愛こそが最高の宝と信じるラブヒーローはどこか壊れてる   作:ペン汁

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1万文字を超えた滅茶苦茶長い話になりました
時間のある時にお読みください


ラブヒーローのいなくなった世界で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エンドポイントでの戦闘から、2週間。

 ラブヒーローから預かったアピールを彼の言った通り、世界のゴミ捨て場に連れていき、麦わらの一味は新世界の冒険を再開した。

 

 麦わらの一味、特にルフィはラブヒーローが島に来るまで待つと言ったものの。

 アピールはその好意を断り、1人で待たせてほしいと言った。

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 ルフィは、サニー号の船首に座っている。

 この辺りの天候は安定していて、麦わらの一味はサニー号の至る所で、各々の好きなことをしていた。

 

 サンジとゾロは相変わらず喧嘩をしている。

 それを見てロビンとナミは笑い、チョッパーは傷が悪化しないかおろおろして、ウソップは呆れ顔をしていた。

 フランキーは船の整備をしつつそれを眺め、ブルックはナミのパンツを覗こうとしている。

 

 

 みんな、楽しそうだ。

 ルフィはそれを遠くから見てニシシと笑い、大海原の向こうに視線を向ける。

 

(……ラブヒーロー。オレ、おっさんには感謝してるんだ)

 

 麦わら帽子のつばを、指でなぞる。

 

(仲間と協力することの大切さ、信じ合うことの大切さ……俺、おっさんとの戦いでそれを改めて、実感することができた。本当にありがとう)

 

 右の手を、握ったり開いたりする。

 ラブヒーローの白い武装色の硬さが未だに手に残っている。彼が使う、世界最硬度の武装色……。勝負には勝てたが、覇気の練度では全く敵わなかった。

 

(俺達、もっと強くなるよ。おっさんを余裕で倒せるくらい、もっともっと強くなって。

 いつかおっさんが認めるくらい、立派な海賊になってみせる。そして、ラフテルにあるワンピースを手に入れて―――)

 

 ルフィは立ち上がり、両腕を天に掲げ、水平線に向かって叫んだ。

 

 

「―――海賊王に、俺はなる!!」

 

 

 その声は、遠く遠く、この世界の海中に聞こえるのではないかと思うほど、大きく響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雲がなく、照り付けるような太陽の日差しが窓から入り込む、シャッキー's ぼったくりBAR。

 

「…………」

 

 レイリーは眉間にしわを寄せながら、カウンター席で酒を飲んでいた。

 彼のすぐ傍には、世界経済新聞が乱雑に開かれた状態で置かれている。

 開かれているそのページは、『ラブヒーロー死亡』の見出しと共に、彼の白タイツスーツ姿の写真が載っている物だった。

 

 

 ラブヒーローの写真のすぐ横に、酒の注がれたグラスを置く。

 数秒そのグラスを見つめ、そしてすぐに、ため息交じりに呟いた。

 

「……何をやっているんだか、私は」

 

 年を取ってから感傷に浸りやすくなったのかもしれない。ラブヒーローは危うい生き方をしていた男だ、いつかこうなることも予期できていたはずなのに。

 自分の行いに呆れ返り、グラスを回収しようとした時。

 

 

 

 ――チリンチリン。

 

 

 

 BARの扉が開き、取り付けられている鈴の音が心地よく響いた。

 

 その来店した男は、カウンターに座っているレイリーを見て声を掛ける。

 

「―――レイリー。……その新聞の横にある酒は何だ?」

「ッ!?」

 

 その声に、レイリーはすぐに振り返った。

 

 

 扉を開けた男は、筋骨隆々とした身長3mの男。

 赤色の布、その上にピンク色のハートマークが大量にプリントされたパツパツのアロハシャツを着ている。

 裾が膝上辺りまでの白い短パンを履いており、こちらも足の筋肉によってパツパツになってしまっていた。

 

 そして顔には。

 左目の下から首に掛けて、特徴的な黒い傷跡があった。

 ロジャーと共に海を航海していた時、何度も船を襲撃して来た()()()()()()()()()()()

 

 

 驚いた様子のレイリーは、目を見張ったまま声を出す。

 

「生きていたのか、ラブヒッ――」

 

 彼の声を、右手を挙げて遮る男。

 

「レイリー。ラブヒーローは死んだよ。今は……『()()()』だ」

 

 その言葉を聞いて、レイリーは少し考え込み、納得のいったようにニヤリと笑った。

 

「……そうか、なるほどな。さ、こっちで一緒に飲もうじゃないか。何があったか聞かせてくれ」

 

 

 

 

 ラノアはレイリーの横に座り、自分の訃報が記された新聞を捨て、酒入りのグラスを持った。

 まずグラスの中の酒を軽く口に含み、飲み込んだ後、レイリーの方に向く。

 

「とりあえずだが。なぜ私が生きているかと言うと……まぁ、ゼファーが色々やってくれたお陰だ」

 

 

