とある科学の超電磁砲W 二人で一人の仮面ライダー 作:かなん
「さぁ……振り切るぜ!」
新たな戦士、仮面ライダーアクセルはエンジンブレードを掲げウルフに近づく。ウルフはクナイをテレキネシスに似た力でアクセルめがけ飛ばすが簡単に弾かれてしまう。
「くそっ!ハイドープの力が効かねぇ!?おいワールドキー!歯牙!手を貸せ!」
「了解しました。援護モードに切り替えます」
「断る。お前なんかに力を貸したくはない」
後ろで腕組をして待つ歯牙に苛つくウルフはがむしゃらに突っ込むが全て防がれてしまう。
「コイツ!?強すぎだろ!?」
「俺はお前みたいな奴らを幾度となく捕まえてきた。何をしても無駄だ」
ワールドキーが放ったライフルの弾丸もエンジンブレードで真っ二つに斬る。アクセルから漂う殺気にその場にいる全員がぞっとする。
「すごい……メモリを使ってた私を止めたときもあんな感じだったな……」
「どうした?もう終わりか?ならこっちの番だ」
「やはりウルフに見込みはないか。撤退よ、ワールドキー」
「おい!待ってくれ!置いていくな!」
エンジンブレードにエンジンメモリを挿し電気を纏った刃でウルフを攻撃する。
『エンジン!エレクトリック!』
「ぐっ!まだまだ!」
必死で立ち上がるウルフだが繰り返される斬撃で体がボロボロになっていく。
「何でだよ!手も足も出ないじゃねぇか!」
アクセルはベルトの左側にあるマキシマムクラッチレバーを引いて反対側のスロットルをひねる。
『アクセル!マキシマムドライブ!』
炎に包まれたアクセルのキックがウルフの胴体に炸裂し、メモリが砕けた。レールガンのアビリティメモリは遠くへ投げ出されてしまった。
「絶望がお前のゴールだ」
地面に這いつくばった髪矢の手を掴んで手錠をかけた。
「ガイアメモリ使用の罪で貴様を逮捕する」
「はぁ?そんな罪状この学園都市には存在しねぇよ……ハハハ!残念だったな!」
「苦しい言い訳だな」
湾内や泡浮の通報により駆けつけたアンチスキルが照井と髪矢を囲う。他の隊員は重症の翔太郎を救急車に運んでいる。照井を囲むその中の一人に佐天の知り合いがいた。
「黄泉川先生……?」
「お前は……!また事件に巻き込まれたのか?」
「え〜っと……まぁそんなところです」
戦闘服姿の女性、黄泉川愛穂は教師でアンチスキルだ。過去に佐天にとある理由で補修授業を行って以来、何かと事件の度に遭遇する。
「まぁ見る限り事件はあらかた片付いたみたいじゃん。照井くんのおかげで」
「あぁ。後はお前たちアンチスキルの仕事だ。こいつを頼む」
どうやら照井も黄泉川を知っているようだ。照井は手錠で両手を縛られている髪矢を黄泉川のもとまで連れていき引き渡した。
「お、おい。アンチスキルはわかってんだろ!ガイアメモリの使用は罪に問われない!そうだろうが!」
「確かに罪に問われないじゃん。今までだったらな」
「は?」
照井が見せつけたのはある文字が書かれた文書。
「『学園都市におけるガイアメモリ犯罪の改正』だぁ……?」
「本日よりこの学園都市にてガイアメモリを使用し犯罪行為を行った場合はアンチスキルが取り仕切る更生施設に送られる。貴様がその第一号だ」
「さ、大人しく従ってもらおうじゃん」
「くそっ!ふざけやがって……仮面ライダーアクセル、照井竜!いつかぜってぇお前を叩き潰す!」
護送車に乗せられた髪矢はいつまでも照井を睨んだままだ。だがそんなことを気にしない照井はバイクに跨りヘルメットを被った。
「佐天。左のところへ行くぞ」
翔太郎は意識が戻らないままの危ない状態が続いていた。ウルフの身体を貫けるほどに長い鉤爪は幸いにも心臓よりも少し離れた場所に刺さったがこのままでは時間の問題である。カエル医者の賢明な措置でなんとか延命されているという状況だ。
手術が終わり病室のベッドに寝かされた翔太郎にある尋ね人がやって来た。その人物は全身に包帯を巻き付け、帽子やサングラスに身を包んだ女性だった。そう、佐天にメモリを渡した女である。
「ここで死なれては困るわ。彼に復讐するまでは……貴方達の力が必要なのよ」
