空の移動というものが時を経て、快適なものと変わっていた。酔わない。友なら驚くだろう。しかもサービスとやらで、飲み物を貰うことができる。仮眠を取ることも可能。そういった意味で満喫できた。
「オフィエルへようこそ」
魔界と違い、警備が厳重となっている。神々がいたところだから無理もない。住民も淡々と仕事をするはずと思っていたのだが、魔法総合格闘競技があったからか、やたらと興奮気味だった。天使の翼がばっさばさとして、そこから羽根が落ちているぐらいには。
「お楽しみにくださいませー」
手続き完了。空港とやらから出る。飛行船の窓から見ることが出来たのだが、水が流れるような島だった。水の都市という異名もそこから来ているというのも納得だ。外に出ると涼しい風だ。水があるからだろう。この穢れのない水は……昔の地上の基準だと聖水扱いになる。聖女と呼ばれる者は確実に泡を吹いて倒れる。流石は天界と言ったところか。
「天然水で出来たかき氷、いかがでしょうか! 最近のトレンドのクリーミーな、グリーンティーソースと一緒に!」
昔なら友から「何してる」と言われていたかもしれない。恐れ多いという意味合いで。しかし周りの天使や観光客らしき奴らが普通に食べている。とりあえず食べよう。
「それをくれ」
「あいよ」
空港で両替した天界の金を初めて使う。かつては神木だったものを札みたいにし、数字で刻んだものを通貨として使っている。無駄なものはない。神々の世界らしい考えだ。
「気を付けてくれよ? 冷たいものは頭がキーンとなりやすいから」
屋台の男からそう言われたから、魔法で対策をして、口にかき氷を入れる。ふわふわしている。クリーミーとはいえ、思ったよりもあっさりしている。魔界が濃いからか。どちらも美味しいから気にしないが。
「ところであんた……グリムリーパーなんじゃ」
ここでも魔法総合格闘競技のネームが出てきた。思ったよりも俗っぽくなっている。昔は贅沢はしないというか、そういう下の民のことなんて興味ないという話だったが。
「そうだが」
「サインくれ」
交流がなかったから、実態を知らなかったのだろう。天罰がたまにある時代だから、余計に恐れられて接しようなんてなかったというのも大きい。天使にサインは流石に想像していなかった。
「ありがとな! 器はこっちで回収する」
かき氷の器を渡し、散策を始める。白い衣装に白い翼の天使。白い大理石の建物。そこから流れるのは清らかな水。常に綺麗にするものがある。穢れのない、水の都市という話は本当だろう。どれだけ汚れていたものがあったとしても、数秒で綺麗になるはずだ。
オフィエルという天使を祀られているところもあると調べで知っているが、果たしてどこにあるのだろうか。地図を見て確認をしよう。都市の中心地にあるか。宿がその近く。アーリーの配慮が分かる。土産を豪勢なものにしておこう。
「ここか」
歩いて数分でオフィエルの中心地に着いた。昔の想像で描かれていた天界の神殿と変わらない。違う点は天使らしい像があるぐらいか。中には入ることが出来ない。人数が多過ぎるのも問題であると、予約制になっているからだ。ひとまず明日行けるようにして、宿で体力を温存しておこう。