〜二日後〜
ベルとリリはダンジョンの9階層内にいた。だが、ベルは辺りを見渡していた。
「・・・・・」
「どうしたんですか、ベル様?」
リリがベルに尋ねた。
「・・・リリ感じないのか?」
「何を?」
「ずっと誰かに見られている感覚があるんだが」
そうベルはダンジョンに入ってから誰かに見られている感覚があった。
「そうですか?ただこの階層には違和感があります」
「ああ、モンスターが出現していない。可笑しすぎる」
その時だった。
「ブモォォォォォォ!!!!」
「「!!」」
ベルとリリは大きな鳴き声に驚いた。
「べ、ベル様今のは!?」
「ミノタウロスの声だな」
そして奥から大きな足音を立てながら剣を持った赤いミノタウロスが出て来た。
「な、何でミノタウロスがここに!?しかも強化種!?べ、ベル様逃げましょう!!」
「いや、ここで背中を見せれば後ろを斬られてやられる。リリ、お前は離れていろ」
「で、でも」
「早くしろ!!」
「は、はい!!」
リリはベルから離れた。赤いミノタウロスはベルを見ると雄叫びを上げた。
「ブモォォォォォ!!!!」
「来い!!」
ベルは赤いミノタウロスと戦った。
ミノタウロス強化種
それから数分後、場面が変わり遠征中であるロキファミリア、フィン班は怪我をしていた冒険者の手当てをしていた。
「ハァ!?9階層にミノタウロスが現れただと?」
ベートがそう言った。
「ああ、間違いない。9階層にデカイ剣を持った赤い色のミノタウロスがいたんだ」
「まさかあの時の生き残り!?」
「それは無いだろ。あれから1ヶ月、ミノタウロスの目撃情報は皆無だ」
ティオナの発言にリヴェリアはそう言った。
「いずれにしても、貴方達が無事で良かった。他の冒険者は?」
「お、奥のルームに2人襲われていた。あの白髪のガキ今g」
怪我をした冒険者が言おうとした時だった。
「ブモォォォォォォ!!!!」
「今のは!?」
「早く行こう。手遅れになる前に。ラウル怪我人を頼む」
「分かりましたっす!!」
フィンはラウルにそう言ってミノタウロスの声のした方へ向かった。そしてたどり着いてフィン達が見たものは
「ウリャァァ!!!」
「ブモォォォ!!??」
「デリィヤァァァァ!!」
赤いミノタウロスにアルゼンチンバックブリーカーを決めて投げ飛ばしているベルだった。因みにミノタウロスの持っていた剣は強奪の極みでベルに奪われていた。
『『『『・・・・え?』』』』
フィン達は唖然としていた。ベルはうつ伏せに倒れた赤いミノタウロスの顔を押さえ付けて地面を擦り付け、激しく動かした。
「ブモォッ!?ブモォッ!?ブモォッ!?」
ミノタウロスの肉と地面が擦り、潰される音が聞こえていた。
『大根おろしの極み』
「・・・あれは」
「痛そう」
ティオネとティオナがそう言っていた。そして顔面が血塗れのミノタウロスは怒り任せにベルに突進した。
「くっ!!オリィヤァァァ!!!」
ベルはまともに喰らったが、受け止めて、両腕でミノタウロスの首の後ろと前を挟み付けて、軽く曲げた。
ペッキッ!!
「ブモォォォッ!!??」
骨が折れた様な音が聞こえた。そしてベルは突進したミノタウロスの体を逆さ状態にして持ち上げて地面に叩き付けた。
『縛解の極み』
「・・・ミノタウロスを持ち上げた!?」
フィンはベルのやった事に驚いていた。ベルは止めにミノタウロスから奪った剣を持ち構えた。そしてそれを地面に投げた。
「!!」
投げた剣は地面でバウンドして、空中に上がった。それをミノタウロスは見て敵であるベルから目を離した。そしてベルはミノタウロスの足にスライディングして体制を崩した。ベルは体制を崩したミノタウロスの体を斜めにした。
「な、何やってんだアイツは!?」
ベートはベルが何をしているのか理解出来なかったが、直ぐに気付くことになる。空中に上がった剣はクルクルと回りながらミノタウロスの背中に突き刺さった。
「ブモォッ!?」
「デリィヤァァァァ!!!」
「ブモォォォ!!!!??」
ベルはミノタウロスを軽く吹っ飛ばして背中に刺さった剣を思いっきり斬り抜いた。
『秘剣・舞鼠』
腹を斬られたミノタウロスは血を大量に出して倒れ、魔石と角を落とした。一方の剣はベルの力に耐え切れず、柄だけになってしまった。
「ベル様凄いです!!」
リリがベルに近づこうしたが、ベルに止められた。
「リリ、まだそこにいろ」
「ベル様?」
「いるんだろう。出て来いよ」
そう言って柄を暗闇の方に投げ飛ばした。すると暗闇から大男が出て来た。
「お前か。さっきから俺を見ていたのは」
「・・・・」
『『『『なっ!?』』』』
フィン達は驚いていた。そう暗闇から出て来たのはオラリオ最強の男『猛者』 オッタルであった。