寄生獣~S~   作:証明

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第15話

あれから、私と泉新一はというと……

 

どうやら彼の話によると母親は父親と一緒にいる時に襲われたようで、現在は地元の病院に入院しているらしく、その病院へと私達は高速船に乗り、向かっていた。

 

「成る程、母親が殺された直後、君は父親から電話をもらっていたのか……」

私は、あの後一度自宅へともどり、祖母と話をしてから私服へと着替え、泉新一と共に彼の父親のもとへ旅立った。

 

「……その口調……」

「ん? なんだ急に?」

「……前とは、違うな全然。」

彼、泉新一は母親が殺されて大分参っているらしく、やつれた顔で私へと、たどたどしく尋ねてきた。

 

「……別に、もう取り繕う必要も無くなったのでな。」

そう、私が言うと泉新一は外を眺めながら言った

「……そうか、確かにそうだな。 ……ところで出かける時、家の人に何か言われなかったのか? その……男と旅行とかさ……」

「祖母のことか? それならまっったく気にする必要は無いぞ?

むしろ楽しんでこいと、この服も祖母に着させられたからな…」

……。

 

出掛ける時、祖母は急に聞かされた旅行に始めの方こそ、難色を示していたが、一緒に行くのが男だと知ると喜び勇んで準備を始め「一度きりの人生なんだ。 どうせならめかし込んで楽しんできな!!」

と、最後には背中を押される始末であり、現在の私の服装は清楚なワンピースを着た深窓の令嬢といった出で立ちで、それは今世私服で着る初めてのスカートであった。

 

「全く何を勘違いしてるんだか……」

私は、頬杖をつきながらそう呟き更に思い出す……

 

「人間、いつ死ぬか分からないんだから……か。」

一度、自ら死を選んだ私には耳が痛い言葉で……両親を失った私には心が痛む言葉であった。

 

 

__

 

 

「父さん!!」

父親が入院しているという、桜崎の港へと到着した私達は、早速、彼の父親が入院している病院へと行き、私も彼と一緒に病室を訪れていた。

「……母さんが!!」

隣で、泉新一は辛そうに叫んでいる。

しかし、彼の父親から返ってきたのは意外な解答であった。

 

「母さんな……何か事故に巻き込まれたらしく行方が分からないんだ……」

私は耳を疑った。

彼から聴いていた話では、父親は化物に襲われたと電話越しに彼に話していたハズだったからだ。

 

「……それは、おかしいですね?」

「……君は?  ……その顔…何処かで……」

「そんな事はどうだって良いでしょう? ええ、私が誰かなんて事は今はどうだって良い事です。 だって、あなたは話したんでしょう彼に、母親は化物にー」

 

「井上!!」

 

そこで、私は泉新一に会話を遮られた。 それは、初めて聞く彼の叫び声だった。

 

「……黙ってろ。 ……そうだよ、父さん__母さんが殺されたんだよ! 化物にさあ!!」

泉新一は泣きそうな顔をしながらそう、叫ぶ。

 

「俺は……電話口でそんな事を。 すまん! 本当にすまん! 間違いだった!!」

「父さー」

「新一、頼む。 今はその事は__……」

しかし、そう言った彼の父親は更に泣きそうな顔をしていた……。

 

 

__

 

 

 

「泉くん、もう行きましょう。」

「いや、……でも」

「いいから、これ以上ここにいても無駄でしょう? "あれ"はあなたの父親に姿を見られている……だから、あなたの住所を調べてやってきた。 あなたの母親に完全に成り代わる為にもね……。」

私はそう言って、彼の手を引きこう囁いた。

 

「だったら、待ち伏せて殺すしかないじゃない」

 

「井上……」

「君は、一体……何を……」

泉新一はただ呆然としていて、父親の顔はまるで"化物"を見るようだった。

 

 

__

 

 

それは、私達がこの島に来て三日程過ぎた時である。

 

あの病院を後にした私達は、病院からなるべく近くの旅館に泊まって彼の父親の周囲を主に彼が監視できるよう探していた所、偶然宿泊出来ることになった旅館では、始めは一部屋だった所を無理言って二部屋にしてもらい、互いにストレスを感じる事なく日々をすごしていた。

 

それは、ちょうど深夜2時ぐらいで夏の暑さのせいか、喉がかわいた私は一階の自販機へと降りてきた時だった。

偶然、そこには泉新一が居り、自販機の前のソファーで何やら会話をしていた。

 

「何をしている泉、こんな夜更けに……」

「ー!? 井上か?」

「そして、何を話していた。 ……寄生生物。」

『井上香織……、随分と久しぶりだな』

 

そう、何故か私達は、あの日以降会わずにいて、それはこの旅行でも同じだったのだが……

「久しぶりだな確かに……正直会いたくは無かったがな。今の私をあまり刺激しない方がいいぞ……」

『だから、会わないようにしていた』

そう飄々とその生物は話した。

 

……ハァ

 

私は溜息を吐き彼の隣に腰を降ろした。

「……で、一体何の話だ……ミギー」

分かってはいるのだ。私の両親を殺したのは彼らじゃないと……

分かってはいるのだ。この生物(ミギー)は悪くないと……

 

だから、私は名前で呼び直した。

 

 

『……そうだな、香織にも聴いて貰おうか。 恐らく君にも関係の無い話では無いだろう。』

 

 

__

 

 

その話は簡潔に述べるとすれば、やはり泉新一のケガを治したのはミギーのようで。

細かく散って傷口から侵入し、傷を防いだはいいものの今度は右手に戻る際、回復した彼の心臓の力が強すぎて更に細かく散り、彼の身体に30パーセント程、自身の分身が取り残されてしまったようだ。

 

「成る程、だから私と関係があると……」

『ああ、しかし香織は100パーセント取り込んだんだろう? しかも食べて? 普通、食べただけでは100パーセント取り込むなど無理な話しなんだが?』

 

私は、腕を組んでミギーの問いに応える。

「……それは、恐らく私が菜食主義な事も影響しているのかもしれないな」

『成る程…』

「さらに私は元々身体が弱く、身体に必要なタンパク質が行き渡っていなかった。なにせ、ほんの少しの肉ですら吐いてしまう身体だ。

だからだろうな、私が寄生生物を食べた時、吐き気も起こらずそのまま眠ってしまったのは。 身体がソレを逃がさんとしたんだろう……。」

『興味深い話だな……』

「あくまで、推測の話だ、確証はないし、確実性もない」

 

 

そうして、私は泉新一に語りかける

 

「なあ、泉……最近、感情が薄くなってきてる自覚はあるか?」

「……いや? 何のことだ?」

「やはり、自覚は無いか……なぁに、感情が無い方がきっと幸せだぞ?」

 

と。

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

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