 あの最後の海軍との戦い。

 いくら海軍が四皇勢力との戦闘で消耗しているとはいえ、海軍大将が2人、元海軍大将が1人という戦力のの前ではさしものラブヒーローも勝ち目がなかった。ルフィ達との戦闘で消耗している状態なら尚更だ。

 

 なのでラブヒーローは最初から逃げる方法を考えていた。

 その逃げる方法とは即ち、『海中に身を隠す』事である。

 

 能力者は海に入れば脱力し、泳ぐ事ができず、溺れ死ぬ。

 しかし力が限りなく抜けたとしても、自身の能力を任意でオンオフする事はなんとかできるのだ。

 

 口の中に仕込んだ複数の圧縮空気。これの圧縮を息苦しくなる度に解除する事で、酸素ボンベの代わりにする。

 そして同様に体のあちこちに圧縮空気を仕込み、海底に面する部分の圧縮空気を一気に解除する事で、海底から海上へジェット噴射のように脱出できる。

 ある程度の深さまで潜れば見聞色の覇気も届かないので、数日ほど海底で過ごしてから脱出すれば、海軍が島から去った後に悠々と逃げられるという訳だ。

 

 実際、この作戦は途中までは上手く行っていた。

 海軍大将2人の苛烈な攻撃に吹き飛ばされ、海の中に叩き落とされる。

 そのまま深い海底へと沈んでいき、作戦が成功したと密かに安堵した瞬間。

 

 暗い海中を照らし尽くすほどの光の雨が無数に降り注いだ。黄猿の八尺瓊勾玉だ。

 見聞色すらも届かない深さだった筈なのに、どうして撃ってきたのかは分からない。恐らく覇気など関係なしの勘だろうが。

 

 消耗した状態で黄猿の攻撃を受ければ即致命傷になる。

 ジェット噴射用の圧縮空気を用いて光弾を回避するものの、最終的にたどり着いたのは、想定よりも更に深い深い海の底。

 しかもジェット噴射用の圧縮空気は全て使い切ってしまい、太陽の光すら届かない海の底に取り残される事になった。

 

 海王類が自身の体を偶然引っ掛け、海上に連れていってくれることを期待する日々。

 口の中の空気を節約しながら消費するも、一週間が経った頃についに切れ、酸欠で意識が朦朧とし始める。

 

 

 朦朧とする意識。何も見えない暗闇の中。

 意識が途切れる間際に感じたものは、冷たい海水の温度ではなく。 

 

 

 機械のアームが力強く自身の腕を掴み、勢いよく引っ張り上げる感触だった。

 

 

 気が付けば、白のタイツスーツを脱がされ病院服を着て何処かの病院のベッドで寝っ転がっていた。

 何も分からず病室でボーッとしているとゼファーが現れ、自身を海の底から引っ張り上げた事と、死体を上手く偽装した事を聞かされたのだった。

 

 

 その話を聞いて、レイリーが顎髭を撫でながら答える。

 

「ゼファー……か。あの堅物がよくそんな事をしたな」

「なんでも、その助けた件と偽装工作の件で今までの恩はチャラ、だそうだ。

 

 まぁそんなこんなで、ラブヒーローの名を捨てて、今はただのラノアとして生きている。愛を守る活動は……()()()()()()()()()()()()な」

 

 その含みのある言葉に、レイリーは違和感を覚えた。

 シャッキーに酒を注いでもらいながら、ラノアに問いかけ続ける。

 

「『()()()()()()()()()()()()』? なら裏では、その愛を守る活動とやらは続けているのか?」

「ああ。……といってもまぁ、それもまた色々あってな。厳密には裏ではないんだ、ちょっとややこしいんだが……」

「ほう。一体何がどうややこしいんだ?」

 

 

 そう聞かれたラノアは、口で説明しようとするが、中々言葉が上手く出てこない。

 数秒ほど手をわきわきと動かしながら言葉を考えていたが、やがて諦める。そして左腕のアロハシャツの裾を、レイリーに見えるようゆっくりとまくり上げた。

 

「簡潔に言うとだな。……『()()』になった」

「何!?」

 

 ラノアが見せた左肩には、海賊が使うドクロのマークがあった。

 入れ墨を入れたという感じではないので、恐らくシールだろう。

 

 

 そのドクロは、両目に十字の傷があり、非常に特徴的な丸い『()()』が付いている。

 

 

「こ、この赤鼻は……まさか!?」

「そう。

 私は今、王下七武海の『()()()()()()()()』率いる、バギーズデリバリーの一員なんだ」

 

 

 口を開け、目を見張り、驚愕の表情を浮かべるレイリー。

 グラスの中の酒をかっこみ、額に手を当てて考えるが、いくら考えても理解が追い付かない。

 

 バギーとラノアの力の差は別次元と言ってもいい、それにラノアは元々海賊がそこまで好きではないのだ。だからロジャーの誘いだって断った、そう聞いている。

 なのに、なぜかバギーの海賊団の一員に加わっている。一体何がどうなって、傘下に下ったのかが皆目見当もつかない。

 

