天界というのは空にある。地上の世界から行くとなると、空飛ぶ乗り物で行くしかない。飛行船というものがそれに該当するらしいので、それを使っていくことにする。いくつか候補があってびっくりしたが、手出しできそうなお手頃なものにした。もっと安いものもあったが、評判悪いから止めておけとアーリーに言われたから、選んでいない。
あとは行き先についてだ。予想を超える都市国家があった。天界というところの領域は空全てだと言われている。あり得るものだ。その中で一番距離の近い天空都市国家がオフィエル。ここから四時間程度で着くらしい。有名なところもあるし、散策しがいがあると思っての選択だ。色々と迷ったが。
「天界のオフィエルにしたんだな。宿は俺がやっとくから」
アーリーが覗いたついでに、何かをやり始めた。全てひとりでどうにかなると思うのだが。
「何故それをやる」
「だってお前がやると、サービスなしのただ泊るだけのところに行きそう」
そもそも宿は寝泊まりするところだ。時代が変わって、色々な娯楽も楽しめるようだが、必要のないものだ。雨風凌げるのならそれでいい。
「この時代にいるわけだし、少しは楽しむべきだと思うぜ。まあこういうのはべら棒に高いから、朝食付きの宿で精一杯なんだけどなぁ」
アーリーが苦笑いをした。値段を見ると、確かに高いことが分かる。魔法総合格闘技で得た報酬があったとしても、すぐに消えるだろう。流石にこれは無理だと奴も理解していたか。
「それで構わない」
「よし。これにしとくか。地図とかも印刷しとくからな」
「助かる」
まだ俺自身、この時代を理解していなかったのかもしれない。少しずつ使えるものを使ったり、経験を積んだりしておきたいところだ。
「あとは持ってく物だけど」
ある程度の旅の経験がある。今の時代に合わせた方がいいかもしれないが、大体は固まったところにあるはずだ。食事は適当に周りの店で取ればいい。
「衣服と身なりを整える道具ぐらいでいいのだろ。昔のように飲食店がない時代というわけではないからな」
この答えを聞いたアーリーは緑色の紙を出した。割引の類か。
「それなら近くにあるショッピングモールで買って来い。期限までに使える自信がねえからな。丁度良かった」
勿体ない精神という奴だろう。
「ありがたく使わせていただこう」
とはいえただ貰うだけではあれだ。ついでに買えるものがあったら、買ってこよう。
「しかしそうだな。何か買って欲しいものはあるか。食材も売っているだろ」
「まだ冷蔵庫に残ってるから大丈夫だ。あ」
何かあったようだ。思い出したと言った感じだ。
「洗剤なくなりそうだからそれ頼むわ」
「了解した」
リストを作ってから買い出そう。この時代での初めての旅だ。色々と試していきたいところだ。他は体調を整える必要もあるだろう。いつだって身体が資本となるからだ。とは言え、空の旅は不慣れだ。崩した時に備えて、薬の準備もいるだろう。……土台は変わらないのだな。今も昔も。旅というものは。