女はコートのポケットからドーパントメモリを取り出し、怪人へと姿を変えた。
『メディカル!』
全身が雪のように白いドーパント、メディカルは背中に生えた翼で翔太郎を包み込んだ。
「さぁ目覚めなさい……そしてなりなさい。究極を超えた存在に」
メディカルの能力だろうか。翔太郎の体の傷は消え、ゆっくりと目を開けた。メディカルは自分の姿を見られまいと光を放ち消えていった。それと同時に病室の扉が開きフィリップ、照井、佐天が慌てて飛び出してきた。
「翔太郎!身体は大丈夫かい!?」
「ん?……あぁ。むしろなんだか今までの疲れとかが取れたような感じだ」
翔太郎は自分の違和感に気づき胸辺りに巻かれていた包帯を取った。刺されていたはずの箇所は何事もなかったかのように元通りになっていた。
「流石はあの医者だ。もぎ取られた腕すら治すと言われているほどのことはあるな」
「良かったです!翔太郎さんが無事で!」
安堵する三人。と、カエル医者が入ってきた。完全回復の翔太郎を見て驚いたのか目を見開いた。
「驚異的な回復力だね。ビックリしたよ」
「これもアンタのおかげだ。礼を言うぜ」
「いや……僕はほとんど何もしていないよ」
「何だって!?」
カエル医者の言葉に思わず聞き返す翔太郎。フィリップは納得したような顔だ。
「やはり……いくら凄腕の医者とはいえここまでの完治は難しい。かと言って翔太郎の自然回復にしては早すぎる」
「え?じゃあどうして翔太郎さんは……?」
「あくまで俺の推測だが、能力者の仕業だろう。何者かが左の様子を見て能力を使ったと考えられる」
「いや、いくら回復系の能力者でもあの傷はレベル5クラスでないと治せないだろう」
「ま、まぁいいじゃないですか!翔太郎さんも元気になったことですし!」
しかしまだ事件は解決していない。フィリップが切り出した。
「問題は美琴ちゃんの能力だ。髪矢が変身時に使っていたが、メモリブレイクと同時に何処かへ行ってしまった。早く探さなければ……」
「それなら心配いらないですわ」
カエル医者と入れ替わりで入ってきたのは黒子と初春だった。二人とも顔には絆創膏、腕や足に包帯を巻いている。
「白井さん!初春!怪我は大丈夫なの!?」
「まぁちょっと痛みますけどね……御坂さんをあんなふうにしてしまったのは私ですから。だからなんとしても御坂さんの能力を取り戻したいんです」
「実は湾内さんや泡浮さんにアビリティメモリの捜索をお願いしていたのですが、見つかったみたいですの。今から合流してお姉さまのところへ向かおうとしていたところですわ」
「あ、私も行きます!」
黒子は初春と佐天を連れ御坂がいる寮へと向かった。事件解決も目前、翔太郎たちも安堵の表情だった。
「これで一件落着だな。ところで照井。この間も聞いたが風都は大丈夫なのか?」
「あぁ。実は『裏の住人』はしばらく姿を現していない。それにドーパント絡みの事件に関しては刃野刑事や真倉刑事が主体となって動いている。ドーパントを倒すのには知り合いに任せた。彼は日本一のお節介らしくてな。快く引き受けてくれた」
「実は照井竜を呼んだのは僕なんだ。リベンジのメンバーに関する情報を検索していたときに歯牙木場乃、ファングドーパントのある情報を見てね。僕らだけでは厳しいから照井竜にも来てもらった」
「その情報ってのは?」
「歯牙木場乃は……NEVERだ」
「NEVERだって……!?」
NEVERとはNECRO OVER、死者蘇生兵士である。かつて戦った最強最悪のテロリスト、大道克己もその一人だ。ゾンビのように死なない身体、圧倒的な身体能力。それが特徴だ。彼を含む五人と財団Xの加頭順という男がNEVERとなったが、財団Xの事実上の壊滅により新たなNEVERが生まれることはなかった。
「彼女は数年前、風都に住んでいた。だが大道克己たちが起こした事件に巻き込まれ死亡した。そして財団Xの研究者は歯牙をNEVERとして蘇らせた。彼女は幼いながら優秀な研究者となり、やがて自らの身体を実験台にした。NEVERの弱点を完全に消すことに成功したんだ」
