元部下の距離感がバグってるんだが最近更に近くなった気がする   作:さわ

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相談してみた

 

執務官は現場に行く事があるが、逆に行く仕事が無ければ行かないし何なら与えられた部屋から出る事はない。

 

しかし仕事があれば外には行く。今日は本部に用事があるので来ているのだが。

 

「何かやたらと注目を浴びてる気がするが.......」

 

久しぶりに来た管理局本部。

周りから良く見られている気がするのは気の所為だろうか?特に何かミスをした訳でも、大きな仕事を終わらせたりとか誰かしらに噂される様な事は無かったと思うのだが。

まぁ気にしても仕方がない。さっさと用事を済まして帰ってしまいたい。

 

「ま、マークさんっ!」

 

「ん?フェイト、どうしたんだ?」

 

声を掛けられ足を止める。

執務官なんてやってると同じ執務官と出会う事なんて滅多にないのだが、フェイトとは最近よく会う気がする。そして何だかフェイトの様子が最近おかしいのだ。

 

「あの、えっと.......」

 

「.......また一緒にご飯でも食べる?」

 

「あ、はいっ!宜しくお願いしますっ!」

 

俯き加減にチラチラと上目遣いで言い淀むフェイト。まるで照れているように見えるがまさか.......ね。此方から食事に誘うとパァと向日葵が花開いたかのように笑顔になる。

余りにも清々しい程に気持ちの良い笑顔に俺もつられて笑顔になるな。

本当に良く会うのもそうだが、何時もみたいな無邪気さが全くないとは言わないが妙にしおらしくなったように思える。

 

「んじゃ、俺は行くね」

 

「あ.......えっと、待ってくださいっ!?」

 

そろそろ行こうかと声を掛け歩き始めると袖を捕まれ強制的に足を止められる。

何事かと振り返ると目をぐるぐる回してあたふたしているフェイトが。どうも引き止めるつもりはなかったのか何やら焦っている様子。

 

「これは.......その、えーっと.......も、もう少し何か話しませんかっ!」

 

「あー.......」

 

別に俺も今すぐ仕事を終わらせなければいけない訳じゃない。今も上司に顔見せに行こうとしてたぐらいで予定と言えば午後からになる。食事の約束にしても今から食べに行くにはちょっと早すぎるぐらいの絶妙な時間帯でもある。

そういう意味では全然余裕はあるし、話ぐらいなら全然構わないのだが。

 

「俺も吝かじゃないんだけどね、前も言ったと思うけどこうも一緒にいると噂になっちゃうぞ?」

 

そう言うと更に顔を真っ赤にするフェイト。だが俺の袖を掴んだ手は力強くなった気がした。

 

「別に.......構わない、です」

 

「え、えぇ.......」

 

構わないんかい。

でも君今も爆発してしまうんじゃないかってぐらい真っ赤だし明らかに無理してないか?

それに俺だって枯れてるとは言え男だ、フェイトのような美しく若い女性と一緒にいるのは癒し、もとい男としての腐り切った自尊心も満たされるのでいい事ばかりなのだが。

 

それでも周りからのやっかみや、それにあの上司が黙っているとは思えない。だってあの人くっそシスコンだもんな。

俺にフェイトを預ける時も「間違えても妹には手を出すなよ?」って額に青筋走ってたもん。

 

ハラオウンはシスコンだってそれ管理局ではずっと言われてるから。

 

 

..............あれ?もしかしてフェイトがこうして変な男に引っ掛かってないのって兄のお陰だけど、こんなにも俺に無防備なのでその兄のせいなのでは?

 

とにかく俺はあくまで同僚としての距離感を保つのが適切で、それ以上は命にも関わる。

 

「あのなフェイト。お前は自分が思ってる以上に知名度があってな、それに必要以上に一緒にいると俺の命にも関わるんだ」

 

「え、えぇ!い、命に.......そ、そんなに私と一緒にいるの、嫌なんですか?」

 

うっ!?

そんな泣きそうな顔でみないでくれ。全部お前の兄に文句言ってくれ。どちらにしろこのまま泣かせると一緒に居ようがいまいが殺されてしまいそうだ。

はぁ、と内心で諦めの溜め息を吐きながらぽんぽんとフェイトの頭をあやす様に叩く。

 

「分かった、分かったから泣かないでくれ。別に嫌って訳じゃないし、フェイトみたいな美人と一緒にいるのはちょっと恥ずかしいだけなんだ。分かってくれ」

 

「う、うん。そっか.......美人.......」

 

結局午後の仕事が始まるギリギリまで俺はフェイトと一緒にいた。

フェイトは終始上機嫌で何ならぽやぽやしていたが機嫌がなおったならそれでいい。にしても最近元部下の距離感が更にバグってるんだがどうしたらいい?

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「最近元部下の距離感がおかしいんだが.......どうしてだと思う?」

 

「それ、私に聞くんですか?」

 

「お前以上に適任はいないだろ。今の所フェイトについて1番詳しいだろうし。教導隊に行くことになった時死んだと思ったけどな」

 

何だか明らかに冷めた、何やら冷たい目線を向けてくる彼女は高町なのは。フェイトとは親友であの前の大事件も共に同じ部隊に所属していた彼女ならばと話を振ったのだが何故俺は今こんなに呆れられているのだろうか。

 

午後からの仕事は教導隊への視察、もとい出向だった。人手不足が極まった管理局、教導の為に一定周期で局員を派遣して仮想敵を務めるのだがその役目が俺まで回ってきたという訳だ。

現場にはちょくちょく出ているが、それでも戦闘には自信が無い。正直目の前の彼女やフェイトには少なくとも勝てる気がしない。ランクSってなんぞ?

