ヴェルフがベル達に加わってから約4日後。この日ベル達は中層へ進出した。
「ここから先は中層へとなります。気を引き締めて行きましょう」
「ああ」
「・・・行くか」
〜ダンジョン 中層 13階層〜
その頃地上ではバベルの塔の前でヘスティアとその神友であるタケミカヅチがその眷属達を見送っていた。
「ふーん。あれがタケのファミリアの子供達か?」
「まあな」
そう言って2人はタケミカヅチのファミリアの背中を見ていた。
「中層へ向かうのかい?」
「ああ。お前ん所の『炉龍』もそろそろだろ?」
「まさしく、今日が初挑戦さ。今朝早く出発しに行ったよ」
ヘスティアは心配そうな表情をしていた。
「まあ、心配してても何も始まらないからな。俺達は信じて待つだけだ」
「うん。そうだね」
すると軽い地震が起こった。
「ん?じ、地震?」
「最近多いな」
「偶々続いているだけだと思うけど・・・(大丈夫だよねベル君・・・)」
ヘスティアは何か嫌な予感を感じていた。そして時間が進み、ダンジョン中層13階層にて、ヴェルフはヘルハウンドと戦っていた。
「こんの!!すばしっこい!!」
『グルリャァァァァ!!!』
「しゃぁっ!!」
「ヴェルフ様、後ろからも来てますよ!!」
『グギャッ!?』
ヴェルフの後ろを狙ったヘルハウンドだが、リリの放った腕輪型のクロスボウに目を撃ち抜かれ怯み、その隙を狙いヴェルフはヘルハウンドの胴体を切り裂き、倒した。
「すまん。リリ助!!」
「油断しないでください!!リリ達はベル様みたいにタフでは無いのですから!!」
「そ、そうだな」
ヴェルフはそう言って、ベルの方を向いた。ベルはヘルハウンドの群れを二刀流で倒して行った。
「ドリィヤァァァァ!!!!」
『『『グルリャァァッ!!!??』』』
「ベル様!!ヘルハウンドの火炎攻撃が来ます!!」
リリの注意を聞いたベルはヘスティアナイフを炎を出そうとしていたヘルハウンドの口の中に投げ、見事突き刺さった。そしてヘルハウンドの炎は出す事が出来ず、体内で爆発した。
「フリャァ!!」
『グギャァ!!?』
『自爆の極み・投擲』
「スゲェ・・・」
「お見事です!!ベル様!!」
「そうか?」
「そうですよ。さて魔石を集めてくださいね」
そう言って、リリ達は魔石を集めた。
「早く広い場所に移動しましょう。こんな所でモンスターに囲まれたら『『『キュウ』』』厄介ですからね。ん?」
突然鳴き声が聞こえ、振り向くとそこには3匹のアルミラージがいた。
「ベル様?」
「うん。ベルだな」
「アルミラージだろ」
するとアルミラージは石でできた小型の斧で襲い掛かった。
「おお!!ベル来た!!」
「ベル様。せっかちですね」
「お前ら、いい加減にしろ!!」
ベルはそう言いながらアルミラージを軽々と返り討ちにした。それから2時間後ベル達はアルミラージの大群に囲まれていた。
「ふざけろ!!息つく暇もねえ!!」
「無駄口叩いている暇もありません!!それに7割はベル様が相手してるんですよ!!」
「ドゥリィヤァァ!!!」
『『『ギュウゥゥ!!??』』』
ベルはアルミラージをバックブリーカー投げや、ジャイアンスイングなどで、他のアルミラージを巻き込みながら倒して行った、その時だった、別の穴から怪我人を背負った6人組の冒険者が、ベル達の前を通り過ぎた。
「何だ?」
するとリリは気が付いた。
「いけません!!押しつけられました!!」
「なっ!?」
「
そこからヘルハウンドとアルミラージの群れが出て来た。
「冗談だろ!?」
「退却します!!早く通路へ早く!!」
「ああ!!」
ベル達は逃げたが、ヘルハウンドの群れはベル達を追いかけて来た。そしてベル達が逃げた場所は狭い通路であった。
「(追いつくな・・・)リリ先に行ってろ!!」
「ベル様!?」
ベルは二刀流でヘルハウンドの群れに向かって走り出し、すれ違いざまに、首や胴体を切り落とした。幻浪から改良した新たなる極み技である。
『必殺剣・双幻狼』
だが、
「しまった!!」
「キャァァァァ!!」
「オリャァァ!!」
『『グギャァ!?』』
ヘルハウンドを二体逃してしまった。ヘルハウンドはリリとヴェルフに襲い掛かり、何とか倒せたが、ヴェルフは腕を負傷した。そしていつの間にか囲まれてしまった。
「まさかこんな所で囲まれてしまうなんて」
「チッ!!」
これだけならまだ良かったが、更なる悲劇がベル達を襲った。
ピッキ・・・ピッキ・・・ピッキ・・・
「この音は?」
「まさか!!」
「おいおい冗談だろ!!」
バッゴン!!!!!!
「「「うわぁぁぁぁ!!!」」」
ベル達がいた狭い通路がいきなり崩壊し、ベル達は落下してしまった。
「くっ!!何とかなったな。それよりもリリ!!ヴェルフ!!無事かぁぁ!!」
「ベル様!!」
「リリ!!」
「リリは無事ですが、ヴェルフ様が!!」
「何だと!!」
そうヴェルフの左足に岩が乗り、曲がってはいけないな方に足が曲がっていた。ダンジョンが冒険者に牙を向けたのだ。