 

 頭を手で抑えつつ、レイリーはラノアに言った。

 

「……い、一体何があったんだ? 詳しく説明してくれないか」

「まあそうだろうな……分かった。アレは……―――」

 

 

 ほわほわと、ラノアが天井を見上げて、記憶を掘り返し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アピールに、今必要な栄養は…………」

 

 

 

 

 

 ラノアはとある島に食料の買い出しへ来ていた。

 アピールと2人で暮らしている、元『世界のゴミ捨て場』には何もない故、買い物はこうして他の島へ来なければいけないのだ。

 

 身長3m、筋骨隆々の体にパツパツのアロハシャツを着ているため衆目を集めるがラノアは気にしない。

 

 

 

 財布の中を覗く。

 いつかの活動で、お礼として貰って持っていた宝石や金銀のアクセサリーを換金したおかげで財布の中身は潤っている。だが使い続けていればいずれなくなってしまう額だ。

 余裕のあるうちに、何とか金を稼ぐ手段を考えなければならない。

 

「金……か……」

 

 自分一人なら金などなくても困らなかった。

 食料などそこらの島で猛獣を仕留め、それを食べればいいのだから。服は余り持たず同じ物を使い続ける主義だし、何処でだって寝れるから宿代も必要ない。大体の物は自然から取り、それを自分で加工して使っていた。

 

 だが誰かと一緒。

 特に女性ともなると、流石にそんな事をしていられないのは色々疎いラノアでも分かっていた。

 

 

 食料や服以外にも色々と金はかかる。

 歯ブラシとかヘアブラシとかの日用品とか……あと教育、とかだろうか。

 読み書きと計算ぐらいなら教えられるが、それ以上となると自信はない。何せ自分自身も、マトモな教育は受けたことがないのだから。

 

 

 ……そもそもアピールは読み書きと計算は完璧にできるので、ラノアが教えられることは覇気の扱い方ぐらいしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「力仕事なら、何とか……ん? 何処だ? ここは」

 

 そんな風に考えながら歩いていると、いつの間にか商店街から外れ、よくわからない地区に入り込んでしまっていた。

 しかも、見るからに治安が悪そうだ。臭気を放つゴミの汁が道の脇に溜まっていたり、血が乾いて凝固した跡が建物の影の至る所に見えたり。

 

 

 すぐに引き返そうと思ったその時。

 

「キャーーーーッ!!」

 

 と、少し先にあった酒場の中から、女性の悲鳴が聞こえた。

 流石に悲鳴が聞こえては見逃せない。足に力を込め、すぐにその酒場の中へと突っ込む。

 

 

「ん? なんだデカい兄ちゃん、なんか用かァ?」

 

 酒場の中では、海賊らしき男が酒場の店員らしき女性の首を掴んでいた。

 その海賊らしき男の周りには、ボコボコにされ倒れている、これまた海賊らしき男が3人。

 

 一体どういう状況なのか分からないが……とりあえず愛が育まれない、治安を著しく乱すような行為をしているのは確かだ。

 女性の首を掴む男の腕の関節を外し、額へのデコピンで意識を奪い、そのまま酒場の外へ背負い投げの要領で放り投げた。

 

 

 パンパン!と手で服に付いた埃を払う。

 すると、倒れていた海賊たちがゆっくりと起き上がり始めた。奴の仲間か? と思い、身構えた瞬間。

 

「おい兄ちゃん!! めちゃくちゃ強ェじゃねーか!!」

「今兄ちゃんがやったのは名のある賞金首だぜ! 俺達はあいつをぶっ倒しに来てたのに……まぁ、返り討ちにあっちまってよ」

「そんで殺されそうになったところを、こっちのねーちゃんが叫んじまって、首掴まれてたのよ。本当に助かったぜ!!」

 

 気安く、ラノアの背中を叩きまくる3人。

 ……恐らくこの3人は賞金首狩りで、あの賞金首を倒そうとしていたところ、返り討ちにあった……という感じか。なるほど、理解はできる。

 

「いや、いいんだ。それより、あの賞金首は海軍へ連れて行かなくてもいいか?」

「あ、オレオレ! 俺行ってくるぜ!」

 

 3人の内の1人が元気よく手を上げ、賞金首の男を縛り上げに行った。

 数時間は意識が戻らない程度に落としたから、近くの海軍基地に連行するくらいなら大丈夫だろう。

 

 そうして酒場から出ようとした時、ラノアの手首がガシッと掴まれた。

 

「なぁ兄ちゃんよ。俺達と一緒に来ねえか?」

「何だって?」

「俺達と組まねえかって事よ! 兄ちゃんくらい強ェなら、俺達大歓迎だぜ!! な、どうだ?」

 

 ラノアは、手首を掴む手を払う。

 

