とある科学の超電磁砲W 二人で一人の仮面ライダー 作:かなん
「おはようございま〜す!初春いますか〜?」
いつものように一七七支部に遊びに来た佐天。黒子と固法が仕事をしているが初春の姿はない。
「あら佐天じゃありませんの。初春なら今日は非番ですわよ」
「たまには休まないとね。初春さんここ最近頑張ってたし」
非番ならこれから一緒に遊びに行けるな、と考える。だがせっかくのお休みを邪魔しちゃいけないかもと気遣い今日はそっとしておくことにした。
「あ、せっかくだし新しくできたお店にでも行こうかな〜」
佐天が一七七支部を出てすぐ、黒子に電話がかかってきた。初春からだ。
「はい、もしもし」
『白井さんですか?今すぐセブンスミスト近くの銀行に来てください!』
初春は小声で話す。初春の声をかき消すように警報が鳴っている。すぐに事件だと悟った黒子はスピーカーに切り替えて固法にも聞こえるようにした。
「一体何事ですの!?」
『強盗です!犯人は四人、全員黒ずくめの格好でバンダナを巻いてます!』
「初春は今現場に!?」
『はい。たまたま居合わせて……とにかく早く来てください!じゃないと……あ……』
人が殴られたかのような鈍い音を最後に、通話は終わってしまった。
「まずいわね……白井さん!先に現場に行ってて。私はアンチスキルに連絡するわ!」
「えぇ!わかりましたわ!」
黒子はテレポートを駆使し数十秒で現場に到着した。銀行の中を覗いてみると、バンダナを頭に巻いた犯人らしき集団と隅に集められている人質、中には子どもやお年寄りも含まれている。リーダーと思われる赤いバンダナを巻いた男は初春に銃を突きつけている。初春の頬は赤く腫れ上がっていてさっきの電話のときに殴られたのだろう。ここは慎重にと銀行の外で様子を伺うことにした。
しかし、何かがおかしい。犯人らは警戒する様子もなく、ただただ立っているだけ。その気になれば一瞬で全滅させられそうだ。
「警戒していない……?それほどまでの自信がどこから来ているんですの……?」
黒子がぼそっと呟いた瞬間、銃声が鳴り響いた。人質が撃たれた!?ととっさに突撃しようとしたが、その銃弾は黒子のすぐ真横を通過していた。
「え……?」
「そこにいるのは分かってるんだよ、ガキが」
まさか、見つかった!?顔を出しすぎたか?それとも能力か?とにかくバレてしまった以上真正面からいくしかないと犯人たちの前に立った。
「バレてしまっては仕方ありません。ジャッジメントですの!あなた方を拘束します」
「白井さん!」
「へぇ……確かに今までの俺たちならやられてたかもな」
リーダーは鼻を人差し指で指さした。
「でも……今の俺は鼻が良い。これのおかげでな」
取り出したのはドーパントメモリ。Wのイニシャルで端子は銀、シルバーメモリと呼ばれる上級メモリだ。
「おいお前ら!やっちまいな!」
リーダーに指示された下っ端たちはHのメモリを起動し自分の体に挿した。
『ハイエナ!』
茶色の体にまだら模様、頭部に丸い耳のようなものがついている。三体のハイエナドーパントは高速で動き回り黒子を翻弄する。
「どうだ!これが俺たちプレデターズの力だ!」
三体のうち一体が黒子の首を掴んだ。だが黒子は瞬間移動で脱出。すぐさま足に巻かれたホルスターから金属矢を引き抜いてハイエナに刺さるようテレポートさせた。
「ぐッ!?いてぇ!?」
「舐めてかかると痛い目に遭いますわよ」
黒子はそのままリーダーの目の前に現れ拳銃を蹴った。そして初春をテレポートで他の人質と同じ場所へ飛ばした。
「初春!ワタクシがテレポートで人質を外に逃がしますわ!その後の避難誘導を任せましたの!」
「……はい!」
黒子は三体のハイエナと戦いながらも少しずつ人質を外に逃がしていく。
「クソ!ちょこまかと!」
「いい加減にしやがれ!」
人質を全員逃がし終わり、ハイエナたちと戦闘を繰り広げようとした瞬間、三体のハイエナをとてつもない光線が襲った。光線の正体はコインだ。ゲーセンのコインが電撃を放っている。
「これは……まさか!」
「
大きな穴が空いた銀行の壁から入ってきたのは御坂美琴だった。
