愛こそが最高の宝と信じるラブヒーローはどこか壊れてる 作:ペン汁
――ドン!!
マリンフォード頂上戦争後、新設された海軍本部の壁が突如として爆ぜた。
廊下を歩いていた者は咳き込みながらも、爆発した壁の方を見る。
「……」
砂煙を切るように、彼らの前に現れたのは。
身長3m。筋肉モリモリ。
白タイツスーツで頭の先から靴先まで覆い、顔には表情が見えないほど濃い赤のバイザーをはめ込んでいる不審者。
ラブヒーローだった。
……その横には、少しおびえた様子の蒼い髪の少女も立っている。
流石、本部に所属する海兵と言うべきか。
彼らは即座に銃を構え、ラブヒーローと少女に銃口を向ける。
「一体、海軍本部へ何をしに来た!!」
先頭にいる、恐らく彼らの中で一番偉いと思われる人物がそう叫んだ。
少女はその大声にビクッと震える。ラブヒーローは彼女の方を一瞥した後、海兵に向かって平然と言い放った。
「暴れに来た。――
「!! 全員退避――――」
先頭の海兵がそう叫んだ瞬間、ラブヒーローの手に直径3mの熱の塊が発生した。それを躊躇いもなく海兵に打ち放つ。
殺さない程度に威力が抑えられていたのか、太陽が通過した後には、火傷を負って気絶した海兵が倒れていた。
何の感慨もなさそうに彼らを見下ろすラブヒーロー。
それを見て、彼の後ろに控えていた少女……アピールが唇を震わせながら言った。
「ラブ、ヒーロー。私は、こんな事に加担する気は……」
「必要な事だ。殺しはしない」
「そういう問題じゃありません。私はこれ以上人を傷つけたくないから貴方を手伝うんです」
「……人を傷つけない、と言うのは無理だ。だが殺さないは約束できる。それで我慢してほしい」
「…………」
ラブヒーローは振り返らない。それは自分の意見を曲げない、曲げることは出来ないという意思表示の表れだ。
彼女は彼のそんな様子を見て、目を閉じ、数秒経った後に。
「分かりました」
と、小さな声で答えた。
ラブヒーローは少女を肩に乗せ、暴れ回った。
海軍将校すら出てきたが、一撃で吹き飛ばした。
面倒な巨人族の海兵相手には太陽を撃ち、海軍本部に大穴を開けた。
そうして、十数分ほど暴れていたところで。
海の方から放たれた、恐ろしい、背筋に氷柱が刺さるような悪寒が走った。
ラブヒーローが海の方を見ると、一隻の船が全速力でこちらに向かってきているのが見える。
その船首から一つの影が飛び上がり、空中を蹴って矢のように鋭く飛んできた。
「誰だ? 大将か、もしくは――」
その人物の正体は、3秒もしないうちに分かった。
右拳を黒い武装色で覆った、白髪の髭と髪をこしらえる老兵。
海軍の英雄、モンキー・D・ガープだった。
「――――何やっとるんじゃァァあああああ!!!」
「一番面倒なのが来たな……!」
ガープの右拳を、白い武装色で覆った両手で受け止める。
それでも受け止めきれず、数歩ほど背後に押し込まれてしまった。ラブヒーローも相当な腕力を持っているが、ガープはそれ以上である。
「相変わらず、怪物みたいな爺だ……!」
「お前……海軍本部に来て暴れ回るなど、覚悟はできとるんじゃろうなァ!!」
ガープの左拳も黒く染まり、ラブヒーローに恐ろしい速度の乱打を仕掛ける。
見聞色の覇気で未来を見ながら防ぐが、それでも時折体に拳が掠めるほどの威力とスピードだ。
ガープの両腕を下から上へ弾き、無防備な腹へ膝蹴りを入れる。
だが向こうも膝蹴りを入れようとしていたようで、互いの足が轟轟しい衝突音を響かせるだけに終わった。
互いの脚力で後方に3mほど弾かれ、着地したのち、戦闘態勢のまま睨み合う。