「確か酵素を定期的に注入しないと体が崩壊するんだっけか」
「そう。だが彼女は生命維持装置を埋め込み酵素を必要とせずに生きていられるようになった。やがてガイアメモリの存在を知りその研究に没頭し、イアン・ウルスランドと出会った」
「不死身の体に強力なファングメモリか。メモリブレイクするのは極めて難しい。だから俺の力が必要になったわけだ」
「リベンジ……財団Xの残党かと思ってたがもっと巨大な組織かもしれないな。こりゃ風都に帰るのはしばらくお預けだな」
「お待たせしました。これが白井さんの言っていたものです」
黒子たちは湾内、泡浮と合流し御坂のアビリティメモリを受け取った。
「ではお姉さまのところへ行きましょうか。お二人とも、感謝しますわ」
「いえ、これで御坂様が元気になられるといいのですが……」
「湾内さんも泡浮さんも気をつけてくださいね。ドーパントに襲われるかもしれないので」
二人と別れた後、常盤台の寮に入り二〇八号室へ向かう。
「ただいま戻りましたわ」
「「お邪魔します……」」
既に日が落ちて薄暗くなった部屋に廊下からの光が差す。黒子が電気をつけるが御坂の姿は見えない。ベッドの布団に潜ったままのようだ。
「お姉さま……奪われた能力を取り戻しましたの。受け取ってくださいな」
布団の膨らみは一切動かない。ただ弱々しい声だけが聞こえた。
「ごめん……私にはそれを受け取れない」
「御坂さん……ごめんなさい!私がしっかりしてないせいでこんなことになってしまって……」
「いいのよ。初春さんは悪くない。悪いのはこんな能力が無いと何もできない私なの……」
そんなことないと否定する黒子と初春だったが、佐天は黙ってうつむいている。
「私は……能力が無いからみんなを守れない。無能力者になった私を狙ってあらゆる奴らが襲いかかってくる。そんな危険に黒子や、初春さんや佐天さんを巻き込むわけにはいかないから……」
黙っていた佐天の拳が震える。そして今まで溜め込んでいたものを全て吐き出すように、大声で叫んだ。
「そんなことない!!私は巻き込まれられたって迷惑じゃないです!御坂さん。御坂さんはいつも私たちを守ってくれます。だからたまには私たちに守られてください」
「佐天さん……」
「白井さんはともかく、私や初春じゃ頼りないかもですけど……湾内さんや泡浮さん、婚后さんに固法先輩もいます。みんな御坂さんが助けてって言えば全力で守ります!だから……一人で全部抱え込まないでください!私たちがいますから!」
「佐天さん、私そんなに頼りないですか?」
「初春はいつでも危なっかしいですの」
「白井さんまで……」
三人は目を合わせる。一瞬沈黙したが、すぐに笑みがこぼれた。そうして笑い合っているうちに、いつの間にか御坂が布団から這い出てきて恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
「みんな……ありがと。私、みんなを守れるように頑張るから。だからみんなも私を守って欲しいの……ダメかな?」
「もちろん!だって私たち、友達じゃないですか!」
「お姉さまの体はこの黒子が守り抜いてみせますの!そしてそのままワタクシにその身を捧げてくださいな!」
「ちょっ!抱きつくな!この変態!」
「白井さんが言うと意味合いが変わりますね……」
「うん……」
こうして御坂は佐天の言葉に救われたのだった。復讐に呪われた少女が今度は誰かを助ける希望となる。これであの二人も大きく成長し、絆も深まっただろう。人は変われるのだ。
「やっと見つけた。
歯牙の視線は、泡浮と共に歩いていた湾内に向けられていた。
「本当に助かるわ、そのメモリの適合者を見つけられる能力」
歯牙の背後には翔太郎を救ったメディカルドーパントが立っていた。
「私は驚いているわ。まさか新しいメモリを持ってあの世から帰ってくるとはね。シュラウド、いや……園咲文音さん」
遅くなりました。すみません。次の投稿はかなり先になると思います。
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