とある科学の超電磁砲W 二人で一人の仮面ライダー   作:かなん

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その名はW/街に起こる異変 

 学園都市、総人口約230万人でその八割が学生を占めている。そこはまるで異国の地。外部との接触は限られているのだ。

 科学研究や技術開発により超能力に目覚めた学生たちはレベル0〜5まで段階分けされていて、レベル5は七人しかいない。

 そんな街に風を吹かせる人物がいた。

 

「ここが学園都市か。風都並にいい風が吹くぜ」

 

「いいかい翔太郎。ここに来た目的は」

「わかってるよ相棒。ここにいるんだよな。財団Xの生き残りが……」

 

 帽子を被ったハードボイルド気取りの青年と本を抱えた青年。二人は学園都市のゲートをくぐり抜けた。

 

 

 

「あ〜暑くてやる気が出ませんの。初春、ワタクシの代わりに巡回をしてくれてもいいんですのよ」

 

「嫌ですよ。白井さんはただ暑いから外に出たくないだけですよね」

 

「うっ……」

 

 

街の風紀を守る風紀委員(ジャッジメント)の一七七支部では白井黒子と初春飾利がいつもの日常を送っていた。最近は大きな事件がなくパトロールが主な仕事だ。

 

 

「はぁやっぱり外は暑いですわね」

 

 結局パトロールを開始した黒子。最近多いのはスキルアウト、いわゆる不良達の喧嘩だ。そのため、路地裏を特に警戒していたのだが、やはり当たりだったようだ。     

三,四人のスキルアウトがスーツ姿の男と何やらやり取りをしている。スーツの男はスキルアウトにUSBメモリのようなものを渡している。

 

(また怪しげなモノの取引ですか。幻想御手(レベルアッパー)のような危険なモノでないといいのですが……)

 

 黒子は物陰に隠れ様子を伺う。

 

「これがあれば能力者共をボコボコにできるんだな」

 

「もちろん。とにかく挿してごらん」

 

 不良はメモリを腕に挿す。

 

『マスカレイド!』

 

 メモリが体内に入ると、体は化け物へ変わってしまった。

 

「すげぇ!これがあれば何でもできるぜ!」

 

 あまりの衝撃に黒子は足元に転がっていた瓶に気づかず足で蹴ってしまった。

 

「誰だ!」

 

 不良たちは一斉に探し始める。黒子はギリギリで近くのビルの屋上にテレポートしていた。

 

「一体何なんですのあれは!?」

 

『バード!』

 

「見つけたぜ」

 

 後ろを振り返ると、鳥のような姿の怪物が。瞬時に戦闘態勢に入るが、怪物が持っていた銃のようなものに撃たれてしまった。強い脱力感に襲われる。

 

「力が入らない……何をしたんですの」

 

「そのうざい能力を使えなくしてやったのさ。この銃でな」

 

 黒子は倒れ、そのまま意識を失ってしまった。

 

「チビでお子様な体だがみんなで楽しむとしよう」

 

 鳥の怪物は黒子を抱えて地上の仲間と共に去っていった。

 


 

「こんにちは初春さん。黒子来てない?」

 

 あれから一日経ち、ジャッジメント一七七支部を訪れたのは御坂美琴。黒子のルームメイトでありレベル5の電撃使い(エレクトロマスター)である。

 

「あれ?御坂さん。白井さんなら来てないですが」

 

 御坂は顔をしかめる。

 

「実は昨日から寮に帰って来てないの。寮監から早く探してこいって言われて……まさか何か事件に巻き込まれたんじゃ!?」

 

「と、とにかく監視カメラを使って何があったか確かめてみましょう!」

 

 初春はパソコンを使って街の監視カメラの映像を映し出していく。

 

「どうやら路地裏に入っていったみたいです。……え?これって……」

 

「どうしたの?」

 

「これ……ビル屋上を映したカメラなんですけど白井さんと一緒にこれが……」

 

 映像には鳥の怪物にさらわれる黒子の姿が。

 

「何よこの化け物……」

 

 学園都市ならありえないわけではない。世界を相手にできる程の兵器、レベル5のクローンなんて話がある程だ。だが、それはあくまで裏の話。今回はただの学生が化け物に変化している。あの黒子でさえも敵わないほどに。

 

「アンチスキルに通報しないと……」

 

 初春はすぐさま携帯でさっき見た光景を伝えたが、何やら様子がおかしい。

 

「どうだった?」

 

「全然ダメです。後日調査をするとしか……」

 

 この街の裏事情を知っている御坂は何かを察した。

 

「誰かがアンチスキルを操作してる……?」

 

 『操作』という言葉で御坂の頭に思い浮かんだのはキラキラとした目のアイツ(食蜂操祈)だ。レベル5の心理掌握(メンタルアウト)である食蜂ならそれが可能である。でも、だとしたら何故アンチスキルを?疑問は深まるばかりだ。とにかく直接聞いてみるのが一番良いだろう。

 そう思った御坂は外に出るためにドアを開けようとした。しかし、御坂が手を伸ばした瞬間、何者かがドアを開けた。

 

「その事件、俺たちに任せてくれないか?」

 

「は?誰よアンタたち」

 

