アルフレッド、テッシー彼等も見事一回戦を勝ち上がった。

 

 

「一回戦が全て終了しました。これより数分の休憩を挟み、二回戦を行います」

 

 

 運営の人間の一人がこれからの大会進行について教えてくれた。さてと、一回トイレにでも行ってこようかね。

 

「ちょっと、薬草を摘んできます」

「私は食べ物何か買ってくるわ」

 

 

 彼女と一旦別れた。この世界には、謎の言い回しがある。前世ではトイレに行くのを花を摘むと言ったが、この世界では薬草を摘むと言う言い回しが出来るらしい。マジで意味わからん。

 

 

 用を足して席に戻ろうとしたら、誰かがコロッセオの通り道みたいなところで話しているのが聞こえて来た。

 

「ふん、お前みたいな落ちこぼれがよく一回戦を突破できたものだ」

「……黙れ」

 

 

 あれ? ユージンじゃないか? 誰かに何か言われている。ユージンと向かい合って嫌味を言っているのは……誰だ? ユージンに目元がどことなく似ているような気もしなくもないが……。

 

 もしかして、ユージンの兄か? ユージンはトレルバーナ王国で四大貴族と言われている有名貴族の四男だったが落ちこぼれと言われていると聞いたことがある。兄からもかなり見限られているとか。

 

 

「消えろ、ルード。お前に用はない。眼中にもない」

「……言うようになったな。弱者の分際で……ここで身の程を教えてやってもいいんだぞ」

「やれるならやってみろ。俺の前に立つなら誰であろうと蹴散らすだけだ」

 

 

 大分険悪の中のようだ。兄弟喧嘩なら放っておいてもいいが騒ぎになって出場取消しとかになったら可哀そうだし……。

 

 

 

「おーい、ユージン君ー!」

 

 

 どうするか迷っていたらウィルの声が聞こえて来た。ナイス、ウィル。ウィルは手を振りながら笑顔でユージンに駆け寄った。

 

「っち、邪魔が入ったか」

「ふん、早く消えろ」

「……父上が言っていたぞ。弱さを振りまくなら我が一族ではないとな」

「家名に興味はない、俺は強さを証明し続けるだけだ」

 

 

 ルードと言われたユージンの兄は何処かに歩いて消えた。

 

 

「ユージン君、一回戦突破おめでとう、凄かったよ。会場も湧いてたし!」

「そうか」

「うん! 互いに頑張ろうね!」

「そうだな」

 

 

 そう言ってユージンもどこかに歩いて行ってしまった。あまりに淡泊な返答、もしかして、落ち込んでいるのだろうか。いつもならもうちょっと嫌味とか言うんだけど。

 

 

 気になったので後を追ったら近くのベンチに座って空を見上げていた。ちょっと話しかけてフォローするか。

 

 

「よっ! ユージン君!」

「貴様か、何の用だ」

「一回戦突破したみたいだから、賞賛をしに」

「……あんなのは大したことではない。もっと強く、もっと……勇者ダンには届かない」

「もし、勇者ダンが見てたら褒めてくれると思うよ」

「この程度ではそれはないだろう」

「そうかな? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。これぐらいは言うんじゃない?」

 

 

 ちょっと勇者ダンの俺様系の声真似して言ってみた。正体はバレないだろうけど、ちょっと元気出してくれたらうれしい。後継者のモチベが下がったら大変だし

 

「まさか、それは勇者ダンを真似たつもりか?」

「うん、そうだけど」

「なら、俺はお前を殺す」

「なんで!?」

「全然似てない、お前は勇者を馬鹿にしている。もっとアイツは渋い、そして覇気を纏いながら淡々としている。それにそもそもアイツは強さへの執着と常識が違い過ぎる、この程度の大会の一回戦を突破したところで何を評価できる? アイツからしたら力が1の存在が剣を振るうチャンバラ大会に過ぎない」

「いや、そこまで言う?」

 

 

 結構これでも評価しているだけどね。ユージン君は俺の事がどう見えているのだろうか? 

 

「さて、俺は行く」

「あ、二回戦頑張れ」

「当然だ」

 

 

 

 何事もないようにユージンはコロッセオの方角に戻って行った。あの様子からしてあんまり落ち込んでなかったみたいだ。試合前の精神統一でもしていたのだろうか?

 

 

 俺も見学をするために試合に戻ることにした。

 

 

「あのー」

「はい?」

「こちら、どうぞ」

 

 

 戻ろうとしたら誰だか知らない人にビラを渡された。白い白装束を身にまとっている怪しい女性だ。

 

「最近、設立された新しい宗教なのですが、是非入信をしてください。貴方、幸薄い顔をしていらっしゃるので」

「は、はぁ?」

 

 

 ビラを見てみると勇者ダン教を書かれていた。

 

 

「こちら、あの有名な勇者ダンが設立された、新たなる信仰団体なんです。必ず幸せになれますよ」

「……あ、そうですか。それじゃ、僕はこれで」

「勇者ダンも何度も演説をしていらっしゃるので、是非一度足を運んでみてください」

 

 

 全く知らない宗教団体だ。備考に大賢者リンリンも参戦! と書いている。あとで、リンにも聞いてみよう。

 

「ちょっと、バン。どこ行ってたのよ?」

「あ、リンさん」

 

 

 丁度、リンが俺の近くに来ていたようだ。彼女はクレープを二つ持ちながら駆け寄ってくる。

 

「いや、色々と」

「もう、試合始まっちゃうわよ。早く行かないと」

「あの、リンさん」

「なに?」

「これ、知ってます? 勇者ダン教って言うらしいんですけど」

「……はぁ? なによこれ、私参戦する予定もないし」

「僕も初めて聞きました」

「……初めて聞いたのね。アンタが? そう……これ、誰が?」

「知らない白装束の女性ですね」

「……ふーん、あそこにいる人?」

「あ、そうです」

「私、ちょっと後つけてみるわ。なんかきな臭いし。バンは会場戻って試合でも見てて」

「いえ、でしたら俺も行きますよ。ちょっと気になりますしね。これ」

「そう、だったら一緒に行きましょう、早めに戻ってくれば試合も引き続き見れるでしょうし」

「そうですね」

 

 

 はい、とリンにクレープを渡された。二人で白装束の女性を追う事に決めた。

 

「尾行するのは二人が基本だって、知ってました?」

「それくらい知ってるわよ」

 

 まぁ、リンなら知ってて当然か。これを聞くこと自体、愚問だし不毛だったな。前にも二人で尾行したことあったしね。あの時に俺が尾行は二人が基本って言ったのを今思い出した。

 

「ですよね、流石です。リンさんは伝説の勇者パーティーですし、こういうの慣れてそうですね。でも、僕は尾行ってあんまりしたことないからドキドキしますね」

 

「……あっそ、無駄話は良いから尾行行くわよ。油断するんじゃないわよ、気も抜くんじゃないわよ」(これ、実質デートでは……? うん、ちょっと嬉しいかも、よく分からない宗教団体に感謝ね)

 

 

 まさか、クレープを食べながら尾行することになるとは……ウィル達の試合の為にも速めに帰ってこよう。

 

 

 

 

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