元部下の距離感がバグってるんだが最近更に近くなった気がする   作:さわ

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距離感可笑しくない?って言ってみた

俺は今猛烈に後悔している。

 

小さい頃に将来について考えた事はあるだろうか?

 

殆どが朧気にこうなればいいなと思ってたぐらいで明確なビジョンがあった訳出ないと思う。

かく言う俺もそうで明確な目標や指標がある訳もなく、適当に仲間内で楽しくやって過ごしていたら気が付いたらもう就職だ。

 

その時俺はある就職先を特に考えず選んだ訳だ。もう殆ど想像出来ただろう。

大多数の人間がそこに就職すると言っても過言ではない大手も大手、そんな所に就職した当時はこれで安泰だなとしか思ってなかったのだが。

 

「この書類提出期限明日までだろ.......うわっこっちとか別部署に確認とらなきゃなんねぇし.......」

 

時刻は23時。

今日も今日とて残業だ。

昔はこんな残業まみれで仕事ばっかの生活になるなんて想像も出来なかった。あの頃の俺よ、どうして何にも考えず管理局に入っちまったのか。いやでもまさかここまで仕事に追われるだなんて思わないだろう。

 

書類は溜まるわ、現場には駆り出されるわで過労死待ったナシである。

なんなら執務官は独自の裁量権があるせいで、割と高めの魔導師ランクが求められる。その高いランクのせいで現場に出れば「じゃ、此処は君に任せるね」とでも言いたいのか俺以外に局員は数名。

馬鹿じゃねぇの?迷子の猫見付けるのとは訳が違うんだよ?災害だったり化け物だったり、犯罪者だったり。時には他惑星にだって行く事がある。

 

うん、馬鹿なのかな?

ぜってー過労死するよ?いいの?死んじゃうよ?

 

 

マーク フルーラン29歳ほぼ三十路。独身彼女なし。

管理局執務官。いわゆる社畜である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔から魔力は人並みにあった。

何事も満遍なくこなせたし成績も常にほぼ上位、空戦の資格も無難に取れた。

それがいけなかったのか何でか今や執務官としてお役所勤めである。それはいいのだが流石にこの仕事量は聞いてない。

 

流石に耐えかねて直属の上司に文句を言うと、すっげぇ申し訳なさそうな顔で謝られた。万年管理局は人手不足で特に近年大きな事件もあり、その影響で離職者が多く発生し独自の裁量を持つ執務官にそのシワ寄せが来るのは必然で。

「未来のため、ひいては管理世界の人々の為に」とか言われてしまえば断る事なんて出来ない。

あんな偉い人も頭を下げるんだなと人並み以下の感想と、こんな真摯に世界を想う上司に文句を言えるはずも無く。

 

 

「世界はいつだってこんなはずじゃない事ばっかだよ、ホントにな」

 

時刻は既に日を跨いだ頃、やっと目処が経って帰宅途中。

まだくっそ明るい管理局に今日もデスマーチしてる人いるんだろうなご愁傷さまですと心でおじぎをして帰宅する。ああも言ったが執務官はまだマシな部類である、独自の裁量を持つ為確かに様々な分野の仕事が回ってくるがどれも期限に間に合えば定時帰宅していいし。まぁ間に合えばだけど。

 

飛べれば一瞬で帰れるのに、と思いつつ此処は飛行制限エリアなので勤務時間でない俺が飛んだら即逮捕なので徒歩で帰る。

さて、今日もコンビニ弁当だなぁと何食べようかなと今日買う弁当に思考をめぐらせていると。

 

「あっ、マーク執務官。お疲れ様です」

 

「おう。フェイトも帰り?」

 

ばったりと同僚とエンカウント。

こんな三十路手前のおっさんにも曇り一つない笑顔で挨拶してくる彼女。若く局内でも美人だと言える彼女。いやほんとおっさんにはその笑顔の直視は厳しいよ。

そんな彼女も同じ執務官で色々な縁があり、一時期面倒を見た事もあり本人の社交性も伴ってこうして挨拶する程度の仲ではある。

 

「そうですね、今日は早めに帰れました!」

 

いやもう日付回ってるよ?早めって一体?

