ベルが如く   作:サンバガラス

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第十四話 リリルカ・アーデ

 

リリは階層を登って9階層に来ていた。

 

「・・・人が良すぎますよベル様。【響く十二時のお告げ シンダー・エラ】」

 

リリがそう言うと犬人の特徴である犬の耳が消えた。

 

「・・・これで良いんです。・・・悪いのはベル様で、冒険者なんですから。リリの嫌いな冒険者なんですから・・・」

 

そう言ってリリは走って8階層に着いた時だった。リリは何か引っ掛かり転んだ。

 

「大当たりじゃねえか。オラッ!!」

 

「ガッハァ!!」

 

リリを転ばせたのはベルにリリを嵌める事を言い出した男だった。

 

「散々舐めてやがってこのクソ小人族がぁ!!!」

 

「グゥッ!!」

 

リリは男から顔や体を蹴られた。

 

「そろそろあのクソガキを捨てる頃だと思ったぜ。この階層でお前が使える道はそう多く無え。4人で手分けした甲斐があったぜ!!」

 

そう言ってリリからアイテムを奪った。

 

「か、返してください!!」

 

「誰が返すかよ!!ハハハァ!!良いもん持ってんじゃあねえか!!しかも魔剣までもよぉ!!」

 

「派手にやってますのう旦那!!」

 

道から男が3人やって来た。それはリリのファミリアの団員だった。

 

「おう、早かったなぁ。見ろよ魔剣もっていやがったぜ!」

 

「それは良かったですなぁ。・・・なぁ旦那。一つお願いがあるんですがぁ」

 

「あん?何だ?」

 

「そいつの物、全部俺達にくれませんかねぇ!!」

 

そう言って瀕死のキラーアントを投げた。

 

「!?て、テメェら、な、何してんのか分かってんのか!?」

 

「ええ、分かってますよ旦那。瀕死のキラーアントは特殊なフェロモンにより仲間が集まる。冒険者の常識ですよ」

 

3人の男は笑っていた。そしてキラーアントが集まっていた。

 

「て、テメェら!!」

 

「旦那。俺達とやり合っている間に奴らの餌食になりたくないでしょう?」

 

「く、クソがぁ!!」

 

男は逃げたが、

 

「アァァァァァ!!?」

 

逃げた先にはキラーアントがいて男は殺された。

 

「よお、アーデ。大変な事になったなぁ、同じファミリアの仲間のよしみだ。助けてやるからアイテム全部寄越せ。渡さなかったらどうなるか、分かるよなぁ」

 

「わ、わかりました!わかりましたから・・・」

 

そう言ってリリは男達に鍵を渡した。

 

「ありがとなぁ。じゃあ、最後に囮になってくれ」

 

「そんなぁ!?約束が違うじゃあないですか!?」

 

「サポーターなんぞと約束する冒険者が何処にいる?お前はもう用済みなんだよ!!最後に俺達の役に立ってくれ!!」

 

リリはキラーアントの群れに投げ飛ばされた。リリは投げ飛ばされながら思った。

 

(これだから冒険者は、・・・でもそうですよね。これはあのお人好しのベル様を騙した報い・・・でも最後にベル様に謝りたかったなぁ・・・さよならですベル様・・・)

 

リリが死を覚悟したその時だった。

 

「リリ!!頭を守ってろ!!」

 

(・・・ベル様の声?・・・ベル様が裏切ったリリを助けるなんてそんな筈ありません。幻聴ですね。・・・でも最後ぐらい言う通りにしようかな)

 

リリは頭を守った。

 

「そこだぁぁ!!!」

 

それと同時にリリの後ろで爆発音が鳴り響いた。

 

『『『キシャァァァァァァ!!!??』』』

 

「「「!?」」」

 

「べ、ベル様・・・?」

 

そこにはベルがいた。ベルは万屋で買った手榴弾を使ってキラーアントの群れを倒していたのだ。

 

「な、何だテメェは!?」

 

男の1人がベルにそう言った。すると他の男が言った。

 

「・・・思い出した。そこのガキ、アーデと一緒にいた奴だ!!」

 

「成程。つまりアンタはこのアーデに騙されてその復讐に来たと見るぜ!!」

 

「ッ!!」

 

男の言った事にリリは覚悟した。自分はベルに報復されると思ったが、

 

「復讐・・・誰にだ?」

 

「誰って・・・アンタを嵌めたサポーターのクソガキの事だ」

 

「・・・誰がそんな事を言った?」

 

「・・・え?」

 

「俺はリリに何も盗まれていない。それどころかこんな程度の裏切りなんて小さい方だ」

 

「「「は、ハァ!?」」」

 

「え?」

 

リリと男達はベルの言っていた事に困惑していた。まあ、ベルの前世では裏切りなんて日常茶飯事。リリのした裏切りなど前世での裏切りに比べたら小さいのである。

 

「俺はリリに復讐なんてしようと思わない。それに今はお前らに腹が立っている」

 

「な、なんだと!?」

 

「お前ら、こんな小さな女の子から色んな物を奪って、男として大人として恥ずかしく無いのか?」

 

「う、五月蝿ぇ!!テメェみたいなガキに何でそんな事を言われなきゃならねぇんだ!!」

 

ベルの挑発に男は怒っていた。

 

「それにサポーター如きに信用する冒険者が何処にいるってんだ!?」

 

「・・・お前ら同じファミリアなのによくそんな事が出来るな。腐ってやがる!!」

 

「生意気な口を聞いてんじゃねぇぞ!!このクソガキが!!」

 

男はベルに向かって叫んだが、ベルはそれを鼻で笑った。

 

「リリ少し下がってろ」

 

「べ、ベル様?」

 

「いいから、下がってろ」

 

「は、はい!!」

 

リリはベルから少し離れた。そしてベルは懐からバットを取り出した。

 

「今日はちょうど打とうと思ってんだ。ひねくれたカーブをな」

 

そう言ってバットの先を男達に向けた。

 

「んだとぉ!?」

 

「掛かって来いよ。その腐った心を叩き壊してやるぜ!!」

 

ベルと男達の戦いが始まった。


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