元部下の距離感がバグってるんだが最近更に近くなった気がする   作:さわ

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上司と会ってみた

 

 

 

 

「はい、こっちの書類終わりましたよー」

 

「え、マジで?早くない?」

 

「そない事言うなら確認して下さいよ、ちゃーんと終わってますから」

 

「うわ.......マジだ。お前びっくりするぐらい優秀なのな」

 

「ふふん♪これぐらい出来ないと部隊なんて運用なんて出来へんからな」

 

えぇ.......俺の今日の仕事終わったじゃん。しゅごい。

貴方が神だったか。

ない胸を張る彼女は八神はやて。色々あって俺の仕事を手伝って貰っている。彼女もフェイトやなのはと同じ管理外世界出身らしい。

管理外世界って化け物しかいないのか?

彼女はフェイト達と同じ年であるが闇の書事件の当事者でもあり被害者で、その魔導師ランクは脅威のSS。

なんなら1人で国ひっくり返せますよっていう魔法を使えちゃうランクだ。この若さで仕事も出来るとか化け物かな?

そして言わずもがな俺よりも立場が上だったりする。

 

なら何故立場が上である彼女が俺なんかの仕事を手伝っているのか。

 

「でも安心したわ。そんな期待の出世頭も苦手な事があってさ」

 

「うん、それに関しては痛い目見てますから。だから学ばないとあかん事は多いと思ってます」

 

最近あった例の事件、JS事件で彼女は部隊の司令だった。だが彼女の部隊指揮はお世辞にも優れたものでは無かった。

フェイトやなのは、現場に居た隊員が優秀だったからこそ切り抜けられた場面もあったという。

 

確かに現場の人間が考えて動けるにこした事はないが、それではダメだ。

司令官の指示1つで現場の人間の命を左右する事になる。だというのに司令が無能では話にならない。

彼女はそんな失敗から学ぶ為にここに来た。

現場の仕事が多い執務官である俺の補佐をする事でそれを学びたいと上司を通してお願い、もとい強制した。

 

俺を推薦してくれたのは有難い話ではあるが些か荷が重い限りで上手くやれていると信じたい。

 

「もしかして自分の指揮如きが参考にー、とか思ってますぅ?」

 

「お、おう。よく分かったな」

 

「聞いてましたけど、マークさんって本当に自信なさそうですよね。こんな小娘から言われても困るかもですけど、めっちゃ優秀やと思いますよ」

 

いや魔法1つで都市1つ滅ぼせるやつに言われても困るんだが。

それに周りに才能の塊ばっかいるもんだから自信なんて持てるはずないだろうが。

 

「確かに自分が前に出る時はただの優秀って感じですけどね。でも後ろで指示だしてる時のマークさん、特にフルバックに入った時はそれこそ国ひっくり返せますよ?」

 

「おいおい、大袈裟だろ」

 

「いやほんまに勉強なりますよ。余りにも自分がどれだけ考えなしやったか思い知らされました。マークさん、ぶっちゃけ今日だって指揮してる10数名の隊員、そして敵戦力の動き全部予想通りやったでしょ?」

 

「あ、あぁ.......でもたかが数部隊の動きを見切るなんて簡単だろ?パターンなんてせいぜい89パターンぐらいしかないぞ?自分やお前加えても297パターン程度だな」

 

「だーかーらぁ、それがおかしいって言ってるんですぅー。ほんまどっちがバケモンなんや.......」

 

確かにこの手のシミュレーションは得意だが、俺ぐらいに出来る人普通にいると思うんだけどな。

ずっと前にジャスさん?忘れたけどシミュレーションで割と接戦ばかりだったし、俺別に無双とかしたことないしなぁ。

最近はジャスさんから連絡ないけど、今どうしてんだろ?

 

そんなことをボーッと思っていると、直ぐに下に膨れっ面で俺を見上げる彼女が。

びっ、びっくりした.......可愛い顔が近くにいきなり出てくると心臓に悪いや。

 

「むぅ、その顔は信じてないですね?」

 

「だってなぁ.......現にお前やフェイト、なのはとかが居るし士官学校でも俺は別に余裕で1番だったわけじゃない」

 

「士官学校での話は凄い気になるんやけど.......」

 

「な、なんだよ」

 

そのジト目なんだよ。なのはとかも良くそうやって上目遣いで睨んでくるんだが流行ってるのか?