 

「そういえばこの前の案件の時は助かりました!」

 

「あー。あれね、別に大した事ないよ。ただでさえ人手足りてないんだから借りれる所で借りないとな」

 

「でもマークさんも忙しかっただろうに.......もし私に助けられる事が遠慮なく言ってくださいね!」

 

「まぁ考えとくよ」

 

今どきそんな善意100%の笑顔でそんな事言って来るやついんのかと思うのだが、これは間違いなく100%だと言える。なんでこんな子が管理局に、ほんと世も末だな。

横でニコニコ笑顔を向けて来る彼女に気後れしつつも無難な返しをする。そりゃ泣き付けるなら泣き付きたいが、流石に10も離れた女性に泣き付く程プライドを捨てた訳では無い。

 

「あっ!そうだ、良かったら一緒にご飯食べて行きませんか?」

 

間違いないように言っておくが彼女これで本当にただ一緒にご飯を食べたいだけだと思う。

彼女の面倒を上司に頼まれて、あの時から幾分か一緒に過ごして分かったことがある。

この子はドが付く天然であると。仕事が仕事なので遠くに出張する事もあるのだが、その時にホテルの部屋を平然と一緒にしようとしてくるあたり正気を疑ったが彼女は大真面目で「どうしたんですか?」と不思議そうに首を傾げていた。

 

そんな事もあって彼女の提案に下心なんてミリも存在していなくて、ただ単純にそっちの方が楽しいとか嬉しいとかそんな可愛らしい理由だろう。

ほんと何でこんな子が管理局に.......

 

「いやもう遅いし止めとくよ。体裁的にこんな時間に女性の家に行くのはあまり良くないからね」

 

「どうしてですか?」

 

おい、誰かこの子に教えてやってくれよ。

ずっこけそうになった。こてん、と首を傾げる彼女は大変可愛らしいが付いてったら最後誰かに見られたら局内で噂になるだろうに。

ミッドチルダは職場恋愛に寛容的で寧ろ推奨までしてくる、何なら上からお見合い話が仕事として降りてくるぐらいには。

流石に強制でないし、女性側には配慮もあるらしいがそれでもやりすぎ感はある。要はいっぱい子供産んで将来有望な子を是非管理局に!という思惑が透けて見える。

まあミッドチルダでの大多数が管理局に就職しているのは事実ではある。

 

「むぅ、何でそんないじわるなんですか?」

 

「いやそんな膨れっ面してもダメだからね?」

 

「最近は全然誘ってもつれない態度ですよね。私はこんなにも一緒に居たいのに」

 

「いや言い方気を付けようね?」

 

確かに前は割と出来るだけ要望には答えていた。でも流石に頻度がおかしかったし、何より彼女はこう見えて俺なんかよりも有名人で最近あった大きな事件を解決した時の人でもあるのだ。

ただでさえ若くレアな変換持ち、更に執務官で英雄ときた。そんな有名人になった彼女と高頻度で一緒にいてみろ。週刊誌に切り抜かれるぞ。

 

「でも付き合い悪くなりましたよねっ!」

 

「いや今までがちょっと一緒に居すぎたんだよ。部下だった頃ならまだしも今はそうじゃないし流石にな」

 

「でもこうやってたまたま会ったり、機会があれば知り合いだったら普通に誘わないですか?だって一緒の方が絶対楽しいですよ!」

 

普通は毎回誘わないから。そもそもこんな時間に誘うとかもう大分あれだから。

この際身内のお兄ちゃん感覚が抜けない彼女にははっきりと言った方が良いかもしれない。

 

「あのな、この時間に一緒にいる男女ってさ9割カップルなんだよ」

 

「.......ふぇ!?」

 