「悪いが、そういうのは……」

「なら、金に困ってねえか? 結構儲かるんだぜ!? 兄ちゃんくらい強いならもっと稼げる!!」

「……金、か……それは……」

 

 アピールに幸せに暮らしてもらうためには、何かと金が入り用だ。

 そのためには慣れない仕事をするよりも、賞金首狩りをする方が稼げる……かもしれない。

 

 ラノアは己の中の天秤で、賞金首狩りの仕事が愛を乱すか乱さないかのジャッジを行う。

 そして結局、陽気な男達に連れられ、話だけでも聞きに行くことになったのだった。

 

 

 

 

 

「まず、お頭と会わないとな」

「入ると決まった訳じゃないが……」

「まーまー、話を聞くだけでも一応会っとかねえとな」

 

 船で海を進んでいると、とある島が見えてくる。

 その緑豊かな島の海岸近くには、赤い布の巨大なテントがあった。天井は赤と白が交互に並んだ布で作られている。

 どこかの国で見た、サーカスという奴のテントに似ている。なんとも陽気そうな雰囲気が漂っていた。

 

「かなりでかいな。組織的な賞金首狩りなんて聞いたことはないが……」

「着いたぜ兄ちゃん。もうお頭に話は通してるからよ、すぐに会えるぜ」

「ああ、分かった」

 

 船を降り、男達に連れられ、テントの中に入る。

 中は草と土の地面に丸いテーブルがいくつもおかれ、そこで何十人もの男達が飲み食いをしていた。

 

 これが全員賞金首狩りだとしたら、とんでもない大組織だ。

 何故今まで知らなかったのだろうか。

 

 

「お頭!! 到着しました!!」

 

 

 横に居た男が、テントの上の方に向かって叫ぶ。

 丸テーブルがいくつも並んでいるこの場所を見下ろすように、二階部分にテラスが設置されていた。

 

 そのテラスに、こちらへ背中を見せて座っている男が1人。

 相当な巨漢だ。少なくとも6m以上はある。

 

 

「フッフッフ……そうか、着いたか」

 

 

 低い声。

 その声と共に、一階部分で飲み食いしていた男たちはシンと静まり返った。それだけ恐れられているということだろうか。

 

 ……というかこの声。どこかで聞き覚えが…………。

 

 バッと、テラスに居た巨漢が振り返り、ラノアに向かって顔を見せた。

 

 

「よく来たな派手馬鹿野郎!! 俺様は()()()()()()()()()()()()()()!!

 新しくうちへ来て、がっぽり稼ぎたい馬鹿野郎がいるって……聞いて…………」

 

 

 

「…………久しぶり」

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

「……――な、なんちゅう奴を連れてきてんだこの派手馬鹿野郎共ォォオ!!」

 

 

 

 

「ええっ!? な、なんで怒るんですかバギー船長!!」

 

 

 ラノアの横にいた男たちは、突然バギーに叱責され驚愕の表情を浮かべる。

 彼らが焦る中、ラノアは冷静に事を見つめ、自分が壮大な勘違いをしていたことに気付いた。

 

(……バギーズデリバリー……海賊派遣会社か。あの賞金首を倒してほしいと、依頼が来てたと。海軍に賞金首を届けに行けるのも、王下七武海の海賊団だから当然……あーそうか、そうだな)

 

 流石に、海賊に加わる気はない。

 その場で踵を返し、バギーに手を振る。

 

「帰る。じゃあな」

「ちょおっと待てや()()()()()()!! ちょっと待て、待てって言ってんだろ!!」

「何だ」

 

 だらだらと冷や汗を流すバギー。

 今ここでラブヒーローが来たのは誤算も誤算だが……発想の転換をしよう。

 

 事前の連絡で、奴が金に興味を持っていたのは知っている。

 ここで上手い事交渉が出来れば……四皇クラスの力を持つラブヒーローを、バギーズデリバリーに引き込むことができるかもしれないのだ。

 

 一番の稼ぎ時に最高戦力のハイルディン率いる巨人海賊団が抜けたバギーは、圧倒的な戦力を持った男が現れた高揚感で、少しおかしくなっていた。

 

(もしここでこいつを取り込めりゃあ、四皇へ一気に近づける!)

 

 

 そんな思惑を持っていたバギーだったが。

 不用意に『ラブヒーロー』という名を口にしたのがまずかった。

 

 

 

 つい先日にあれだけの事件を起こしたラブヒーローを、バギーズデリバリーの海賊たちが知らない訳がなかった。

 ざわざわと騒ぎ始める海賊達。

 

「おい! ラブヒーローってあの天竜人殺しの……!」

「ああ、32億2000万の大賞金首だ……!」

「しかもついこの間、死んだってニュースが出回ったはずなのに、なんで生きてやがんだ……!?」

「そもそも本当にラブヒーローなのかよ? 手配書は全部へんちくりんな格好で、素顔なんて1つも写ってねェ……!」

 

 