「銀行強盗?随分物騒じゃない」
さすがのドーパントでもレールガンは耐えられない。直撃した一体が人間に戻る。メモリは破壊できず残ったままだ。
「アイツらじゃないとメモリは壊せないか」
「おい、超電磁砲。こいつがどうなってもいいのか?」
ハイエナではない別のドーパントが初春の腕を掴んで登場した。ハイエナと同じような生物的で、白銀の体毛に覆われている。このドーパントはリーダーが変身したものだろう。隙をついて物陰から様子を見ていた初春を捕まえたようだ。
「くっ……」
御坂は一瞬だけ黒子に目を向けた。そして御坂の考えを理解した黒子は大きく深呼吸する。一瞬でドーパントに接近し、初春をテレポートで逃がす。御坂はその瞬間にレールガンでドーパントを吹き飛ばす。それが作戦だ。
「今よ黒子!」
「させるか!」
御坂の思考は完全に読まれていた。黒子がドーパントの目の前に来た瞬間、鋭い爪で引っ掻きさらにパンチを繰り出した。。黒子は数メートル吹っ飛び壁にめり込んでしまう。
「黒子!!」
ドーパントはさらに初春も殴る。何度も何度も殴り初春の顔面が赤く染まっていく。
「初春さん!!……いい加減にしなさい!」
「殺すまではしない。お前の能力と引き換えに解放してやるよ」
「狙いは私の能力ってわけ?」
「そう。お前がおとなしく能力を渡してくれればコイツを解放して今日は撤退してやる。もし拒否すれば……わかるよな?」
初春の意識はない。かろうじて生きてはいるがこれ以上は命をに関わる危険だ。御坂は静かにドーパントへ向かい歩き出した。そして目の前まで来ると腕を差し出す。
「さっさと能力を奪って」
「交渉成立だな」
拳銃のような形をしたアダプターを腕にあてて撃つ。御坂の能力を奪って生まれた新たなアビリティメモリ、レールガンメモリが排出された。
「レベル5のアビリティメモリか。こりゃ高く売れるぜ」
『サイクロン!ジョーカー!』
ドーパントたちが去ろうとするが、ダブルが駆けつける。
「すまねぇ!遅くなった!」
『僕の怪我は完治してない。さっさと倒そう』
リーダーはダブルに目もくれない。下っ端のハイエナ二人が代わりに戦闘体制に入る。
「俺達が相手だ!半分こ怪人!」
「半分こ怪人じゃねぇ!ダブルだ!お前らに構ってる場合じゃないから一気に決めるぜ!」
『ジョーカー!マキシマムドライブ!』
「『ジョーカーエクストリーム!』」
半分に割れたダブルはハイエナを貫いた。メモリが破壊されて砕け散る。ダブルはそのまま御坂のもとに走った。
「大丈夫かビリビリ!」
御坂は魂が抜けたかのようにペタっと座ったまま動かない。目も合わせないままただ一言だけ呟いた。
「能力が……」
「能力?まさか!」
アンチスキルが到着したあとも座り込んだままの御坂。意識を取り戻した黒子が何度も御坂に頭を下げた。御坂はに気にしていない素振りを見せたが、心に大きな傷を負っているのは明白だ。
「本当にすみません……お姉さまにご迷惑を……」
「何回言ってるのよそれ。私は大丈夫だから。黒子が無事でよかったわ。あとは初春さんね……」
翔太郎も含め三人で初春が搬送された病院へ向かった。先に佐天が来ていたらしく、佐天と初春の話し声が聞こえている。
「失礼しますの」
「見舞いに来たぜ」
「初春さん、怪我の具合はどう?」
「あ、えーっと……骨折程度で済んだみたいで。明日には退院できるみたいです」
「もービックリしたんだから。白井さんから連絡もらったときは初春大丈夫かなって心配で……」
「あ……そういえばあの後はどうなたんですか?」
初春は御坂が能力を奪われたことをまだ知らない。言うべきか迷っていた黒子と翔太郎よりも先に御坂が状況を話し始めた。当然初春も御坂に対し謝罪の言葉を繰り返す。御坂がなだめ事は収まったが、その様子を見ていた翔太郎はどこか引っかかりを覚える。やはり能力のことを引きずっているかもしれない。そう思いアビリティメモリを探すことにした。
「やはりな……」
翔太郎が病院に向かったあと、フィリップは自室で検索にふけっていた。検索対象はリベンジのメンバーだ。