「100歩譲って本当にばったり出会したり、一緒に帰ることがあってもその後一緒にいるのは流石に周りから見たら男女の関係に見える訳よ。実際俺たちがどうであったとしても周りからはそう見えるんだ。フェイトも嫌だろこんなおっさんとそういう風に見られるのは」

 

「そ、そうだったんだ」

 

夜道でも分かるぐらいには顔が真っ赤になった彼女は言葉も尻すぼみになっていき視線も俯き加減に。

あぁ、良かった。そこは普通に恥ずかしがるぐらいには理解出来たらしい。

 

「そういう事だからむやみやたらに誘ったりしたら駄目だぞ」

 

「は、はい」

 

それ以降彼女は終始照れたままで、結局別れる最後まで借りてきた猫のようであった。

 

 

 

 

―――――――――

 

 

「た、ただいま」

 

「お帰りなさい、フェイトちゃん」

 

「なのはも帰ってたんだ.......」

 

「うん、たまたま今日はね。.......あれ?フェイトちゃん顔赤くない?どうしたの?」

 

マークさんと別れた後、気が付いたら家に居た。

まさか私たちがか、カップルと思われてるなんて思わなくて顔が熱くなり自分でも真っ赤になってるだろうなって分かるぐらい。

 

「ねぇ、なのは」

 

「ん?どうしたの?」

 

「マークさんと私って.......」

 

「あー.......」

 

カップルに見えるのかな?そう聞こうとすると露骨になのはの顔が苦笑いに。

 

「もう結構前から噂になってるよ?フェイトちゃん、アヒルみたいにずっと後ろを付いて回ってたし場所も選ばず直ぐに声掛けてたし」

 

「も、もうっ!なのは気が付いてたら言ってよ!私どんな顔して管理局に行けば良いのっ!?」

 

「言ったよ?私もはやてちゃんも。でもフェイトちゃん、直ぐマークさんの話をしてきて聞いてくれなかったんだもん」

 

「うぅ.......」

 

は、恥ずかしい.......

マークさんは私が執務官になった時、研修として補佐をした際の上司にあたる。マークさんは凄い、少し何時も気だるげでやる気無さげではいるけれど誰よりも熱心なんだ。

彼が来ただけで現場の皆は安心していたし、現場に居合わせて怖い思いをした子供にも優しかった。

彼の背中は妙に安心感があって後ろにいるだけで心がぽかぽかするんだ。だから知らぬ間にその背中を追い掛けていたんだと思う。

 

「ど、どうしようなのはぁ〜」

 

「うーん。手遅れだと思うけどなぁ。あれだけずっとベッタリしてたら、ね?」

 

「そ、そんなにベッタリしてたかな?」

 

「もう物凄くしてたよー。でもカップルっていうよりも兄弟って感じだったけど」

 

「そうなんだ.......」

 

今更距離をとる?今まで普通にしてたのにいきなり距離取ったりしたら嫌われたりしないかな?

でも同じようにしてたらカップルだって思われちゃうし、マークにも迷惑掛けちゃう。

そんなふうに私が悩んでいると

 

「フェイトちゃんが考えてる事は何となく分かるけど、無理に変える必要は無いんじゃないかな?」

 

「ど、どうして?マークさんも私のカップルって思われて迷惑かもしれないし.......」

 

「うーん、それは無いと思うけど.......ひとまずフェイトちゃんはどうしたいかだと思うんだよね」

 

「私がどうしたいか.......」

 




マーク フルーラン
29歳独身。ミッドチルダでは早婚を求められている為三十路手前は行き遅れ。
やる気がないのはデフォで、見た目は頼りなさそうで特徴的な垂れ目がそれを増長してる。
執務官でありそこそこ戦える。
最近元部下の距離感がバグってて困ってる。

フェイトちゃん
19ちゃい職業魔法少女。
研修中はカルガモのようにオリ主の後ろをついて回っていた。そして距離感がおかしい、ナチュラルにベッド同衾を誘ってくる。
あたふたするフェイトを見て、自分の事を棚に上げて中学生みたいだなってなのはは思った。
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