 そんな風に騒ぎ始めた彼らを見て、ラノアはため息を吐く。

 ここまで正体がバレてしまっては口封じをする他ない。せっかくゼファーに偽装工作をしてもらったのに、こんなにすぐ生きていることが世間にバレる訳にはいかないのだ。

 

ミニッツ・コア(小さな太陽)

 

 右手を天井に向け、直径3mの太陽を生み出した。テントの中に熱気が吹き荒れ始める。

 明らかな攻撃行為を始めようとしたラノアに、海賊たちは武器を構え始めた。

 

 衝突しそうになる両者を見て、慌てふためき、必死に手を振りながら声を出すバギー。

 

「おいおいおい待て待て待て!! 野郎共、ラブヒーロー、どっちも落ち着きやがれェ!!」

「バギー船長! こいつは!!」

「俺様の言う事が聞けねェってのかァ!? いいから黙って、大人しく話を聞けェ!!」

 

 バギーの叱責を聞いて、渋々と言った風に、大人しく座る海賊達。

 

「!」

 

 その様子を見てラノアは心底驚いた。

 この海賊たちの中には、明らかにバギーよりも強そうな者も混じっている。なのに全員が、興奮状態にあってもバギーの言う事を聞いている。恐れられているのではなく、全員がバギーを指導者として認めている。それ程までに統率が取れているのだ。

 

 ラノアは太陽を消し去り、右手を下げる。

 

 攻撃を解除した彼を見てバギーは内心ほっと胸をなでおろしつつ、ビシィッ!と人差し指で彼を指した。

 

 

「よ~し! てめェらに、まず俺とこの男の関係を話してやる。

 

 このラブヒーローっつ~男はだな、俺様が乗っていた海賊王の船を何度も襲撃し、その度に返り討ちにされていた男よ!!

 

 そして俺様はこいつと、何度もしのぎを削って戦った敵同士……ってことだ」

 

 

 

 ……言い方がこすい。

 

 

 確かにバギーが言っていることは何1つ間違っていないが……。別に毎度しのぎを削るほど実力は拮抗していなかっただろうに。

 この言い方だと、まるでバギーがラブヒーローを撃退していたように聞こえる。

 

 事実、海賊たちは目をキラキラと輝かせ、明らかにおかしな勘違いをしているように見えた。

 

 

「やっぱすげェえバギー船長、32億の賞金首を何度も撃退しちまうなんて……!」

「流石だ船長!! 俺、あんたに付いてきて本当によかったぜ!!」

「言い方がなにか胡散臭いんだガネ」

 

 

 ラノアがその言葉を否定しない物だから、海賊たちの興奮は更に上がっていく。

 バギーは嘘を言っていないし、海賊達に至っては勝手に勘違いしているだけ。それをわざわざ咎める気もない。……バギーは、そんなラノアの性格を熟知しているため、こんな大それたことを言ってのけたのだ。

 

 

 興奮がある程度盛り上がり切った所で、バギーが腕を大きく振って叫ぶ。

 

「―――落ち着け派手馬鹿野郎どもォ!!」

 

 その言葉でシンと静まり返る、海賊達。

 静寂の中で、誰もが興味津々な目をバギーに向けている。そんな中彼は、わざとらしく腕を組み、昔を懐かしむように柔らかく話し始めた。

 

「……ラブヒーローよ、確かに昔はお前と何度もやりあったぜ……。

 だがな、それは昔の話だ。

 

 あれから20年ちょっと。俺様は王下七武海となった!!

 そしてこれから四皇の座を奪い、そして海賊王の座を、俺様は取りに行く!!

 

 ――俺の傘下に下りやがれ、ラブヒーロー!!

 この未来の海賊王が率いるバギーズデリバリー、その最高戦力……Sクラス海賊の座に、お前を加えてやる!!」

 

 

 場の空気を完全に支配した上で言い放った、バギーの言葉。

 完璧に決まったと、心の中で自分を褒めたたえてしまうぐらいに、綺麗に事が進んだ。

 加入間違いなし、これからのプランをどうするかと先走った考えを浮かべていたところで―――。

 

 

「断る」

 

 

 ラノアの低い声が、テントの中に響いた。

 

 数秒その言葉を理解できなかったバギー。そして頭の中で『断る』という言葉の意味がしっかりと理解できたとき、唾を飛ばすほどに声を荒げた。

 

 

「んだとこの野郎!!

 てめェ金に困ってんだろ!? うちのSクラス海賊になりゃ金には不自由しねェ!! 悪い話じゃねェだろ!!」

「そういう事じゃない。……その言葉を口にする覚悟の問題だ、バギー」

 

 

 白い武装色を両拳に纏い、ラノアが敵意をバギーに向ける。

 彼は覇王色の覇気を持っていないため、周囲の人間は誰も気絶しない。ただ、今この場にいる誰もが、不用意に動けば殺されると本能で理解するほどの圧を発していた。

 

 

「私は32億2000万ベリーの賞金首。異名は天竜人殺し。

 王下七武海の貴様が、天竜人を殺した私を傘下に入れる……これがどれだけ海軍と世界政府を挑発する行為なのか、分かるか?