「ただ海軍本部で暴れる……お前はそんな事をするタマではないじゃろう……!」
「当たり前だ。何の用もなく、こんな危険な所で暴れる訳がない」
「じゃあ何をしに来た……!!」
その質問に、ラブヒーローは辺りを見回す。
戦闘に巻き込まれないよう少し遠くに居たアピールを近くに寄らせ、大きく響く声で言い放った。
「もうすぐ、
モルガンズとは、世界経済新聞社の社長であり一流のジャーナリストだ。
ラブヒーローは見聞色を使わない。
だが、ヒシヒシと何処かからの強い視線を感じる。この舐め回すような、相手の情報をしゃぶりつくすような視線。普通のジャーナリストではない。
絶対に奴はいる。そう確信していた。
そして、その予感は見事に当たっていた。
ラブヒーローから物理的に見えない角度の高台の上で、双眼鏡とペンと紙を持ったモルガンズが面白そうに笑う。
「おいおい、マジかよアイツ! 俺の存在に気づきやがった!!
……だがよ、わざわざこの俺を呼ぶためにここまで暴れたんだ。とんでもない大スクープを持ってきてくれるんだろうな? 天竜人殺しのラブヒーローよ」
モルガンズは耳を澄まし、ラブヒーローの一挙一動に意識を集中させる。
これは彼のジャーナリストの勘としての予感だ。精度はいい。
奴はきっと、とんでもない大スクープを、今から言う。
それに応えるように。
ラブヒーローは息を大きく吸い込み、大きな声で言い放った。
「今から10日以内に、この海を航海する人間は全て、自身の故郷か大切な者のいる場所へ帰れ!!
私は残り2つのエンドポイントを破壊し、この海を人間が生きられない場所へと変える!!
それはすなわち――『
そしてもし……私を止めたければ、エンドポイントに来い!!
残り2つのエンドポイントの場所は、『
その島の住民には申し訳ないが……戦場を生きられる実力がないならば、逃げることをお勧めする!!」
そう、宣言した。
それを言い終わった後のラブヒーローは、少しだけ空を見上げ、すぐにガープへ視線を戻す。
「言ってしまったな。モルガンズは絶対にこれを世界に広める。そういう男だ」
バサバサと、今しがた手に入れたスクープを何処かに持ち帰る男の羽ばたく音が聞こえて来た。
だがそちらに意識を裂く必要はない。ガープを見つめ続ける。
「お前……エンドポイントの場所を世界中に広めるなど、何を考えている」
「これはいわゆる、私からの挑戦状だ。海を人間の領域から外すなど、私が独断で行っても駄目だろう? 止めたければ止めに来い」
「……本当に心の底からイカれたのか、この馬鹿モンが!!!」
ガープが一瞬でラブヒーローに殴り掛かる。
しかし彼は横に居たアピールを掴み、空へ飛び上がって回避した。
空中に直立し、ガープを見下ろす。
「じゃあな、ガープ。もし止めに来ないというのなら……自分が落ち着いて暮らせる場所を探し、そこに住み着くことだ。それが一番幸せだからな……」
それだけ言い残し、彼はアピールと共に何処かへ飛んでいった。
その逃走速度は、黄猿でもなければ決して追い切れないだろう。だが黄猿はここにはいない。
ボロボロになった海軍本部と倒れる海兵たちの中、ガープは空を見上げながら、静かに呟いた。
「本当に、何を考えとるんじゃ。ロジャーと居た時はそんな奴ではなかったじゃろう、ラブヒーロー……」
おああああああああああああ
また投稿日時ミスったあああああああああ!!
まあいいや
明日は多分投稿やすみます すみません
全く読み返さず投稿しちゃったので今度推敲して細部をちょくちょく変えていきます