イアンに関しては前に一度調べたが、財団Xの幹部であることくらいしかわからなかった。そこに新たなキーワード、『ワールドキー』を加えると一冊だけだった本が二冊に増えた。題名は『平行世界融合について』イアンは財団Xのガイアメモリ関係の後任者だったのだ。数年前、エージェント加頭順によってミュージアムと契約。ガイアメモリ流通は順調だったが仮面ライダーによって加頭順が倒されガイアメモリから手を引くことに。その後、コアメダルやアストロスイッチ、さらにはネビュラシステムなどの計画が進行。ガイアメモリの存在が忘れられる中、ガイアメモリの研究に没頭し続けた人物が一人。それがイアンだったのだ。彼は自らガイアメモリを開発。そしてガイアメモリの性能を上げるためにアビリティメモリを開発した。しかし、アビリティメモリには超能力と呼べるくらいの力が必要で、それを調達するのは困難。そこで目をつけたのが学園都市だったのだ。超能力者が集まるこの街は実験、研究に都合の良い場所。そして彼はこの街にやって来た。
「もう一度検索だ。キーワードは歯牙木場乃」
歯牙木場乃。彼女は大人っぽい見た目だが高校生らしい。高校生ながら研究にのめり込み財団Xにスカウトされた。中学生までは風都にいたらしくそこでガイアメモリに出会ったのだろう。特に仮面ライダーに関して興味を持っていて、彼女自身ライダーになるための研究も行っているようだ。
「実に興味深い……」
検索に夢中なフィリップのスタッグフォンが鳴る。
「誰だい?……君か。……なんだって!?わかった。待っているよ」
フィリップは大きくため息をついた。
「まずいな……リベンジだけでなく裏の住人達も動き出したか」
翌日、初春はギブスをつけてはいるが無事退院し一七七支部でパソコン業務にあたっていた。
「初春さん。あまり無茶しないでね?」
「わかってます。でも……御坂さんの能力を早く取り返さないと……」
固法はやれやれとため息をついて自分のパソコンと向き合う。
「白井さんも頑張ってますし、私も何か手がかりを……ん?」
強盗集団『プレデターズ』メンバーのバンクを調べていた初春はあることに気づいた。
「この人…………木原幻生の助手を……!」
「木原幻生ね……大覇星祭で目撃したっていう噂もあるわ」
木原幻生。レベル6の理論を唱えた人物で、大覇星祭にて御坂を暴走させた張本人である。プレデターズのリーダー、髪矢大儀はその助手をしていた。
「やはり御坂さんの能力を故意に狙ったのね」
「いえ、多分違うと思います。このプレデターズはリベンジと繋がっているはずです」
「え?どうして?」
「プレデターズが狙った銀行ですよ。全て『ウインド銀行』で、この銀行は風都から進出しているんです」
そして画面に映されたのはある週刊誌の記事。
「過去にこの銀行はスクープされてて、その内容が……」
見出しに書かれていたのは『ガイアメモリ裏取引!?』本文は進出前、風都にて社長がガイアメモリ流通に関係していたという内容だ。
「この事件以降逃げるように他の市に進出していて、この学園都市にも来たんです」
「そしてプレデターズが銀行を襲いガイアメモリを奪おうとしたと。けどたまたま御坂さんが来て能力を奪うことに成功した」
「はい。彼らの本来の目的は能力ではなくガイアメモリということです」
「ビンゴ〜!俺らのことわかってんじゃん!」
男の声に驚いた二人は後ろを振り返った。気配を全く感じなかったが、確かにいる。赤いバンダナで目が見えないが殺意を感じさせるオーラだ。
「俺らの目的はガイアメモリを集めてリベンジとの契約を果たす。木原先生の叶えられなかったアレを完成させるためにな」
その手にはWのドーパントメモリが握られていた。そしてTシャツを脱ぐと左肩に生体コネクタが出現。メモリを挿した。
「さぁ、狩りの時間だ」
現在アンケートをやってます。風都探偵を見ている人が多ければその要素も絡めていきたいと思います。既にいくつか風都探偵要素を書いてしまっていますが…
『風都探偵』を見ていますか?
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