 私がここに居るのがバレれば、このバギーズデリバリーは滅亡する。その覚悟を持って口にしたのか聞いているんだ」 

 

 

 もっともな言葉だ。興奮の冷めた海賊たちもラノアの言葉に同意せざるを得ない。

 天竜人を殺した人間を海賊団に入れるなど正気の沙汰ではないのだ。

 

 海軍からバスターコールを受ける可能性が大きい。それに、海軍大将が直々に海賊団を潰しに来るだろう。

 そのリスクを理解しての言葉なのかどうか、ラノアは聞いていた。

 

 

 ピリつく空気の中、冷や汗を流すバギー。

 だがその冷や汗を吹き飛ばすように顔を振り、大声で言い返した。

 

 

「―――そんなの理解してねェと思ってんのか、この野郎!!

 

 俺様は海賊王になろうとしてるんだぞ!?

 

 天竜人を殺したとかなんだとかで、いちいちビビッてられるかってんだッ!!」

 

 

 

 ――そう、言い切ったバギー。

 サイファーポールがこの場に居れば、即座にバギーは命を狙われていただろう。

 

 世界政府を完全に敵に回す言葉を放った彼に対する反応は―――惜しみない賞賛だった。

 パチパチと拍手の音が鳴り響き、口笛がピューピューと吹かれる音が歓声に混じって聞こえる。

 

「流石だ、船長!! あんたやっぱすげェよ!!」

「そうだよな、海賊王になる男が天竜人なんかにビビってられるかってんだよ!!」

「絶対場の雰囲気と勢いで言ってるガネ」

 

 

 彼らの反応を見て、ラノアは口角を少し上げる。

 空気の壁を展開、バギーのいる二階のテラスまで一気に飛び上がり、彼の体をポンと叩いた。

 

 

「私が言うのもなんだが……キッパリと言い切ったな、バギー。世界政府の耳に入ったら死ぬぞ」

「てッ、てめェ! ここまで言わせて入らなかったら承知しねェぞ!?」

「わかっている。あそこまで男らしく言い切られたらな。それに……お前の、私よりも強い点も見つけたしな」

「はァ?」

 

 バギーが、理解不能と言った顔で首をかしげる。

 

「……数の力と言ったか? ここの連中は海賊とは思えないほど統率が取れている。……一人ぼっちだった私にはない力だ」

「何意味不明なこと語ってやがんだお前。おかしくなったのか?」

「…………」

 

 覇気で固めた右足で、バギーの足先を強く踏みつける。

 

「痛ッ! てめェ何しやがんだ!!」

「うるさい。……とにかく、私もバギーズデリバリーに加わろう。……条件付きでだが」

 

 何の遠慮もなく、ズカズカと幹部のみが立ち入りを許可される二階部分へ入っていくラノア。

 

「お、おい! 何だその条件付きって!! ふざけんじゃねェぞ!!」

 

 バギーはゆっさゆっさと体を揺らし、ラノアを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大体、こんな事があって、バギーズデリバリーに加わったんだ」

「なるほど、海賊派遣会社か……! 中々面白い物をやっているものだ、アイツも。……それで? その条件と言うのは、何なんだ?」

 

 

 レイリーは、先ほどの話から、その条件と言うのが『愛を守る活動』と関連していることに気が付いた。

 「話が早くて助かる」と、ラノアは実際に使われている派遣依頼書をレイリーに見せた。

 

 

『Class: S

 Name: 無し

 Picture: 無し

 Money: $1,000,000

 

 ※依頼を断ることがあります。』

 

 元ラブヒーローであった事がバレないように、写真も付けず、名前も書いていない。それは分かるのだが……。

 レイリーが眉間にしわを寄せながら言った。

 

「……殆ど何も書いてないじゃないか。これで依頼が来るのか?」

「それが意外にな。100万ベリーという、他と比較して破格の値段で呼べる最高戦力と言うのが目を引くらしい」

「ふむ。確かに、お前をたった100万ベリーで呼べるなら、安い方か……」

 

 そしてレイリーは明らかに目を引く、一番下の『依頼を断ることがあります』という点に目を付けた。

 その文を指さし、ラノアに問いかける。

 

「これが、その愛を守る活動とやと関係してるのか?」

「ああ。これで、愛を乱すことになりそうな依頼は全て弾いているんだ。そうすれば自ずと……」

「依頼をこなすという名目で、愛を守る活動ができる……という訳か。なるほど、考えたな」

 

 

 その依頼書を片付け、ラノアは酒を口に含む。

 グラスの中の酒をちょうど飲み干してしまった所で……『ぷるぷるぷる』という電伝虫の特徴的なコール音が服の中から聞こえて来た。

 

 懐から小型電伝虫を取り出し、スピーカー状態で、通話をオンにする。

 

