寄生獣~S~   作:証明

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第2話

私が、転生したと気付いてから、約1年の日が過ぎた。

 

どうやら、大分昔に戻ってしまったようで、携帯もまだできていなかった。 

携帯が普及したのが、確か1987年だったから、どちらにせよ人々の手にはまだ行き渡っていなかった。

 

私がまだ、男性だった時の時代はエアコンがないと夏場など耐えられなかったが、やはり環境汚染というもののせいだろう。 この昭和の時代は無くてもまだ耐えられる。

当時この年代に生きていた時に、地球温暖化って何?と思っていた男性の私を少し恥ずかしく思う。

 

タバコだって歩きながら吸えるし、事実、喫煙者が多い。

 

 

今世の私は、身体が弱かった。

「コホッケホ」

「なんだぁ、ネーチャン煙駄目かぁ?」

「……はい。」

「チッ。悪かったなぁオイ」

そう言って、目の前のリーゼントの少年はおもむろにタバコを指ではじき、投げ捨てた。

「……どうも。」

ちなみにヤンキーも多い。 昭和のヤンキーである。

リーゼントに、気合いの入ったボンタンをはいたヤンキーが今も、駅のホームで堂々と気合いの入った座り方で、タバコを吹かしタムろしていた。

 

「ン?  てか、よく見りゃネーチャンめちゃくちゃ可愛いじゃねーか?」

「……いえ。」

「ンだよ! 愛想ねぇネーチャンだなぁオイ!  そだ。さっきの件は見逃してやっからよ! 俺らとどっかに遊びに行かね?」

 

……ハァ

ため息が溢れる

 

「見逃す? 一体何の事です?  私はただ、煙が駄目かと聴かれて返事をしただけですが?」

「ンだぁ!? この女ァ! 優しくしてりゃ調子ンのりやがって」

そう言って、そのヤンキーは私の胸ぐらを掴んできた。

酷い言いがかりである

 

「フー…コホ」

今世の私は、どうやら感情がほとんど無いらしく、現状怖いとも、目の前の体格の良いヤンキーに対してなんの感想も抱いていなかった。

ただ…

「あの、スミマセン制服がシワになるので離してくれませんか?      …あと、やっぱり煙いです。…ケホ」

「てめえ!!」

目の前のヤンキーが拳を振り上げた

今世の私は、動体視力だけは良いようで、その動きがハッキリとコマ送りで私の顔面に向かっているのがわかった。

ただし、胸ぐらを掴まれている現状、只でさえ身体の弱い私は、ただそれが振り下ろされるのを見守ることしか出来無かった

 

(あんまり、痛くないと良いなぁ)

などとボンヤリと考えていた時である

 

「やめな! 光夫!」

ドスのきいた、女性の声が響いた。

「加奈!?」

私の顔に当たる寸前で、光夫と呼ばれた少年の拳が止まる。

 

「光夫! それにあんたら!そんな虫も殺せないような女の子相手に何やってンだい!?」

そう言って、スケ番とでも言うのであろう女性がこちらに歩いてきた。

「でもよう…加奈こいつがさ…」 

「でもじゃない!

…あんたも! わざわざ自分から飛んで火に入ってンじゃないよ!」

いや、私は悪く無いが……。

 

「…すみませんでした。 助けて頂いてありがとうございました。」

どうやら、今世の私は絡まれやすいらしく、こういったことは一度や二度ではない。なので、経験上こういう時はあまり深追いすべきではないことを理解していた。

 

以前、深追いし過ぎて、警察やら病院やらのお世話になった事があり、両親を心配させてしまっていた

 

「あんた、西校かい?」

「はぁ。まぁそうですが?」

「そうかい うちらは北校だよ。

良いかい? この辺は北校のシマなんだ あんたみたいな別嬪さんが容易くうろつくんじゃないよ?」

…そう言われても、私はこの駅を利用しなきゃ学校に行き来できないのだが…

「……分かってない顔だね 電車じゃなく、自転車でもなんでも利用したら良いじゃないか?」

 

無理である。この身体は自転車なんて乗った日には、殴られるよりも酷いことになる

以前、私もやたらと駅で絡まれるので自転車で学校に行くのを試みたのだが、着いたのは何故か病院で意識を取り戻した時には、家を出た日から何故か三日もたっており、腕には点滴の管が付いていた。

 

以来、両親は心配し、父に車で送ると言われたのだが…

この身体、自動車に弱いのだ。

特に、自家用車に弱く 車に乗っただけで、吐き気を催してしまうのだ。   …まぁ、その辺は前世の死に際と何か関係があるのかも知れないが…

 

以後、両親からは極力人混みをさけるよう言われ、今日もなるべく避けていたのだが…

 

「すみませんでした。今後は気をつけます」 

 

「……」

 

「あの、何か?」

何故か、女性にものすごいガン見をされている。

それこそ、目の奥を覗きこむように……

 

「ッ……いや、何でもない。 こっちこそ悪かったね。

うちの奴らには後で言っておくよ」

目の前の強そうな女性は、少し後ずさりながらそう答えた。

一体、どうしたと言うのだろう?

 

…まぁ、いいか…

「いえ大丈夫です。 あ、もうこんな時間ですね …それでは」

ふと、腕元の時計を見れば16時を指しており、両親との約束の門限になってしまっていた。

 

「あぁ、じゃあね。」

 

__

 

 

「光夫……!」

「ンだよ。怖い顔して……」

「あんたら、二度とあの子に関わるンじゃないよ…!」

「ハァ?  どしたよ急に?」

「わかんない…わかんないけど、アレはヤバい!」

「……ンな強そうには見えなかったけどな…どっちかつーと…」

「良いから! 見かけても近寄るンじゃないよ!……あれは、他人を人として見ていない!」

 

 

 

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