 入ってきたのは学園都市に来たばかりの二人の青年だった。

 

「俺は左翔太郎、探偵だ。でこっちが相棒の……」

 

「フィリップだ。よろしくね」

 

 御坂と初春は顔を見合わせた。その後、御坂は翔太郎の横をすり抜け再びドアに手を伸ばした。が、翔太郎は御坂の腕を掴んで引き止めた。

 

「ちょっと待ちな。話は聞いてた。君たちの友達を誘拐したのはドーパントって怪物の仕業だ。俺たちはそいつらを追ってこの街に来たんだ」

 

「あのね、アンタたちに頼まなくても私たちだけでなんとかするから。余計なお世話よ」

 

「困ってる人を助ける、それが探偵だ。それに、お前みたいなガキになにができんだよ?」 

 

『ガキ』という言葉に反応を示した御坂。腕を掴んでいる翔太郎の手に電撃をお見舞いする。

 

「痛っ!テメェ何すんだ!」

 

「その電撃、君はエレクトロマスターの能力者か。実に興味深い」

 

 フィリップは御坂に興味津々だ。初春も御坂も若干引いている。

 

「と、とにかくわかったでしょ?何の能力もないアンタたちがいても意味がないの!」

 

「それはどうかな……」

 

 フィリップはボソッと呟いた。

 

「あー悪かったよビリビリガール。でもな、俺たちも君たちの力が必要なんだ」

 

「『ビリビリガール』ですって……?」

 

 どことなくあのツンツン頭の彼の言い方に似ている。それが腹立たしい。

 

「ビリビリって言うな〜!」

 

 ジャッジメント177支部に大きな雷が落ちた。

 

 

 

 なんだかんだで行動を共にすることになった御坂、翔太郎、フィリップ。初春はパソコンで情報収集だ。

 

「で?アンチスキルはあんたの仕業?」

 

 御坂たちは早速疑わしき食蜂操祈に会っていた。

 

「さぁ?何のことかしらぁ?」

 

「はぐらかさないで!黒子が危険にさらされてるってのに!」

 

「やだぁ御坂さんってば怖いわぁ。ねぇ?ハンサムさん?」

 

 翔太郎の視線は食蜂の顔の数センチ下を向いていた。思わず御坂は電撃を放つ。

 

「どこ見てんのよこのバカ!」

 

「いや、お前らホントに同じ中学生かよ」

 

 デリカシーのなさはアイツに似ているようだ。

 ギャーギャーと言い合っている二人には気にせずフィリップは目を閉じている。

 

「あら?お隣のイケメンさんはどうしちゃったのかしら〜」

 

「ん?あぁ、地球の本棚(検索)か。まぁこいつの能力みたいなもんだ」

 

「能力?だってあんたたちは外の人間じゃない。使えるはずが……」

 

「あ~お前らのとはちょっと違うな。フィリップには地球のあらゆる情報を知ることができる力があるんだ」

 

 翔太郎の解説を聞いた食蜂はテレビのリモコンのようなものを取り出し、フィリップに向けた。

 

「へぇ〜あなたたちが噂のアレなのね。会えて感激だわぁ」

 

「は?」

 

 御坂は頭をポリポリ掻きながら食蜂の能力を説明する。

 

「えっと・・・こいつは人の記憶を勝手に覗いたりできるのよ」

 

「それだけではないね」

 

 フィリップが割って入ってきた。

 

「検索が完了した。彼女の能力はレベル5の心理掌握。他人の記憶を読むだけでなく、記憶を改ざんすることも可能だ。本来はリモコン無しでも使えるが、能力の安定や精度を高めるためにそれを使っているんだね」

 

「まぁ!私の能力をそこまで解説できるなんてすごい検索力だわぁ」

 

 これこそが地球の本棚(検索)である。この力でいくつもの事件を解決に導いたのだ。

 

「ま、とにかく御坂さんの言ってるのは私じゃないわよ。人違いだゾ☆」

 

「だったら最初からそう言いなさいよ!」

 


 

「ここは……」

 

 黒子は薄暗い倉庫で目を覚ました。周りを見渡すとあのときのスキルアウトやその仲間達、合わせて十人くらいがいた。手や足はロープで縛られており、能力はもちろん使えない。

 

「おぉ。目が覚めたかお嬢ちゃん。もう少し待ってな、今下っ端にお使いを頼んでんだ。とびきり気持ちよくなれるクスリをな」

 

 鳥肌が止まらない。普段ソレ系のは御坂に使おうとしたりするが、それは御坂に対し好意を抱いているから。好きでもない輩に使われるのは気持ちが悪い。

 

「誰があなた方のような猿共に身を捧げるもんですか」

 

「威勢がいいな。気持ちいいのじゃなくて痛いのが好みか?」

 

「……いえ。とびきりいいモノをお願いしますわ」

 

 決してコイツらに服従したわけではない。時間稼ぎだ。

 あれから半日は経っている。異変に気づいた誰かが自分を探すはず。もしくは能力が使えるようになって自力で脱出もできるかもしれない。

 

 (頼みますわよ、初春、お姉様……)

 

 黒子は信じた。友を、奇跡を。

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