寄生獣~S~   作:証明

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第7話

「田宮良子か…なんとも興味深いヤツだ、そう思わないか? 新一?」

「あんだよ、急に…」

時間帯は、深夜1時といった所だろう。泉新一に、彼の右手に運悪く寄生してしまった存在である"ミギー"が今日あった出来事を思いだし、話し始めた。

「だって、そうは思わないか? 自身の存在理由を明確にする為に子供を成すなど、到底我々には思い付かないことだ」

「…そうなのか?」 

「ああ、我々"寄生生物"とでも言うべき存在は非常に単純であり、言うなれば、ただ一つの目的の為に産まれ生息している」

「あんだよ、その目的って?」

泉新一は、一体どちらが主人か解らない会話の中、自身の右手ミギーへと質問をした。

 

だが、それに対する答えはなく

「…今日はもうよそう新一。 君も疲れただろう? 疲労がみてとれるぞ?」

そう言って、ミギーは部屋の明かりを身体を伸ばして消した。

「おい? 勝手に消すなよったくっ!  …んだよ、自分から話し出したくせに…」

しかし、疲れがあるのは本当であった新一は、しぶしぶベッドへと潜りこんだのだった。

 

……

 

「新一。」

「あん?」

ようやく、眠りへとつこうとした所、再び話しかけられた新一は、若干の怒気を含めそう返事した

「"井上香織"アレには近づくな」

「はあ? 何でだよ? 井上は最初の方こそ、お前も疑ってたけど、"仲間"じゃないって言ってたじゃねーか」

 

「ああ」

「だったらー」

「仲間ではない。 事実我々特有の脳波も感じなかった。 しかし…」

「…んだよ?」

 

 

「あれは、"化物"だ」

 

 

 

__

 

 

それは、私の平穏を壊しにやってきた

 

 

「井上が、化物ねえ……」

恐らく聴こえないように呟いただろう。 それを私の耳は聞き逃さなかった

「私がどうしたって?  ……泉くん?」

「えっ?  いや、何でもない何でも……!」

まさか、聴こえるとは思ってなかったのだろう。 彼は、最近は落ち着いてきたと思った表情を、それこそ百面相しながら焦って私にそう答えた。

「ちょっと、泉くんたら。 また香織にちょっかいかけて~、いくら香織が綺麗だからってもう!」

その様子を見ていた村野里美が、会話に乗り込んできた。 恐らく彼に気があるのだろう、私は彼女に対して一応謝罪を述べる事にした。

「ごめんなさい。 村野さん、何でもないから気にしないで」

「別に香織が謝ることじゃないでしょ。」

「いいえ、私が悪いの。だって彼…泉くんはー」

私は、そう言いながら、彼の右手へと目をやりこう告げた

「事実を言っただけだもの」

そんな少し緊張感のある休み時間だった。

 

 

 

それは、私の平穏を潰しにやってきた

 

 

 

『緊急連絡! ただいま校舎内に外部の者が入りこみました。 B棟で授業中の生徒は教員の指示に従い、クラス毎にまとまって校庭に避難するようにして下さい! その際は必ずC棟寄りの階段を使用しA棟には絶対近づかないようにして下さい』

授業中に、突如として入った放送に生徒達はざわめきを広めた。

「バカが…」

そう言って、教鞭にいた田宮良子が自身のもっていたチョークをおると、一度、泉新一の方を見てから私を見てこう言った

 

「死ぬぞ…」と。

 

そう、言い残し慌ただしく教室を出ていった田宮良子に代わり、私達のクラスは別の教員の指示に従い移動することになった。

もちろん、私も和を乱すことなく移動していた時の事である。

 

ドンッ!

 

突如として、逆走しだした泉新一にぶつかった

「わ、悪い井上」

「いや、大丈夫ですよ泉くん。 それより、どうしたの? 何か忘れ物でも?」

事実、私の身体は揺らぎもしてない。 むしろ、グラついたのは彼の方であった。

 

そんな、事実に驚きつつ彼は

「~…ゴメンッ!」

そう言い残し、何故か緊迫した様子で階段を駆け上がっていったのだった。

 

 

__

 

 

ところで、この身体はあの生物をとり込んで(食べて)から、五感も異常に発達していた。

それは、視力だけに留まらず、聴力や嗅覚も例外ではない

それは、10キロ以上先の音や匂いも判別出来る程である。

 

(…鉄? いや、これは血か? 血の匂いか…)

 

 

ぎゃああ… た、助けてくれぇ…

 

ガシャアアアアン   ぐあぁ……  ひいぃぃ…

 

 

「…………」

私は平穏が好きだ 感情が無くなったからと言って、それは変わらない。

「言ったはずだぞ…田宮良子…  私の平穏の邪魔はするなと……。」

 

 

ダンッ

 

 

「きゃ、何?」

「うわ、ちょっと!」

「っえ?  香織までどうしたの?」

タタタタタタッ……

 

 

 

 

それは、私の平穏を邪魔しにやってきた。

 

 

 

  

故に私は、泉新一の後を追うように走り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作中で里美と新一は同じクラスとなっています
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