エースとは1人で戦況をひっくり返す事が可能な者に与えられる。その1人が彼女なのだと思うと改めて己との差を認識させられる。

 

なのはとは機動部隊六課ができる前、割と前に知り合っている。当時は現場の仕事がかなり多く犯罪数も馬鹿にならなかった。その時に色々あって現場を共にする機会が多くあって今の普通に喋る程度には関係を持てた訳だ。

じゃなければ俺がフェイトやなのはといった美人と関わりをモテるはずなんてない。

 

「親友って言っても私もフェイトちゃんの事何でもしてる訳じゃないですよ?」

 

「わーってるよ。でも忘れたとは言わせねぇぞ。フェイトが俺の所で研修してた時に後ろをついて回るフェイトに四苦八苦してた俺を見て爆笑してた事」

 

「いやぁ、あれは誰でも笑っちゃいますって。でも女の子に付け回されて嫌な気分ではなかったでしょ?」

 

そう言ってニヤニヤとした笑みを浮かべる彼女。

ほんとコイツ生意気な糞ガキだな。いつかぶっ飛ばしてやる。まぁ戦ったら普通に負けるけどね!

なのはとの関係性は今も昔も変わらない、昔っからコイツは堅物で一時期バカ真面目過ぎて墜ちそうになった時もそうだ。俺が居なかったら死んでてもおかしくなかった。その時からずっと俺となのはの関係性はこうだった。

いや昔はもっと可愛かったと思う。いつからだこんなクソ生意気になったのは。

手間の掛かる妹と言えば良いように聞こえるかも知れないが、10も歳が離れてればそんなもんである。

 

「そりゃ俺も男だから思わない事がないとは言わない。だが当時は本当にフェイトは天然オブザ天然でもうマジで困ってたのに指さして笑いやがって!」

 

「もう、昔の事じゃないですか。細かいこと気にしてたらモテませんよ?」

 

「うるせぇ。良いんだよモテなくても。どうせこの先ずっと管理局に囲われて仕事の資料に埋もれて誰にも見付けられず死んでいくんだ.......」

 

「私が言うのもなんですけどちょっとぐらい仕事休んだ方がいいんじゃ.......」

 

「1度でも休んでみろ、明日は2倍以上の資料の壁に押し潰されるぞ」

 

なんか珍しくすげぇ心配そうにしてるなのは。いやマジで環境が終わってるだろ、さっさと人手不足と仕事量の改善しないと色々と終わるぞ管理局。

でも不思議と過労死した者はまだ居ない、ほんと不思議なんだけど。

 

「そういうお前も、もう無理してねぇだろうな?」

 

「はい。相変わらず忙しいですけど今はもう全力で止めてくれる友達が目を光らせてますからね。早々無理は出来なくなっちゃいました」

 

「当たり前だ。前の事件の時も相当無理やらかしてたろ?どうしても通すべき意地ってのはあると思うが命張るのは俺たちの仕事だ、お前らみたいなのが今管理局には必要だからな死なれたら困る。俺に見付かる前に俺を呼べ分かったか?」

 

「.......ほんとマークさんって時々狡いですよね」

 

「なんか言ったか?」

 

「いや別に何でもないでーす!」

 

最近の若いのはどうしてこうも無理をしたがるのだろうか。おっさん目が離せないよ。

 

「それでフェイトの事何だが.......」

 

「あぁ.......それなんですけどもう大分噂になってましたね」

 

「うぇ!?それ、俺知らなかったんだけど.......そういややたらと目線を感じたような」

 

「多分それですね。良かったじゃないですかフェイトちゃんみたいな可愛い子とカップルになれて」

 

だからニヤニヤすんじゃねぇよ!

どうやら既に遅かったらしく噂になっていたらしい。

 

「いや男としては嬉しいが分かるだろ?俺の上司が黙ってねぇよ.......」

 

「あぁ.......ご愁傷さまです」

 

「なぁ、なのはって俺の上司と仲良かったよな?何とかならんか?」

 

「私にどうしろと?もういっその事付き合ってますって紹介したらどうですか?」

 

「俺が死ぬだろ!いい加減にしろ!タダでさえフェイトやお前ら可愛くて気後れしてんのに.......」

 

こちとら独身で女性との交流なんて職場だけだってのにそれが若くて飛び切りの美人となれば気後れもする。

 

「本当に狡い人.......」

 

「なぁ俺はどうしたらいいと思う?」

 

「知りませんよっ!全部マークさんの自業自得ですっ!ほんと乙女心を全然分かってないんだから」

 

突然顔を真っ赤にしてそういうなのは。突然そんなに怒らなくていいじゃないか。

結局この後機嫌を悪くしたなのはと晩御飯を食べに行ってまで色々話たが何も解決しなかった。

因みに1日休みに付き合う事で許してもらった。貴重な休みが失われた瞬間だった。

 




マーク フルーラン
なんやかんやで後輩の面倒見がいい。
噂になってると聞いて管理局本部に行く仕事は全部行かないで済む様にした。
なお次話で上司と対面する模様。次回予告はマーク死す!で決まり。

高町 なのは
後輩その2
この世界線ではお節介焼きの先輩のお陰で墜ちてない。
昔は固くクソ真面目だったが余りにも構ってくる先輩のせいで糞ガキ化した。正直になれないから生意気なるとも言っていい。
ちゃっかりくそ貴重な先輩の休みを1日独占権獲得、抜かりない。
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