『あ、もしもし、依頼っす。え~と……グランドライン前半の国にLEVEL6の海賊が率いる海賊団が攻めて来たので、倒してほしい……との事らしいっす』

「……分かった。その依頼は受けよう、一体どこの国だ?」

 

 ガタリと椅子から立ち上がりつつ、その国の名前を聞いた後、通話を切った。

 BARの玄関扉に手を掛け、半開きにしながら、振り返ってレイリーに左手を上げる。

 

「すまない、レイリー。依頼が入った」

「ああ。……また今度飲み直さないか? 今度はとびっきりの物について、話してやろう」

「とびっきりの物?」

「――ワンピースについて、だ」

 

 グラス片手にそう言ったレイリー。

 

 この世界に生きる海賊なら、誰もが知りたがる『ワンピース』についての情報。

 無論、ラノアも興味がないわけではない。あの海賊王だけが手に入れたと噂の大秘宝。それについて、聞けるものなら聞いてみたい。

 

 しかし。

 ラノアは少し顔を逸らした後、何か遠くを見つめるような、優しい笑顔をレイリーの方に向けた。

 

 

「悪いが、その話は聞かないことにしよう。また別の話題で飲み直そう」

「……ワンピースに興味がないのか?」

「ないわけじゃない。けど……もう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 その言葉に何かを察し、フッと笑みを浮かべるレイリー。

 誰に聞くつもりのなのか。凡そ分かってはいる。だが、聞かずにはいられない。

 

 

「一体、誰に聞くつもりなのかね?」

 

 

 分かっているくせにとラノアは思いつつ、答えずにはいられない。

 次の海賊王が誰か……。この先の海に強者は腐るほどいるが、もうラノアには、あの男以外には考えられなかった。

 

 

 

「――――未来の海賊王(モンキー・D・ルフィ)。」

 

 

 

 

 バン!と扉を開け放ち、空へ飛び立つラノア。

 依頼が来た国までは、10分も飛び続ければ到着するだろう。

 

 顔を隠すために、小さくしたバギーズデリバリーの布を頭に巻く。

 ロジャー海賊団に襲撃してた時はいつもこんな風に布を頭に巻いていた、懐かしい感覚だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私を倒したんだ。新世界の強者達だって、きっと倒せる。

 

 ――――絶対、海賊王になれよ」

 

 

 小さく呟くように、彼に向けて送った言葉。

 

 

 ……絶対に届くはずはないのだが。

 グランドラインの前半にいるラノアに向けて、新世界の方から。

 

 

 『()()()()()()()()』……と、力強い言葉が返って来た気がした。

 

 

 ニヤリと笑う。

 そう遠くもないうちに、ワンピースの正体が知れそうだと。

 

 

 

 空を飛ぶ。

 

 

 ロジャーから貰った、ラブヒーローという名の男は死んだ。

 

 しばらくは、アピールと共に……罪を償い続ける旅をしよう。

 

 まぁ彼女が能力の制御と覇気の習得が出来るまでは、あの島で修行の日々を続けるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 空を飛ぶ、愛を守る、白い一筋の光は消えた。

 

 愛を守るヒーローはこの世から消え去った。

 

 

 

 世界の何処かで、今もなお、愛は失われるのだろう。

 

 だけど、それと同時に、世界の何処かで愛は生まれる。

 

 

 

 私はラブヒーローにはなり切れなかった。

 全ての愛を守り切れるヒーローにはなれなかった。

 

 だから、せめてこの手の届く範囲で精いっぱい―――誰かの愛を、守ろうと思う。

 神様でもない、凡人の私にはこれが限界なんだ。

 

 それに気づくまでに、遠い遠い回り道をしてしまった。

 でももう迷わない。迷っている時間なんかない。手の届く誰かの愛を守る、そのために、迷って何かいられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰か、誰か、お母さんを助けてよーーーッ!!」

 

 とある国で。

 街を攻める海賊団の1人が、足を怪我して動けない女性と、その女性の側にしゃがみ込んで泣く子供に、鈍く光るサーベルを振り下ろそうとした。

 

 

 ―――その瞬間。

 パキン!とサーベルが根元から叩き折られ、その海賊の顎が下から上へ、白い拳にぶん殴られた。

 海賊の体は5mほど上空へ浮かび上がり、意識を失ったまま、地面へ落下する。

 

「大丈夫か?」

 

 少女に手を伸ばす、ドクロのプリントされた黒い布を巻く大男。

 明らかに警戒している少女は、その男に問いかけた。

 

「……おじさん、誰?」

「私か? 私はな…………ふむ」

 

 

 少し悩んだ後。

 男はこう答えた。

 

 

 

 

「――……『()()()()()()』だ。」

 

 

 

 

「……変な名前……」

 

 

 少女のもっともな言葉が炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                   ―完―

 

 

 