コイツら自分の顔でそれやったらどれだけ威力があるのか分かってるのか、安易にやると死人が出るぞ!

 

「あの事件の時、あんな規模での事件だったにも関わらず死亡者は無し。はて、誰が陸で指揮とってたんやろうなぁ」

 

「.......いや俺じゃないよ?」

 

「「あの人が居るから大丈夫っ!」そんな事言ってなのはちゃんもフェイトちゃんも無茶して大変やったんやから。そない長く見てきた訳やないけど、こりゃ2人も堕ちるわなぁ.......」

 

「なんだって?」

 

「なんでもないですっ!あ、後私の事いい加減にはやてって呼んでくださいね。フェイトちゃん達の事は名前呼びやのにちょっとそれは寂しいなぁ」

 

「うっ.......分かったよ。はやて」

 

「やたーっ!やっと呼んでくれましたねっ!いやぁ長かったわぁ、ほなはよ昼ご飯食べに行きましょ!」

 

「ちょ、おま、当たって.......」

 

「ふふっ♪当ててるんですよ」

 

俺の腕を取って抱き着くように引っ張るはやて。気恥しくてずっと避けてた名前呼びがそんなに嬉しかったんだろうか。

確かにフェイトやなのはは普通に名前呼びだったもんな、仲間外れは良くないか。

 

いや俺の周りにはこうも距離感バグってる奴ばっかりなんだ?

男としては役得なばかりだがフェイト達と比べて何だか物足りな.......

 

「マークさん?今何考えたか当ててみましょか?」

 

「ははは.......いやほんと勘弁して下さい」

 

「よよよ、私傷付きました。罰としてこのまま食堂までいきましょうか」

 

「うぇ!?」

 

俺はそのまま腕に彼女をドッキングしたまま管理局内を歩き回る事になり、突き刺さる視線をその身で受ける事になった。

 

余談だが後日、何処からか話を聞き付けてきたヴォルケンのちびっ子に追っかけ回される事になるのだが今の俺が知る由もない。

 

 

―――――――――

 

 

「なぁマーク。僕の妹と付き合ってるって噂が管理局に流れてるんだが.......これって本当か?」

 

「いえっ!全くのデマですね、そもそもフェイトと俺が釣り合うと思ってるんですか?10も離れてますし俺からすれば高嶺の花過ぎますって」

 

「あぁ、そうだったのか。同時になのはやはやてとも親密.......いや親密過ぎるって聞いていたからね。僕が手を加える必要がなくて本当に良かったよ。優秀な局員を失わなくて本当に良かった」

 

え、俺これ受け答えミスってたらTheENDだったの?

あぶねぇ.......てか俺の上司ずっとニコニコで逆に威圧感ハンパないんだけど。非常に前衛的な笑顔でありますね。

てかなのは達との噂流れてるのか、皆見る目がないな。なのはとかはやてとかって俺の事おちょくって楽しんでるだけだろ。

この前はやてには酔った勢いだとは思うが童貞だって知られて煽られるし、なのはには背中に抱き着かれた時にドギマギしてたらくっそ煽られたし.......おっさん泣きそう。

 

俺の上司、クロノ ハラオウン提督。なんと25歳で俺より若い。凹む。

しかもめっちゃ優秀で既婚者、もう俺の勝てる所が一つもない。イケメンで既婚者で仕事出来るとか俺に対しての嫌味かな?

何なら裏方なのに俺より強い、戦えば数分も持たないだろう。

だってあのなのはだって「クロノくんの得意なレンジで戦うのはかなりキツイ」って言ってたし。でも勝てないって言わない辺り恐ろしいとは思うが。

 

先程まで重苦しい威圧感がある雰囲気から一転、世間話をするかのように軽い感じで。

 

「ところでマーク」

 

「は、はい」

 

「フェイト、なのは、はやて。君は誰が本命なんだ?それとも他の子か?」

 

「.......は?いやいやっ!?本命とか、そんな俺なんかじゃ彼女達とは釣り合い取れてませんって。こんか冴えないおっさんと噂されるのだって彼女達からしたら遺憾でしょうよ」

 

「なるほど.......これは彼女達も報われないな」

 

「いやクロノさん。急にどうしたんですか?こんな話をして」

 

「恋バナってやつだ。それに君もそろそろ上からお見合いの話が沢山下りてきて嫌気が差してるんじゃないか?」

 

「まぁ.......確かにそうですけど」

 

実際うんざりはしていた。

管理局は女性には配慮するくせに男には配慮とか考えてないのかそれはもうびっくりするぐらいのお見合い話という名の仕事が舞い込んでくる。

新人だとかには来ない仕事ではあるが、一度でも昇進をすると徐々に多くなっていき俺みたいに歳だけ重ねた男にはアホみたいな数が負債のように溜まっていくのだ。

 

「なら話を受けてみようとは思わなかったのか?」

 

「そうですね。不思議とそうは思わないんですよ。将来の話をすると分からないですが、誰かと居る自分って想像が出来なくて。今はもっぱら仕事が恋人ですね」

 

「それはそうだろうさ。僕もそうだったよ。仕事の事ばっかりで考えもしていなかった、でも今の妻はそんか僕の事をずっと見ていてくれて仕事の事しか考えてなかった僕に違う可能性を見せてくれたんだ」

 

「はあ.......」

 

「今はピンと来ないかも知れない。だが以外とこういうのは気が付いたら最後既に外堀が埋められた後だったりするぞ、マーク君には何となく僕と同じようなものを感じるからな」

 

ぶるりと震えて少し遠い目をするクロノさん。

ちょっと聞くのが怖いな、クロノさんでもそんな顔するんだな。

 

「まぁ僕もそろそろ君へのそういった話を止めるのにも限度があるって話さ。だから此処で本命が居るって言うなら話が違って来るんだが?」

 

「うぇ!?いや実際アイツらは妹みたいな感じですし.......というよりも彼女達も俺の事を男だと思ってないでしょ?距離感バグってますし平然と胸とか押し付けてくるんですよっ!」

 

「お前っ!僕の妹が痴女だと言いたいのかっ!」

 

「いや一言も言ってないですよ!」

 

まぁバリアジャケットの話を始めるとそう思われても仕方がないかも知れないが。

でも本当に気安く抱き着いたり、引っ付くのは止めて頂きたい所ではある。いつもドギマギして心臓に悪いのだ。

 

「とにかくっ!周りからも色々言われても鬱陶しいかも知れないが、お見合いの話が結構行くと思う。もう止めらない強制参加のお見合いもあるだろう。だからもし決まった人がいるならさっさと告白してしまえ」

 

「まぁ居ないんで仕事だって割り切って行きますよ。相手方には悪いですけど」

 

「お前っ!僕の妹が取るに足らないというのかっ!?」

 

いやこのシスコンマジで面倒臭いな!

 

 

 

 




マーク フルーラン
実は士官学校で首席で、卒業を待たずしてある部隊に引き抜きされた過去を持つ。
本人は知る由もないが神懸り的な部隊運用をする為、普段のギャップから補佐役などからの人望が厚い。実はちゃっかり生き残ったレジアスに後継者扱いを受けている。
今作のレジアスは彼の存在があってか真っ黒ではなく灰色。

八神 はやて
めっちゃ有能、単体戦力としも化け物。
階級はオリ主よりも上だが先の事件で力不足を感じた本人きっての希望で補佐役に。
最近の楽しみは作ってきたお弁当を食べる彼の横顔を見る事。

クロノ ハラオウン
上司。シスコン。
エイミに猛アタックされても気が付かず、結局真正面から気持ちを伝えられて近く気が付いた。
でもその時には既に彼は詰んでいた。自分に似たようなものをオリ主に感じている。妹達の事を思って彼のお見合い話を止めていたが、局内の人気は割かしある為限界が来た。
妹を泣かせたら.......すと思ってる。

ちびっ子
八神家のヴォルケンリッターのちびっ子。
元気に今日もハンマーを振り回す。

ジャスさん
誰だこいつ?JS?一体何者なんだ.......

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