これにてラブヒーローのお話は終了です。
何とか完結させることができました。

実は、

ゴムゴムの暴風雨のギア4版がないやん→ゴムゴムの大猿王流星嵐でええやん! これみんなに広めたいな→よし、この技を使う物語を書こう

という、軽いノリで始まったのがこのお話でした。

ラブヒーローは元々、オリジナルで書く予定だった宇宙SFもののキャラの設定をそのまま流用してます。なので太陽だったり小宇宙だったり、宇宙に関係する技が多いのです。

この軽い気持ちで始めたお話を最後まで書き切ることが出来たのは一重に、読んでくださった方々、評価をしてくださった方々、感想を書いてくださった方々が居たおかげです。

時たま感想で、先の展開を完璧に予想されることもあり、なんでわかるんだよ(パカ)って感じで滅茶苦茶驚いてました。


約二ヵ月ほどの連載でしたが、ここまで多くの人に読んでいただいた事はけっして忘れません。

ご愛読、ありがとうございました!!






~~~蛇足のおまけ~~~




ラブヒーロー
→ロジャーから名を与えられ、愛を守るために生き続けた。
 天竜人を殺した時からその名前は、ラノアを縛り付ける呪いのような物に変わってしまっていた。
 この名を名乗る者はもう世界に現れないが、彼の行った行動によって助けられた者は、この名を決して忘れないだろう。


ラノア
→バギーズデリバリーでハイルディンの埋め合わせとしてSクラス海賊になった。ラブヒーローの頃は海賊嫌いな上、愛を守る者が海賊でどうする!という意識があった。しかしラブヒーローではなくなったため、そんなに拘らなくなった。今は愛を守れるなら、身分は正直どうでもいいらしい。
 愛を守る依頼をこなして金を稼ぎつつ、アピールと一緒に暮らして修行をつけるという、かなり忙しい生活をしている。
 だが、ラブヒーローとして生きていた頃より、ずっと楽しそうだ。

 ……最近、シッケアール王国跡地から「お前の覇気を斬らせろ」という依頼が何通も届いているが、全てシカトしている。



アピール
→元『世界のゴミ捨て場』でラノアと一緒に暮らしている。
 相変わらず能力は暴走するが、すぐにラノアが止めてくれるので、以前よりも人に怯えビクビクすることはなくなった。
 覇気の修行を始めたことで、ラノアがいかに化け物染みた強さをしていたのか身をもって体感している。

 ……ラノアへは暗闇のどん底に居た時に唯一手を差し伸べてくれた恩人に向ける恋心なのか、それとも、いつでも優しく寄り添ってくれる安心感からの信頼なのか、良く分からない感情を抱いている。少なくとも、今は離れたくないと思っているようだ。




ゼファー
→死体偽装工作の犯人。
 海中に沈んだラブヒーローの死体捜索の任務を行なっていた。しかし内心ではしぶとく生き残っているだろうと思い、実際に瀕死ながらも生きていたので死体偽装工作を決行。能力者の黄猿や藤虎が海中に潜るという任務の性質上、参加していなかったのも幸いだった。
 案外バレない物だと思っていたが……実は、海軍中将のつるに真っ先にバレていた。だが彼女は「馬鹿だね」とだけ言い、ゼファーに伝えることなく、偽装工作の詰めの甘い部分をさりげなくフォローした。彼の家族を助け、世界の愛を守るために活動し続けたラブヒーローに何か思う所があったのかもしれない。

 今は前線に出るのを完全にやめ、新兵の育成と、家族サービスに徹するようになった。孫息子がラブヒーローの逸話を聞いてカッコいい!と言い出し始めたのにガチ悩みしている。
 時折、身長3mの大男とシェリー酒を飲んでいる事があるらしい。


麦わらの一味
→今も冒険を続けている。最近、覇気を使えない者達が、武装色の覇気だけでも使えるようになろうと努力しているらしい。


バギー
→クソ強いラノアが入ったからがっぽり稼げると思ったのに、依頼金額を100万ベリーとかいう破格の値段に設定するわ、気に食わない条件の依頼は蹴るわで、滅茶苦茶苛ついている。
 ただ戦力的には申し分ないどころか十分すぎるので、切るにも切れないらしい。

 余談だが、ラブヒーローが1人で活動していた頃よりも、最近は治安が良くなっている。
 今までは白タイツの化け物にさえ気を付けていればよかったのが、今はバギーの海賊旗が見えた瞬間、噂の物凄く強い化け物が飛んでくるかもしれないと、悪党たちが怯えて息をひそめるようになったからだ。
 ただ治安が良くなり依頼が少し減ったことで、バギーは更に苛ついていた。






……実は1話を投稿した頃、ラブヒーローは最後に死ぬ予定で書いていました。
ですが段々愛着が湧き始め、大筋のモデルにしたゼファーは最後に死んでたし、逆に生かしてみようかなと思い、バギー海賊団に加入させました。

いやぁ、ちょと無理があるほどぶっとんだ設定してしまったな~と思っていたら。
今日発売のジャンプのワンピース最新話にて、またもや公式に超えられてしまいました。
流石だァ……尾田先生……。
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